著者
町田 綾子 山田 如子 木村 紗矢香 神崎 恒一 鳥羽 研二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.262-263, 2010 (Released:2010-07-05)
参考文献数
3

目的:認知症患者に抑肝散を6カ月以上長期投与し,認知症の周辺症状,家族の介護負担感の変化を検討する.方法:投与前後にDBD,ZBIを用いて評価し変化を検討した.結果:DBDは投与前後において有意な差を認めなかった.ZBIは有意に低下した.結論:抑肝散の長期投与において家族の介護負担感が軽減することが示唆された.
著者
鳥羽 研二 大河内 二郎 高橋 泰 松林 公蔵 西永 正典 山田 思鶴 高橋 龍太郎 西島 令子 小林 義雄 町田 綾子 秋下 雅弘 佐々木 英忠
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.346-352, 2005-05-15 (Released:2011-03-02)
参考文献数
14
被引用文献数
29 29

【目的】転倒は, 身体的要因と環境要因によっておきるとされているが, 地域において, 環境要因と身体的要因を定量的に比較した研究は少ない. 両者を加味した転倒リスク測定表の開発を目的とする.【方法】厚生労働省研究班, 転倒ハイリスク者の早期発見のための評価方法作成ワーキンググループの会議によって過去の転倒歴と21項目の危険因子を選択し仮の「転倒スコア」とした. 1) 過去一年の転倒 2) つまずく 3) 手摺につかまない階段の昇降 4) 歩く速度が遅延 5) 横断歩道を青のうちにわたりきれない 6) 1km歩行できない 7) 片足で5秒起立できない 8) 杖の使用 9) タオルを固く絞れない 10) めまい, ふらつき 11) 円背 12) 膝痛 13) 視力低下 14) 難聴 15) 物忘れ 16) 転倒不安 17) 5種類以上の服薬 18) 屋内が暗く感じる 19) 家の中の障害物 20) 家の中の段差 21) 家の中の階段使用 22) 生活上家の近くの急な坂道歩行. 対象は全国7地域住民2,439名 (76.3±7.4歳). 検討項目は各項目の該当頻度, 項目の該当有無と転倒の相関, 過去の転倒歴を従属変数とし, 21項目を独立変数とした重回帰分析を行った. 有意な項目に関しては, ロジスティック回帰分析によってオッズ比を算出した.【結果】転倒歴は29%に認められた. 転倒スコア項目では, 物忘れ, 家に段差が60%以上, つまずく, 階段昇降に支障, 視力障害が50%を越えた. 横断歩道を青のうちにわたりきれない, 一方照明が暗い, タオルがきつく絞れないは20%未満であった. 転倒の有無による各因子の頻度の有意差を検定すると, 段差, 階段, 坂道以外のすべての項目が, 転倒者は非転倒者に比べ, 有意に「はい」と答えた率が高かった. 重回帰分析では, 独立した有意な危険因子として, つまずく (p<0.0001), めまい (p<0.0001), 家の中に障害物がある (p=0.0001), タオルがきつく絞れない (p=0.0003), 杖を使っている (p=0.0027), 膝が痛む (p=0.0362) が抽出された. この項目と横断歩道の歩行 (p=0.1) の7項目を用いて, 転倒予測を解析し,3項目以上に該当する場合に, 転倒の感度, 特異度とも良好な値を得た.【結論】内的要因と外的要因を加味した簡便な転倒危険度調査票「転倒スコア」を開発した.「転倒スコア」は, 下位項目の殆どが転倒既往者で高く, 項目選択の妥当性は高い. 段差, 階段などの環境バリアは過去の転倒の危険因子としては重要ではない. 転倒予測因子として, 7項目の短縮板の作成を試み, カットオフ値3項目該当で2/3程度の転倒の予測が可能であり「転倒スコア」の有用性が示唆された.
著者
木村 紗矢香 山田 如子 町田 綾子 杉浦 彩子 鳥羽 研二 神崎 恒一
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.264-265, 2013

本研究の目的は,高齢者の耳掃除の実態を調査し,CGAとの関係を検討することである.当院もの忘れセンターの外来患者116名を対象に耳掃除の有無,認知機能,基本的ADL,抑うつ,意欲,周辺症状,介護負担について調査した.その結果,28%の患者が1年以上耳掃除をしておらず,耳掃除をしていない患者は耳掃除をしている患者よりも認知機能,基本的ADL,意欲,周辺症状が有意に低下もしくは悪化していた.<br>
著者
秋下 雅弘 寺本 信嗣 荒井 秀典 荒井 啓行 水上 勝義 森本 茂人 鳥羽 研二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.303-306, 2004-05-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
10
被引用文献数
12 15

