著者
髙橋 真 岩本 浩二 門間 正彦 水上 昌文
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.138-145, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
19

【目的】大学野球選手における投球側肩関節の外旋角度の増大に伴う上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離(以下,PGHD)を明らかにすることである。【方法】対象は大学野球選手11 名の投球側肩関節11肢とした。MRI 撮像時の肩関節肢位は肩90°外転位から90°,100°,110°外旋位の3 肢位とし,各肢位のPGHD を計測した。【結果】PGHD は肩関節90°外旋位よりも110°で有意に低値だった。【結論】肩関節外旋角度が増大すると,上腕骨頭と肩甲骨関節窩後縁が接近した。
著者
吉川 千尋 田上 未来 間瀬 教史 山本 健太 野口 知紗 冨田 和秀 門間 正彦 居村 茂幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0165, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】横隔膜呼吸では,下側肺野の換気が増加すると報告されており,この変化は仰臥位や直立位と比較し側臥位でより顕著に見られる。この要因の一つとして横隔膜による縦隔の挙上があると報告されている。側臥位において下側肺野は縦隔による圧迫を受けている。横隔膜はその縦隔と連結をもち,側臥位で横隔膜が収縮すればその張力により縦隔が持ち上げられ,下側肺野が拡張しやすくなるという説がある。もしこの説が正しいとすれば,側臥位で呼吸を行うと吸気に伴い縦隔は上側に引きあげられる。その際,横隔膜の筋線維走行は縦隔を持ち上げる上側方向に向いているはずである。本研究の目的は,側臥位における呼吸に伴う縦隔組織の位置変化,横隔膜の走行を観察することにより横隔膜が縦隔を持ち上げ,下葉換気の増加に関与している可能性があるかどうかを検証することである。【方法】対象は健常人8名(男性6名,女性2名),測定体位は左側臥位とし,撮像時の肺気量位は機能的残気量(FRC)位,予備吸気量(IRV)位,全肺気量(TLC)位,残気量(RV)位とした。撮像装置は1.5TのMRI(東芝EXCELART Vantage1.5T)を用いた。対象者に各肺気量位での息止めを30秒程度行わせ撮像した。撮像は三次元構築画像撮像として,腹側から背側方向へ肺全体の撮像を前額断で行った。得られたMRI画像から画像解析ソフトimageJを用いて以下の分析を行った。まず心臓の最大横径を計測し,その画像上で,第5胸椎レベルでの胸腔内横径,右胸腔内壁から心臓最右端(右胸腔内横径),左胸腔内壁から心臓最左端(左胸腔内横径)の距離を各肺気量位で計測し上側・下側肺野の換気変化の指標とした。また,各肺気量位における大静脈孔レベルでの左右横隔膜の筋長を,第10胸椎レベルでの横隔膜最遠位部から大静脈孔部までの距離として計測した。さらに,その筋線維走行を観察し,横隔膜の筋収縮と収縮に伴う張力方向の指標とした。各肺気量位での測定項目を分散分析,多重比較法にて検定し,有意水準は5%とした。【結果】胸腔内横径(TLC:402.6±29.9mm,IRV:382.1±34.3mm,FRC:377.6±35.9mm,RV:365.5±34.8mm)は,TLCが他の肺気量位と比べて有意に長く,RVが他の肺気量位と比べて有意に短い値であった。右胸腔内横径(TLC:152.6±18.5mm,IRV:147.7±16.4mm,FRC:147.7±15.0mm,RV:142.1±16.0mm)はTLCが他の肺気量位と比べて有意に長い値を示した。左胸腔内横径(TLC:59.7±17.6mm,IRV:33.2±14.4mm,FRC:25.9±11.1mm,RV:22.0±11.2mm)はTLCが他の肺気量位に比べ有意に長く,RVに比べIRVでは有意に長い値を示した。右横隔膜の筋長(TLC:231.7±18.2mm,IRV:254.3±14.2mm,FRC:296.4±20.7mm,RV:326.4±21.3mm)は,TLC,IRVともにFRC,RVより有意に短い値を示し,FRCとRVの間でも有意差を認めた。