- 著者
-
桜井 謙次
関根 祥介
赤松 茂
蒲池 みゆき
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.109, no.345, pp.53-58, 2009-12-10
- 被引用文献数
-
2
本研究では,視線を正確に制御できる三次元顔モデルを用いて,人間の視線知覚特性を調べる2つの実験を行った。実験1では,視線の対象との距離が変化した際の輻輳角(寄り目具合)を定量的に変化させて実験を行った.結果として,相手と対面した状況においては,自分より後方への視線に関しては正確に判断されない傾向がある事が明らかになった.また,「自分より前」を見ているという判断を行うためには,1)水平角度に関して正面を見ていると判断された上での輻輳による奥行きの判断,もしくは2)水平角度が大きい(非常に自分から逸れた位置にある)と判断された上で角度変位が大きな視線の向きを観察したことによる判断,という2つの知覚過程による領域に分類できることが示唆された.したがって,視線の奥行方向判断は,水平方向判断に大きく依存することが分かった.また実験2では,先行研究において調べられている,水平方向の頭部角度,照明角度の変動によって起こる視線知覚のズレの予測式を算出した.結果から、知覚される視線角度は、顔モデルの頭部、照明方向、眼球の角度により予測可能であることが明らかになった.