著者
矢野 悠久子 上田 愼治エジウソン 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.59, 2012

牛乳を原料としたプラスチックを家庭でも楽しめる造形材料として、生成方法と造形表現の可能性を検討した。牛乳に含まれるタンパク質であるカゼインを原料としたカゼイン樹脂は一般家庭でも作ることができる。同じく牛乳に含まれるタンパク質であるホエイプロテインからもプラスチックの生成が可能である。2つのプラスチックは食べられるもののみでできることから子供でも安心して扱える。まずこれらのプラスチックについて文献に基づいた生成実験を行い、さらに材料の混合比や加熱方法、膨張剤・食用色素の添加など条件を変えた実験を行った。カゼイン樹脂は皺ができ凸凹した見ためと感触が、ホエイプロテインを使ったプラスチックはツヤがありなめらかな感触が特徴的なものになった。また小学生に制作を体験してもらい、フィードバックを得た。これを基にそれぞれのプラスチックの特徴を活かした造形作品例を制作した。小学生を対象にしたワークショップや上級生が難しい作業をサポートできる縦割り活動などへの取り入れが期待できる。
著者
杉松 献理 上田 慎治 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.267, 2012 (Released:2012-06-11)

人は物体の形を見た際に様々な感情を抱きます。たとえば不安感や緊張感が感じられる物体からは同時に魅力が感じられます。本研究では,人が全体重をかけて 乗る自転車を不安感や緊張感の感じられる形にすることで日常では味わえない乗り心地が得られると考え,このことからワイヤーの柔軟性を利用したステアリン グ構造およびサスペンション機能を備えた,乗車可能な強度ある自転車フレームについて提案します。
著者
近藤 祐一郎 青木 弘行 宮崎 清
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.37-44, 1998-09-30 (Released:2017-07-21)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本研究は籾殻の炭化法を変化させることによって得られる性状の変化を確認し, それに基づいて稲作農村地域における水質浄化材などへの有効利活用法について探求したものである。実験では, 熱重量測定実験, 比表面積測定実験, 細孔分布測定実験を行い, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭は, 活性炭と比較して炭素分は少ない反面, 灰分(ミネラル分)は多い。しかし, 稲作農村地域では排水処理材の他にもさまざまな応用・展開が可能であり, 十分に利用価値のある資源である。 2)野焼き法で製造した籾殻燻炭は単位価格あたりに対する比表面積が高く, 活性炭や木炭と比べて経済的である。 3)被吸着物質に応じた細孔径を有する籾殻燻炭を, 炭化条件を変化させることにより製造することができる。 4)稲作農村地域では生活雑排水が水質汚染源であり, 野焼き法と320℃, 520℃で炭化した3種類の籾殻の併用が最も効果的である。
著者
宮崎 清 青木 弘行 田中 みなみ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.72, pp.67-74, 1989-03-31 (Released:2017-07-25)

本小論は、「伝統的工芸品・椀の意匠に関する研究(1)」に続いて、日本における椀の発生と歴史的発展過程に注目し、室町時代までの椀の造形的展開について、遺跡資料および絵画史料を手がかりとして、観察と解析を行ったものである。その結果、筆者は次の諸点を明らかにした。(1)日本における漆塗椀の原型は縄文時代に誕生し、弥生時代の轆轤技術、鉄器の導入を経て、挽物としての基本的な椀の制作技術がほぼ完成された。(2)飛鳥・奈良・平安時代には、大陸の食様式の導入ならびに主食副食分離の発展と対応してさまざまな形状の椀が制作され、現代の椀の造形文化がほぼ形成された。(3)鎌倉・室町時代に入ると、漆の塗分けや漆絵などの装飾技術が発達し、椀形状のバリエーションも一層豊かになった。桃山時代には、大陸の造形文化から独立した、日本固有の椀の造形文化が確立された。
著者
田中 佑弥 上田 慎治エジウソン 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.150, 2013 (Released:2013-06-20)

近年デザイン開発では製品・サービスなど基本的な機能である機能的価値に加えて、人の心地や感覚、感動といった感性的価値を考慮したものづくりが盛んに行われている。モノの長期使用を考えたとき、感性価値はなくてはならない要素であるが、機能的価値とは異なり主観的な価値であるため、使う人の年代や経験に左右されやすい。本研究ではこうした感性価値の中から実際の製品コンセプトとしても取り上げられることの多い「温もり」という印象に着目し、世代別の価値観の違いを共分散構造分析(SEM)を用いた因果モデルにより視覚的に表し、各世代の評価差を明らかにすることを目的とした。20代、40代、50代の各世代の因果モデルの比較によって、20代の世代が「生物的な」という評価項目に対して「温もり」を感じていることがわかった。この傾向は他の世代では見られず、20代に特有のものであった。そこで、「生物的な」という感性的価値をデザイン要件とした検証モデルを複数制作し、実際に20代の被験者を用いてVAS法とSD法による印象評価を行い検証した。
著者
齋藤 力也 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.A19, 2007 (Released:2007-06-09)

