著者
藤井 晴行 中島 秀之
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.403-416, 2010 (Released:2011-03-08)
参考文献数
25
被引用文献数
6

We try to generate something new by interrogating ourselves on the notion of design science and on the notions derived during designing the design science. At the very beginning of designing, we introduce the notion of designing as an activity of constructing a new system. Then, first, we generate a hypothetical model of such a constructive process as repetitions of the cycles of synthesis (or, generation), analysis, and focusing towards a preferred situation. Second, we analyze the model with reference to processes of making artifacts. Third, on the basis of the analysis, we give ourselves the direction to the sophistication of the model and introduce the variables that should complement the model. We repeat the loop of the first, the second, and the third. As implied above, we design the model of the constructive process and apply the model to our activity of designing the model.
著者
藤井 晴行 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回 (2014)
巻号頁・発行日
pp.2D5OS28b4, 2014 (Released:2018-07-30)

経験のデザイン,機械作曲,研究方法のデザインなどについての一人称研究の概要とそれらを通して得られた知見を身体性という観点から報告する.デザインの一人称研究は研究者や被験者の身体性を自覚的に扱う研究である.デザインの思考においては記号(設計図,図式,数式,ことば)の操作が身体性をもつことが重要であることは言うまでもない.身体性を欠く思考がデザインにいかなる弊害をもたらすかについても言及する.
著者
藤井 晴行
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.216-220, 2008 (Released:2009-10-30)
参考文献数
17

建築研究のひとつに建築物や都市が構築する環境(構築環境, built environment)と人間の心理的反応や行動との関係を明らかにしようとするものがある.その多くは両者の関係に関する知見をよりよい建築空間や構築環境の設計に活かすことを意図する.人間と環境との関係を主に認知プロセスに焦点をあてて見る認知科学と同関係を建築や都市のありようの側から見る建築学との間には相補的な関係があると仮定し,最近の建築研究の中から認知科学における関心と関連がありそうなものを紹介する.日本建築学会計画系論文報告集または日本建築学会環境系論文報告集に発表された論文のうち,構築環境と人間との関係を扱う研究をいくつか取り上げ,その概要を紹介する.また,いくつかの論文の題目を紹介する.当該機関に発表された人間-環境系研究はこれらにとどまるものではない.最後に参考書籍の題目を挙げる. 建築学における人間と環境の関係の研究は大きく二種類に分けられる.ひとつは建築空間や構築環境とそこにいる人(主に居住者や利用者)との関係を対象とするものであり,ひとつは設計のための環境と設計者との関係を対象とするものである.ここで紹介する論文は前者に属する六編である.それぞれ,次のような特徴をもつ.第一論文(青木・朴・大佛)は都市空間の認知が概念図式に依存することをイメージマップを用いた実験によって確かめようとしている.第二論文(徐・西出)は展示空間における回遊行動と空間認知との関係を対象とし,実際の展示空間において実験を行っている.第三論文(末繁・両角)は都市空間における視覚的な情報と回遊行動との関係を対象とし,実際の市街を模した回遊行動シミュレーション実験を行っている.第四論文(掛井ほか)は非常時の避難行動を誘導するために有効な情報提示の形式を対象とし,建築空間を模した避難シミュレーション実験を行っている.第五論文(高橋・大井)は建築のインテリア空間の美しさの評価に関わる一般的な美的価値観を対象とし,被験者に刺激を提示する評価実験と被験者の評価構造を抽出するためのインタビューを行っている.第六論文(坂本ほか)は温冷感と色彩との関係を対象として,実験室において設定した温熱環境における暖色・寒色の注視傾向を測定している. 建築学におけるこれらの論文を紹介する理由は,認知プロセスのモデル化よりも建築設計や都市計画により強い関心をもつ研究者が人間と環境との関係にどのようにアプローチしているのかを知ることが認知科学者にとっても有意義なことであると信じるためである
著者
福田 隼登 藤井 晴行
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.709, pp.559-567, 2015
被引用文献数
1

