- 著者
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木村 優
後藤 千晴
谷 桃子
- 出版者
- 公益社団法人日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.10, pp.529-534, 1989-10-05
- 被引用文献数
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水中のモリブデン(VI)イオンについて活性炭の粒子表面での吸着特性を調べ,微量モリブデンの分離濃縮及び定量法について報告する.Mo(VI)を含む溶液200mlに活性炭50mgを添加して30分間かき混ぜてから〓過する.〓液中のモリブデン濃度をAAS装置を用いて測定した.モリブデン(VI)pPH3.3〜4.0において90%以上の吸着率を示した.この実験条件で吸着等温曲線を描き,Langmuirプロットをした.得られた最大吸着量は59mg g^<-1>であった.最大吸着量は,溶液にEDTAを加えると約8分の1に減じた.そのほか,シュウ酸ナトリウム,硫酸ナトリウム,塩化カリウム,塩化マグネシウム,塩化カルシウム,硝酸亜鉛などの共存する溶液中のMo(VI)イオンの活性炭への吸着率を求めた.これらいずれの塩類も共存量が増すに伴って吸着率は低下した.特に硝酸亜鉛の共存によってMo(VI)の吸着率は著しく低下したが,8-キノリノールの添加によって吸着率は90%以上に回復した.いったんMo(VI)を吸着させてから活性炭を取り出し,0.1M NaOHを加えるとMoは容易に脱離した.従って,水中のMo(VI)の分離濃縮を簡単に行うことができる.200mlの試料溶液中のMo(VI)を活性炭50mgに吸着し,分離及び脱離操作を経て最終的に1mlに濃縮した場合における試料中のMoのAASによる検出限界濃度は0.0011ng ml^<-1>の超微量である.本法を用いて,水道水,河川水及び海水中のモリブデンの分離濃縮及び定量を行った.その結果,水道水,河川水及び海水についてそれぞれ20回の操作(n=20)の平均値は,0.37(R.S.D.=14%),0.23(17%)及び7.9(8%)ng ml^<-1>であった.