著者
稲月 正 谷 富夫 西村 雄郎 近藤 敏夫 西田 芳正 山本 かほり 野入 直美 二階堂 裕子 高畑 幸 山ノ内 裕子 内田 龍史 妻木 進吾 堤 圭史郎 中西 尋子
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

在日韓国・朝鮮人と日系ブラジル人との生活史の比較分析からは(1)「移民」第1 世代の多くは周辺部労働市場に組み込まれたこと、(2)しかし、移住システム、資本主義の形態などの違いが社会関係資本の形成に差をもたらし、それらが職業的地位達成過程や民族関係(統合)の形成過程に影響を与えた可能性があること、などが示されつつある。また、在日韓国・朝鮮人の生活史パネル調査からは、(1)1990 年代後半時点でも見られた祖先祭祀の簡素化やエスニシティの変化が進んでいること、(2)その一方で 「継承」されたエスニシティの持続性自体は強いこと、などが示された。
著者
中野 正大 宝月 誠 油井 清光 加藤 一巳 近藤 敏夫 藤澤 三佳 鎌田 大資 高山 龍太郎 大山 小夜
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、前回の科学研究費補助金による研究「シカゴ学派の総合的研究」(課題番号10410045)に引き続き、米国シカゴ学派社会学の諸成果に対する多角的な検討を通して、現代社会の諸問題を分析するためのより有効な社会学的土台の構築を目的とした。この目的を達成するために、初期シカゴ学派から戦後の第2次シカゴ学派まで幅広くシカゴ学派社会学の研究業績を検討した。研究成果は、およそ5つに分類できる。一つは、「シカゴ学派社会学総論」である。シカゴ学派社会学には、多様な理論的志向と方法論が混在する。その一枚岩ではないシカゴ学派社会学を統一的に理解しようと試みた。二つは、「シカゴ学派の方法論の応用可能性」である。芸術、専門職、非行など個別の研究領域におけるシカゴ学派社会学の応用可能性を明らかにした。また、近年注目されているナラティブや主観的データの研究上の取り扱いについて、その基本的発想をシカゴ学派社会学に見いだした。三つは、「シカゴ学派の理論的インプリケーション」である。シカゴ学派社会学の基底を構成している科学論や相互作用論などの抽象度の高い理論について整理をおこなった。四つは、「シカゴ学派のモノグラフ研究再考」である。コミュニティ、エスニシティ、逸脱というシカゴ学派社会学を代表する3つの研究領域のモノグラフについて詳細に検討を加え、その内実を明らかにした。五つは、「現代社会のエスノグラフィー」である、シカゴ学派社会学再考でもっとも言及されることの多いエスノグラフィーの方法を現代日本社会に応用した。以上の検討から、シカゴ学派社会学が、異質性と流動性が高まりつつある現代日本社会の研究に、十分に応用可能であることが確認された。