著者
青村 茂
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.212-218, 2012 (Released:2016-04-15)
参考文献数
12

人間が頭部に衝撃を受けると局在性脳損傷,或は脳震盪やびまん性軸索損傷(DAI)等を発症する.局在性脳損傷は脳表面の局部的なひずみや急激な圧力変動により引き起こされ,DAI 等は脳内の広範囲に発生するせん断応力やひずみが原因である.これらは脳の活動に重大な影響を及ぼし,時には死に至ることもある.衝撃と一口に言っても転倒や転落,凶器や拳での殴打から交通事故やスポーツ中の事故など様々で,衝撃時の微妙な状況の違いで実に様々な症状を呈するが,その因果関係は力学的に説明されるべきことである.本解説では,人間の最も重要な部位である頭部が衝撃を受けた際に頭蓋内で何が起こり,その結果どのような症状が発症するのかそのメカニズムを,数値計算や細胞実験をもとに実際の事故の症例の検証もまじえながら力学的観点から解説する.それらを元に,さらに,現在の最先端の研究を紹介し今後の発展についても言及する.
著者
安藤 啓太 青村 茂 渡邉 誉幸 中楯 浩康
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2013年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.277-278, 2013-02-27 (Released:2013-08-27)

本研究ではヴァイオリン演奏を指標に人間の高度な身体制御の解析を行い、ヴァイオリン演奏ロボットで再現することを目的としている.弓圧と弓速の推移を入力すると弦の振動をシミュレートする擦弦振動シミュレータによって弓圧と弓速のコントロールの仕方を導き出すことを目標とし,このシミュレータを用いて弦の弾き初めの際に速やかにヘルムホルツ振動に至ることができる弓速と弓圧の値を求める.
著者
韓 露 中楯 浩康 青村 茂 張 月琳 松田 雅弘 小山 貴之
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp."C-11-1"-"C-11-6", 2015-10-30

In this study, Judo and American Football (AF) are spotlighted as typical physical contact sports that concussion or subdural hematoma could happen during a play. In Judo, "waza" to cause a risk to hit a head on a tatami were performed by Judo players and recorded by VICON system and the motions were reconstructed by MADYMO by using VICON data and kinetic data and hit part were generated. In Americal football, the moment of concussion was reconstructed by MADYMO by observing the accident data in real play recorded on a video and kinetic data and hit pat were generated. In both cases the strain and stress of the brain tissue were calculated in detail by the FE human head model and injury risk was predicted, respectively.
著者
安藤 啓太 青村 茂 中楯 浩康 許 翔宇
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.909-910, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

本研究ではヴァイオリン演奏ロボットによる演奏再現を目的としている.演奏動作において音質に最も影響を与える動作は運弓動作である.その力学的パラメータとして,弓速と弓圧が挙げられ,これらのパラメータを的確に制御する必要がある.本研究室のロボットは弓圧制御を空気圧シリンダで行っており,本発表では空気圧シリンダによる弓圧制御の確立に関して述べる.
著者
佐藤 陽輔 青村 茂 中楯 浩康 西本 晃史
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2009年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.1005-1006, 2009 (Released:2010-02-25)

ヴァイオリンの音色はボーイング動作に依るところが大きい.このボーイング動作における重要なパラメータとして弓速と弓圧の二つが考えられ,昔から弓速と弓圧は常に一定が良いと言われてきた.我々は,人間の演奏時の弓速と弓圧を計測し,その測定した弓速と弓圧を参考にして,ボーイング装置による演奏を行った.その結果,音を出す瞬間に弓圧を一時的に高くすることで,鋭い立ち上がりが得られ,充実した音を創ることが出来た.
著者
青村 茂 角田 陽 中楯 浩康
出版者
首都大学東京
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

血液脳関門(BBB)は,血液から中枢神経系に取り入れる物質の選択や,血液中に有害と判断される物質が存在した場合,脳や脊髄への侵入を防ぐ脳毛細血管の機能である.頭部外傷時に頭蓋内で発生する衝撃圧力とBBB破綻のメカニズムを明らかにするため,BBBを構成する脳毛細血管内皮細胞,アストロサイト,ペリサイトを播種したin vitro BBBモデルに衝撃圧力を負荷し,BBBのバリア機能を経内皮電気抵抗値(TEER)で評価した.衝撃圧力が脳毛細血管のバリア機能を低下させ,BBBの破綻に繋がることを示した.
著者
青村 茂
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2015年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.925-926, 2015-03-01 (Released:2015-09-01)

人間の頭部が強い衝撃を受けると脳の活動に重大な影響を及ぼし,死亡したり高次脳機能障害を発症する.原因は転倒や転落,凶器や拳での殴打から交通事故やスポーツ中の事故など様々で,症状との因果関係は力学的に説明されるべきであるがその実態は殆ど知られていない.本講演では様々な頭部外傷の発症メカニズムを計算力学や細胞実験をもとに,最先端の研究や実際の事故症例の検証と共に解説し,今後のあるべき対処法に言及する.
著者
薮 謙一郎 井越 昌紀 青村 茂
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集 : JSME annual meeting
巻号頁・発行日
vol.2005, no.5, pp.221-222, 2005-09-18
被引用文献数
1

One of our authors has articulation handicap and feels strongly the importance of the voice information in conversation that cannot be expressed with texts. We are considering about a system which makes the indistinct sound clear and which keeps the speaker's feature of voice as much as possible. We examined some methods. In the experiment using single Mora, by adding clear consonant waveform to the indistinct sound, unvoiced consonant and some voiced consonant have been made clear. Moreover, the vowel has also been made clear using wavelet transform ation. Also, we used the wavelet transformation for speech recognition, and it modestly recognized some indistinct sound.
著者
藪 謙一郎 伊福部 達 青村 茂
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.117-124, 2009-09-25
参考文献数
12
被引用文献数
1

我々は先に発話障害者のために,ユーザ自身の手指の動きからリアルタイムに音声を生成する発話支援方式を提案し,ペンタブレットと小型パソコン(PC)を用いた音声生成器を試作した。その評価実験から,子音を含むような連続音声やリズムをつけた音声を生成できることを示した。本論文ではさらに,表現を豊かにするために抑揚やメロディを付加する方法を提案した。具体的には,(1)押圧センサを持つタッチパネルを利用して押圧力で抑揚を制御する方法,および(2)本音声合成器と音楽用MIDIキーボードとを接続してメロディを表出させる方法を考案し,有用性を評価した。方法(1)では,笑い声や動揺を表わすような感情表現を作り出せること,方法(2)では,短時間の練習で童謡などの簡単な歌を歌わせることができた。以上から,これらの方式は,家族間の会話あるいは音声リハビリテーション時において,リアルタイムに感情を表現する補助手段として効果的であることが示唆された。