著者
佐々木 均 西島 浩 小野 泱
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.87-90, 1988
被引用文献数
3

吸血源動物を知る目的で, 北海道に分布するSimulium属の主要種である, アシマダラブユとアカクラアシマダラブユの2種のblood-mealをELISAを用いて, 免疫学的に同定した。アシマダラブユでは抗ヒト, 抗ウシ, 抗ウマ, 抗ヒツジ, 抗エゾシカ血清に, アカクラアシマダラブユでは抗ヒト, 抗ウシ, 抗ウマ血清にそれぞれ陽性反応を示したが, 抗鳥類血清に陽性反応を示した個体はなかった。この2種のブユは趺節の爪が歯をもたないS型であることからほ乳類吸血性とみられていたが, 本報に示された結果からこのことが免疫学的にも確認された。
著者
佐々木 均 西島 浩 早川 博文 楠井 善久
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.81-83, 1988

Surveys on the fauna of tabanid flies in Okushiri Island, Hokkaido, Japan were carried out at 6 localities from June to August in 1986 using CO_2-lured mosquito-net traps. A total of 138 individuals belonging to 2 genera and 6 species were collected. Tabanus nipponicus was the most predominant species accounting for 49.3% (68 indiv.) followed by Chrysops suavis (37.7%, 52 indiv.). Individuals of other species collected were few in number. The largest number of species and individuals were collected in August (5 species, 104 indiv.), with fewer in June (2 species, 17 indiv.) and July (3 species, 17 indiv.). Chrysops japonicus was collected for the first time from Okushiri Island.
著者
仲口 勉 西島 浩
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.640-665, 1971-05-30

本文は1966年に行なわれたBombus schrencki (Hymenoptera : Apidae)の1群における外役蜂ポピュレーションの外役飛翔活動に伴う巣からの出入の観察記録をできるだけ量的に分析して得られた諸結果の報告である。1.外役蜂ポピュレーション密度は8月下旬には10個体前後であったが,その後しだいに増加し,9月中旬に45個体前後になってピークを示し,以後はしだいに減少した。2.活動開始時刻と終了時刻については,前者が非常に大きな個体変異を持っていたのに対し,後者のそれは小さかった。8月下旬〜9月初旬では開始時刻の早い遅いに関係なく,終了時刻がほぼ一定であるのに対し,9月中旬では同じく終了時刻の個体変更が小さいながらも開始時刻の早い遅いと終了時刻のそれとの間には逆相関的傾向が見られた。3.日の出時刻と最上位個体の活動開始時刻,および,日の入時刻と平均活動終了時刻の間には,正の相関関係が認められた。4.9月以降においては早朝の巣外気温の低下が外役飛翔活動を妨げた。その臨界点は林床付近においては10℃前後であった。5.活動開始時刻と日齢の関係については次の諸傾向が認められた。1)初認日の出現時刻は遅い。2)やがて順位が上がり,早いものでは数日後に上位を占めるようになる。3)その後しばらくの間(おそらく2週間前後),比較的安定した位置を保持する。4)さらに高齢になると再び順位が下がる。6.外役飛翔活動密度の日周消長は,群の飛翔活動が始まってから9時頃までは密度が比較的ゆるやかに増大し,その後ずっとほぼ一定の活動密度を維持するが,日の入時刻の1時間ぐらい前から急激に減少した。7.花粉採集活動の比率の日周消長は早朝はほとんど0で,7:00〜8:00から急激に上昇し,その後夕方まで高い値を維持した。8.単位外役飛翔時間の分布は採集タイプや観察日にかかわりなく,平均よりモードがかなり左にずれ,右すそが長く伸びた分布型を呈した。9.単位外役飛翔時間は季節の進行につれて,しだいに長くなった。10.単位外役飛翔時間の採集タイプによる差については,9月初旬までは花粉荷を持っていた場合のほうが長かったが,9月中旬には差はなかった。しかし,9月中旬でも風が強い気象条件の日には,花粉採集の能率が低下するため差が現われた。花粉荷を持ち込まない場合の飛翔時間には,このような気象条件の影響はなかった。11.1個体1日当りの平均外役飛翔回数は8月下旬の15回前後から,9月中旬の7回前後まで漸次減少した。12.1個体1日当りの平均外役従事時間は8月下旬から9月中旬まで,ほぼ昼間の時間の変化に平行して,500分から400分前後までのゆるやかな減少カーブを描いた。13.外役蜂の仕事への固執性はかなり強いことが示唆された。14.群全体としての花粉荷を持ち込まない外役の割合は,季節の進行につれて,20%前後から40%前後まで増大した。15.9月中旬に花粉採集能率を低下させた風の強い気象条件は採集タイプに対しては影響を与えなかった。16.外役蜂ポピュレーションにおける,P,PN,Nの組成は季節の進行につれて最初はPが圧倒的に多いが,しだいにPNおよびNの割合が増大した。17.単位巣内滞在時間の分布はモードが左端のほうにあり,右すそが長く伸びた型を呈した。18.単位巣内滞在時間は8月末にピークのある山型の季節的変化を示した。19.8月末を除き,花粉採集蜂のほうが長く滞在するという現象が原則的に認められた。20.働蜂により自巣の幼虫や蛹が巣外に捨てられる現象が数回観察された。
著者
西島 浩 小野 泱
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.505-511, 1963-07-10

北海道における吸血昆虫に関する研究の1部として,糠平におけるマダラヌカカ類の季節的消長について,1959〜1962年間ライト・トラップにより調査を行ない,次のことを知った。すなわち,1)同地において認めたヌカカは,Culicoides属の9種で,それらのうちC. crassipilosisおよびC. comosioculatusの2種は北海道新記録種である。2)これらのヌカカ群集の優占種はC. sinanoensisである。3)この種の夜間活動性は日没直後から約2時間後までが最も旺盛である。4)季節的消長曲線において単峰型を示す種は,C. kibunensis,C. aterinervisおよびC. dubiusであるが,前2種は8月上旬においてピークを示す。5)同曲線において双峰型を示す種は,C. sinanoensis, C. obsoletus, C. crassipilosisおよびC. pictimargoである。
著者
松本 英彦 小川 洋樹 豊山 博信 柳 正和 西島 浩雄 愛甲 孝
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.77-84, 2002-04-20

目的・方法.術前あるいは術後に病名を告知されている肺癌術後の患者・家族それぞれ67名を対象にアンケート調査を行った.結果.患者の4割が進行度に関係なく再発が不安と回答した.さらに患者にとっては生きがい・心のよりどころ・気がかりなのも家族であった.また患者の半数は告知を受けたショックから1週間以内に立ち直っており,患者・家族の8割以上が今回の患者への告知を肯定していた.一方,一般的な質問として早期癌患者に対する告知については患者・家族の8割以上が肯定していたが,進行癌患者に対してはともに6割以上が慎重であった.さらに患者は告知を希望するが家族が患者本人への告知を希望しない場合には半数以上が,患者も家族も告知を希望しない場合は7割以上が告知に対して慎重であった.結論.今後は,我々医療従事者は患者各々の心理状態や家族関係も念頭に置いた告知の方法を身につけておく必要があると考えられた.