高齢者では臓器機能の低下や多剤併用を背景として薬物有害作用が出現しやすいとされるが, その実態はよく知られていない. そこで, 大学病院老年科5施設の入院症例について, 後ろ向き調査により薬物有害作用出現頻度と関連因子について解析した. 2000年~2002年の入院症例データベースから薬物有害作用の有無が記載された症例を抽出し, 総計1,289例を解析に用いた. 主治医判定による薬物有害作用出現率は, 5施設全体で9.2%, 施設別では6.6~15.8%であった. 薬物有害作用の有無で解析すると, 多疾患合併および老年症候群の累積, 多剤併用, 入院中2薬剤以上の増加, 長期入院, 緊急入院, 抑うつ, 意欲低下が有害作用出現と関連する因子であった. 以上の結果は, 従来の単施設でのデータを裏付けるものであるが, 今後の高齢者薬物療法における参照データとなりうる. 関連因子については, 有害作用の予防および影響の両面から高齢者薬物療法に際して注意していく必要がある.
著者
秋下 雅弘 荒井 啓行 荒井 秀典 稲松 孝思 葛谷 雅文 鈴木 裕介 寺本 信嗣 水上 勝義 森本 茂人 鳥羽 研二
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.271-274, 2009 (Released:2009-06-10)
参考文献数
9

目的:日本老年医学会では,2005年に「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト」を含む「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」を発表した.このような薬物有害反応(ADR)を減らす取り組みにはマスコミも関心を持ち,今般,同ガイドライン作成ワーキンググループとNHKは共同で,老年病専門医に対してADR経験と処方の実態を問うアンケート調査を行った.方法:2008年9月,学会ホームページに掲載された全ての老年病専門医(1,492名)の掲載住所宛にアンケートを郵送した.質問項目は,1)この1年間に経験した高齢者ADRの有無(他機関の処方含む),2)上記リスト薬からベンズアミド系抗精神病薬,ベンゾジアゼピン系睡眠薬,ジゴキシン(≥0.15 mg/日),ビタミンD(アルファカルシドール≥1.0 μg/日)および自由追加薬について,過去のADR経験頻度,3)ADR予防目的による薬剤の減量·中止の有無,4)課題と取り組みについての自由意見,とした.結果:回答数425件(29%).1)1年間のADR;72%.2)過去のADR;ベンズアミド79%(稀に54%,よく25%,以下同),ベンゾジアゼピン86%(62%,24%),ジゴキシン70%(61%,9%),ビタミンD 37%(33%,4%).自由回答では,非ステロイド性消炎鎮痛薬が最も多く,降圧薬,抗血小板薬,抗不整脈薬,血糖降下薬,抗うつ薬が次いだ.3)ADR予防目的の減量·中止93%.4)自由意見;ADRに関する医師·患者の啓発活動,老年病専門医の養成,多剤処方回避の指針作りやシステムの確立を挙げる意見が多かった.結語:老年病専門医はADRをよく経験する一方,多くは予防的対策を講じている.今回の意見を,新しい指針作りや啓発活動に生かすべきである.
著者
鳥羽 研二 守屋 佑貴子 中居 龍平 岩田 安希子 小林 義雄 園原 和樹 長谷川 浩 神崎 恒一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.269-270, 2009 (Released:2009-06-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

目的:アルツハイマー型認知症の意欲の低下に,コリンエステラーゼ阻害薬が有効か検証する.方法:患者23名に対し塩酸ドネペジル5 mgを投与,前後にVitality Indexを測定し比較.結果:Vitality Indexは投与前7.87±0.25,投与後8.74±0.19と有意な改善がみられた.結論:アルツハイマー型認知症の生活の意欲の低下にコリンエステラーゼ阻害薬が有効である可能性が示唆された.
著者
鳥羽 研二
出版者
独立行政法人国立長寿医療研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、認知症患者の筋・運動系機能の低下の特性を明らかにし、脳画像解析等を用いて認知症の疾患別に転倒リスクの解析を行った。杏林大学もの忘れセンター受診患者のうち、転倒の記録がとれ、研究の同意が得られた約400名を対象とした。評価項目は認知機能、意欲、うつ、ADL等の総合的機能評価、Up & Goテスト(TUG)、バランステストその他の身体機能検査、転倒スコア、脊椎後弯角測定、足関節可動域、脳血流シンチグラム、血液生化学検査等であり、以下の成果を得た。(1)認知症の病型別解析で、レヴィ小体病と脳血管性認知症の転倒が有意に高頻度であった。(2)認知症高齢者の意欲が低下する機序として、前頭側頭葉のほか視床、大脳辺縁系や白質の血流障害が関連する可能性が示唆された。(3)足関節可動域の減少ならびに、脊椎後弯角の増大が転倒率の増大と関連していた。(4)認知症外来患者98名のうち1年間で33名(34%)が転倒した。転倒者と非転倒者で転倒歴、転倒スコア、老年症候群保有数、開眼片足立ち時間、TUG、Functional reach(FR)、重心動揺距離、血清P, Alb濃度に違いが認められた。(5) Ca拮抗薬服薬患者はレニン・アンジオテンシン阻害薬服薬患者に比べて大脳白質病変の程度が強く、大脳白質病変の程度は大動脈のスティッフネスが亢進していた。(6)自覚的不安感を検出するハンカチテストは転倒予測に有用である可能性が示され、陽性患者は、ハンカチの把持により両側後頭葉の血流増加が見られることが示された。(7)血中ビタミンD濃度は握力、TUG、FRと有意な相関を示した。(8)マウスの両側頸動脈外周を微小コイルを被覆することにより脳梁部の虚血障害を起こすことができ、モデルマウスの作製に成功した。