左横隔膜の筋長(TLC:276.3±38.1mm,IRV:277.5±70.3mm,FRC:322.0±38.1mm,RV:332.1±33.0mm)は,TLCとIRVがそれぞれFRC,RVより有意に短い値を示した。右横隔膜の筋走行は,RVからFRCまで大静脈孔から胸壁にかけてわずかな曲線もしくは比較的平坦に近く,その後胸壁部分で鋭角にまがり胸壁に沿って走行していた。FRC以上の肺気量位では,大静脈孔から胸壁まで全体的に彎曲し,筋線維走行は右方尾側方向となり縦隔を上方に引き上げる走行となった。【考察】側臥位は体位変換の体位として頻繁に使用され,上側肺野の換気改善,排痰目的に利用される。今回の結果からは,側臥位における横隔膜の筋走行はFRC以上の肺気量位では縦隔を上方に引き上げる右方尾側方向となり,それと同期して下側に位置する左胸腔内の横径はRV時より長い値を示し,肺野の横径が拡張していた。これらの結果は,側臥位における横隔膜は尾側への下降による胸腔の拡張作用だけでなく,組織的な連結をもつ縦隔組織を上方に持ち上げ,下側の肺野を拡張する役割を持つ可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】側臥位における下側肺野の換気増加に影響する因子の一つを検討することは,呼吸理学療法の体位交換を行う上で有用な情報と考えられる。
著者
冨田 和秀 阪井 康友 門間 正彦 大瀬 寛高 居村 茂幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.237-243, 2004 (Released:2004-08-30)
参考文献数
13
被引用文献数
5 2

本研究の目的は,dynamic MRIを用いて,健常者の安静呼吸と最大深呼吸における横隔膜運動の差異を定量的に解析すること,最大深呼吸における全横隔膜運動とBMI,肺活量(VC)や胸郭拡張差との相関関係について検証することである。その結果,横隔膜の頭尾方向への運動距離の平均は,安静呼吸時,腹側部14 mm,中央部20 mm,背側部27 mmであり,最大深呼吸時,腹側部41 mm,中央部64~67 mm,背側部74 mmであった。また,全横隔膜運動とBMI,VC,胸郭拡張差との間には,相関関係は認められなかった。
著者
吉田 怜 冨田 和秀 野崎 貴宏 河村 健太 門間 正彦 大瀬 寛高
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.I-126_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに】肋間筋は胸郭の拡張, 縮小に関わり, 呼吸運動において重要な役割を果たしている. その働きは胸郭の部位により異なることが基礎実験で報告されているが (Le Bars, 1984), ヒト肋間筋の呼吸運動としての働きは十分に解明されていない. また, 先行研究では肋間筋活動を針筋電図により評価されているが, 気胸のリスクを有するため臨床的評価として容易に使用しづらい. 近年, 超音波画像検査における筋収縮を評価する報告が散見されており(Hodges PW 2003, Kian-Bostanabad S 2017), 侵襲を伴わないため理学療法の評価にも用いられている. 本研究の目的は超音波画像検査を用いて, 吸気時の肋間筋の筋厚を計測することで呼吸運動時におけるヒト肋間筋の筋収縮を分析することとした.【方法】対象は, 喫煙歴のない健常成人男性7名 (平均年齢23.7 ± 2.4 歳) とした. 実験方法は被験者に仰臥位を取らせ, 安静呼気と吸気抵抗負荷課題による最大努力吸気を行わせ, 超音波画像検査を用いて肋間筋の筋厚を計測した. 測定部位は胸郭右側の前面・側面・後面の肋間とした. 前面部は第1-6肋間で, 胸骨右縁から外側2.5-3.0㎝, 側面部は第3, 6, 9肋間で, 腋窩前縁から上前腸骨棘を結ぶ線上, 後面部は第3, 6, 9肋間で胸椎棘突起から外側5.0 – 6.0㎝で測定した.安静呼気時と最大努力吸気時の筋厚の変化をWilcoxonの符号付き順位検定を行った. 解析にはIBM SPSS Statistics Ver. 22.0を用い, 有意水準は5 %とした.