著者
河原 秀俊 森澤 豊 勝沼 俊雄 大矢 幸弘 斎藤 博久 赤澤 晃
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.559-564, 2002-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7

卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種の安全性について検討を行った.Sandwich ELISA法にて今回使用したワクチン中卵白蛋白(OVA)濃度測定を行い,2〜8ng/mlと微量であった.ハイリスク患児(卵白CAP-RASTクラス4以上または卵摂取により何らかの即時型反応の既往のある)36名(44.1±5.0カ月)に対しインフルエンザワクチン接種を行い,副反応として1患児で局所発赤を認めたが,即時型全身副反応をきたした患児は認められなかった.また卵白CAP-RAST陽性群(104患児)と陰性群(98患児)における即時型副反応の頻度は,局所反応が卵白CAP-RAST陽性群で0.5%,陰性群で2.2%であり,有意差は認められなかった.以上より,卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種は,多くの有症状患児に対しても可能と思われる.
著者
浜田 純一郎 高瀬 勝巳 藤井 康成 乾 浩明 小林 勉 後藤 昌史 塩崎 浩之 畑 幸彦 田中 栄 林田 賢治 森澤 豊 森原 徹 山本 宣幸
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.122-126, 2021 (Released:2021-08-30)
参考文献数
9

凍結肩について,AAOSの定義と分類やISAKOSの提言があり混乱がある.そこで会員に対し凍結肩のアンケート調査をおこなった.その結果,AAOSの一次性凍結肩の定義,一次性・二次性凍結肩の分類に同意する会員はそれぞれ63%,53%であった.原因不明の拘縮肩の診断名は凍結肩31%,拘縮肩22%,肩関節周囲炎16%,五十肩16%と多くの病名が使われていた.調査結果から凍結肩と拘縮肩の定義の曖昧さとAAOSの定義や分類への同意率が低いことがわかった.英語論文100編を調査するとadhesive capsulitisが45%,frozen shoulderが41%であり欧米ではこの2病名を主に使っていた.拘縮肩と凍結肩の定義を明確化するため学術委員会では,可動域制限があれば拘縮肩とし,そのうち原因不明な拘縮肩のみを凍結肩,原因の明らかな拘縮肩を二次性拘縮肩とするISAKOSの提言を採用した.
著者
泉 仁 森澤 豊 村松 由崇 岩堀 裕介
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.399-403, 2018 (Released:2018-09-03)
参考文献数
14

上腕二頭筋長頭腱(以下長頭腱)は肩の疼痛源の一つであるが,長頭腱の痛みが肩肘の運動機能に及ぼす影響については不明な点が多い.本研究の目的は,長頭腱由来の痛みが肩外転・肘屈曲筋力に及ぼす影響を明らかにすることである.健常成人男性14人を対象とし,1mEq/mlの高張食塩水0.4mlを結節間溝内の長頭腱に注射して一時的な疼痛状態を作った.注射前後で肩外転・肘屈曲の等尺性最大収縮筋力を比較した.注射後の痛みVASの最大値は6.6[4.3-7.2]cm(中央値[四分位範囲])であった.肩外転筋力は注射前の71±5 %に,肘屈曲筋力は69±4 %に有意に低下した.構造的,生体力学的異常がないにもかかわらず,長頭腱由来の痛みは肩外転・肘屈曲筋力を約30%低下させた.本研究は長頭腱の痛みが肩肘の運動機能に及ぼす影響の重要性および痛みのために腱切除術や固定術を行うことの妥当性,有効性を示唆している.
著者
森澤 豊 野口 政隆 川上 照彦 山本 博司 貞廣 哲郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.267-269, 1998-06-25 (Released:2012-11-20)
参考文献数
3
被引用文献数
1

