著者
藤田 政博
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-43, 2020 (Released:2022-11-01)

本稿では、法と心理学会20周年記念シンポジウムで、裁判員制度に関する心理学的レビューの部分の報告をお届けする。最初にこの報告の目的として最近10年間の日本国内の心理学的裁判員制度研究をレビューすることと設定した。そして、文献検索の方法として CiNii、Google Books、目視その他を用いたことを報告した。重複を取り除き心理学的研究でないものを除いた結果193件が残り、それを6つのカテゴリーに分類した。6つのカテゴリーは(1)総論的論考、(2)裁判員の個人差変数、(3)裁判員の個人単位の判断、(4)法廷技術と法廷戦略、(5)評議、(6)判決文分析である。以上のカテゴリーのうち、本稿では字数の関係で(2)(3)(5)の紹介を行った。(2)についてはパーソナリティ、参加意欲、社会的態度、(3)については量刑判断、呈示情報との関係、目撃者、感情、報道、凄惨な証拠などが取り上げられた。(5)については、人数比、オーガナイザーの存在、素朴交渉と評議デザイン、コーパス言語学の応用研究などの研究が紹介された。
著者
藤本 亮 野口 裕之 藤田 政博 堀田 秀吾 小谷 順子 宮下 修一 吉川 真理 正木 祐史 和田 直人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

TOEFLやTOEICなどで用いられている等化という方法によって、異なった試験の成績を比較することができるようになる。こうした成績測定の分野はテスト理論として研究されている。本研究は、テスト理論の見地から、複数の法律学試験において等化を行い、その下でも成績測定が適切に行えるかを検証している。法律学試験は「資格試験」として実施されることが多いが、実質的には一回限りの競争試験となっている。この研究は、本来の意味での資格試験としての法律学試験の可能性を探る基礎研究である。
著者
白取 祐司 仲真 紀子 川崎 英明 今井 猛嘉 高倉 新喜 田中 康雄 松村 良之 藤田 政博 森直 久 城下 裕二 内藤 大海
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

刑事裁判において法心理学は、法専門家(実務法曹)と司法に関わる市民とりわけ裁判員の間のコミュニケーションの実証分析、刑事司法に対する実務家、市民の意識分析による制度見直しへのデータ提供など、様々なかたちで貢献しうることを、実験や調査等を通して明らかにしてきた。また、子どもに対する心理学的観点からの面接法の研究を進め研修など実践段階までいたったほか、外国調査により、刑事司法における心理鑑定の制度化の可能性と必要性を示すことができた。
著者
藤田 政博
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1950年代以降の権威主義的人格傾向に関する社会心理学的研究をフォローした上で、日本ではほとんど用いられていなかった1980年代の研究で作られた新尺度を日本語化するとともに、司法への参加に対する社会的態度との関連性を明らかにした。それと同時に、Big Five等の基本的人格傾向と権威主義的人格傾向の関連、架空のシナリオによる刑事裁判の判断や模擬評議中の行動との関連性を明らかにすることができた。もちろん、それぞれ数回の調査研究では言えることは限られているが、権威主義的人格傾向と司法への参加に関して新たな地平を切り開き、今後の検討において確かな礎を築くことができた。
著者
指宿 信 佐藤 達哉 渕野 貴生 堀田 秀吾 藤田 政博
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

取調べの録画におけるカメラ・アングルがもたらす偏見や、自白調書の三次元グラフィック・ツールによる表示、公判前報道が引き起こすバイアス、評議室における裁判員・裁判官の言語コミュニケーション等について、それらの適正化に向けた法学・心理学・言語学・情報工学等の技術や知見を組み合わせた"学融的"アプローチの有効性を検証できた。