- 著者
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久保島 吉貴
外崎 真理雄
橋田 光
田端 雅進
- 出版者
- 日本森林学会
- 雑誌
- 日本森林学会大会発表データベース 第124回日本森林学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.184, 2013 (Released:2013-08-20)
ウルシ材は耐湿・耐水性に優れるため水桶や馬桶などに用いられ,材が軽いことから網浮木として用いられてきた。また材色を活かして寄木細工にも使用されている。しかし材の特性は一部の地域産材に関しては得られているものの十分な知見が得られているとは言えない。現状では伐採後に放置されている樹液採取後のウルシ材の利用し新たな産業の創出や漆産業の維持・拡大につなげて行くには,材の特性を解明し,特性を活かした利用法を開発する必要がある。そこでウルシ材の主に物理的,力学的な物性を検討した。その結果,静的曲げヤング率,静的曲げ強度および衝撃曲げ吸収エネルギーは小さいものはスギと同程度で大きいものはカラマツおよびアカマツと同程度であり,密度と有意な相関関係が存在した。従って材の強度は密度から推定される妥当な範囲であると考えられるが,樹液採取が樹齢10-15年程度で行われるため丸太の直径が小さいことと,生産本数がスギ,ヒノキおよびカラマツなどと比較して極めて少ないことなどを考慮した用途開発が望まれる。用途としては既に開発されているものに加え産地の小中学校や体験教室などの教材にも利用出来るのではないかと考えられる。