若い世代を中心に製品選択の意識や情報機器の使用状況は他の世代と比べて特殊に感じられる。接触や使用頻度が高く、仕事やコミュニケーションツールとして多面的に機能するパソコンや携帯電話であるが、買い替えは頻繁に行われる。そこで、製品に抱く愛着やパートナーシップを定量的に分析し、生活者の意識とモノに抱く愛着の関係性および生活観ごとに重要視されている要因を探り、モノの評価構造を解明することを目的とした。 結果として、情報機器への仲間意識や親しみなどの愛着感が見られたことから、「使い込むことによる充実感」が得られる可能性が示唆された。生活者の中には複数の携帯電話をシーンに合わせて使い分ける者や、これ以上新機能は不要で、壊れても生産中止でない場合は再び購入したいという「お気に入り」やファン心理の存在も確認された。
著者
久保 光徳 矢久保 空遥 田内 隆利 寺内 文雄 青木 弘行
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.75-78, 2011-09-30 (Released:2017-08-31)
参考文献数
7

人の手によって自然発生的に生み出され,そして日常において使用されて来ている民具の一つの背負子の形状に注目し,そこに隠されていると思われる力学的な意味を明らかにするために,初等的な材料力学および構造力学の手法を用いて力学的な形状評価を試みた。背負子が背負われた時の力学的状況をシミュレートするための典型的な背負子の有限要素モデルを定義した。この有限要素モデルに実際の使用を想定した荷重条件を与え算出した背負子上の応力分布から,応力の主軸,せん断力,曲げモーメントの分布が求められた。そしてその結果に従って,さらに単純化された背負子の材料力学モデルを定義し,より単純化された形においてその形状の力学的意味を検討した。その結果,この材料力学モデルによる背負子形状の検討を通して,この背負子形状が,形状全体において,最適形状の一つである等応力形状に準ずる形であることを明らかにした。
著者
久保 英俊 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行 鈴木 邁
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 45
巻号頁・発行日
pp.284-285, 1998-10-30 (Released:2017-11-08)

The purpose of this paper is to clarify the effect of material of a beer cup on its taste from the view point of the froth on beer. First, the height of froth layer of beer had been measured in the two cups made of glass and ceramic respectively, after it had just poured into a cup. Next, the taste of beer were evaluated with five kinds of cup : each cup was made of different material. Two kinds of beer was also evaluated to examine the influence of material by a kind of beer. It was suggested the difference of material of cup affects to frothing because of the surface property and the taste of beer depends on the kind of not only material but also beer.
著者
久保 光徳 寺内 文雄 青木 弘行 古沢 克仁
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.31-36, 2008-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
8

軟質ポリウレタンフォーム製のシートクッションを持つ自動車用シートに着座するヒトの基本的な振動挙動を,有限要素法に従ってモデル化された3次元のデジタルヒューマンにより再現した。本研究では,自動車用シートに着座するヒトの振動特性と乗り心地との関係を明らかにするために,実シートに対する乗り心地評価実験と,その実験条件を再現したデジタルヒューマンーシートモデル振動系のシミュレーションを実施し,両者の比較・検討を行った。結果として,実シート実験において,2,4Hzでは上下方向の振動を支配するシートの材料物性値が乗り心地に強く影響を与えるのに対し,6,8Hzでは前後方向の振動を支配する材料物性値が乗り心地に影響を与えることが示唆された。この関係は、デジタルヒューマンを用いた振動シミュレーションにより,6,8Hzでの上下方向加振に対する前後方向振動の連成振動によるものであることが明らかとなった。
著者
久保 光徳 寺内 文雄 青木 弘行 田内 隆利
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究はまず,1/fゆらぎを持った三次元形状が心地よさ(情動)に与える効果に着目し、このゆらぎを適用した立体格子と規則的に配列された立体格子を制作し,両者を心理的・生理的な観点から評価することで,心地よさ(情動)に及ぼす1/fゆらぎの影響を立体格子形状を通して明らかにすることを試みた。結果として,1/fゆらぎを持った立体格子は,その触り心地や自然な外観が心地よさ(情動)を提供する造形要因となりうることが示唆された。次に,デザインプロセスにおける"発想の飛躍(気づき)"をモデル化するために,一般的なデザインプロセスを表現する平面(デザインプロセス平面)を定義し,それに直交する平面を,プロセスを通してデザイン実践者が持つと想定できる情動やイメージを示す平面としてのイメージ平面を定義し"気づき"を図式化することの可能性を示唆した。最後にこの心地よさと気づきをいずれも情動と理性との複合空間により説明できるとし,基本的な情動モデルの提案を行った。
著者
橋本 英治 寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究. 研究発表大会概要集 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
no.48, pp.226-227, 2001-10-15