【結果】安静呼気時/最大努力吸気時の筋厚の中央値 (25%値: 75%値) (mm) は前面部肋間で, 第1肋間: 2.10 (1.20: 2.60)/2.60 (2.00: 3.70), 第2肋間: 2.50 (1.60: 2.60)/3.10 (2.50: 3.60), 第3肋間: 2.20 (1.50: 3.40)/3.10 (2.20: 3.80), 第4肋間: 2.70 (2.20: 3.20)/3.20 (2.80: 3.40), 第5肋間: 1.80 (1.60: 3.20)/2.60 (2.30: 3.30), 第6肋間: 2.30 (2.00: 3.00)/2.90 (2.00: 3.00)であり, 第1, 2, 3, 4肋間で有意差を認めた. 側面部肋間と後面部肋間では有意差を認めなかった.【考察】努力性吸気課題条件下での超音波画像検査によるヒト肋間筋収縮評価は, 前面部肋間の第1, 2, 3, 4肋間で安静呼気時に比べ, 有意な筋厚増加を認めた. 前面部肋間筋である傍胸骨肋間筋は吸息性筋活動を有することが報告されており (De Troyer, 1998), 本結果も同部位において肋間筋厚の増大を示すことから先行研究と同様に吸息性活動を示す所見と考えられた. 一方, 動物実験では側面部肋間, 後面部肋間で吸息性筋活動を認めているのに対し, 本結果では側面部肋間と後面部肋間での吸気性筋収縮に伴う肋間筋厚の増大を捉えることができなかった.【結論】ヒト肋間筋収縮は, 超音波画像検査を用いて評価することが可能であった. 努力性吸気に伴う肋間筋厚の増大を前面部肋間筋で確認することができた.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得た. 本研究の実施にあたり, 被験者へは実験内容を十分に説明し, 研究参加は自由意志に基づいて行った. また研究への参加を拒否された場合でも不利益が生じないことを説明し, 研究の途中であっても断る権利を保障した.
著者
髙橋 真 岩本 浩二 門間 正彦 水上 昌文
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
2020

<p>【目的】大学野球選手における投球側肩関節の外旋角度の増大に伴う上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離(以下,PGHD)を明らかにすることである。【方法】対象は大学野球選手11 名の投球側肩関節11肢とした。MRI 撮像時の肩関節肢位は肩90°外転位から90°,100°,110°外旋位の3 肢位とし,各肢位のPGHD を計測した。【結果】PGHD は肩関節90°外旋位よりも110°で有意に低値だった。【結論】肩関節外旋角度が増大すると,上腕骨頭と肩甲骨関節窩後縁が接近した。</p>
著者
門間 正彦 石森 佳幸 川野 道宏 福島 理菜 井上 瑞希
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

MRI検査の時に被験者がどの程度ストレスを感じるかについて検討した。客観的ストレスの指標として心拍間隔の時系列データから得られる周波数領域指数に着目し、LF/HF値とHF値を計測することによりストレスとの関係を検討した。さらに主観的ストレス(VAS)についても比較検討した。LF/HF値、HF値の結果から過半数が検査中にストレスを感じているという結果になった。検査前後よりも検査中にLF/HF値が低い値になった被験者もいたが、VASの結果よりほとんどの人が検査中にストレスを感じていたことから、MRI検査時には患者のストレスに注意する必要がある。周波数領域指数とVASとの相関性は確認できなかった。
著者
佐野 歩 岩本 浩二 冨田 和秀 萩谷 英俊 滝澤 恵美 水上 昌文 門間 正彦 大賀 優 居村 茂幸
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.A4P3046-A4P3046, 2010

