著者
山藤 千草 杉山 美紀子 三浦 健太郎 北見 由季 末木 博彦 飯島 正文 山本 雄一 上里 博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.355-359, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
18

71歳,男性。40年来熱帯魚屋を経営している。約4ヵ月前より右手背の紅斑に気づき,ステロイド外用剤で加療するも軽快せず当科を受診した。初診時,右手背に24×20mmの暗紅色の扁平に隆起した浸潤性紅斑を認めた。病理組織所見では非乾酪壊死性類上皮細胞性肉芽腫像を示した。組織のZiehl Neelsen染色では抗酸菌は陰性だったが,組織片の塗抹標本では全視野で1~4個の抗酸菌を認めた。組織片の培養(小川培地)では表面が淡いクリーム状のコロニーを認め,生化学的性状より本菌をMycobacterium(以下M.)marinumと同定した。さらに分離培養株を対象にPCRおよびダイレクトシークエンス解析を行いM. marinumと確定した。塩酸ミノサイクリン 200mg/日の内服で8週間後に瘢痕治癒した。