In this paper, by studying various sensory elements of industrial products and causal relationships due to the occurrence of affections toward products, the primary factors for the occurrence of affections and the tendencies toward the products were investigated with the model indicating users' tendencies to the products and the corresponding relationship was found. A questionnaire had been carried out and as a result from the survey, four groups of tendencies were obtained. For each group, SEM(Structural Equation Modeling) was used to construct the model for causal relationships of the occurrence of affection. Subsequently, the differences for causal relationships due to various tendencies toward products were clarified.
著者
青木 弘行 ZAFARMAND Seyed Javad
出版者
千葉大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

研究実施計画に従って,2年目は調査対象/調査内容の再構築を行い,その枠組みを3種類[【○!a】ライフサイクルが短く短期間の使用で買い換えが行なわれる製品(具体的には携帯電話),【○!b】長期に渡って使い続けられる製品(伝統的工芸品や家具類),【○!c】両者の中間に位置づけられる製品(乗用車)]の製品と社会的文脈比較[日本,イラン]の3×2=6水準として展開した,そして,(1)[日本における【○!a】【○!b】【○!c】とイランにおける【○!a】]に関しては評価対象者の属性をさらに拡充して既得知見の信頼性向上と,(2)[イランにおける【○!b】【○!c】]のデータ収集を目的とした.一方,(3)[日本における【○!a】【○!b】【○!c】比較イランにおける【○!a】【○!b】【○!c】比較,両国【○!a】【○!b】【○!c】における社会的文脈比較]を使用シーンから分析し,各製品における感性評価構造の推移を明らかにした.最終的には,味わいや愛着をはじめとした感性的要因を明確化し,(4)美的サステナビリティに対する概念モデルの構築,(5)感性評価構造と社会的文脈に配慮し,人工物設計のためのガイドライン構築の可能性を検討した.サステナビリティに関する既往研究の大部分は,未だ概念的な域を脱しきれていないのが現状である.それに対して申請者らが行った研究内容は,サステナビリティに関する概念を具体的にどのように製品展開に反映すべきかという視点を提示するものとして,次世代におけるモノづくりのあり方を規定する大きな要件になると考える.大量生産・大量消費・大量廃棄時代が終焉を迎えている今日的状況において,製品を[つかいこなす]行為を実現する設計方法論の構築が,社会的・環境的・経済的負荷を可能な限り軽減することに大きく貢献するはずである.このことは,次世代の問題解決手法と期待され胎動しつつある学術領域[サービス・デザイン]のありようにも大きな影響を及ぼすことになり,新たなブレーク・スルーに繋がると確信している.
著者
寺内 文雄 久保 光徳 青木 弘行
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,触知覚や操作に対するフィードバック感覚を利用して,直感的に情報を伝達するための方策について検討した。具体的には,飲料の種類を識別できる飲料パッケージ用触覚記号や薬剤の種類を示唆するパッケージ用触覚記号を提案することと,押しボタンスイッチの操作感とスイッチの物理特性の関係を解明することを試みた。本研究の結果は以下のように要約できる。1)晴眼者と視覚障害者を対象とした実験によって,内容物に対応した飲料パッケージ用触覚記号の形状と材質を明らかにした。2)薬剤パッケージを対象として,薬効を示唆する触覚記号と容量の異なるパッケージが存在することを伝える触覚記号の具体案を示した。3)押しボタンスイッチを対象として,スイッチの操作感と操作目的,スイッチの物理特性の関係との対応関係を明らかにした。さらに,スイッチの操作感評価においては,時間の要因を考慮する必要があることを示唆した。
著者
近藤 祐一郎 長瀬 公秀 青木 弘行 宮崎 清
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.45-52, 1998-09-30
被引用文献数
1

青森県稲垣村をケーススタディとして, 籾殻燻炭を用いた生活排水路の水質浄化実験を行った。実験は中期測定(朝8時と夕4時の1日2回, 10日間連続して測定)と, 短期測定(朝6時から夜10時まで2時間毎に測定)を行った。そして, 籾殻燻炭を設置した上流と下流の水質に対して, 水素イオン指数, 導電率, 濁度, 溶存酸素, 水温, 水深, 流速を測定した。実験の結果, 以下の知見を得た。1)籾殻燻炭を通過した排水は, 魚類が繁殖可能な値まで水素イオン指数が上昇し, 稲が生長可能な値まで溶存酸素が増加することを確認した。 2)籾殻燻炭を設置した区間内で, 従来まで確認することのできなかった水棲生物を確認した。これは, 指標生物学的に排水路の水質が浄化されたと判断することができる。 3)水質浄化活動を住民が目に見える形で行うことによって, 環境美化に発展することを確認した。