【目的】<BR>近年、筋圧や筋力評価、筋肉や腱の損傷回復の効果判定など多くの分野に超音波診断装置が用いられてきており、有用といわれている。超音波診断装置による画像診断は、X線では評価しづらい軟骨・筋肉・腱・靱帯・神経を抽出することができ、MRIでは評価しづらい滑膜や関節液の貯留、筋肉や関節の動きを評価することが可能である。また、無侵襲で容易に操作が可能な検査技術である。肩関節や側腹部診断など多くの研究が行われている半面、測定結果への信頼性に対して懐疑的な意見も散見できる。超音波診断装置を用いた測定結果への信頼性研究は少なく、確立されているとは言いがたい現状である。本研究では、肩関節周囲筋のなかでも計測指標が簡単で、筋腹が皮下にて計測できる棘下筋を対象に、本研究では超音波診断装置を用いた筋厚測定の信頼性について検討したので報告する。<BR>【方法】<BR>計測にはHONDA ELECTRONICS社製CONVEX SCANNER HS-1500を用いた。プローブは、周波数7.5MHzのリニアプローブを使用し、全て同一の検査者が実施した。被験者は肩関節に痛みを有しない健常成人男性5名、左右10肩とした。被験者の平均年齢は26.4±4.2歳、平均身長は171.0±5.6cm、平均体重は65.4±5.6kg、平均BMIは22.4±2.4であった。棘下筋の計測部位は、棘下筋のみを計測できる部位として、棘下筋を皮下に直接計測可能な肩甲棘内側1/4、30mm尾側の筋腹にて計測した。計測肢位は椅子坐位で、体幹部は床に対し垂直となる中間位、上腕は体側につけ上腕長軸は床面と垂直に下垂し、肘関節90度屈曲位、肩関節内旋外旋中間位ならびに前腕回内回外中間位とする肢位で、前腕部の高さを調整したテーブルに乗せ、余計な筋収縮が入らずに安楽に配置できるように配慮した坐位姿勢を基本測定姿勢とした。測定は、肩関節中間位、肩関節最大外旋位、肩関節最大内旋位の3肢位である。肩甲骨へのプローブの接触角度は、肩甲骨の傾斜角に垂直とし、傾斜角度を左右ともに測定した。肩関節自動運動での内旋・外旋以外の代償運動が行われないように、第3者が肘関節部を固定して実施した。再現性の確認のために、測定は3日間に渡り実施し、代謝の影響を考慮して同一時間帯にて棘下筋厚を測定した。左右3肢位での棘下筋厚で得られたデータは、各肢位にて3回ずつ測定した際の平均計測値を級内相関係数ICC(1,3)を用いて検者内の信頼性について検討した。統計解析はSPSSを用い,一元配置分散分析により級内相関係数ICCを算出し検討した。<BR>【説明と同意】<BR>すべての被験者に対し、ヘルシンキ条約に基づき、書面にて研究内容を十分に説明し、同意を得た。<BR>【結果】<BR>画像測定での平均値は右中間位10.7±3.04mm、右内旋位9.3±2.32mm、右外旋位18.5±2.88mm、左中間位7.9±2.58mm、左内旋位7.2±1.82mm、左外旋位16.6±4.12mmであった。<BR>級内相関係数では、右中間位ICC=0.964、右内旋位ICC=0.845、右外旋位ICC=0.961、左中間位ICC=0.920、左内旋位ICC=0.958、左外旋位ICC=0.923となり、それぞれ高い信頼性を示した。<BR>【考察】<BR>今回の測定方法により、棘下筋厚の測定値において高い検者内信頼性が示された。測定肢位や検査方法に条件設定を細かく行ったことにより、再現性を高めることができた。今回高い再現性が示された理由として、棘下筋はランドマークがとりやすく、皮下より棘下筋のみの計測が可能なため、機器測定条件の設定が簡便であることがあげられる。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR>今後は得られた信頼性を基に適応を拡大し、肩関節疾患を有する患者に対し、理学療法の効果を超音波診断装置を用いて検討して行きたい。<BR>
著者
阪井 康友 門間 正彦 山田 哲
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.19-24, 2007-03

脳卒中運動麻痺の回復機序は,神経系リハビリテーションの中で関心を持たれる課題の一つである。本研究は,運動の学習過程に伴う小脳の賦活状況の把握を目的にした。研究方法は,健常者5名を対象に正弦波の手指トラッキング・タスクを連続6日間行った。そのタスクのデータから正確度を算出し,タスク遂行中にfunctional MRIを用いて大脳皮質と小脳の賦活状態を経時的(1,2,5,6日目)に測定した。結果は,全例において,タスク正確度(運動学習)は徐々に高まる傾向を示した。小脳領域の賦活(横断面積)については2日目で急速に賦活部位は縮小し,6日目まで賦活部位の面積は維持されていた。一方,大脳皮質における感覚,感覚連合,運動,運動前,視覚の領域の賦活状態は,1日目より2日目は賦活部位が収縮しており,手指トラッキング運動の学習過程に大脳皮質とともに小脳の関与も考えられた。