著者
冨澤 輝樹 木島 隆 二見 邦彦 高橋 清孝 岡本 信明
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.51-57, 2015-04-25 (Released:2017-08-10)
参考文献数
28

A genetic analysis of wild-caught tetsugyo from Yutori-numa Pond, Miyagi Prefecture, a long-finned fish of uncertain origin designated as a National Natural Monument in Japan, demonstrated that some specimens were hybrids of goldfish (Carassius auratus) and crucian carp (genus Carassius). Phylogenetic analysis of sequences from part of the D-loop region of mitochondrial and nuclear DNA of 87 Yutori-numa tetsugyo indicated that 66 belonged to the goldfish group and 21 to the Japanese crucian carp group, subsequent PCR-RFLP analysis of c-myc gene revealing three different restriction fragment digest profiles, 21 and 60 specimens possessing goldfish or Japanese crucian carp genes, respectively, and the remaining 6, both genes, indicating their hybrid origin.
著者
藤本 泰文 久保田 龍二 進東 健太郎 高橋 清孝
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-219, 2012 (Released:2013-04-24)
参考文献数
27
被引用文献数
7 3

オオクチバスとブルーギルは,日本各地に移殖された外来魚で,ため池はその主要な生息場所となっている.本研究では,オオクチバスおよびブルーギルのため池からの用排水路を通じた移出状況を調査した.私たちは宮城県北部に位置する照越ため池の用水路と排水路に,ため池から流出した魚類を捕獲するトラップを設置した.4 月下旬から 7 月下旬の調査期間中,これらの外来魚は用水路と排水路の両方から何回も流出しており,その流出のタイミングは,それぞれの水路の通水期間に限られていた.体長 125 mm の成魚のブルーギルも流出していた.ため池の魚類生息数を池干しによって調査した結果,ため池に生息する外来魚のうち,オオクチバスは 4. 0%,ブルーギルは 7. 1%が流出していたことが示された.外来魚の流出は繰り返し生じ,生息個体数の数%が流出していたことから,外来魚の流出は稀な現象ではなく一般的な現象である可能性が高い.この結果は,ため池が下流域への外来魚供給源となっていることを示す.周辺地域への被害拡大を防ぐためにも,ため池の外来魚の駆除は重要だと言える.
著者
芦澤 淳 長谷川 政智 高橋 清孝
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
24

アメリカザリガニProcambarus clarkii が生態系に及ぼす被害を防止するために,本種の駆除活動が各地で行なわれている.アメリカザリガニの駆除活動においては,餌で誘引する罠を用いた捕獲が一般的に行なわれている.罠に使用する餌には生餌(魚肉、牛レバー)が使用されることが多いが,生餌の価格は高く,保管にコストがかかることが問題である.また,これまでに国内で行なわれた罠の餌に関する研究においては,生餌以外の餌についてアメリカザリガニに対する誘引効果が示されたが,これらの餌には誘引効果や費用の面で課題がある.そこで,本研究では,アメリカザリガニの捕獲罠に使用する餌について,誘引効果や費用対効果がより高い餌を明らかにすることを目的とし,配合飼料(ドッグフード,マス用飼料,およびコイ用飼料)と,従来から使用されている生餌および糠団子の間で,アメリカザリガニに対する誘引効果および費用対効果を比較した.その結果,マス用飼料によるアメリカザリガニの誘引効果は,生餌および糠団子と同程度であったが,ドッグフードの誘引効果は糠団子よりも高かった.また,ドッグフードとマス用飼料の費用対効果は,どちらも生餌よりも高かった.これらの結果から,ドッグフードはアメリカザリガニの誘引効果と費用対効果がともに高い餌といえた.また,脂質含量が少ないコイ用飼料については,ドッグフードに比べて費用対効果がやや劣るものの,誘引効果はドッグフードおよびマス用飼料と同程度であった.以上より,アメリカザリガニの捕獲罠に使用する餌としては,誘引効果と費用対効果の面ではドッグフードが適していたが,油膜の発生による生態系への影響が懸念される場合には,コイ用飼料を使用することで,アメリカザリガニを効率よく捕獲できるだろう.
著者
芦澤 淳 久保田 龍二 高橋 清孝
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.75-86, 2018 (Released:2018-07-23)
参考文献数
38
被引用文献数
4

