著者
中村 光裕 上村 康二 根本 治 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.311-316, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
8
被引用文献数
4

保湿剤の適切な用法・用量を検討するべく,保湿剤ヒルドイド®ソフト(マルホ株式会社)とヒルドイド®ローション(マルホ株式会社)を用いて,保湿剤におけるFinger-tip Unit(FTU)の検証と人工的乾燥皮膚を対象に塗布量と保湿効果,塗布回数と保湿効果,入浴後の塗布タイミングと保湿効果の関係について検討した。その結果,FTUは簡便かつ信頼できる方法となりうること,また,保湿剤は適量と感じるよりやや多く,かつ回数も多く塗布し,入浴後は早めに塗布した方が高い保湿効果が得られることが示唆された。
著者
宮地 良樹 Mizzi Fabienne 三田 哲也 白 立岩 生駒 晃彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.294-307, 2016

目的:本治験は,アダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルを日本人尋常性ざ瘡患者に12ヶ月間の長期投与をした場合における安全性と有効性を検討することを目的として施行された。<BR>方法:多施設共同,非盲検,非比較,長期投与第III相臨床試験で,治験薬は12ヶ月間,1日1回,計436例の被験者の顔面全体に塗布された。安全性は有害事象や局所刺激性評価などの指標を用いて評価した。有効性は皮疹数の12ヶ月目の減少率によって評価した。<BR>結果:計47件の治験薬と関連のある有害事象が43例(9.9%)の被験者において報告され,このうち9例が治験を中止した。治験薬と関連のある有害事象の発生頻度は第1期(投与開始後90日以内)が最も高かった。治験薬と関連のある有害事象の大半は皮膚関連で,そのうち皮膚刺激が最も多かった。皮膚刺激の発生頻度は第一期で5.5%であった。局所刺激の徴候・症状の程度は,ほとんどが軽症か中等症で,重症であった被験者は極少数であった。有効性に関しては,12ヶ月目のベースラインと比べた皮疹数の減少率は,総皮疹数,炎症性皮疹数,非炎症性皮疹数のいずれにおいても85%を超えていた。<BR>結論:本試験により,日本人尋常性ざ瘡患者におけるアダパレン0.1%と過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルの長期投与の高い有効性と安全性が示された。(皮膚の科学,15: 294-307, 2016)
著者
川島 眞 原田 昭太郎 Philippe Andres 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.504-512, 2007

尋常性ざ瘡は慢性疾患であるため,短期的な治療効果を維持するとともに,患者の期待に応える効果を得るためには長期間の治療を要する場合が多い。本試験は,日本人の尋常性ざ瘡患者に対し,アダパレンゲル0.1%を1日1回,最長12ヵ月間投与した場合の安全性及び有効性の評価を目的として実施した。446例の男女の被験者が組み入れられ,404例(91%)が6ヵ月間以上の投与を受け,357例(80%)が12ヵ月間の試験期間を完了した。尋常性ざ瘡患者に対する,最長12ヵ月間のアダパレン治療は高い安全性及び忍容性を示した。有害事象のほとんどが試験開始後2週間以内に生じた軽度又は中等度の一過性のものであった。9例(2.0%),13件の重篤な有害事象が発現したものの,いずれも被験薬との因果関係はなしと評価された。8例(1.8%)に試験中止につながる有害事象が発現し,被験薬との因果関係ありと評価された。総皮疹数,炎症性皮疹数及び非炎症性皮疹数の減少率(中央値)により評価されたアダパレンゲル0.1%の治療効果は,いずれの皮疹数についても試験開始3ヵ月後以降も認められ,その後6ヵ月後,さらに12ヵ月後まで継続した。このことから,アダパレンによる尋常性ざ瘡の治療期間として推奨される3ヵ月間の治療後にも継続投与することの臨床的意義が示唆された。また,被験者は試験終了時に実施した調査において,治療に対する高い満足度を示した。この満足度は,12ヵ月の試験中,経時的に増加した。以上より,日本人の尋常性ざ瘡患者にアダパレンを12ヵ月にわたり長期に使用することは,安全かつ有効な治療であることが支持された。
著者
宮地良樹
雑誌
皮膚病診療
巻号頁・発行日
vol.30, pp.331-341, 2008
被引用文献数
1
著者
常深 祐一郎 五十嵐 敦之 佐伯 秀久 宮地 良樹 川島 眞
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.6, pp.1511-1524, 2021-05-20 (Released:2021-05-20)
参考文献数
23

