著者
遠藤 一佳 高尾 敏文
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

化石タンパク質のアミノ酸配列を決定する前段階として、現世腕足動物の殻体プロテオーム解析と外套膜トランスクリプトーム解析をLaqueus rubellusとCoptothyris grayiの2種について行った。その結果、74種の殻体タンパク質を同定し、これまでに他の動物門で知られる殻体タンパク質と相同ではない新規タンパク質が大部分を占めることを解明した。一方、約39万年前のL. rubellus、C. grayiの化石タンパク質の予察的解析も行い、殻体内の大部分のアミノ酸がペプチド内ではなく、遊離の状態で存在しており、アミノ酸配列を得るためには、化石抽出物の濃縮が必要であることを明らかにした。
著者
遠藤 一夫 山崎 雅彦 葛島 達也 深尾 俊一 横田 広子 中野 貞生
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.79-83, 1997-01-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
28
被引用文献数
3

症例は70歳の男性.内視鏡的大腸ポリープ切除後の経過観察のため施行した大腸内視鏡検査で回腸終末部に腫瘍を認めた.外科的切除した腫瘍は亜有茎性で,大きさ4.5×2.8×高さ2.2cm,病理組織学的に高分化腺癌で,深達度はmであった.極めて稀有な症例と考えられた.回腸癌の早;期発見のためには回腸終末部の観察が重要である.
著者
久住 勉 小澤 智生 遠藤 一佳
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.57, pp.37-44, 1994-11-30

The inarticulate brachiopod Lingula has been regarded as a typical "living fossil" because of its extreme morphologic conservation signified by its longest geological history among known living animal genera. To make clear the mechanisms of the evolutionary conservatism, an investigation of genetic structures of two Japanese populations of Lingula anatina (Ariake Bay population in Kyushu, southern Japan and Mutsu Bay population in northeastern Japan) has been conducted, along with morphometric investigations of the shells. An electrophoretic survey of enzyme variations demonstrated that both populations of Lingula anatina retained a high level of genetic variability comparable with that of other marine animals. In contrast, the genetic distance between the two populations from localities up to 1500km apart is within the value that characterize conspecific populations. The genetic distances between the Japanese populations and the Queensland populations in Australia studied by Hammond and Poiner (1983) are also within the values usually recorded among the populations of a species. The strategy employed by Lingula to prolong pelagic larval existence may play an important role in maintaining a homogeneous population over this long geographic range. The panmixia among the populations of Lingula anatina sustained by the special dispersal mechanism may be one of the genetic mechanisms that keeps the species stable for a long time.
著者
棚部 一成 遠藤 一佳 佐々木 猛智 白井 厚太朗 伊庭 靖弘 守屋 和佳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

氷室時代の現世と温室時代の白亜紀の軟体動物(貝類)を対象として、貝殻の成長縞解析と地球化学的分析を行い、海洋環境に対する生活史形質の応答様式を解析した。その結果、北西太平洋の貝類の個体としての寿命が100年以上と長く、全球規模での海洋環境変動の記録を貝殻に保存していることが明らかになった。また、保存のよい浮遊性有孔虫、底生有孔虫、貝類化石の酸素同位体比分析から、白亜紀後期の北米内陸海や北西大西洋の陸棚は温室期の白亜紀中期に比べてやや寒冷化し、低層水温には季節変動があったことが示唆された。また、これら海域の貝類は現世の温暖な海域の貝類と似た生活史形質を持っていたことがわかった。
著者
加瀬 友喜 田吹 亮一 速水 格 武田 正倫 遠藤 一佳 千葉 聡
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1.海底洞窟特有のソビエツブ科巻貝の2新属4新種、クチキレエビスガイ科の1新属2新種、従来全く知られていない殻形態を示す1新属1新種(Pluviostillac palauensis)を発見、報告した。2.海底洞窟のシラタマアマガイ属巻貝の殻体を検討し,2新種を含む6種を識別し,コハクカノコガイ属と単系統群(コハクカノコガイ科)を構成することを明らかにした.また、それらの軟体の解剖学的研究を進め、殻体による結果を支持した。3.マーシャル島の化石種を検討し,この種はシラタマアマガイ属に近縁な新属であることを明らかにし,同類が中新世には既に海底洞窟のような環境に適応していたことを示した.4.海底洞窟のシラタマアマガイ属と河川に生息するコハクカノコガイ類の殻体および軟体の解剖学的研究を進めた。また、両者の環境を繋ぐanchialineやhyporheic環境から多くの未知のコハクカノコガイ類を発見し、それらを分類学的に検討し、2新属を認めた。5.コハクカノコガイ類を含むアマガイ上目の解剖と分子系統学的研究から、同目は複数回地上環境へ進出し、また、コハクカノコガイ類は海底洞窟などの隠生的な環境に適応した後、anchialineやhyporheic環境、さらに地上の河川に進出したことを明らかにした。6.海底洞窟及びanchialine環境の微小甲殻類のカラヌス目Ridgewayia属の1新種を見いだした。この種は北大西洋や地中海の種に近縁であることが強く示唆された.また、アミ目のHeteromysoides属とHeteromysis属の4新種、BochusaceaのThetispelecaris属の1新種を見いだした。Thetispelecaris属の新種は同属の2番目の記録であり、その由来は海底洞窟から深海に進化したことが示唆された。
著者
北川 進 水谷 義 遠藤 一央 藤戸 輝明 張 浩徹 近藤 満
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

電場印加下観測用にワイドボア個体NMRプローブを新規設計、作製をした。観測用高出力アンプは米国AMT社製のM3200を使用した。サンプルセルは、0.5mm〜2.0mm厚のダイフロン製板の両側から二枚の厚さ1.0mmのITOガラス板を挟むことによって作製した。検出器部のゴニオヘッド内にあるサンプルセル挿入部(ダイフロン製)は回転可能とし、NMRマグネットの磁場に対して-90°〜+90°配向した電場を印加することが可能であるように作製した。^1Hデカップルの際発生する熱を下げるため、NMR本体からチューブで冷却風を強く送り、サンプルセル周りの熱上昇を防ぐ処置を取った。高電圧発生装置として、高電圧高速電力増幅器を用い、直流電圧を0V〜500Vに渡って印加することができるようにした。電場応答性を示すサンプルとして室温でネマチック相である液晶分子4-Cyano-4'-n-pentylbiphenyl(5CB)を用い、25℃下で段階的に電場を磁場に対して垂直に印加しながら^13C CPNMRを測定した。その結果、電場を段階的に印加した状態で測定することにより、電場に依存する分子の局所的運動や電子状態などの様々な情報が得られることが分かった。別途、双極子を有する配位子を組み込んだ多数の配位高分子結晶の合成に成功した。