著者
坂田 恒昭 松本 弥生
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1095-1097, 2017

ヒトの腸内には1,000種類以上,40兆個程度とも言われる細菌が存在しており,これは37兆2,000億個とされるヒト細胞数とほぼ同数である.また腸以外にも,皮膚や口腔,鼻腔,膣などの部位に,細菌や真菌,ウイルスなどの様々な微生物が存在しており,これらの集団はマイクロバイオータ(微生物叢)と呼ばれている.そして,マイクロバイオームとはヒト微生物叢(細菌叢,真菌叢およびウイルス叢)のゲノムと,それが発現する遺伝子群,および微生物叢とヒトの相互作用を含む広い概念を現している.この微生物叢がヒトの健康状態,病態に関係していると言われ,空前のマイクロバイオームブームが起こっている.このようななか,筆者らは,2016年から製薬企業を中心にアカデミアで生み出されたマイクロバイオームの研究成果をいかに産業界で応用し,社会還元する仕組みを構築するかの議論をし,2017年4月19日に日本マイクロバイオームコンソーシアム(Japan Microbiome Consortium:JMBC,以下「本法人」という)を設立した.
著者
杉山 二郎 山崎 幹夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.463-468, 1979-06-01

世界の文化史の中で, 毒や薬が果して来た役割は大変に大きく, 興味深い, お招きした杉山二郎氏には「鑑真」「大仏建立」「正倉院」「西アジア南北記」などの著書があり, その博学と見識の深さについてはつとに知られるところである。時間が足りなかったため, 今日はその一端をうかがうに止まったが, いわばイントロダクションとも言うべき今日のお話の中だけにも, 我々にとって興味ある問題のヒントがいくつもあったように思われる。
著者
中川 昌子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, 1978-09-01
著者
髙橋 義仁
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.160-162, 2018 (Released:2018-02-01)
参考文献数
5

大規模製薬企業の組織的研究開発の場面では,複雑な権限移譲の関係による強いプリンシパル=エージェント(P-A)関係が存在する.医薬品研究開発プロセスの分析によると,大規模企業ではP-A問題により消極的なプロジェクト評価がされやすい環境となることが想定される.逆に,エージェントとしての研究部門の権限が強いバイオベンチャーなどの企業体では,積極的なプロジェクト評価がされやすい環境となる.
著者
山本 恵司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.373-373, 2016

昭和の時代だった頃に見た映画「Back to the future part 2」で,よれよれの白衣のドクとマクフライ少年を乗せたデロリアン号が大嵐の中向かった未来は,半年ほど前の過去となってしまった2015年10月21日でした.彼らは30年先の未来世界に到着してあらゆることにビックリ,特にinnovationの進展で人々の生活は様変わりしていました.医薬品製剤の世界も30年前と比べてみると貼付剤,口腔内崩壊(OD)錠はライフサイクルマネージメント(LCM)の中に定着し,経肺吸収製剤,コクリスタル製剤,イオントフォレーシスや薬剤溶出型ステントの出現までドク,マクフライが知ったとしたらその驚愕ぶりが想像できます.これらはアイデアの創出から,new product,new market,new material supplier等の有機的結合・発展,つまりinnovationの結果と言えます.我が国では安倍首相が次々と成長戦略の一環として「健康・医療戦略」を発表しており,先日のスピーチでは「医療関係産業の活性化は安倍政権の成長戦略の要であり,特にバイオ医薬品はその柱として健康長寿社会実現の鍵と言えます」と述べています.一貫した医療分野の研究開発の推進とその環境整備を総合的に行うことを目指す日本医療研究開発機構(AMED)の昨年4月の発足はその象徴と言えます.しかし現実には明るい未来が待っているとは限りません.昨年9月に出された医薬品産業強化総合戦略には「我が国として産業構造やinnovationを生み出す力が現状のままでは,日本の創薬産業は生き残りが困難な状況となる.」とあります.事実,先日発表された世界のグローバルイノベーター100社中に日本企業が40社を占めたとの発表の中で,いわゆる製薬会社がその中に1社も入っていない事実からも読み取れます.一方,USFDAは一貫してinnovationに強い意識を持っており,Statement of FDA missionの中にも「各種innovationを加速することでpublic healthを促進する」と記載されています.この流れは医薬品の生産についても確実に及んできており,マインドセットシフト(頭の構造の大転換)を要するinnovationが求められています.繁用される固形製剤の生産を例とすれば,従来からその生産方法は単位操作の積み重ねで構成されており,操作ごとに品質管理検査を行い最終的に優れた品質の製品を提供してきました.しかしinnovationの進展に伴い,これまでのquality by testingから現代ではquality by design(QbD)が主流となり,さらに昔のサンプル検査に代わってprocess analytical technology(PAT)などの技術によりreal time release testing(RTRT)が実現しています.その基礎となるのがrisk managementです.USFDAの医薬品評価研究センター(CDER)長のJanet Woodcock氏は昨春,議会で製剤プロセスを従来のバッチ式から連続プロセスにスイッチしていくことがinnovationであり,将来のあるべき姿であると発言しています.原料の医薬品,医薬品添加剤等を装置に投入して全てをコントロール,テストしながら連続プロセスにより高品質な製剤が生産されるinnovationは実は既に実現しつつあります.我らが得意とする"改善・改良"でガラパゴスへの道を再度たどること無く,世界の動きをリードするためのマインドセットシフトは待ったなしと感じられます.
著者
門脇 孝 齊藤 康 篠原 康雄 武田 健
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.36, no.9, pp.759-764, 2000-09-01