皮脂欠乏症に対する認識とその治療実態を把握するために,皮膚科,小児科を始め複数の診療科の医師1,088名にアンケートを実施した.その結果,臨床現場では,皮膚科医に限らず広い領域の診療科の医師は,多くの疾患や状態が皮脂欠乏症をきたしうることを認識しており,その皮脂欠乏症は治療が必要で,医療用保湿剤が重要であると考えている.一方で多くの医師は軽症の場合には医療費も意識してセルフメディケーションを活用することや,美容目的には処方しないようにしているなど,保険診療の枠組みも意識していることが明らかになった.
著者
川島 眞 宮地 良樹
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.732-741, 2017 (Released:2018-06-27)
参考文献数
6

要旨 本邦の痤瘡診療のさらなる向上のための啓発が求められていることから,現状を把握するために一般人を対象として、痤瘡およびその治療に関する知識,受療行動について実態調査を実施した。 インターネットの一般モニターを対象に調査を実施し,10歳代から50歳代の2,434名(男性1,226名,女性1,208名)から有効回答が得られた。痤瘡に罹患した経験がある人は男性で79.0%,女性で82.5%,全体では80.7%であった。現在,痤瘡の症状がある人では面皰主体である人を含め,男女共に80%以上が軽症であった。 医療機関の受診率は男性で14.6%,女性で18.6%,全体で16.8%であった。受診後の通院継続率は,男性が65.9%に対して,女性では33.3%しか継続していなかった。医療機関を受診しなかった理由としては,自然治癒を期待して待つとの回答が半数以上を占めていた。 受診時に処方された内服薬は,内服抗菌薬が男性で65.8%、女性で43.1%と最も多く、次いでビタミン剤,漢方であった。外用薬はほとんどの受診者に処方されていたが,外用抗菌薬は男性で63.2%,女性で49.7%であった。外用抗菌薬と同時に処方された外用薬は,アダパレンが男性で34.2%,女性で14.9%,過酸化ベンゾイルが男性で21.1%,女性で5.4%であった。一方,外用抗菌薬が単独で処方されていたのは,男性で23.7%,女性で48.6%であった。受診時の総合満足度は,非常に満足が男性9.2%,女性10.8%であった。 今回の調査から,痤瘡患者の受療行動は必ずしも積極的とはいえず,また,医療機関側でも内服抗菌薬の選択や耐性菌回避のための併用療法,維持療法の導入などを勧めた尋常性痤瘡治療ガイドラインが必ずしも遵守されていない現実が示された。また,患者および医療従事者に向けても新しい痤瘡治療薬や維持療法の重要性に関する情報提供が必要と考えた。
著者
宮地 良樹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.431-433, 2003-04-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
河野 善行 宮地 良樹
出版者
日本炎症・再生医学会
雑誌
炎症 (ISSN:03894290)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.119-129, 2000-03-29 (Released:2010-04-12)
参考文献数
27

Cosmetics and Quasi-drugs will play new important roles in the aging and stressful society. We have proposed 3 clinical approaches, i.e., anti drying, anti-UV radiation and antioxidation to prevent the skin disorders and aging. Especially, the importance of anti-oxidation is discussed in this paper. The results of the investigation of the peroxidation on the skin surface using a CL-HPLC system, it was considered that singlet oxygen was the key active oxygen species on a human skin. We have clarified the reaction rate constants of the skin surface lipids and thiotaurine with singlet oxygen. Thiotaurine is known as a compound in a metabolism of sulfur containing amino acids in a mammal. We propose that the reconstruction and the reinforcement of the anti-oxidation mechanism in the living system will be useful new clinical approaches in the skin.
著者
林 伸和 佐々木 優 黒川 一郎 谷岡 未樹 古川 福実 宮地 良樹 山本 有紀 川島 眞
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.629-634, 2021 (Released:2021-10-06)
参考文献数
3

