著者
鶴田 幸恵
出版者
千葉大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))
巻号頁・発行日
2020

本研究は、女と男に二元化されない新しい性別概念である「ノンバイナリー」というアイデンティティ・カテゴリーがどのようなものかを、カナダでのフィールドワークとトランスジェンダー、ノンバイナリーの活動家へのインタビューをもとに明らかにする。インタビューによって得たデータを、社会学の一つの手法であるエスノメソドロジー・会話分析の方法を用いて分析することで、ノンバイナリー概念が相互行為の中でどのように使用されているのか、またそれによって性別という現象にどのような新たな理解がもたらされているのかを析出する。
著者
鶴田 幸恵
出版者
関東社会学会
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.114-125, 2003

In psychotherapy of “gender identity disorder” in Japan, psychiatrists assess the “sex of mind” of their clienteles. In this process, medicine first treats the invisible “sex of mind” as more essential than the visible sexed body, then as visible in the clientele's looking, behaviors, talks etc. The aim of this article is to examine how medicine treats the sex category according to this paradoxical logic, using the review of medical discourses and scripts based on interviews of “gender identity disorder” clientele. Through this process of description of the medical practice, it is showing how, by seeing the clientele's display as trans-situational clues of the “sex of mind”, this practice may be actually seeing very “sex of mind”.
著者
江原 由美子 左古 輝人 鶴田 幸恵 林原 玲洋 須永 将史
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

学問の世界において生み出された概念である「ジェンダー」は,広く一般に使われる言葉として普及した.だが,その使用が政治的に批判されるようになると,「科学・社会・政治」が交錯し,相互に影響を与える状況が生じた.このような状況は,どのようなコミュニケーション齟齬を生み出したのだろうか.学問の世界における「ジェンダー」概念は,もともとかなり限定された文脈において創案されたものであるが,その文脈から切り離されることで,かえって広範な応用可能性を持つことになった.だが,その一方で,学問的であるか否かにかかわらず,「ジェンダー」概念の使用が批判されるという,複雑な政治的状況を招くことにもなったのである.
著者
秋谷 直矩 丹羽 仁史 坪田 寿夫 鶴田 幸恵 葛岡 英明 久野 義徳 山崎 敬一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.798-807, 2007-03-01
被引用文献数
7

筆者らはこれまで,依頼行為を理解するロボットを開発してきた.しかし,介護ロボットの実用化を目指すのであれば,どのような依頼行為が実際の介護場面でなされているかを分析する必要がある.そこで,介護ロボット開発のために,実際の介護場面におけるコミュニケーションを高齢者介護施設で観察した.そこでは,単に介護者が高齢者の依頼を受けて行動しているだけではなく,介護者と高齢者が同時に協同して作業している場面が多く見られた.この同時的協同的作業の達成のために,介護者と高齢者双方の予期的な調整行動が大きな役割を果たしていることが分かった.高齢者支援の開発のためには,この予期を支援するシステムの開発が必要である.