We studied the mechanism of musculocutaneous neuropathy associated with the Boytchev procedure in cadavers.(Materials and methods)The subjects we re 21 adult cadavers (42 shoulders) for anatomical study. The distance from the anterior end of the coracoid process to the site of the entry of the musculocutaneous nerve trunk into the coracobrachialis muscle was determined as A, the distance to the insertion of the short head of the biceps among the nerve branches as B, and the distance to the coracobrachialis insertion site as C. Then, the coracoid process (served to measure the insertion of the short head of the biceps and that of the coracobrachialis) was returned to its original position beneath the full-thickness of the subscapularis muscle by the original Boytchev method, and the distance from the anterior end of the coracoid process to the lower margin of the subscapularis was determined as D.(Results)A was 47.5±13.2mm, B was 30.1±6.2mm, C was 33.9±7.5mm and D was 33.3±5.3mm. A was below D, i. e., the entry site of the musculocutaneous nerve trunk was above the lower margin of the subscapularis muscle, and entrapment of the musculocutaneous nerve trunk by the subscapularis muscle was present in nine shoulders (21.4%).(Discussion)In patients where the site of the entry of the musculocutaneous nerve trunk into the coracobrachialis muscle is at a higer position than the lower margin of the subscapularis, it appears necessary to take technical precautions such as passing the severed coracoid process through the lower one third of the belly of the subscapularis.
著者
大石 拓 森澤 豊 安枝 浩 秋山 一男 脇口 宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1163-1167, 2004-11-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

症例は11歳女児と10歳男児の姉弟である. それぞれ1999年5月と10月に気管支喘息を発症した. 劣悪な家族環境と発症年齢が高いことから心因性の喘息発作が疑われていた. 母親も2001年から喘息発作が出現した. 詳細な病歴聴取の結果, 室内清掃がなされておらず, ゴキブリが多数生息していることが判明した. CAP-RASTでは3例ともゴキブリが陽性反応を示したことから, ゴキブリが主要アレルゲンの気管支喘息と考えられた. 本邦では喘息も含めたゴキブリアレルギーはあまり認知されていない. 本邦においても喘息のアレルゲンとしてゴキブリの存在を念頭におくべきであると考えられた. 1964年にBerntonらが最初にゴキブリアレルギーを報告して以来, 海外では多数の基礎, 臨床研究が報告され, アメリカの都市部で救急外来を受診する喘息児の多くはゴキブリが主要アレルゲンであることが報告されている. しかしながら, 本邦ではゴキブリアレルギーの認知度は低い. 今回, 心因性喘息と考えられていたがゴキブリが主要アレルゲンと考えられた気管支喘息姉弟例を経験したので報告する.
著者
森澤 豊 川上 照彦 山本 博司 貞広 哲郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.117-121, 1996-10-15 (Released:2012-11-20)
参考文献数
6