The objective of this study is to represent the characteristic of the experience of space, such as a building or a garden, by the graphical expression of the schema framing the space. Particularly, we pay attention to the relations between the space and the person who experience there. The extracted characteristic of the experience of space would be able to be applied to new space design. And, we should be able to understand and explain the experience of space by the schema. This paper proposes a method of schematizing the characteristic of the experience of space and the schemata that are extracted from the experiences of the cozy garden sequence by using this method.
著者
中島 秀之 諏訪 正樹 藤井 晴行
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.1508-1514, 2008-04-15

デザインとは,対象とするシステムにおける認識レベルの異なる層の間に縦の因果を作り出す行為であると定義する.因果関係というのは認知的関係であり物理的実体ではない.また,そこには機械論的なメカニズムは存在しない.そのような前提でイノベーションを考えると,生成・評価・方向性の絞り込みという3 つの行為のループが必要ということが分かる.これらのうち,特に方向性の絞り込みがイノベーションの核心部分である.これらの定式化を行い,進化論的方法論のみが有効であることを主張する.
著者
福田 隼登 藤井 晴行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.80, no.709, pp.559-567, 2015-03-30 (Released:2015-03-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The objective of this study is to represent the characteristic of the experience of space, such as a building or a garden, by the graphical expression of the schema framing the space. Particularly, we pay attention to the relations between the space and the person who experience there. The extracted characteristic of the experience of space would be able to be applied to new space design. And, we should be able to understand and explain the experience of space by the schema. This paper proposes a method of schematizing the characteristic of the experience of space and the schemata that are extracted from the experiences of the cozy garden sequence by using this method.
著者
藤井 晴行 古川 聖 諏訪 正樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

デザイン知の形成と適用のプロセスを創造的認知プロセスとして解明すること,デザイン研究の方法論を構築することを目的とし,デザインの内部観測と外部観測の融合によって,従来の科学では捉えられないデザイン知を浮き彫りすることを試みた.デザイン主体の会話記録やインタビュー記録を資料とし,概念空間の遷移を創造的認知プロセスの現れとして分析した.概念空間を提示して創造的認知のメタ認知を促進し,概念空間の遷移に現れる影響を考察した.避難行動を生存のためのデザインとみなし,避難行動の証言の構成的構造を抽出した.概念空間を表現する手法の構築,「一人称」的デザイン研究の方法論を構築した.
著者
藤井 晴行
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

デザインすることを可能にする知性をデザイン知とよぶ.本稿ではデザイン知に関して身体がもつ意味を構成的な思考実験と文献研究による考察をしながら語る.思考実験においてはデザインするロボットの実現可能性を題材にする予定である.人間の身体とは全く異なる構造のデザイン・ロボットが実現可能ならばデザイン知には身体性がないということになる.ヒューマノイドの身体が必要ならばデザイン知には身体性が不可欠である.
著者
小早川 真衣子 岡本 誠 原田 泰 藤井 晴行 須永 剛司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

次世代デザインとは、その対象を「モノ」から「コト」へ拡張した広義のデザインを意味する。本発表では、その方法と理論をカリキュラムとして構築することにより、イノベーションを起こす組織とそれを実践するデザイナーや研究者を育成することを目指すプロジェクト の活動を報告する。その活動は、次の2層の活動で構成される。1)「コトのデザイン」を学ぶ層、2)「コトのデザイン」の学び方を振り返り構想する層
著者
谷本 潤 藤井 晴行 片山 忠久 萩島 理
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.547, pp.255-262, 2001
被引用文献数
10 2

An ultimate objective of this study is not only to depict the reality of academic society, possibly embracing some sort of ambiguous degrade in its stable and established environment, but also to propose a certain strategy to avoid this, overcome this and build a better preferable future. First of all this study, in this report, a really challenging trial to build a human-academic society model dealing with the future prospect of its activity based on so-called Complexity Model, was done. Mathematical framework of the model was precisely described. And actual calculations of its artificial society were carried out on a particular Discrete Type Simulator. Results of simulations led to consider much interesting and marvelous facts.