アメリカザリガニによる生態系等への被害防止には、罠を用いた駆除が実施されてきたが、捕獲効率の向上を目的とした罠の選択や設置方法に関する十分な検討は行われていない。本研究は、捕獲個体の大きさと数、及び捕獲効率を指標に、籠網、アナゴカゴ、カニカゴ、網モンドリの効果的な使用方法を検討した。アメリカザリガニの捕獲個体数は、4 種類の罠すべてにおいて、罠設置後の時間経過と共に増加し、一旦ピークに達した後、減少した。試験期間全体では、籠網とアナゴカゴによる捕獲個体数が多かったが、罠を設置してから5 時間以内であれば、網モンドリによる捕獲個体数も籠網及びアナゴカゴと同程度に多かった。長時間の設置で餌の誘引効果が減少すると、罠からの脱出が生じたが、その程度は入口が開いている罠で高く、閉じている罠で低かった。そのため、アメリカザリガニの捕獲効率は罠の種類と設置時間によって異なり、0.2 日後には網モンドリで、1 日後と3 日後にはアナゴカゴで、7 日後には網モンドリ以外の罠で高かった。そこで、餌による誘因効果の経時的変化と罠からの脱出し易さを考慮して検討した結果、アメリカザリガニが高密度に生息している場合には、網モンドリを用いて数時間おきに1日2回以上の捕獲を行うこと、生息密度が低下し捕獲効率が低下した段階でアナゴカゴに切り替え長期間設置することで、効率的な捕獲が実現できると考えられた。
著者
柴久喜 光郎 高橋 清孝 上田 賢一
出版者
宮城県水産研究開発センター
巻号頁・発行日
no.16, pp.21-30, 2000 (Released:2015-04-17)

1. 気仙沼市魚市場で扱われているサメ類の銘柄名と標準和名を照合する現地調査を行い,15銘柄中10銘柄を魚種査定した結果,11種を確認した。2. 「毛鹿さめ」,「吉切」,「勝さめ」,「平頭」,「油さめ」の5銘柄は,それぞれ,単一種で構成されていた。また,「尾長さめ」,「真尾長」,「丁さめ」,「目白さめ」,「さめ」の5銘柄は複数種含むことがわかった。3. 確認した11種に加え,頭部のない魚体から種の判定ができないサメが「目白さめ」にあったこと,現場で確認できなかった銘柄が5つあることから,気仙沼市魚市場には12種類以上のサメ類が水揚されていた。4. 5銘柄が単一種としてヨシキリザメ,ネズミザメ,アブラツノザメ,アオザメ,ヨゴレと同定されたので,これらの魚種については水揚量の把握が可能となった。これら5種の合計水揚量は全体の98%を占めた。5. 複数種または銘柄で重複がみられる種の水揚量の把握は,継続して魚種組成を定期的に調査する必要がある。この中で比較的水揚の多いオナガザメ科のサメは,頭部等がない状態でも種の判別が可能なので,水揚量の把握が望まれる。
著者
冨澤 輝樹 木島 隆 二見 邦彦 高橋 清孝 岡本 信明
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.51-57, 2015

<p>A genetic analysis of wild-caught tetsugyo from Yutori-numa Pond, Miyagi Prefecture, a long-finned fish of uncertain origin designated as a National Natural Monument in Japan, demonstrated that some specimens were hybrids of goldfish (<i>Carassius auratus</i>) and crucian carp (genus<i> Carassius</i>). Phylogenetic analysis of sequences from part of the D-loop region of mitochondrial and nuclear DNA of 87 Yutori-numa tetsugyo indicated that 66 belonged to the goldfish group and 21 to the Japanese crucian carp group, subsequent PCR-RFLP analysis of c-<i>myc</i> gene revealing three different restriction fragment digest profiles, 21 and 60 specimens possessing goldfish or Japanese crucian carp genes, respectively, and the remaining 6, both genes, indicating their hybrid origin.</p>
著者
藤本 泰文 久保田 龍二 進東 健太郎 高橋 清孝
出版者
Ecology and Civil Engineering Society
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.213-219, 2012
被引用文献数
3 1

オオクチバスとブルーギルは,日本各地に移殖された外来魚で,ため池はその主要な生息場所となっている.本研究では,オオクチバスおよびブルーギルのため池からの用排水路を通じた移出状況を調査した.私たちは宮城県北部に位置する照越ため池の用水路と排水路に,ため池から流出した魚類を捕獲するトラップを設置した.4 月下旬から 7 月下旬の調査期間中,これらの外来魚は用水路と排水路の両方から何回も流出しており,その流出のタイミングは,それぞれの水路の通水期間に限られていた.体長 125 mm の成魚のブルーギルも流出していた.ため池の魚類生息数を池干しによって調査した結果,ため池に生息する外来魚のうち,オオクチバスは 4. 0%,ブルーギルは 7. 1%が流出していたことが示された.外来魚の流出は繰り返し生じ,生息個体数の数%が流出していたことから,外来魚の流出は稀な現象ではなく一般的な現象である可能性が高い.この結果は,ため池が下流域への外来魚供給源となっていることを示す.周辺地域への被害拡大を防ぐためにも,ため池の外来魚の駆除は重要だと言える.