著者
鳥居 朋子 杉本 和弘 岡田 有司 野田 文香
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

米国及び豪州の事例分析の結果、大学マネジメントにおける上級管理職とIRの機能的連携の特徴として、1.重層的な組織構造の枠組の中、時には組織横断的なタスクフォースを結成することにより様々な階層の管理職が職責に応じたリーダーシップを柔軟に発揮していること、2.かかるリーダーシップにおいては、IR組織が提供する客観性の高いデータや情報を、学内の対話を促進するトリガーとして活用していることが解明された。
著者
野田 文香
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.33-52, 2020-07-15 (Released:2021-08-12)
参考文献数
39

導入から16年が経過した認証評価は,その目的である質の保証・改善については一定の成果がみられる一方,「社会への説明責任」は十分に果たしきれていないことへの懸念が示されてきた.法令適合性を重んじた外形的評価の限界や質保証の国際スタンダード化を背景として重点評価項目となった内部質保証には,今後,学生が身に付けるべきアウトカムを基軸とした「学位プログラム」の構築をはじめ,教育プログラムの質保証のより一層の充実が求められる.学修者主体の教育と学位等の国際通用性の確保を目指し,認証評価が高等教育と社会とを結びつけるプラットフォームとして機能していくために,社会的目線を伴うアウトカムに紐づいた参照基準や資格枠組みなどを,質保証制度に組み込んでいくことが重要である.
著者
野田 文香
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

学位や資格など高等教育を含む教育訓練機関から生み出されるあらゆる「qualifications(資格)」について、その保有者に期待するコンピテンスの内容や水準を明確化し、さらに学術あるいは職業モビリティの促進などを図る「国家資格枠組み(National Qualifications Frameworks:NQF)」が、現在、世界的に拡大している。一方で、その背後にある政治社会的課題や運用の実態については明らかにされているとは言い難く、NQFを有しない日本において策定の是非を議論する根拠情報が十分に揃っていない。本研究は、現行のNQFの動向研究を踏まえ、NQFの策定プロセス・枠組み・活用状況を分析し、運用の課題を整理・類型化する。さらに具体的事例として、特に非職業系の学問分野と労働市場との接続に社会的ジレンマを抱えるフランスのNQFを取り上げ、学術・実践の両面から日本版NQFの策定可能性に関する議論に資する示唆を得ることを目的とする。平成30年度は、各国のNQFの情報が記述されているインベントリを基礎資料とし、本研究の焦点となるフランスNQF(RNCP)の活用状況を相対的に捉えるため、ドイツNQF(DQR)やアメリカNQF(CF)といった異なる設置形態、活用の動機や課題をもつ事例についても調査を進め、NQFに期待する役割や機能における国による違いを整理した。成果は著書(分担)にまとめるとともに、講演会においても発表した。
著者
野田 文香
出版者
独立行政法人大学改革支援・学位授与機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

東京規約の発効に伴い、国内外の高等教育資格情報を発信するナショナル・インフォメーションセンターが2019年に立ち上げられた日本において、資格承認の公平性・透明性を確保するための参照ツールとなるNQFの構築の検討が急務となっている。本研究は、学術・実践の両面から日本版NQFの策定可能性に係る議論に資する示唆を得るため、ASEAN Qualifications Reference Framework (AQRF)に関わる各国NQFの策定プロセスや枠組みを横断的に分析し、人的モビリティ促進の観点からNQFの運用状況を類型化し、課題を明らかにすることを目的とする。
著者
芦沢 真五 森 利枝 花田 真吾 関山 健 野田 文香
出版者
東洋大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

先進的な外国学歴・資格認証制度を持つ3か国(オーストラリア、 カナダ、オランダ)の比較調査により、電子化や東京規約といったグローバルな資格相互認証制度と人材活用の潮流を踏まえて、日本に相応しい制度の提言を目指す。この目的のため、海外共同研究者とともに、各国で政府機関、認証機関、高等教育機関、認証サービス利用者に対する量的および質的調査を行い、その実態を明らかにする。調査結果を比較分析し、実用可能な日本型認証制度のあり方を提言にまとめ、国際会議や国際共著論文で発信する。
著者
野田 文香 森 利枝 竹中 亨
出版者
独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構
雑誌
大学改革・学位研究 (ISSN:27583708)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.35-49, 2024-03-01 (Released:2024-03-29)
参考文献数
20

国内外の高等教育の質保証制度において,「内部質保証」は核となる要素である。日本では,大学は卒業認定・学位授与の方針,教育課程編成・実施の方針,入学者受け入れの方針を明確にし,自己点検・評価に基づく内部質保証体制を構築し,認証評価もその取組状況を重要評価項目として確認することが求められている。他方で,自主的・自律的な質保証とは具体的にどのような取組を示し,内部質保証に外部質保証はどのように関わるのか,といったことについては未だ漠然としている。本稿は,高等教育機関の自主的・自律的な内部質保証体制として運用される質保証メカニズムである「自己認定(セルフ・アクレディテーション)」に着目し,豪州・ドイツ・台湾の事例を通じてその機能の多様性を整理することを目的とする。特に各事例において,自己認定とは何かといった大きな問いを掲げ,1)自己認定制度はなぜ導入されたのか,2)高等教育機関は,自己認定権をどのように獲得・維持するのか,3)自己認定権を得た高等教育機関は何ができるのか,の3つの観点から自己認定の実態と課題を明らかにする。
著者
太田 浩 芦沢 真五 渡部 由紀 野田 文香 新田 功 横田 雅弘 堀田 泰司 上別府 隆男 杉本 和弘
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

欧州で進行中の大学評価プロジェクトであるNufficのMINT、CHRのIMPI、IAUのISAS、ACAのAIMの開発者と利用した大学に聞き取り調査を行うと共に文献調査を行い、プロジェクト間の相違点、課題、利点などを明らかにした。そのうち、IMPIが開発した国際化評価の489指標を翻訳し、日本の文脈に照らして妥当と判断される152の指標を使い、質問紙調査を日本の228大学に対して行った。調査で収集したデータの分析結果に基づき、日本の大学国際化の評価に関する現状と今後の評価のあり方、及び日本の大学にとって最も有効性が高いと考えられる指標群、また有効性が高くないと考えられる指標群を明らかにした。