現在, 日本人の死亡原因のうち, 心臓病, 脳卒中など血管病といわれる病気の占める割合は極めて大きいものがある.肥満はこれらの血管病の他にも糖尿病など多くの生活習慣病のリスクファクターになっており, 肥満制御は21世紀の医療を考える上で必須の課題と思われる. 本日は3人の先生方に, 最近飛躍的に進んだといわれる肥満の分子機構に関する研究結果をもとに肥満と生活習慣病の関わり, 創薬への展望を語って戴いた.

2 0 0 0 OA 私の仕事流儀

著者
小林 長夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.507-509, 2016 (Released:2016-06-01)
参考文献数
11

動植物中には多くの機能中心として金属ポルフィリンが存在し、又類縁体である人工のフタロシアニンは多方面で応用され“機能性色素の王様”と呼ばれるにふさわしい化合物である。機能にはしばしば色が関係しており、色は更に吸収スペクトルと関係している。ポルフィリン類の幾何構造と分光学的データからそれらの相関を理論的に解釈し、未知ポルフィリン色素をデザインする際の指針とする事を目指した。
著者
大嶋 直浩
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1143-1143, 2014 (Released:2016-09-30)
参考文献数
2
被引用文献数
14

伝統薬は長い使用経験の中でその有効性が確認されたものであり,より効果的にするために複数の生薬を組み合わせていることが多い.そのため,伝統薬の有効性を理解するためには,生薬の相乗作用を明らかにすることが重要である.しかし,これまでに様々な生薬から有効成分が見いだされてきたものの,複数の生薬の相乗作用を成分レベルで明らかにした研究報告は少なく,生薬を組み合わせる意義が科学的に理解されているとは言い難いのが現状である.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Wang F. et al., PLOS ONE, 9, e87221 (2014).2) Chou T. C., Talalay P., Trends Pharmacol Sci., 4, 450-454 (1983).
著者
早河 輝幸
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.462-463, 2017 (Released:2017-05-01)

あらゆる学問は、先人の研究成果を礎としその上に新たな発見がなされることの繰り返しで進展する。私はその礎を書籍出版という形で築き、学問の発展に貢献すべく、専門出版社にて編集に携わっている。書籍の企画立案や校閲においては、薬学分野で培ったジェネラリストとしての観点が有用であると実感している。
著者
岡崎 平夫
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, 1978-12-01