The pathogenesis of a rotator cuff lesion of the shoulder is still controversial.The authors investigated the mechanoreceptors in the rotator cuff, the subacromial bursa and the coracoacromial ligament in order to clarify the proprioception of the shoulderjoint.
著者
宮﨑 和 島岡 秀奉 山﨑 香織 西本 愛 森澤 豊
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab1328, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 肩関節の運動療法において,腱板機能不全の改善を目的とした運動課題や肩の主動作筋などの運動課題に関する知見は多く,臨床的にもこれらの筋の機能改善が重要視されている.しかし,肩関節疾患の患者に認められる肩関節運動変容として,いわゆる「肩の代償運動」でリーチ運動や挙上を行っている場合が多く,肩関節の機能的特性を考えると単一の筋群もしくは運動方向に対するトレーニングでは,挙上能力の改善に難渋する例もしばしば経験する.また腱板断裂術後患者では自動運動が許されるまでの間に修復腱板以外の健常な肩関節筋群が運動様式の変化とともに廃用に陥ることが予測され,その後の肩関節挙上,リーチ運動などの回復に長期間を要する.そこで今回われわれは,肩関節周囲筋の中でも体表にあり比較的表面筋電図の測定が容易な僧帽筋群に着目し,ADLおよびAPDLを考慮し立位における肩関節屈曲および外転運動における僧帽筋活動を健常者で検討したので報告する.【方法】 対象は健常男性7名(両肩14肢,平均年齢22.4±1.8歳)とし,被検筋は左右の肩関節の僧帽筋上部・中部・下部線維とした.測定は,両上肢を下垂し後頭隆起および臀部を壁に接触させた立位を開始肢位とし,運動課題は両側肩関節屈曲および外転位を30°,60°,90°の合計6パターンで各5秒間保持させ,各運動とも3回施行した.各運動課題中の筋活動は,NeuropackS1(日本光電製)にて導出し,得られた5秒間のEMG値のうち安定した3秒間の積分値を算出し,左右3回試行分の平均EMG積分値を個人のデータとした.統計学的処理として,屈曲および外転運動とも各筋の30°での平均EMG積分値を100%とし,平均EMG積分値の規格化を行った上で,7名(14肩)の各僧帽筋の線維毎に各運動課題における筋活動の相対的な変化を一元配置の分散分析にて比較した.【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には事前に本研究の目的・方法と研究参加に関するリスクと個人情報の管理に関する被検者説明書を作成し十分な説明を行った上で,紙面にて同意を得た.【結果】 各筋の屈曲および外転30°での平均EMG積分値を100%とした場合,肩関節屈曲動作において,角度60°では僧帽筋上部線維は157%,中部線維111%,下部線維163%となり,90°では僧帽筋上部線維350%,中部線維114%,下部線維190%となり,僧帽筋上部および下部線維に屈曲角度の増加に伴う筋活動の増大がみられた(P<0.01).一方,肩関節外転運動においては,角度60°で僧帽筋上部線維239%,中部線維164%,下部線維96%となり,90°では僧帽筋上部線維568%,中部線維245%,下部線維117%となった.外転角度の増加ともない僧帽筋全線維に筋活動の増大がみられ,特に僧帽筋上部および中部線維にその変化が顕著であった(P<0.01).【考察】 肩関節屈曲運動では,肩甲上腕関節の動きに伴い肩甲骨は上方回旋する.肩甲骨の上方回旋は前鋸筋と僧帽筋上部・下部線維の共同した活動により出現する.過去の報告では,僧帽筋下部線維は起始を肩甲棘内側縁に持つため肩甲骨上方回旋の支点となる.また肩甲上腕関節を屈曲保持した場合,肩甲骨に前傾方向へのモーメントが発生し,この前傾モーメントを制動するのが僧帽筋下部線維であるとされる.本研究でも肩関節屈曲時に僧帽筋上部・下部線維の筋活動が増加しており,これら僧帽筋群の協調した筋活動により肩甲骨上方回旋が起こっていることが示唆され,立位時の肩関節屈曲時においても,僧帽筋下部線維が肩甲帯の安定性に機能すると推察された.一方,肩関節外転運動では肩甲骨に下方回旋モーメントが発生し,これを制御するために鎖骨外側・肩峰・肩甲棘上縁に付着する僧帽筋上部・中部線維が活動するとされ,本研究においても,肩関節外転時に僧帽筋上部・中部線維の筋活動が増加しており,立位時においてもこれらの僧帽筋群が協調して肩甲骨を内転方向に固定し,肩甲帯の安定性に機能することが推察された.【理学療法学研究としての意義】 本研究は,立位でのリーチ運動や空間保持における肩関節周囲筋の活動様式を確認する上で,重要な筋電図学的分析であると考える.また肩関節疾患患者の挙上運動における,いわゆる「肩の代償運動」の要因を検討する際に必要な知見であると考えられ,より効果的な理学療法プログラムの立案のために必要性の高い研究であると考える.
著者
大石 拓 森澤 豊 安枝 浩 秋山 一男 脇口 宏
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1163-1167, 2004
被引用文献数
2

