著者
吉川 邦彦 山田 徹太郎 藤本 圭一 川内 勉 奥村 睦子 橋本 公二 岩佐 真人 羽白 誠 貝原 弘章 川津 智是 太田 純子 畑清 一郎 井上 千津子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.195-202, 1993

自律神経調整剤グランダキシン<SUP>&reg;</SUP> (Tofisopam) の皮膚疾患に対する有効性, 安全性および有用性について検討した。対象症例数は53例であった。有用以上と判定された症例は皮膚騒痒症14例中5例36%, 限局性皮膚騒痒症7例中5例71%, 慢性蕁麻疹16例中5例31%, 多汗症11例中5例45%, 異汗性湿疹5例中2例40%であった。以上より, ゲランダキシンはこれらの皮膚疾患に対して有用性があり, 試みる価値のある薬剤と考えた。
著者
渡部 裕子 難波 千佳 藤山 幹子 町野 博 橋本 公二
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5, pp.863-867, 2011-05-20 (Released:2014-11-13)

2009年8月から12月にかけて,愛媛県松山市周辺の皮膚科で,小児32名,成人7名の患者で爪変形,爪甲脱落の発生が確認され,そのうち4名を除く35名で発症の1~2カ月前に手足口病の既往があった.そのうち10名の患者で中和抗体価を測定したところ,全例でコクサッキーウイルスA6が8~128 倍の陽性所見を示した.これは爪変形,爪甲脱落を来す手足口病の本邦における最初の報告である.
著者
竹之下 秀雄 山本 俊幸 藤山 幹子 橋本 公二
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.476-482, 2009-11-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
5
被引用文献数
1

59歳,女性。非定型精神病のためカルバマゼピンが処方され,約1か月後に発熱と皮疹が出現した。当科初診時,38°C台の発熱,全身性に浮腫性の播種性紅斑丘疹型の皮疹がみられ,紅皮症状態を呈し,頸部リンパ節が腫脹し,肝機能障害もみられた。初診の3日目には急性汎発性発疹性膿疱症様状態となった。プレドニゾロン50mg/日の全身投与を開始し,徐々に改善傾向を示した。経過中,軽度の膵炎を発症したが治療の必要はなかった。ヒトヘルペスウイルス6型DNAが,全血中より2期間にわたって検出され,この期間は,血清中のアミラーゼ値とリパーゼ値の上昇期間と一致していた。以上より本例を,経過中に急性汎発性発疹性膿疱症を呈し,膵炎を発症したカルバマゼピンによる薬剤性過敏症症候群と診断した。
著者
藤山 幹子 橋本 公二
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.23-30, 2009-06-25 (Released:2010-02-01)
参考文献数
31
被引用文献数
2 3

薬剤性過敏症症候群は,発熱と多臓器障害を伴い遷延する薬疹である.抗けいれん薬,アロプリノール,サラゾスルファピリジン,ジアフェニルスルフォン,メキシレチン,ミノサイクリンが原因となる.その大きな特徴は,発症後10日から30日の間のある時期に,HHV-6の再活性化を伴うことにある.HHV-6の再活性化は,血液,血清中のHHV-6 DNAの検出と著明なIgG抗体価の上昇で確認される.HHV-6の再活性化に際して,発熱と肝障害を認めることが多い.薬剤性過敏症症候群は,薬剤アレルギーとHHV-6感染症の複合した病態である.