著者
小野 守 小関 茂樹 斉藤 康倫 泉 徳和 松井 基純 大澤 健司 三宅 陽一
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.780-783, 2008-10-20

人工授精(AI)後の陰唇刺激がホルスタイン種乳用牛の受胎率に及ぼす効果を評価するために、未経産牛295頭を用い、AI直後に手指による陰唇刺激を15秒間行って対照群と比較した。その結果、陰唇刺激群の受胎率は対照群よりも高かった(69.2% vs 64.7%)が、有意差はなかった。また、対照群において7月から8月に受胎率が低下する傾向が認められたが、陰唇刺激群では認められなかった。両群の受胎成績のTemperature-Humidity Index (THI)別の分析では、対照群において、暑熱ストレス条件下とされるTHIが72以上の場合の受胎率は、72以下の場合よりも有意に低かった(P<0.01)が、陰唇刺激群ではそのような差異は認められなかった。
著者
川瀬 啓祐 冨安 洵平 伴 和幸 木村 藍 小野 亮輔 齊藤 礼 松井 基純 椎原 春一
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.83-89, 2018-12-25 (Released:2019-03-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

ライオンPanthera leoに行動的保定下で定期的な血中プロジェステロン(P4)濃度測定,腟粘膜上皮検査,外陰部粘液漏出量の変化の調査を行った。血中P4濃度,腟スメア像は周期的な変動を示し,腟スメア像において無核角化上皮細胞が主体となる期間は,血中P4濃度は基底値を示し外陰部粘液漏出量は多量であった。ライオンの発情周期は2.6±5.0日間,発情前期は8.3±1.5日間,発情期は6.2±2.7日間,発情後期と発情休止期を合わせた期間は37.2±4.6日間と推察された。
著者
羽田 真悟 長谷川 達也 永岡 謙太郎 南保 泰雄 松井 基純 角田 修男 今川 和彦
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1022, 2011

【目的】哺乳類の着床に,gp130ファミリーのサイトカインが関与することが知られている。このファミリーのサイトカインには,マウスにおいて着床に必須もしくは重要とされるLeukemia inhibitory factor(LIF)やInterleukin-11(IL11), IL6などが含まれる。しかし,ウマでは,ゲノム解析は終了しているが,現時点においてLIFに相当する遺伝子はゲノム上になく,IL11に相当する遺伝子は機能する配列として認識されていない。我々は,これまでの研究において着床期のウマの子宮内膜でIL6の発現を確認している。そこで,本研究では,着床におけるIL6発現の経時的変化,子宮の部位による発現量の比較および発現細胞の特定を目的とした。【方法】試験には,サラブレッド種雌ウマ10頭を使用した。排卵日を0日とし,非妊娠13日(C13),妊娠13日(P13),19日(P19),25日(P25)および30日(P30)にそれぞれ2頭ずつから子宮を回収した。子宮は,胚の存在する部位(G)と逆側の子宮角の根元(N)に分けて採材した。また,P30Gにおいては,子宮内膜を卵黄嚢絨毛膜(P30GY)および尿膜絨毛膜(P30GA)と接触する部位に分けて採取した。解析は,リアルタイムPCR法により行い,各子宮内膜サンプル中のIL6 mRNAの発現量を比較した。さらに,免疫組織学的手法により子宮内膜でのIL6タンパク質の産生部位を調べた。【結果】子宮内膜のIL6 mRNAの発現は,P19Gで軽度な増加が認められ,P25GおよびP30Gでは顕著に増加していた。P30Gにおけるその発現は,P30GYと比較してP30GAでより高かった。これらの結果から,IL6 mRNAの発現は,胚の存在により固着後の子宮内膜中に誘導され,その発現は胚のカプセルが融解して胚と子宮内膜が直接接するようになる時期に重要であることが示唆される。さらに,IL6 mRNAの発現は尿膜絨毛膜に接触した部位で高く,IL6タンパク質は子宮内膜上皮の細胞に検出されたことから,IL6は,着床過程において胚と子宮内膜の接着面,特に尿膜絨毛膜との境界面で作用することが示唆され,胎盤形成などの反応に関わるものと考えられる。
著者
小林 恒平 淺野 玄 羽田 真吾 松井 基純
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.235, 2013 (Released:2014-02-14)

近年,野生動物の個体数管理の手法として,繁殖の成功に不可欠な物質を標的とした抗体を産生し,繁殖を抑制する避妊ワクチンが注目されている.避妊ワクチンの野外適用には,効率的に多数の個体に投与できること,種特異性が高く他種動物に影響がないことが求められる.我々はこれまで,卵子の周囲に存在し精子の結合部位となる透明帯について,ブタのアミノ酸配列に基づく合成ペプチドをニホンジカに投与し,ブタ透明帯に特異的な抗体を産生されることを示した.本研究では我々が同定したニホンジカ透明帯のアミノ酸配列に基づいて透明体を模した合成ペプチドによる抗体産生を試みた. エゾシカ透明帯のアミノ酸配列の中で,種特異性が期待され,精子との結合に関与すると考えられるエピトープを基に,18アミノ酸残基からなる合成ペプチドを設計した.設計した合成ペプチドにキャリア蛋白(KLH)を結合したものをウサギに免疫し,抗体を作成した.免疫は 2週間間隔で4回行い,1回につき合成ペプチド 100 μ gとアジュバンド(TiterMax) 100 μ lを投与し抗血清を得た.合成ペプチドに対する抗体の透明帯への結合能およびその特異性を検証するために,合成ペプチド投与によるウサギへの免疫によって得られた抗血清を一次抗体として用い,ニホンジカ,ウシおよびブタの卵巣の凍結切片を用いた免疫染色を行った. 産生された抗体は,ニホンジカの透明帯を認識し結合する事が明らかになった.一方,ウシおよびブタの透明帯に対する結合は認められず,種特異性が示された. 本研究で用いたニホンジカ透明帯の一部の配列に基づく合成ペプチドは,ニホンジカの透明帯に特異的に結合する抗体の産生を誘導することがわかった.また,ウサギへの投与で透明帯に結合する抗体が得られたことから,ウサギを用いた抗体作成と免疫染色による機能検査が,避妊ワクチンの候補抗原の選択に有用であることがわかった.
著者
石川 明子 松井 基純 釣賀 一二三 坂元 秀行 高橋 芳幸 金川 弘司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.965-968, 1998-08-25
被引用文献数
4

性成熟に達した10頭の飼育下の雄エゾヒグマを不動化した後, 電気刺激射精法により, 延べ21回の精液採取試験を行った.運動精子を含む射出精液は, 21回のうち14回から得られ, 採取された精液の量およびpHは, 平均2.7mlおよび7.4であった.また, 精子の濃度, 運動性, 生存率および奇形率は, それぞれ平均471.6×10^6個/ml, 80.2%, 89.7%および21.8%であった.