症例は11歳女児と10歳男児の姉弟である. それぞれ1999年5月と10月に気管支喘息を発症した. 劣悪な家族環境と発症年齢が高いことから心因性の喘息発作が疑われていた. 母親も2001年から喘息発作が出現した. 詳細な病歴聴取の結果, 室内清掃がなされておらず, ゴキブリが多数生息していることが判明した. CAP-RASTでは3例ともゴキブリが陽性反応を示したことから, ゴキブリが主要アレルゲンの気管支喘息と考えられた. 本邦では喘息も含めたゴキブリアレルギーはあまり認知されていない. 本邦においても喘息のアレルゲンとしてゴキブリの存在を念頭におくべきであると考えられた. 1964年にBerntonらが最初にゴキブリアレルギーを報告して以来, 海外では多数の基礎, 臨床研究が報告され, アメリカの都市部で救急外来を受診する喘息児の多くはゴキブリが主要アレルゲンであることが報告されている. しかしながら, 本邦ではゴキブリアレルギーの認知度は低い. 今回, 心因性喘息と考えられていたがゴキブリが主要アレルゲンと考えられた気管支喘息姉弟例を経験したので報告する.
著者
藤井 良知 阿部 敏明 田島 剛 寺嶋 周 目黒 英典 森 淳夫 佐藤 肇 新納 憲司 砂川 慶介 横田 隆夫 秋田 博伸 岩田 敏 佐藤 吉壮 豊永 義清 石原 俊秀 佐野 友昭 中村 弘典 岩井 直一 中村 はるひ 宮津 光伸 渡辺 祐美 久野 邦義 神谷 齊 北村 賢司 庵原 俊昭 桜井 實 東 英一 伊藤 正寛 三河 春樹 久保田 優 百井 亨 細井 進 中戸 秀和 西村 忠史 杉田 久美子 青木 繁幸 高木 道生 小林 陽之助 東野 博彦 木野 稔 小林 裕 春田 恒和 黒木 茂一 大倉 完悦 岡田 隆滋 古川 正強 黒田 泰弘 武田 英二 伊藤 道徳 松田 博 石川 純一 貴田 嘉一 村瀬 光春 倉繁 隆信 森田 秀雄 森澤 豊 浜田 文彦 辻 芳郎 横尾 哲也 林 克敏 冨増 邦夫 木戸 利彦 上原 豊 森 淳子 森 剛一 内田 哲也 大塚 祐一 本廣 孝 半田 祥一 山田 秀二 沖 眞一郎 吉永 陽一郎 荒巻 雅史 織田 慶子 阪田 保隆 加藤 裕久 山下 文雄 今井 昌一 鈴木 和重 岡林 小由理 金子 真也 市川 光太郎 曽田 浩子 清水 透子 長田 陽一 木葉 万里江 石橋 紳作 高橋 耕一 杉山 安見児 三宅 巧 荒木 久昭 垣迫 三夫 前野 泰樹 下飛田 毅 高岸 智也 松隈 義則 平田 知滋 田中 信夫 永山 清高 安岡 盟 林 真夫 天本 正乃 津村 直幹 小野 栄一郎 神薗 慎太郎 中嶋 英輔 永光 信一郎 野正 貴予 松尾 勇作 樋口 恵美 長井 健祐 末吉 圭子 橋本 信男 弓削 健 久保田 薫 川上 晃 渡辺 順子 藤澤 卓爾 西山 亨 岩永 理香子 牛島 高介 山川 良一 山村 純一 富永 薫 臺 俊一 安藤 寛 久田 直樹 藤本 保 元山 浩貴 丸岡 隆之 伊達 是志 杉村 徹 西依 淳 朝木野 由紀 山田 克彦 是松 聖悟 早川 広史 佐々木 宏和 木村 光一 山田 孝
雑誌
The Japanese journal of antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.921-941, 1995-07-01
被引用文献数
19