著者
湯村 颯悟 蒲池 みゆき
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.291-300, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
31

It is still unknown how the viewer perceives the self-body in virtual space. In this study, we investigated the differences in performance of a simple motor task in a virtual space when the visible type of the 3D self-body model was changed to one of three types: “the whole body visible,” “the body partially visible,” or “the body invisible.” The quantitative data of the motor were used to analyze the durations and accelerations of the motor task. The results showed that the duration of the motor task varied depending on the visibility of the body models. The results also suggested that visual body information, particularly the self-body, continuously provides a potential interference to the smoothness and quickness of human motor control.
著者
蒲池 みゆき 加藤 隆 赤松 茂 赤松 茂
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.38, pp.59-64, 1996
参考文献数
2
被引用文献数
1

ある人物の顔を見て性別を判定する際には, 顔のもつ様々な情報の中で, どの情報が有効に利用されているのであろうか.男女各16名のモデルを使った本研究の実験では, 顔の持つ色情報が, 性別を判断される際に男女を問わず必要であることが分かった.また, 性別を判断する際の視点依存性について, 男性の場合は左90°の横顔, 女性の顔は右90°の横顔が性別を誤って判断されやすく, その判断に対する被験者の確信度も低いことが明らかとなった.つまり, 性別判断の視点依存性には男女の顔で非対称性があることが示唆された.
著者
西牧 侑哉 郷田 直一 蒲池 みゆき
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.14-21, 2021 (Released:2021-04-01)
参考文献数
25

Previous studies on virtual reality (VR) suggested that the inclusion of wind or air flow in combination with audiovisual information can enhance the sensation of presence. However, the perceptual nature of wind in such a situation remains unknown. Using a VR environment with a head-mounted display, this study examined how observers feel real wind while viewing a fluttering flag or fallen leaves as wind flows in the virtual space. The results demonstrated that the tactile (cutaneous) perception of the intensity of wind varied depending on the virtual wind speed. This visuo-tactile crossmodal effect tended to be stronger for weaker real wind irrespective of the direction incongruence between real and virtual winds. These findings provide new insights into the multisensory nature of wind perception with contributions to the design of an efficient wind display system in VR.
著者
蒲池 みゆき 吉田 千里
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.77-84, 2006-09-30 (Released:2016-12-01)

In this research, we investigated the function of human eye-gaze perception and control system. The whites of human eyes produce a strong contrast with the pupils, and in light of this fact, detection of the eye-gaze direction is relatively easy to do. Our result in Experiment 1, however, showed that the perceived eye-gaze direction is affected not only by the eyes but also by the direction of the whole head. From the perceived position, the actual gazed position can be estimated by a linear function model. From the result of Experiment 2, we found that the head and eye movements of perceiver are also systematically affected by the looker's head rotation. Additionally, in the MRI imaging study in Experiment 3, it was shown that the rotation center of the eyeball when the participant gazed at various points was located backward, and the rotation angle was asymmetric on both eyes.
著者
桜井 謙次 関根 祥介 赤松 茂 蒲池 みゆき
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.345, pp.53-58, 2009-12-10
被引用文献数
2

本研究では,視線を正確に制御できる三次元顔モデルを用いて,人間の視線知覚特性を調べる2つの実験を行った。実験1では,視線の対象との距離が変化した際の輻輳角(寄り目具合)を定量的に変化させて実験を行った.結果として,相手と対面した状況においては,自分より後方への視線に関しては正確に判断されない傾向がある事が明らかになった.また,「自分より前」を見ているという判断を行うためには,1)水平角度に関して正面を見ていると判断された上での輻輳による奥行きの判断,もしくは2)水平角度が大きい(非常に自分から逸れた位置にある)と判断された上で角度変位が大きな視線の向きを観察したことによる判断,という2つの知覚過程による領域に分類できることが示唆された.したがって,視線の奥行方向判断は,水平方向判断に大きく依存することが分かった.また実験2では,先行研究において調べられている,水平方向の頭部角度,照明角度の変動によって起こる視線知覚のズレの予測式を算出した.結果から、知覚される視線角度は、顔モデルの頭部、照明方向、眼球の角度により予測可能であることが明らかになった.
著者
蒲池 みゆき 向田 茂 吉川 左紀子 加藤 隆 尾田 政臣 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
巻号頁・発行日
vol.97, no.509, pp.73-80, 1998-01-23
被引用文献数
34