経口イソトレチノインは,皮脂の分泌と毛包漏斗部の角化異常を抑制することで痤瘡を改善することから,海外では集簇性痤瘡あるいは重症・最重症の尋常性痤瘡に対して推奨されているが,本邦では未承認である.そこで,本邦における集簇性痤瘡や重症・最重症の尋常性痤瘡の患者数や現状での治療状況,イソトレチノインに対する考え,使用実態などについて日本臨床皮膚医会(日臨皮)と日本美容皮膚科学会(美容皮膚)の会員を対象に調査を行った. 日臨皮会員4,539名中565名(12.4%),美容皮膚会員2,711名中の158名(5.8%)から回答を得た.その結果,「男性に好発し、顔面のみならず胸背部に、多数の面皰と嚢腫・結節の多発をみる難治性の痤瘡ないし膿皮症の一型」と定義した集簇性痤瘡を両学会会員の85.6%が経験し,うち48.6%が年間1~2例を経験していた.また,経験者の81.7%は「標準治療だけでは治療不可能」と回答し,81.5%は経口イソトレチノインが「必要」,あるいは「必要性がとても高い」と考えていた.従来の治療で十分な効果が得られない重症・最重症の尋常性痤瘡については,90.8%が何らかの形で経験しており,そのうちの75.0%が経口イソトレチノインが「必要」あるいは「必要性が高い」と回答していた.また,何らかの手段でイソトレチノインを現在処方している医師の割合は全体の5.1%(美容皮膚会員15.8%,日臨皮会員2.1%)であった. 本調査では,集簇性痤瘡および従来の治療で十分な効果が得られない重症・最重症の尋常性痤瘡は,稀ではあるが皮膚科医が経験する症状であり,それに対して海外のガイドラインで推奨されている経口イソトレチノインへの期待が高いことが示唆された.経口イソトレチノインの必要性は高く,一部の皮膚科医がすでに処方している実態がある.しかし,催奇形性等の重大な副作用を伴うことから,十分な管理の下で経口イソトレチノインは使用されるべきである.現状の使用状況をより好ましい形にするために,安全性と有効性を確認する臨床試験を経たうえで,早期に薬事承認を目指す必要があると考えた.
著者
宮地 良樹 中村 元信 荒川 明子
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

円形脱毛症の中には、多発型円形脱毛症あるいは全頭部に拡大する全頭型脱毛症、眉毛や体毛の脱毛もある汎発型脱毛症があり、ステロイドの外用、内服、局所免疫療法、光線療法などの既存の治療法に反応しないことが多い。私たちは円形脱毛症の病因が制御性T細胞の機能不全であるという仮説のもと、坂口志文教授らとの共同研究で円形脱毛症患者の末梢血を解析し、有意な制御性T細胞減少があることをすでに見いだしている。自己免疫疾患マウスに制御性T細胞を移入すると自己免疫反応を抑制できるため、制御性T細胞操作の治療への応用が期待されている。我々はまず円形脱毛症を自然発症するC3H/HeJマウスの皮膚局所へ制御性T細胞を投与し、人体に応用する前にまず、円形脱毛症モデルマウスC3H/HeJマウスへの治療効果を検討する。(1)C3H/HeJマウスCD4陽性細胞をソーティングする。(2)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクト(3)C3H/HeJマウスの末梢血、脾臓、胸腺を採取する。(4)CD4陽性CD25陽性細胞をソーティングする。(5)FoxP3発現用レトロウイルスをトランスフェクトしたCD4陽性細胞とCD4陽性CD25陽性制御性T細胞をそれぞれC3H/HeJマウスの脱毛斑に局所投(6)外毛根鞘細胞のMHCclassI、II蛋白の発現量、インターフェロンガンマの産生を定量する。
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
中村 正 佐藤 広隆 芋川 玄爾 宮地 良樹
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.264-269, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

アトピックドライスキンに対するスキンケア剤使用の有用性を検討するために, 洗浄剤, クリーム及び入浴剤を用いて使用試験を行った. その結果, 角質層セラミド量の増加による皮膚バリア機能の回復が認められた. また, 試験前後の肌状態を観察した結果, ほとんどの症例において乾燥の改善が見られるなど多くの被験者で肌状態の改善が認められ, 高い有用性を示すことがわかった. また, 本試験品に起因する副作用は認められなかった.以上より, 本スキンケア剤は, 日常のスキンケアにおいてアトピックドライスキンの皮膚機能を回復し, 症状の緩和及び悪化防止に有用であることが明らかとなった.