著者
有地 亨 三島 とみ子 緒方 直人 南方 暁 清山 洋子 生野 正剛 大原 長和 金山 直樹 久塚 純一 小野 義美 川田 昇 丸山 茂 松川 正毅 河内 宏 二宮 孝富 伊藤 昌司 UEKI Tomiko MISHIMA Tomi HISATSHUKA Junichi
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1989

われわれは、1990年秋と91年秋の2度に分けて、第1年目には英国第2年目には仏国および独国において、離婚、児童福祉、老人の3領域における各種相談・援助機関に関する実態調査を行なった。離婚の領域では、英国において、公私2つの研究機関と12の各種相談・援助機関のスタッフに対する面接調査を行い、質問票配布の方法による補足的調査をも行った。仏国では3つの公的機関と22の民間機関のスタッフならびに7人の研究者との面接調査を行い、同様の補足調査を併用した。独国では、民間機関である結婚生活相談所スタッフを調査対象に選んだ。英国では、離婚問題を抱えた当事者への相談・援助活動は、民間機関中心に行われており、夫婦関係の和合調整より、クリ-ン・ブレイクを目指す傾向が顕著であったが、仏国でも民間機関が中心であって、その活動にも同様の傾向が見られ、ここでの合意形成援助活動を司法手続の前段階として制度化する動きも確認できる。独国の上記相談機関は、法的問題と心理的問題を区別し、活動分野を後者に限定しているのが特徴であり、これが独国の一般的傾向を代表する。児童福祉の領域では、英国の公的機関13と民間機関4、仏国の政府機関をはじめとする公的機関8および民間機関11の、それぞれのスタッフと面接調査し、独国においては民間機関1および少年係検事1人を対象に調査した。英仏両国ともに民間機関に活動が顕著であり、各個に特色ある諸機関がその特色を活かしてキメ細かな援助を行なっていることが分かったが、特に、英国においては、公的機関と民間機関との連携が良く、総合的機関の確立も追求されている。独国でも、民間の青少年援助機関が、広義の社会的不適応者に対する社会化のための援助を行っているのが注目される。老人の領域では、英国では、研究者3、地方行政における福祉担当官や公的機関のスタッフや民間の営利・非営利の老人施設のスタッフに面接調査した他に、施設利用者15人に対しても面接調査し、さらに、質問票による補足調査からも多くの情報を得た。同様に、仏国でも高齡者施策に関与する諸機関を訪問してスタッフの面接調査をした(30件)後、福祉諸施設の現場を訪問した。独国では民間の老人ホ-ム経営体を訪問したにとどまる。この領域でも、英仏両国では、やはり民間機関が高齡者個々のニ-ドに応じた多様な援助を広範に提供しており、公的機関の役割はむしろ限定的であるが、両者の連携が重視されている。仏国でも、民間機関による援助が、質・量ともに顕著である。英国では、高齡者は総じて家族とは独立した生活を送っており、相談・援助は、家族との人間関係調整よりも実際的(経済的)援助中心であるが、仏国では、高齡者の自己決定の尊重を眼目としつつ、家族による精神的サポ-トのための民間機関の活動も重視されている。独国調査でも家族によるサポ-トのための民間機関の活動が重視されている。総じて、これらの海外調査の結果は、日本調査の結論としての「家族問題総合センタ-」の構想において、ともすれば公的機関中心に考える日本的発想への反省を迫るものがある。つまり、今回われわれが調査した国々では、家族問題への公的機関の関与は抑制的であり、その役割は財政的支援の範囲に限定されているようである。主導的な役割は、むしろ多様な民間機関が果たしているが、それを可能にしている背景には、その活動の担い手であるソ-シャル・ワ-カ-の専門性の高さとその社会的認知が存在することを見失ってはならない。多様な機関に所属しつつも、活動の担い手相互間には専門性という共通項があって、それが、わが国には見られないような機関相互間の良好な連携を生み出しているという点も、特記すべきことである。
著者
居城秀明 金岡晃 岡本栄司 金山直樹
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2013-CSEC-60, no.15, pp.1-8, 2013-03-07

タッチパネルを搭載したスマートフォンやタブレット型端末といったスマートデバイスで利用される認証方法は,パスワード認証やパターン認証に代表される ”知識認証” が一般的に用いられているが,認証時の背後からの覗き見に弱く端末からの個人情報漏洩リスクが危惧されている.今日,”知識認証” にかわる認証方法として,認証時の覗き見に対して耐性を持つことで知られる ”生体認証” ベースの,個人の手指の行動的特徴を用いる手法が Sae-Bae 等などによって提案されている.しかし,これらの研究ではタッチパネルから得られる手指の情報に関して,取得する座標軌跡の細かさと認証精度,認証時間についての十分な検討がなされておらず,認証システムの実現には議論の余地が残る.本稿では,手指の行動的特徴を取得する際の,タッチパネルからの座標取得頻度に着目した.各個人を識別する際の最適な座標取得頻度について認証時間・認証精度とのトレードオフを考慮し高速かつ高精度な認証を目指す.
著者
金山 直樹
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.88, no.7, pp.1-40, 2015-07

論説はじめに一 履行補助者の理論から (1) 石田文次郎 (2) 松坂佐一 (3) 森田宏樹 (4) 要件・効果二 契約締結補助者の理論へ (1) 萌芽 (2) 根拠 (3) 要件 (4) 効果おわりに
著者
金山 直樹
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ユーザのID情報を公開鍵とする暗号系で用いられるペアリング関数についての研究を行った.ペアリング関数は楕円曲線と呼ばれる曲線の2つの点を入力とし,例えばRSA暗号などの処理の数倍のコストがかかるが,本研究では,数学的アプローチ・実装手法の最適化などを総動員しいくつかの高速ペアリング計算法を得た.また,ペアリング暗号の安全性の根拠の1つであるペアリング逆問題についての考察も行った.