- 著者
-
横谷 馨倫
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.51, no.7, pp.708, 2015 (Released:2017-03-22)
- 参考文献数
- 3
様々な健康効果をうたったハーブやダイエタリーサプリメント(herb and dietary supplements:HDS)の利用が世界中で広がっており,日本でもその利用が増えている.HDSに添加されているハーブの原材料は,植物の根や茎,葉などであるが,有効成分ならびにその含有量は,利用された植物の部位,生育した産地や収穫時期により異なる.そのためHDSの安全性は,製品としても原材料としても十分に検証されているとは言い難く,近年のHDS利用者の増加に伴い,健康被害の報告も増えている.多くの消費者は「HDSは天然・自然で安心・安全,体によい」との思いから,HDSを安易に利用しているが,実際,誤った植物部位の使用,有害物質,農薬,重金属,医薬品成分の混入などによる健康被害の事例が報告されている.今回は,この10年間でHDS摂取による肝障害が7%から20%に増加したという,安易なHDS摂取に警鐘を鳴らす,最近の研究結果を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Gershwin M. E. et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1190, 104-117 (2010).2) van Breemen R. B. et al., Am. J. Clin. Nutr., 87, 509S-513S (2008).3) Navarro V. J. et al., Hepatology, 60, 1399-1408 (2014).