著者
吉澤 緑 Ulloa Ulloa Carlos Manuel Hufana-Duran Danilda ATABAY Eufrocina DURAN Peregrino G CRUZ Libertado C 金井 幸雄 高橋 芳幸
出版者
日本哺乳動物卵子学会
雑誌
Journal of mammalian ova research = 日本哺乳動物卵子学会誌 (ISSN:13417738)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.157-160, 2010-10-01
参考文献数
22

体外受精水牛胚の低受胎率の原因究明のために、分割初期胚における染色体異常の出現率を明らかにした。フィリピン、インドのと場入手の河川型水牛卵巣の直径2-8mm卵胞から卵子を吸引採取、23-24時間成熟培養し、河川型水牛の凍結精子を最終濃度1×10(6)sperm/mlで媒精した。媒精12-18時間後に体外培養用培地へ移し36-40時間卵丘細胞と共培養し、2-8細胞期胚を100ng/mlのビンブラスチンで6-10時間処理した後、吉澤ら(1998)のウシ体外受精胚の方法に準じて染色体標本を作製した。206個の胚の51.0%(105/206)が中期像を有し、87.6%(92/105)で分析可能であり、染色体異常の出現率は47.8%(44/92)で、多倍数体は23.9%(22/92)、混倍数体と半数体は各12%(11/92)であり、多倍数体や混倍数体は多精子侵入が原因と考えられた。
著者
檜垣 彰吾 岸 昌生 永野 昌志 片桐 成二 高橋 芳幸
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.100, pp.20113, 2007

【目的】マウス未成熟卵子の体外成熟培養時の気相中の酸素濃度および培養時間は研究者間で様々であるにも拘らず、それらが卵子の成熟にどのように影響するかを調べた研究は限られている。そこで、本研究では、成熟培養時の気相中酸素濃度と培養時間が卵子の核成熟動態および胚盤胞への発生能にどのように影響するかを検討した。【方法】供試卵子はICRマウスにウマ絨毛性性腺刺激ホルモンを投与して48時間後に胞状卵胞より採取した。成熟培養は5%ウシ胎子血清、0.23 mMピルビン酸、1 IU/mlブタ卵胞刺激ホルモン、10 ng/mlヒト組み換え上皮増殖因子および、50 μg/mlゲンタマイシン添加したWaymouth's培地に用いて5あるいは20%の酸素を含む気相下で行った。実験1では0-15時間の成熟培養後に核相の判定を行った。実験2では10-17時間の成熟培養を行った卵子を体外受精(TYH培地、5時間、20%酸素下)および体外培養(KSOM培地、120時間、5%酸素下)に供試し、胚盤胞への発生率を調べた。【結果】5および20%酸素下で成熟培養した卵子の卵核胞崩壊は共に培養開始2時間後から見られ、それぞれ培養開始後15および4時間後までに全ての卵子で終了していた。また、第二減数分裂中期(MII期)卵子の出現は共に培養開始7時間後から見られ、その8および3時間後にMII率はプラトーに達した。以上の結果より5%酸素下では20%酸素下に比べて核成熟の進行が同調していないことが示唆された。胚盤胞への発生率は成熟培養時の酸素濃度の影響は認められなかったが、培養時間によって差が見られた。すなわち、両酸素濃度下で10時間培養群(10%)に比べ、12-17時間培養群(30-45%)では有意に高く、12-17時間の成熟培養群間には有意な差は認められなかった。以上の結果より、卵子が十分な胚盤胞への発生能を獲得するためには成熟培養時の酸素濃度に拘らず12時間以上の培養時間が必要なことが示唆された。
著者
石川 明子 松井 基純 釣賀 一二三 坂元 秀行 高橋 芳幸 金川 弘司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.965-968, 1998-08-25
被引用文献数
4

性成熟に達した10頭の飼育下の雄エゾヒグマを不動化した後, 電気刺激射精法により, 延べ21回の精液採取試験を行った.運動精子を含む射出精液は, 21回のうち14回から得られ, 採取された精液の量およびpHは, 平均2.7mlおよび7.4であった.また, 精子の濃度, 運動性, 生存率および奇形率は, それぞれ平均471.6×10^6個/ml, 80.2%, 89.7%および21.8%であった.
著者
内貴 正治 高橋 芳幸 笠井 憲幸 廣井 正彦
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1988

両生類において卵が輸卵管を通過する際、輸卵管のムチン様糖タンパク質を付着し、精子の認識を助けることがよく知られている。このようなことは哺乳類でも起こっており、ハムスターで明らかとなった。この輸卵管由来糖タンパク質のどのような構造を精子が認識してるかを知る目的でハムスター輸卵管糖タンパク質に対する単クローン抗体を作成した。マウスに免疫して作成した1つの単クローン抗体(AZPO-8)はIgGlで、輸卵管通過卵とのみ反応し、卵巣卵と反応しない抗体を得た。この抗体は卵管膨大部及び峡部の粘膜上皮細胞と強く反応し、子宮内膜と頚部内膜表面にも反応する物質が認められた。輸卵管糖タンパク質、輸卵管通過卵透明体糖タンパク質で共に反応するタンパク質は200Kの分子量を示すものが主成分で、その他に43〜95Kにかけて多数のバンドが認められた。ZPO-8抗体はA型ヒト赤血球を特異的に認識し、これを1600倍希釈まで凝集した。この凝集は赤血球をパパイン消化することにより10倍力価が上昇したので赤血球より糖脂質成分を精製した。その結果以下の糖脂質が抗原として同定された。いずれも血液型A型抗原活性をもつものと同一であった。1)GalNAc(α2-3)Gal(β1-4)GlcNAc(β1-3)Gal(β1-4)Glc-Ceramide(α1-2)Fuc2)GalNAc(α2-3)Gal(β1-4)GlcNAc(β1-3)Gal(β1-4)GlcNAc(β1-3)-(α1-2) Gal(β1-4)Glc-CeramideFucしかし現在までの検討の結果ハムスター精子がこの糖鎖構造を認識して卵に付着する知見は得られていない。現在精子の認識する化学構造に対する単クローン抗体を作成検討中である。