- 著者
-
斉藤 毅
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.1, pp.69-69, 2014 (Released:2016-02-01)
- 参考文献数
- 4
オレキシン(ヒポクレチン)は,摂食調節や睡眠・覚醒の制御など重要な生理機能を誘導する神経ペプチドであり,AとBの2種が知られている.オレキシンの発見以来,国内外の多くの製薬企業がオレキシン受容体拮抗薬の開発に乗り出し,最近では不眠症治療薬としてスボレキサントが米国食品医薬品局へ承認申請されたことでも記憶に新しい.オレキシン受容体拮抗薬は,睡眠へ直接的に誘導できることから画期的な新薬として期待されている.一方,オレキシン受容体には1型(OXR-1)と2型(OXR-2)が存在し,選択的拮抗薬とデュアル拮抗薬のどちらを開発すればよいかという明確な知見はない.これまでに臨床試験に辿り着いた拮抗薬はいずれもデュアル拮抗薬であり,スボレキサントを除いては,すべて開発から撤退されている.そこで本稿では,今後のオレキシン受容体拮抗薬開発に影響を与えると考えられる,Steinerらによって見いだされた1型受容体に対する選択的拮抗薬の開発とその薬理作用について紹介する.