著者
塚田 学 斎藤 拓朗 土屋 貴男 佐藤 佳宏 見城 明 佐藤 直 阿部 幹 後藤 満一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1205-1209, 2003-08-01
参考文献数
23
被引用文献数
6

外傷性腹壁ヘルニアはまれな疾患である.今回,外傷直後にSpigelian腱膜部(傍腹直筋外緑部)に発症した外傷性腹壁ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は20歳の男性.平成13年6月10日,交通事故にて受傷し下腹部の痛みを主訴として当科へ搬送された.左右両側のSpigelian腱膜部にそれぞれ,自発痛と圧痛を伴う5×3cmの膨隆と3×2cmの腱膜欠損を触知した.腹部CT上,左傍腹直筋外縁の膨隆部には皮膚直下に小腸を認め嵌頓ヘルニアの状態であったが,徒手整復にて容易に還納できた.その他,腰椎骨折,左大腿骨骨折,肺挫傷,外傷性肝損傷(日本外傷学会分類Ib)を認めた.左大腿骨骨折に対する観血的整復術および腰椎骨折のため約3か月に及ぶ臥床を要し,この間の安静によりヘルニアは保存的に治癒した.外傷性腹壁ヘルニアは通常手術が必要とされているが本症例のように膨隆がなく経時的に腱膜欠損が縮小傾向を認める場合は保存的に治癒する可能性がある.
著者
亀井 淳志 阿部 幹雄 志村 俊昭 柚原 雅樹 大和田 正明 束田 和弘 外田 智千 木下 雅章
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.283-299, 2009-11-30

第50次日本南極地域観測隊(第50次隊)夏隊のセール・ロンダーネ山地地学調査隊は67日間におよぶ野外調査を行い,その間に必要な電力を太陽光発電で賄った.今回使用した太陽光発電システム(出力電圧約12 V)の1日あたりの発電量は6724 Ahであった.そして,この調査によって以下の3つの重要なことが明らかとなった.1)南極での野外調査生活に必要な電力は太陽光発電システムにより得ることが可能である.2)最大出力電流2.3 Aの太陽パネルは1日あたり910 Ahを発電する.3)夏季の南極は白夜のために日照が途絶える事はないが,当山地では0000 LTから0500 LT (昭和基地時刻) の間に太陽光発電ができない.
著者
小山内 康人 豊島 剛志 馬場 壮太郎 外田 智千 中野 伸彦 阿部 幹雄 足立 達朗
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.291-398, 2008-07-30

第49次日本南極地域観測隊(JARE-49)夏隊・セール・ロンダーネ山地地学調査隊は,ドロンイングモードランド航空ネットワークを利用して航空機で日本から直接南極内陸山地に赴き,2007年11月23日〜2008年2月5日の75日間,キャンプ生活を送りながらスノーモービルと徒歩によりセール・ロンダーネ山地中央部地域の地質学的野外調査を実施した.また,ベルギー基地,インド基地等を訪問し,国際交流を実施した.今回の野外調査は,航空機を利用した南極内陸地域野外調査の初の試みであり,2007年度にスタートした国際極年(IPY)とも連動した国立極地研究所の一般プロジェクト研究(課題番号P-5-1:代表・本吉洋一)の初年度調査でもある.本報告では,設営面での計画の立案・準備から実施経過に至る過程について詳しく述べる.
著者
上石 勲 山口 悟 佐藤 篤司 兒玉 裕二 尾関 俊浩 阿部 幹雄 樋口 和生 安間 莊 竹内 由香里 町田 敬 諸橋 良 後藤 聡 輿水 達司 内山 高 川田 邦夫 飯田 肇 和泉 薫 花岡 正明 岩崎 和彦 中野 剛士 福田 光男 池田 慎二 会田 健太郎 勝島 隆史
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.507-512, 2007-07-15
参考文献数
1

2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.