著者
山本 敬三 坪倉 誠
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.159-164, 2018 (Released:2019-08-01)
参考文献数
18

スキージャンプ(以下,ジャンプ)の一連の動作の中で,空気力学的に重要な局面は飛行と踏切局面であり,これらの局面で選手に作用する空気力は,競技パフォーマンスに大きく影響を及ぼす.この解説論文では,飛行機の飛翔メカニズムについて概説した後,ジャンプの飛行と踏切局面について,その力学的メカニズムと先行研究によって明らかになった知見について解説する.飛行局面では,揚力獲得のメカニズムと姿勢の安定性について述べる.助走局面では,動作の力学的目的を流体力学の視点から考察する.ジャンプの気流解析では,手法として風洞実験と数値流体解析が用いられることが多い.空気力(揚力や抗力)の導出や気流状態の可視化には,計測対象の固定方法や力覚センサの配置,精度検証など,クリアしなければらない課題が多い.しかし,ジャンプが飛翔能力を競うスポーツであることから,空気力学的な観点は競技力向上に必要不可欠である.
著者
潮見 佳男 橋本 佳幸 村田 健介 コツィオール ガブリエーレ 西谷 祐子 愛知 靖之 木村 敦子 カライスコス アントニオス 品田 智史 長野 史寛 吉政 知広 須田 守 山本 敬三 横山 美夏 和田 勝行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成30年度は、前年度に引き続き、ゲストスピーカーを交えた全体研究会の開催を通じて、情報化社会における権利保護のあり方をめぐる従来の議論の到達点と限界を検討し、知見の共有を図った。個別の研究課題に関しては、次のとおりである。第1に、個人情報の収集・利活用に関する私法的規律との関連では、全体研究会を通じて、EU一般データ保護規則(GDPR)の全体的構造のほか、EUにおけるプライバシー権の理論構成について理解を深めた。また、プラットフォーム時代のプライバシーにつき、プロファイリング禁止やデータ・ポータビリティーなどの先端的課題を踏まえた理論構成のあり方を検討した。第2に、AIの投入に対応した責任原理との関連では、全体研究会において、ドイツでの行政手続の全部自動化立法の検討を通じて、AIによる機械の自動運転と比較対照するための新たな視点が得られた。第3に、ネットワーク関連被害に対する救済法理との関連では、担当メンバーが、ネットワークを介した侵害に対する知的財産権保護のあり方を多面的に検討し、また、オンライン・プラットフォーム事業者の責任について分析した。以上のほか、私法上の権利保護の手段や基盤となるべき法技術および法制度に関しても、各メンバーが新債権法に関する一連の研究を公表しており、編著の研究書も多い。さらに、外国の法状況の調査・分析に関しては、ドイツやオーストリアで在外研究中のメンバーが滞在国の不法行為法の研究に取り組み、複数のメンバーがヨーロッパ諸国に出張して情報収集を行った。また、研究成果の国際的な発信も活発に行っており、国際学会での日本法に関する報告が多数あるほか、新債権法に関して、その翻訳、基本思想を論じる英語論文が挙げられる。
著者
山本 敬三 松澤 衛
出版者
北翔大学
雑誌
北翔大学生涯スポーツ学部研究紀要 (ISSN:18849563)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-10, 2011

本研究の目的は,1)スキージャンプのシミュレーション・テイクオフ動作をバイオメカニクス的に分析し,2)分析結果を基に力学的な観点からトレーニング方法を提案することである。動作分析では,3次元動作分析と床反力計測を行い,下肢3関節(股・膝・足関節)の力学的な動作戦略について分析した。被験者は女子スキージャンプ選手2名とし,実験室内において,シミュレーション・テイクオフ動作を課した。試技はフォースプレート上で行い,離床後は選手の前方に設置した緩衝用マットに着地させた。各選手5試技の動作を計測した。分析では,下肢3関節の屈伸方向の関節モーメント,重心位置,床反力作用点(COP)および床反力を算出し,項目間の相互関係について検討した。結果,動作の初期に足関節の底屈モーメントをゆるめることで,COP が後退する現象が観察された。重心の床面への投影点とCOP の位置をずらすことで,ジャンパーは前回りのモーメントを得ていた。また,動作の中盤から後半にかけて,下肢3関節の伸展および底屈モーメントを急激に増加させて,重心を上昇させ,フライト姿勢を形作ることが分かった。この分析結果を基に,力学的トレーニング方法を提案した。トレーニングの提案では,バランスWii ボードを活用した運動評価方法について述べ,上記の力学的戦略を行うにあたって,動作評価のできるトレーニングを提案した。
著者
西川 直人 稲川 祥史 吉田 昌弘 山本 敬三
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.93-101, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
18

本研究の目的は,着地時の足部接地の違いが衝撃吸収作用に及ぼす影響を検討することである.対象は10名(後足部接地1名,前足部接地9名)とし,30 cm台からのドロップジャンプ動作を実施した.三次元動作解析装置を用いて足,膝及び股関節のパワー,床反力鉛直成分を計測し後足部接地と前足部接地で比較した.その結果,前足部接地と比べ後足部接地では,膝における負の仕事量(衝撃吸収量)が大きく,関節パワーのピークが早期に発現した.
著者
山本 敬三郎
出版者
経済団体連合会
雑誌
経団連月報 (ISSN:04534484)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.p67-71, 1980-09
著者
渡部 峻 近藤 雄一郎 竹田 唯史 山本 敬三
出版者
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター
雑誌
北翔大学北方圏生涯スポーツ研究センター年報 (ISSN:21852049)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.1-6, 2018

