著者
佐藤(大久保) 梢 高野 愛 高娃 安藤 秀二 川端 寛樹
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.3-14, 2019-03-25 (Released:2019-04-18)
参考文献数
130
被引用文献数
6 7

Tick and mites have many endogenous microorganisms, some of which are pathogen. Recently, emerging and re-emerging infectious diseases have been reported in Japan, and prevention and control of the disease have been taken. In this session, we would like to introduce the outline of tick-borne infectious diseases reported in Japan from the viewpoint of medical entomology.
著者
山内 健生 高野 愛 坂田 明子 馬場 俊一 奥島 雄一 川端 寛樹 安藤 秀二
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.15-21, 2010-05-25 (Released:2010-06-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 3

タカサゴキララマダニ人体刺症の5例を記録した.感染地域は,兵庫県,岡山県,山口県,福岡県,および宮崎県であった.本報告で,タカサゴキララマダニ人体刺症が岡山県で初めて記録された.マダニが保有する可能性がある病原体についてDNA検索を行なったが,ボレリア,エーリキア,アナプラズマ,リケッチアのすべてが検出限界以下であった.
著者
山内 健生 小原 真弓 渡辺 護 安藤 秀二 石倉 康宏 品川 保弘 長谷川 澄代 中村 一哉 岩井 雅恵 倉田 毅 滝澤 剛則
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-31, 2009
被引用文献数
1

1991-2007年に富山県においてフランネルによるマダニ採集を行い,3,562個体のマダニ類を採集した.これらのマダニ類は次の2属9種に分類された:キチマダニHaemaphysalis flava,ヤマトチマダニH.japonica,ヒゲナガチマダニH.kitaokai,フタトゲチマダニH.longicornis,オオトゲチマダニH.megaspinosa,ヒトツトゲマダニIxodes monospinosus,タネガタマダニI.nipponensis,ヤマトマダニI.ovatus,シュルツェマダニI.persulcatus.ヤマトマダニは標高401m以上の地域における最優占種で,それより低い標高域においても少なからぬ密度で分布することが示された.キチマダニは標高400m以下の地域における最優占種であった.ヒゲナガチマダニ,オオトゲチマダニ,およびヒトツトゲマダニを富山県から初めて記録した.ヒトツトゲマダニからRickettsia helveticaの近縁リケッチアが検出され,富山県における紅斑熱患者発生の可能性が示された.
著者
島田 瑞穂 土井 寛大 川端 寛樹 山内 健生 安藤 秀二 小林 由美江 廣瀬 芳江 周藤 史憲 藤原 由佳子 齊藤 美穂 菊池 広子 小松本 悟 室久 俊光 島野 智之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.53-56, 2023-06-25 (Released:2023-06-30)
参考文献数
18

During the 3-year period (2020–2022), 49 cases of tick bites were presented to the Japanese Red Cross Ashikaga Hospital in Tochigi Prefecture, Japan. More than 60% of all tick bites between March and September occurred within two months (May and June). Amblyomma testudinarium was responsible for 40 cases among all the tick bite cases. Specifically, 41 individuals of this species (39 nymphs/2 adult females) were linked (The point estimate was 0.79 with a 95% confidence interval of 0.67–1.00). There were 38 cases of tick bites in Ashikaga City, and 23 of which occurred in the vicinity of the patients’ houses (gardens and fields). Suspected cases of Tick-associated rash illness (TARI) were first recorded in the Japanese Red Cross Ashikaga Hospital in May 2020, in a total of five cases ( i.e., the patients were aged 50 years or older). TARI is indicative of repeated tick bites, which points to the permanent settlement of the A. testudinarium in and around Ashikaga City. Therefore, we believe that greater efforts should be implemented towards the detection of tick-associated infections in this area, including Severe fever with thrombocytopenia syndrome virus for which A. testudinarium is considered as a major vector.
著者
高田 伸弘 藤田 博己 安藤 秀二 川端 寛樹 矢野 泰弘 高野 愛 岸本 壽男
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集 第61回日本衛生動物学会大会
巻号頁・発行日
pp.22, 2009 (Released:2009-06-19)

昨2008年7月に, 仙台市内東半部を貫流する小河川の梅田川堤防で散歩を日課とした住民が紅斑熱を発症, 特異的検査で北アジア共通Rickettsia heilongjiangensis(Rhj)の感染が強く示唆されたため, 同地区のネズミ相やマダニ相など感染環の調査を行った.同年9, 12月および本年1月の現地踏査では, まず, 梅田川中流堤防ではドブネズミおよびハタネズミの2種しか得られなかったが, ドブネズミそして植生から得られた北方系チマダニ種からRhjが高率に証明され, 同時にドブネズミ1頭の肺からは好酸球性髄膜脳炎起因性の幼虫移行症として注目される広東住血線虫Angiostrongylus cantonensis(Ac)の生虫体が見出された.梅田川がじきに七北田川に注ぐ地点の堤防では何故かネズミは捕れなかったが, 続く下流の仙台港近い河川敷ではようやくアカネズミが見出され, 一部は紅斑熱抗体を保有, またフトゲツツガムシの寄生もみた.以上から本地区のネズミ相の特性として, 梅田川周辺は市街化まもなくて郊外要素も残るに関わらず全国的普通種アカネズミが不在または超希薄という近年では稀な環境であるらしいこと, しかしそこではハタネズミと共存するドブネズミがAc(おそらく東京圏と北海道の間の東北地方では初記録)の感染環を維持し, 同時にRhj媒介チマダニ幼若期の吸血源にもなっているらしいことが挙げられる.とは言え, 重要な病原体の感染環が, 概ね密度は高くないネズミ相の中で如何に維持されているものか, 詳細な調査によって検証する必要があり, 2~3月には市内を貫流する広瀬川や名取川地区でも比較調査を予定しているので, 結果を合わせ報告する. 本調査は2008年度厚労科研(略題:リケッチア症の実態調査と警鐘システム構築)によった.<研究協力者:岩崎恵美子(仙台市副市長), 広島紀以子ほか(同市衛研)の各位>
著者
飯島 義雄 秋吉 京子 田中 忍 貫名 正文 伊藤 正寛 春田 恒和 井上 明 安藤 秀二 岸本 寿男
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.83, no.5, pp.500-505, 2009-09-20 (Released:2016-08-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