人間の顔に対する記憶表象や, 表情認知を探る心理実験において, 複数の画像を合成した刺激 (平均顔やカリカチュア顔など) を作成するFUTON System (Foolproof UTilities for Facial Image ManipulatiON System) を開発した. FUTON Systemは, 心理学的に顔研究を行う場合に必要な, 自然な顔画像合成の要求を満たすため, 既存のシステムに対応点の定義や操作性等の点で改良を加えたものである. このシステムにより, 大量の顔画像データを一括に処理することも可能になった.
著者
HILL Harold 蒲池 みゆき POLLICK Frank JOHNSTON Alan TROJE Nikolaus
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.534, pp.19-24, 2002-12-13
参考文献数
8

似顔絵作者が人の見かけを強調して描くことができるように,ものまね芸人は人々の会話や動きを強調することができる.本研究では,平均的な値からの差分を強調するという静止画の顔の強調で用いられる概念を利用して,顔の動きを空間,時間ともに強調した.知覚実験では,意図的な情動を選択的に強調する場合において空間的な強調がより効果的であることがわかった.空間的な強調は時間に依存しているが,時間を一定にした平均値に対して行われた強調よりもより効果的である.このことは,動きそれ自体よりも強調を行う際に重要となってくる.結果としては一般に表情が知覚されるタイミングの効果が現れ,怒りは短い提示時間,悲しみはより長い提示時間で効果が現れた.この効果は意図された情動以外にも見られた.結果は時間もしくは時空間というより,空間的な手がかりが課題には重要であることを示し,強調による効果は適切な平均値からの差分を増幅した場合にのみ得られることが明らかになった.
著者
蒲池 みゆき 吉川 佐紀子 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.311, pp.17-24, 1998-10-11
被引用文献数
17

顔の表情認知過程における動的な情報の割合を探る研究の一環として, 本研究ではモーフィング技術を応用して作成した動画刺激を用いて心理実験を行った.この方法により, 変化量や変化速度などの物理量を統制した表情動画像の作成が可能となる.4種の顔表情(幸福・悲しみ・驚き・怒り)及び3種の時間条件を用いた実験では, 表情から認知される感情強度の評定結果から, 表情認知は変化速度に影響を受けることが示唆され, しかもその影響は表情間で異なることが示唆された.特に「驚き」の表情は速い速度で変化するほど強度が高いと認定され, 「悲しみ」の表情に対する強度は, 速度の変化によって影響を受けないことがわかった.
著者
蒲池 みゆき
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

コミュニケーション活動における視線や顔の表情の研究は、主に1対1の対面状況を想定しながら研究が進められてきた。本研究では、複数人数を相手にした場合の視線知覚特性を調べるための心理物理実験を行い、対人間距離や方位、複数人物の視線の向きを合算する場合の視線制御・知覚特性を解明した。心理物理指標として、視線の向きの知覚課題に加え、頭部や視線の方位計測、3次元モデルでの刺激制御などを新規に導入し、自然なコミュニケーション場面を包括的に実測することで、新たなデータの解析が可能となった。さらに、観察者の注意が視野全体の局所的、大域的にどのようなメカニズムを持つかについて、新たな知見をもたらす研究となった。
著者
向田 茂 蒲池 みゆき 尾田 政臣 加藤 隆 吉川 左紀子 赤松 茂 千原 國宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.1126-1137, 2002-10-01
参考文献数
12
被引用文献数
34

近年,顔の認知に関する心理学的研究が盛んに行われている.心理実験を行うには実験デザインに応じた実験刺激の作成が必要となるが,これまで実験刺激の生成を目的とした統合的な顔画像合成システムは見当たらなかった.我々は,先行研究で用いられてきた合成顔を容易に作成できるとともに,今後検討されるであろう様々な実験刺激の作成にも柔軟に対応できるよう,心理学研究からの要求を考察し,実験デザインの段階から実験刺激の作成までの一連の作業をサポートする顔画像合成システムの開発を行った.特に,一連の作業の中で,操作者への負担が大きくなる,特徴点の取得作業の負荷を軽減できるよう,採用した操作者補助の機能の有効性を実験により確認した