著者
佐藤 健二 田口 博康 吉川 邦彦
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.172-176, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

色素性乾皮症 (XP) 患者が外出する場合厳密な紫外線遮断が必要である。これまでその目的の為に試作した服は, 紫外線遮断は充分であるが少し暑いと言う欠点があった。最近セラミックス練り込みポリマーを使用したポリエステル繊維 (パコニア®) が発売された。その中の製品番号62011は, 可視域については最大0.26%, 紫外域については最大0.36%の低い透過率を有していた。可視光線に対する62011の反射率は高くまた軽いため, あまり暑さを感じさせない着心地の良い服地であることが30余名のXP患者の試着により分かった。本服地は、色素性乾皮症患者だけでなく他の光線過敏症患者も利用し得る夏用服地であることがわかった。
著者
駒村 公美 吉川 邦彦 東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.101-104, 1997

敏感肌用化粧品として開発された化粧品について, 接触皮膚炎患者58例 (内アトピー性皮膚炎を合併した患者12例), アトピー性皮膚炎患者15例 (内接触皮膚炎を合併した患者12例) の計61例を対象として, 2施設でパッチテストを施行した。使用した試料は, 美白美容液 (ホワイトニングエッセンス), 保湿美容液 (モイスチュアコンセントレイト), 保湿パック (モイスチュアパック) の計3種で, すべてasisで, 対照として白色ワセリンおよび蒸留水を用いた。皮膚刺激指数は, 2.5から4.1であった。疾患別では, 接触皮膚炎群の, 保湿美容液の皮膚刺激指数4.3が最も高かった。
著者
櫻根 純子 福原 佐保 佐野 榮紀 田所 丈嗣 浅田 秀夫 板見 智 吉川 邦彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.162-166, 2000

原発性肢端紅痛症の27歳と6歳の母娘例を報告した。母娘共に幼少時より両足から下腿にかけて潮紅, 灼熱感, 疼痛を認め, 成長につれて症状は増悪した。持続性疼痛に対し消炎鎮痛剤等の投与は無効であったが, 冷水浸漬によりわずかに緩和された。なお母の姉にも同症を認めた。この3例はいずれも血液疾患などの基礎疾患は認めなかった。以上より家族性原発性肢端紅痛症と診断した。母娘ともにserotoninreuptake inhibitorである塩酸クロミプラミンを投与し, いずれも症状の著明な軽減を認めた。
著者
吉川 邦彦 山田 徹太郎 藤本 圭一 川内 勉 奥村 睦子 橋本 公二 岩佐 真人 羽白 誠 貝原 弘章 川津 智是 太田 純子 畑清 一郎 井上 千津子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.195-202, 1993

自律神経調整剤グランダキシン<SUP>&reg;</SUP> (Tofisopam) の皮膚疾患に対する有効性, 安全性および有用性について検討した。対象症例数は53例であった。有用以上と判定された症例は皮膚騒痒症14例中5例36%, 限局性皮膚騒痒症7例中5例71%, 慢性蕁麻疹16例中5例31%, 多汗症11例中5例45%, 異汗性湿疹5例中2例40%であった。以上より, ゲランダキシンはこれらの皮膚疾患に対して有用性があり, 試みる価値のある薬剤と考えた。
著者
寿 順久 小豆澤 宏明 西田 陽子 室田 浩之 片山 一朗 吉川 邦彦
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1510-1514, 2007

症例は33歳の女性.赤い食品の摂取後に出現する顔面を中心とした膨疹,嘔吐,下痢,呼吸困難などの症状を主訴に来院.紅白蒲鉾の負荷試験にて膨疹の出現を認め,紅色の色素成分であるコチニールのプリックテストにても陽性反応を確認した.さらにコチニールの主成分であるカルミン酸を用いた,プリックテスト,スクラッチテストは共に陽性であったため,本症例をカルミン酸によって誘発された蕁麻疹と診断した.コチニール色素はカイガラムシから抽出される紅色の天然色素で,食品や衣類などの染色に幅広く応用されている.近年コチニール色素が原因と考えられる1型アレルギーの報告が散見されるようになり,その背景に関する考察を加え報告する.