著者
越後 宏紀 呉 健朗 新井 貴紘 富永 詩音 小林 稔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.86-95, 2023-01-15

CG技術の発達により,配信者は顔出しをせずに2D CGまたは3D CGのアバタを利用して配信を行うことが可能となっている.アバタを利用した配信者,すなわちVTuberはCG技術の発達とともに活動の幅が広がっており,顔を出して配信しているYouTuberと遜色がなくなってきている.動画配信サイトでは様々な動画カテゴリが存在するが,動画カテゴリ別によるYouTuberとVTuberの配信スタイルに対する視聴者の印象の違いについてはこれまでほとんど調査されてきていない.そこで本論文では,実写の顔出しの動画と2D CGアバタ,3D CGアバタを利用した動画を用意し,視聴者の印象の違いを調査した.比較実験を行い,動画カテゴリによって配信スタイルに対する視聴者の印象が異なることを確認した.
著者
越後 宏紀 小林 稔 五十嵐 悠紀
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.2-10, 2022-01-15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により,国内会議および国際会議においてオンラインによる学会発表が急増している.オンラインによる学会発表が定着したことで,感染症の感染が収束した後も,オンラインによる学会発表は1つの選択肢として残っていくと考える.オンラインによる学会発表の課題として,身振り手振りや目線,表情といったノンバーバル情報が伝わりにくいことがあげられる.本論文では,発表者の腰から上を投影した発表手法と2D CGのアバタを用いた発表手法を提案し,発表者のノンバーバル情報の有無が,聴講者にとってどれほど影響があるのかを調査した.比較実験を行い,発表者の腰から上を投影した発表手法が聴講者にとって印象が良い発表手法であることを確認した.
著者
越後 宏紀 呉 健朗 新井 貴紘
雑誌
グループウェアとネットワークサービスワークショップ2021(GN Workshop 2021) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.17-24, 2021-11-12

YouTube をはじめとした動画共有サイトでは様々なカテゴリがある.また,CG 技術の発達により,配信者は顔出しをせずに 2D CG または 3D CG のアバタを利用して配信を行うことが可能となっている.アバタを利用した配信者,すなわち VTuber は CG 技術の発達とともに活動の幅が広がっており,顔を出して配信している YouTuber と遜色がなくなってきている.配信者はアバタを利用するかどうかを自由に選択することができる一方で,動画カテゴリ別においてアバタを用いた配信が視聴者にとって印象が良いのかどうかについてはこれまでほとんど調査されてきていない.そこで本論文では,アバタを利用した動画と利用していない顔出しの動画を用意し,視聴者にとってどれほど影響があるのかを調査した.比較実験を行い,動画カテゴリによってアバタを利用しないほうが視聴者にとって印象が良いものもあれば,特に印象に差が無いものもあることを確認した.
著者
阿部 花南 築舘 多藍 桑宮 陽 横山 幸大 越後 宏紀 小林 稔
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.1547-1557, 2022-09-15

会議やグループワーク等複数人で行われる議論の場において,沈黙が生じることで会議が円滑に進まず,有意義な議論を行うことができないという問題が起こることがある.この原因の1つとして,会議参加者の気持ちが参加者間で共有されず,議論を深めるべきなのか,次の話題に進めるべきか,の判断が困難であることがあると考える.この問題を解決するために本研究では,意思決定型会議を対象に,会議進行に影響する意思を「気持ち」と定義し,賛同します・反対します・意見あります,の3つの気持ちの可視化を支援するボタンを参加者に使用させることで,会議進行を円滑にする方法について検討した.提案システムを用いた評価実験の結果,参加者の主観評価において「活発に議論ができたこと」と「参加者間で意思の疎通が取れていること」の2つの観点で,システムの使用条件と不使用条件の間に有意差が認められた.本論文では,評価実験の結果を報告し,可視化すべき気持ちの種類やユーザインタフェース,議論に与えた影響について議論する.
著者
郭 軍 孫 寧 根元 義章 木村 正行 越後 宏 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.835-842, 1993-04-25
被引用文献数
12

