著者
柴田 政彦 寒 重之 大迫 正一 三木 健司 栁澤 琢史 助永 憲比古 恒遠 剛示 新田 一仁 岩下 成人 福井 聖 黒崎 弘倫 中野 直樹 若泉 謙太 上嶋 江利 本山 泰士 高雄 由美子 溝渕 知司
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.189-196, 2016-11-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
37

The review was performed to investigate the functional brain alterations in patients with various kinds of chronic pain including fibromyalgia, chronic low back pain, migraine and the other chronic pain conditions. In these patients functional connectivity was different not only in the sensory–motor system but also in the affective and reward system. New technology have allowed us to identify and understand the neural mechanisms contributing to chronic pain, which provides us novel targets for future research and treatment.
著者
小幡 典彦 溝渕 知司
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.879-891, 2010 (Released:2010-12-24)
参考文献数
40
被引用文献数
1

術後痛対策として硬膜外鎮痛法は非常に効果的な方法であり,最近では術後の鎮痛だけでなく中長期的なアウトカムまで改善する可能性が示されている.硬膜外鎮痛の薬剤投与方法には,単回投与法,持続投与法および自己調節硬膜外投与法(自己調節硬膜外鎮痛 patient-controlled epidural analgesia:PCEA)があるが,PCEAは単回投与や持続投与のみに比べ,鎮痛の質や患者の満足度が高く,さまざまな専用デバイスも開発されたことにより,安全かつ確実に行われるようになっている.使用される薬剤は,局所麻酔薬とオピオイドが主体であり,現在では両者を併用することが一般的である.最も適した薬液の種類,濃度,投与方法などは,議論のある点で今後の更なる検討が必要であるが,硬膜外に投与するおのおのの薬剤の特性を知って使用する必要がある.
著者
阿瀬井 宏佑 佐藤 仁昭 本山 泰士 上嶋 江利 高雄 由美子 溝渕 知司
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.27-31, 2020-02-25 (Released:2020-03-04)
参考文献数
12

オピオイド鎮痛薬は非がん性痛患者の痛みを和らげるが,オピオイド誘発性便秘(opioid induced constipation:OIC)が生じる.OICに対しては緩下剤で治療を行うが,治療に難渋することがある.非がん性痛患者では,がん性痛患者に比べ,オピオイドやOICに対する治療薬の投与期間が長くなることが考えられるため,副作用や経済的負担を考慮する必要がある.今回,これまでの緩下剤治療では排便コントロールが困難な非がん性痛患者で,ナルデメジンを新しく使用開始したことによる効果,副作用および費用について後ろ向き観察研究を行った.症例数は36症例(男性17症例,女性19症例)であった.便秘が改善したのは33症例(92%),改善なしが3症例(8%)であり,26症例(72%)は併用していた他の緩下剤を減量あるいは中止できた.17%で一過性下痢,8%で軟便がみられたが重篤な副作用は認めなかった.患者が負担する緩下剤内服にかかる費用については,ナルデメジン開始前は1カ月あたり平均1,148円であったが,開始後は同6,102円と5.3倍に増加した.
著者
戸田 美希 本山 泰士 内山 福美 江木 盛時 溝渕 知司
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.280-283, 2022-07-01 (Released:2022-07-01)
参考文献数
11

欧州旅行中にギランバレー症候群を発症し人工呼吸管理を要する患者が,本邦での治療を希望し,ICUに入室した。入室時,デクスメデトミジン1.9 μg/kg/hr,ミダゾラム0.9 mg/kg/hr,プロポフォール1.3 mg/kg/hr,レミフェンタニル0.27 μg/kg/min,プレガバリン300 mg/day,クエチアピン300 mg/day,トラゾドン150 mg/dayが投与されていた。これらの薬剤の中止,減量に伴い,激しい体動,頻呼吸などの症状を呈し,当科が集中治療管理を依頼された。デクスメデトミジン,プロポフォール,ミダゾラムの静脈投与でも良好な鎮静が得られなかったため,ケタミン50 mg単回投与の後に,ケタミン0.53 mg/kg/hrで持続投与を開始したところ,良好な鎮静状態が得られた。離脱症候群を疑い,ケタミン持続投与下にフェンタニルの投与を開始,ミダゾラムの持続投与を再開,デクスメデトミジンの持続投与を増量し,各薬剤を漸減中止した。入院15日目に一般病棟へ転棟,入院47日目にリハビリテーション目的に転院となった。
著者
松三 昌樹 溝渕 知司 高橋 徹
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

敗血症(Sepsis)に脳症(Encephalopathy)を合併するとその予後が悪化することは良く知られているが、敗血症性脳症(Septic encephalopathy)の病態生理は未だ完全に明らかでない。低分子モノオキシドである一酸化窒素(NO)は、神経伝達物質でもあることから敗血症性脳症にも関連することが推察されるがその役割には未だ不明な点が多い。一方、同じ低分子モノオキシドである一酸化炭素(CO)も神経伝達物質として機能する可能性が報告されている。我々は、内因性のCOが敗血症性脳症の病態に関与するのではないかと考え、生体内のCO産生酵素であるヘムオキシゲナーゼ(Heme Oxygenase ; HO) mRNAの発現をラット脳初代培養細胞用いて検討した。その結果、HOはLPSによりグリア細胞には誘導されるが、神経細胞には誘導されないことを明らかにした(Res.Commun.Mol.Pathol.Pharmacol.2000)。昨年、COがヒトの敗血症性にも関与するのではないかとの着想のもとに、ヒト培養グリア細胞7エンドトキシン(Lipopolysaccharide : LPS)を投与し、HOの発現を検討した。その結果、HOのprimary inducerであるHemeによっては、ヒトグリア培養細胞にHOが著明に誘導されたが、LPSでは量、時間両者を変化させて検討したが、HOは誘導されなかった。そこで、脳症には、脳だけではなく、敗血症性多臓器障害が関与するのではないかと考え、bacterial translocationを介して脳症の発展に関与する腸管に焦点をあてて、エンドトキシン投与による敗血症性多臓器障害モデルにおける腸管HOの発現を検討した。その結果、腸管には著明にHO-1が誘導されたことから、敗血症性脳症には、腸管で産生されたCOが脳に運ばれ、神経伝達物質としてその病態生理に関与している可能性が考えられた。
著者
佐藤 健治 溝渕 知司 西江 宏行 中塚 秀輝 佐藤 哲文 水原 啓暁
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我々はバーチャルリアリティ応用・鏡療法(VR/MVF)を開発し、様々な鎮痛方法でも痛みが軽減しない幻肢痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)患者での鎮痛効果を確認・報告した。当該研究ではVR/MVFの鎮痛効果をより継続させるためVR/MVF治療を音情報に変換し音楽を作成するシステムを開発した。我々はVR/MVF治療では体内に備わる痛みを和らげる機構(内因性オピオイドシステム)が活発になると考えていて、VR/MVF治療中に作成した音楽を家に持ち帰り日常生活の場で聴くことで、体内に備わる痛みを和らげる機構が再び活発となり痛みが和らぐと期待している。