2005 年12 月,神戸市内において鳥類展示施設の従業員の間でオウム病が発生した.従業員は,オウム病等の人獣共通感染症に関する研修等を受けておらず,鳥の糞の始末等を行う場合にも,マスク,手袋,作業着等の使用は限られていた.67 名の従業員のうち,4 名が肺炎を呈しており,2 名がオウム病肺炎と確定診断された.それ以外に19 名が発熱や咳などの症状を訴えたが,オウム病とは診断されなかった. オウム病発生時,約970 羽が検疫もされず,個体識別もされず飼育されていた.餌や水に混ぜてのドキシサイクリン投与に効果がなかったため,全鳥の個体識別とPCR にてクラミジアの検査を実施した.比較的大量のクラミジアを排出していたトリに,ヒムネオオハシ1 羽,オシドリ1 羽,マガモ3 羽がいた.また,死亡したオキナインコ1 羽の臓器からも大量のクラミジアが検出された. 肺炎患者1 名の気管支肺胞洗浄液がPCR でクラミジア陽性であったことより,主要外膜タンパク質(major outer membrane protein : MOMP)の塩基配列を決定した.上記のトリ由来のMOMP の配列と比較したところ,ヒムネオオハシから検出したMOMP の塩基配列が,患者のそれと完全に一致した.それ以外のトリ由来のものは,1~5 塩基異なっていた.ヒムネオオハシは,閉鎖的な部屋に放たれており,作業中にその排泄物を吸い込んで感染したものと推察された. 今回のオウム病集団発生を通じて,①オウム病など人獣共通感染症に対する知識と感染対策の必要性,②迅速診断の難しさ,③血清診断の難しさ(PCR でオウム病が確認できても,抗体価の上昇が起こらない症例の存在),④糞からのクラミジア検出の難しさ(PCR 阻害物質の残存)を経験した.また,パルスフィールド電気泳動等が確立されていないクラミジアにおいては,MOMP の塩基配列の解析が菌株を比較する方法として有用と考えられた.
著者
早川 巌 今井 基泰 高山 義明 辻 喜之 守沢 正幸 安藤 秀二 米田 豊
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.19-25, 1984-02-01

上顎全部床義歯の装着間と維持安定とは相反する要素も含まれており, 両方を満足させるような義歯を製作することはなかなか困難である. 当教室でも上顎義歯口蓋部を薄床化する試みはいくつか行ってきた. 今回は, 圧印金属床義歯の製作法を改良することで装着感を向上させようと試みた. その結果, 近年実用化された接着性レジンの導入, それに伴う床材料としてのステンレス鋼の再選択, 圧印形成法の改良などにより, 義歯の維持安定を低下させることなく装着感を向上させ, しかもその製作過程を簡素化させるシステムを開発し, 実用化することができた.
著者
成田 雅 鵜沼 菜穂子 伊藤 文人 佐藤 憲行 星野 智祥 井上 実 山本 正悟 安藤 秀二 藤田 博己
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.164-167, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
4
被引用文献数
1 2

タテツツガムシによるつつが虫病の臨床像は多彩で見逃されることが多い.病歴(好発時期と好発地域,野外活動歴),バイタルサインと身体所見(発熱,比較的徐脈,発疹,刺し口)から積極的に疑い,疑わしければ直ちにテトラサイクリン系抗菌薬にて治療を開始すべきである.血清学的にはKawasaki型あるいはKuroki型のOrietia tsutsugamushi抗原に対する抗体価の上昇が特異的であるが,これらは一般的な外注検査での抗体価測定には含まれないことに注意する.痂皮の遺伝子学的検査も特異性が高く有用である.
著者
佐藤 寛子 柴田 ちひろ 秋野 和華子 斎藤 博之 齊藤 志保子 門馬 直太 東海林 彰 高橋 守 藤田 博己 角坂 照貴 高田 伸弘 川端 寛樹 安藤 秀二
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.167-175, 2016-09-25 (Released:2017-06-05)
参考文献数
29

In Akita Prefecture, patients with Kato type of tsutsugamushi disease (Sucrub typhus) transmitted by Leptotrombidium akamushi were identified in August 2008 for the first time in 15 years, and in 2010 as well. We conducted surveys of the habitat of L. akamushi using Suzuki’s Method (MITORI-HO) between 2011 and 2014 in 74 areas of riverbed in which the disease was prevalent, including the upstream, midstream, and tributary areas of the Omono River. Habitats of L. akamushi were identified in 40 areas in three cities and one town, and the total distance along Omono River was approximately 10 km shorter than that reported by a survey conducted in 1964. Some of those areas were inhabited by L. akamushi gradually after river improvement work and the disease temporarily became prevalent there, although no patient had been identified in these areas prior to the construction. L. akamushi was only collected from sand, sandbanks, and other areas in the vicinity of the river, which can easily be flooded when the water level rises. No extensive research has been conducted on the re-emergence of tsutsugamushi disease transmitted by L. akamushi. It is necessary to continue to provide people with information and increase their awareness.