著者
渡辺 樹 中島 弘美 門田 耕一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.269-274, 2005-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
22

食肉検査時に発見された豚の子宮腫瘍16例を病理解剖学的, 病理組織学的および免疫組織化学的に検査した.腫瘍を認めた豚はすべて2~4歳の繁殖豚で, 単発性が9例, 多発性が7例で, ほとんどが子宮角に存在していた.腫瘍細胞は束状および渦巻状配列を示し, 交錯していた.核は楕円形から長楕円形で, 両端が鈍であった.免疫染色では全症例の腫瘍細胞が, α-平滑筋アクチンとデスミンに対し陽性反応を示し, 15症例中13症例がビメンチンに陽性であった.これらの成績から検索した子宮腫瘍はすべて平滑筋由来と考えられた.一般に腫瘍細胞の核分裂像は目立たなかったが, 強拡大で10視野あたり4~5個みられる症例が1例あった.増殖細胞核抗原陽性細胞は, 0~85%とさまざまであった.他臓器への転移がなく, 核分裂像も少ないことから, すべての症例を良性腫瘍と診断した.
著者
門田 耕一郎
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

喫煙者が禁煙後に一時的な体重増加や便秘が認められることが知られているがメカニズムについて、未だ不明である。今回我々は、同意を得た禁煙を希望する喫煙者に、喫煙時と禁煙治療終了後に体重などの身体測定や呼気水素試験により小腸通過時間を測定し、禁煙前後での変化について調べた。また、同意を得た未喫煙者にも体重などの身体測定や呼気水素試験を行い、喫煙者と未喫煙者についても検討した。本研究では、禁煙後に明らかな体重増加は認められたが、小腸運動の明らかな変化は認められなかった。また、喫煙の有無により小腸運動に差はなかった。本研究の結果より、禁煙後の体重増加や便秘には小腸運動は関係がないことが示された。
著者
山崎 義和 青野 逸志 大宅 辰夫 芝原 友幸 門田 耕一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.149-153, 2002-02-25
参考文献数
18
被引用文献数
1

14歳齢で死亡した雌ピューマに胃・十二指腸腺癌と直腸腺腫が認められ, 胃ではヘリコバクター様細菌感染が, 直腸ではスピロヘータ感染を伴う慢性炎症がそれぞれ観察された.肉眼的には種々の大きさのポリープ状腫瘤が, 胃, 十二指腸, 直腸の粘膜面に散見された.組織学的には胃の腫瘍は腸型腺癌で, 腸間膜リンパ節, 脾臓および肺に転移を示した.十二指腸の癌細胞は粘膜内に留まり, 多くの腫瘍細胞が増殖細胞核抗原(PCNA)免疫染色に対し強陽性を示した.直腸の腺腫においてもPCNA陽性細胞は散見されたが, その数は癌組織に比べはるかに少なかった.以上の結果から, 今回認められた消化器腫瘍の発生と上記の細菌感染との間に何らかの因果関係があるものと推察した.
著者
高井 光 芝原 友幸 村上 俊明 林 みち子 門田 耕一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.105-108, 2005-02-20
参考文献数
21
被引用文献数
7

石川県内の乗馬クラブにおいて, 10歳のサラブレッド去勢馬が沈うつ, 発熱, 転倒を伴う運動失調を呈したため, 2003年6月, 安楽死処置が施された. 剖検時, 右側腎臓には, 2個 (おのおの約5×5×3cm) の硬固感を有する, 灰白色, 融合性肉芽腫性腫瘤が認められた. 病理組織学的に, <I>Halicephalobus gingivalis</I>による多発性肉芽腫性腎炎が認められ, 類似病変が脳, 浅頸リンパ節にもみられたことから, 本症例を国内3例目の<I>Halicephalobus</I>感染症と診断した. 当該乗馬クラブでは, 2000年3月に国内2例目の発生があったことから, 腎臓由来線虫の形態と環境土壌試料由来のものを比較した. 土壌試料には, 多様な形態を持つ多数の線虫が認められた. そのいくつかは腎臓由来線虫と一致した. 土壌中に多数の線虫が存在することより, 環境に存在する自由生活性の<I>Halicephalobus</I>が馬の感染源となる可能性が示唆された.
著者
藤本 胖 門田 耕一 森口 良三 桐生 啓治 松川 清 千早 豊
出版者
Japanese Society of Equine Science
雑誌
日本中央競馬会競走馬総合研究所報告 (ISSN:03864634)
巻号頁・発行日
vol.1982, no.19, pp.69-88, 1982-12-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
39

過去30年間 (1949-1979) に集められた馬白血病群 (EL) 14頭が病理形態学的に観察され, 腫瘍細胞の特徴により次の型に分類された。A. リンパ肉腫12例: リンパ球性リンパ肉腫 (2例), リンパ球性及び前リンパ球性リンパ肉腫 (3例), リンパ芽球性リンパ肉腫 (1例), 未分化組織球性リンパ肉腫 (1例), 組織球性リンパ肉腫 (2例) 及び組織芽球性リンパ肉腫 (1例)。B. 幹細胞性白血病1例。C. 骨髄性白血病1例。14例は2乃至3歳馬5例, 8乃至17歳馬6例, 年齢不詳馬3例よりなっていた。リンパ肉腫罹患馬12例は多中心型9例, 消化器型1例, 孤立リンパ腫2例よりなっていた。2例が皮下組織腫瘍を伴っていた。ELに最も頻繁に冒される臓器はリンパ節で, 次で脾臓, 腎臓, 腸及び肝臓であった。心臓, 肺, 胸腺, 躯幹筋及び皮膚はより低い頻度で冒されていた。組織球性リンパ肉腫の超微形態において, 特に粗面小胞体の分布及び構造に幅広い変化が見られた。腫瘍細胞の細胞質において, 大型空胞が屡々見られた。高度な多形性の核と著しく大きい核小体, 拡大したゴルジー野, 豊富なブリーリボゾームは高度な代謝活性を示すものである。電顕的検索では何処にもウイルス粒子を見ることは出来なかった。