著者
高坂 健次
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.1-14, 1986-11-20 (Released:2009-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
5

数理社会学の一般的な議題はどこにあるか――それはフォーマライゼーションにあり、というのが本稿の結論である。では、フォーマライゼーションとは何か。その狙いはどこにあるのか。何をいったいフォーマライズするのか。また、どのような数学的手法が必要か。既存の社会学からは何を学びとり、またそれに対して何を与えることができるか。こういった点について、できるだけ数学的な議論に立ち入らないで述べる。また最後に、数理社会学の当面の議題および数理社会学教育をめぐる問題点にも触れる。
著者
高坂 健次
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.141-152, 1987-10-01 (Released:2009-03-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1 2
著者
与謝野 有紀 高瀬 武典 安田 雪 高坂 健次 草郷 孝好
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、自殺、犯罪率と社会関係資本、不安感の関係を解明するために、兵庫県下における1800名を対象とした面接調査を実施し、9区市町より1080票を回収した。この調査データと、自殺、犯罪率の公開されたデータとの地域比較から、以下が明らかになった。1)自殺は生活満足、サポートネットワーク、近隣への信頼と関係している。2)生活満足、サポートネットワーク、近隣への信頼の規定因は、人口によって大きく異なる。3)都市部では経済要因の影響が強く、人口規模が小さいほど近隣関係が強く影響し、因果関係は複雑化する。
著者
高坂 健次 吹野 卓
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.93-116, 1989-03-24 (Released:2009-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
2

天然の漁業資源は、一方では自然的再生産メカニズムを享受しているものの、他方では、人間の手による乱獲のためにしばしば枯渇の危機に晒されている。本稿では、資源の再生産メカニズムの仮定をモデルに組み込み、(1)漁獲規制を遵守した漁獲戦略と、(2)規制を無視して可能な限りの漁獲をする漁獲戦略、の2戦略が選択可能な状況について考察する。そして、漁獲活動がDawes(1975)の定式化による「社会的ジレンマ」に陥るのは、資源再生産と漁獲に関するパラメータが特定の関係を持つ場合だけであることを示す。あわせて、囚人のジレンマ・ゲーム論的な観点から、乱獲の数理モデルの社会学的含みについて考察を加える。
著者
高坂 健次 吹野 卓
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.93-116, 1989

天然の漁業資源は、一方では自然的再生産メカニズムを享受しているものの、他方では、人間の手による乱獲のためにしばしば枯渇の危機に晒されている。本稿では、資源の再生産メカニズムの仮定をモデルに組み込み、(1)漁獲規制を遵守した漁獲戦略と、(2)規制を無視して可能な限りの漁獲をする漁獲戦略、の2戦略が選択可能な状況について考察する。そして、漁獲活動がDawes(1975)の定式化による「社会的ジレンマ」に陥るのは、資源再生産と漁獲に関するパラメータが特定の関係を持つ場合だけであることを示す。あわせて、囚人のジレンマ・ゲーム論的な観点から、乱獲の数理モデルの社会学的含みについて考察を加える。
著者
高坂 健次
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.25-40, 2006-06-30

オリジナリティのある社会学の理論形成のためには閃きやセンスが必要であるが, それ以前に言わば「定石」を踏まえておかなくてはならないことを指摘する.本論は社会学の理論には一般理論, 歴史理論, 規範理論の3つのタイプがあるとの議論をもとに, それらに共通の定石として, 真・善・美・整合性・実践性・明確性を守る必要があることを述べる.その上で, 任意に歴史理論の中から舩橋の主張する「T字型の研究戦略」を対象に「明確性」という定石からみてどのように評価できるかを論じる.次に, 問題の背後には「中範囲理論」の3つの誤謬があると見なして, 中範囲理論の問題点を論じる.3つの誤謬とは, 理論と調査の「統合」の置き違えの誤謬, 抽象化作用の置き違えの誤謬, 研究対象システムの置き違えの誤謬, である.最後に, 先の定石以外に, 異なる理論的枠組みの「統一化」を図ろうとする定石と, 一般理論・歴史理論・規範理論の3つの理論タイプを意識的に相互浸透させるという定石とがあることを示唆する.