本研究の目的は,2018年平昌パラリンピックでのバイアロン・シットスキー競技の順位成績の決定要因について検討することと,スキー滑走速度とポーリング動作との関係を明らかにすることとした。被験者は,平昌パラリンピックで女子6kmのバイアロン・シットスキー競技に参加した15名とし,公式記録とスキー滑走動作のビデオを用いて分析を行った。公式記録から順位成績と射撃のミスショット数を求め,ビデオ分析から各選手の相対的な滑走速度とポーリング頻度を求めた。統計処理では,スピアマンの順位相関分析を用いて,順位成績と滑走速度,射撃のミスショット数およびポーリング頻度との相関関係をそれぞれ分析した。滑走速度とポーリング頻度の相関関係ではピアソンの積率相関分析を用いた。また,滑走速度やポーリング頻度のラップ間の差を調べるために,一元配置分散分析と多重比較検定を用いた。すべての統計処理の有意水準は5%未満とした。結果,順位成績と平均滑走速度(rs = -0.5951, p<0.05)および射撃のミスショット数(rs = 0.5874,p<0.05)の間にそれぞれ有意な相関関係が認められた。成績上位選手は射撃のミスショット数が少なかったことから,射撃技術が高いことが,上位選手の特徴であると考えられた。次に,平坦地での滑走速度とポーリング頻度との間には有意な相関関係は認められなかった。最終ラップでは,ポーリング頻度は有意に増加したが,相対滑走速度に有意差は認められなかった。この結果から,最終ラップではポーリング頻度を増加させて,疲労によるポーリングの推進力低下を補ったことが示唆された。
著者
新開谷 深 山本 敬三
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】ゴルフやスノーボード等のスポーツにおいて,両足間の距離(以下スタンス幅)や両足の開き具合(以下スタンスアングル)は重要な因子である。これら脚の位置(以下スタンス)は現場では経験的に指導されている。下肢の関節角度と体幹の関連を調べているものは少ない。目的は,スタンス幅・スタンスアングルが,体幹の可動域や荷重にどの様な影響を及ぼすのか明らかにするものである。【方法】対象は健常男性11名,平均年齢は21.5±1.7歳,平均身長は171.3±6.5cm,平均体重は65.4±9.1kgだった。運動課題は,立位で膝股関節が屈曲しないように体幹を最大左右回旋させた。立位の設定は,スタンス幅を42cmと52cmとした。スタンスアングルは踵の中心と第2趾を結ぶ線と前額軸とのなす角度を用い5パターン設定した。まず,STANCER(ジャイロテクノロジー株式会社)で,スタンス幅42cm・52cm各々の下肢の最大内外旋角度の平均値を求め,これをセンター角とし,それに15°,30°を加減したものを設定角とした。条件名は-30°,-15°,0°,+15°,+30°とした。計測には赤外線カメラ12台を含む光学式モーションキャプチャ(MAC3D,Motion Analysis社),床反力計(BP6001200,AMTI社)を使用した。サンプリング周波数は,床反力は1kHz,モーションキャプチャは100Hzとした。反射マーカーは以下の様に貼付した。脊柱の第1・第4・第7胸椎,第1腰椎の棘突起を頂点とする三角形に3つずつ貼付し各々に局所座標系を設定した。他,両肩峰,骨盤以下はヘレンヘイズマーカーセットに準じ両側に貼付した。計測時はスタンスを自由に設定できる自作の器具で足部を固定した。計測データの分析ではVisual3D(C-Motion社)を用いた。分析パラメーターは,床反力,体幹(T1,T4,T7,L1)・骨盤角度とした。なお,体幹・骨盤角度については,グローバル座標系に対して算出した。左右の荷重は左右床反力の垂直成分にて対称性指数(Symmetry Index;SI,左右差を左右の平均値で除した値)を算出した。統計処理では,体幹・骨盤の回旋可動域の条件間の比較をするためにANOVA後,多重比較を行った。【結果】骨盤と体幹の回旋可動域はスタンス幅42cmにおいてスタンスアングル0°が-30°より有意に大きかった。スタンス幅の違いによる効果は認められなかった。荷重のSIはスタンスアングルが大きくなるに従い回旋側に荷重が増えており,+30°は-30°より有意に大きかった。【結論】スタンスアングルの違いにより,体幹の可動域が変化する可能性が示唆された。スタンスアングルがセンター角付近であると体幹の回旋可動域が大きくなっていた。スタンスアングルを大きくすると体幹の回旋可動域は減少するが,回旋側の荷重量が増える。荷重を重視するのか,回旋可動域を重視するのか,運動の特性に合わせスタンスアングルを設定することで,外傷の予防やパフォーマンス向上につなげられると考えられる。
著者
潮見 佳男 橋本 佳幸 コツィオール ガブリエーレ 松岡 久和 愛知 靖之 木村 敦子 山本 豊 長野 史寛 山本 敬三 横山 美夏 佐久間 毅 和田 勝行 天野 佳洋 吉永 一行 栗田 昌裕 松尾 健一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、①信託を中心とする事業財産権モデル、②知的財産の完全な自由利用を保障するタイプと対価徴収権を中核とするタイプの複合モデルを基礎とする情報財産権モデル、③景観利益や環境利益の侵害に対する救済および原子力損害からの被害者救済に適合した環境財産権モデル、④パブリシティーや個人情報の財産化、ヒト由来物質や身体の譲渡・利用可能性に照準を合わせた人格財産権モデルを提示した。そのうえで、これらの研究成果を踏まえ、共同研究メンバーが、物権法、債権法、契約法の各領域の再編を企図した体系書を刊行したほか、2015年度の日本私法学会シンポジウムで「不法行為法の立法的課題」を担当した。