手書き文字認識の高精度化を妨げている大きな障害の一つに,筆記者それぞれの書き方による文字パターンの不規則な変形が挙げられる.手書き文字の個人差の影響を軽減するために,特徴量抽出やマッチング時にパターンをぼかす手法が提案されている.しかし,これらの手法は文字の変形が大きい場合,有効な手法となり得ず,限界があることは一般的に知られている.本論文では,手書き文字の個人差による変形を矯正し,高精度に認識する新しい手法として余弦整形変換を利用した手書き文字認識アルゴリズムを提案する.提案する余弦整形変換は,入力パターンに対し,余弦関数の部分的な非線形特徴を利用することによって,文字が上下左右のどちらかに偏っている場合に整形する機能と,最も情報量が集中している文字の中心部分を拡張する機能をもっている.提案アルゴリズムの有効性を検証するために,ETL9Bを用いて認識実験を行った.実験では,100次元程度の低次元特徴量を用い,約60万字について認識実験を行った.その結果,学習データセット(奇数セット)では93.24%,未学習データセット(偶数セット)では91.63%,平均で92.44%と高い認識率が得られた.余弦整形変換を使用しない場合に比べ,平均して5%以上認識率が高くなっていることおよび品質の悪いデータセットほど認識率の上昇度が大きいことから,提案する余弦整形変換は手書き文字認識において極めて有効であることがわかった.
著者
越後 宏紀 阿部 花南 武井 秀憲 五十嵐 悠紀 小林 稔
雑誌
ワークショップ2022 (GN Workshop 2022) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.44-51, 2022-11-17

我々は,聴講者からのチャットによるリアクションをリアルタイムに反映できるシステム「ChaChat-Button」を開発している.学会発表で実践した結果,発表者側が聴講者の反応をリアルタイムで知りながら発表することができ,かつ聴講者側もコメントや反応することへの抵抗感を和らげたことが示唆されている.本稿では,学会発表で得られた知見をもとにシステムを改良し,約 4 ヶ月間ゼミで利用した結果を報告する.長期間の利用をおこなったことで,よく押される/押されないボタンの種類やボタンを押すタイミングの傾向がわかった.また,回を追うごとにボタンの押される総数が減少した一方で,テキストによる入力が増加していることがわかった.
著者
越後 宏紀 小林 稔
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.90-99, 2021-01-15

高齢者の独り身世帯や単身赴任,一人暮らしの学生など家族が離れ離れに暮らすことが増えている.日々の生活が家族内で共有できないことで,生活のずれによる孤独感や不安,心配をかかえてしまう.この問題を解決するために,我々は,足音を用いて離れて生活する家族があたかも近くで生活しているような感覚を得られるシステムの実現を目指している.本論文では,マイクロホンで録音した足音を単純に再生する方法ではアウェアネスを適切に伝達できない場合があるという問題を解決するために,足踏みの音源を位置計測で得られたユーザの位置情報によって変換して再生することで足音の移動を表現する手法を提案した.比較実験を行い,提案手法が適切な足音の移動を伝達することに対して有効であることを確認したとともに,位置計測のデータから自動で表現できることを確認した.
著者
高畑 文雄 小野里 好邦 嶋本 薫 初田 健 三橋 龍一 青木 由直 棚橋 真 村井 純 佐藤 亨 木村 磐根 藤崎 清孝 大迫 陽二 立居場 光生 都築 伸二 田崎 三郎 岡 育生 藤原 値賀人 越後 宏 康 健 大沼 孝一 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.435-456, 1997-05-25
被引用文献数
28

衛星の高機能化,無線周波数帯Kuバンドの使用,地球局設備の小型化・低廉化,電気通信事業法の改正に伴う民間企業の衛星通信ビジネスの参入などによって, 衛星通信に関する大学独自の実験・研究が可能になったことをふまえ, 大学を中心とした多数の教育機関と電気通信事業者からなる組織化された研究・実験機関である「ディジタル衛星通信の大学間高度共同利用研究協議会」を設立した. 本報告では, 上記協議会について概説した後, 協議会のもとで衛星を介して実施されている主要な実験・研究として, マルチメディア衛星通信, 北海道統合通信網, 知的通信による手話画像伝送, インターネットアーキテクチャにおける衛星通信の利用などを取り上げて, その内容を紹介する.
著者
越後 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.138, pp.53-58, 2011-07-08
参考文献数
9

東日本大地震の起きた2011年3月11日から1ヶ月後の4月12日早朝に、佐藤利三郎先生(東北大学名誉教授・東北学院大学名誉教授)が逝去されました。9月には満90歳を迎えるところでした。心より哀悼の意を表します。先生は、環境電磁工学研究専門委員会を創設された方で、個人的にも、長く御指導いただきました。懸案の放射メカニズムについて直前までご検討されておられたと伺っております。残念でなりませんが、ご教示いただいたことを思い起こしつつ、先生のご遺志を確かめ、ご冥福をお祈り致したく、筆を取らせていただきました。