著者
高橋 雅紀
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.14-32, 2006-01-15
参考文献数
115
被引用文献数
15 39

関東地方に分布する中新統の地理的および年代層序学的分布を総括し, 現在の利根川を挟んで岩相, 層厚, 地質構造, 堆積様式, 構造方向等に顕著な不連続を認めた.この地質学的不連続は, 西は赤城山の南麓下から伊勢崎と太田および館林の間を通り, さらに利根川に沿って柏付近から東方へ成田と竜ヶ崎の間に延び, さらに多古の北東付近で南東に向きを変え, 銚子の南の片貝海底谷へと延びる伏在断層である.この断層を挟んで東北日本弧と西南日本弧が大きく斜交しつつ接しており, その起源は前期中新世の日本海拡大時期に形成されたものと考えられる.断層に沿って相対的に東北日本弧が海溝側(東側)に数10km以上ずれており, また断層の西半部では落差の大きい南落ちの断層として, 平野側に厚い海成層を堆積させている.この断層をもって, 従来の利根川構造線を再定義した.
著者
林 大五郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.587-595, 1987-08-15

In order to simulate the formation of the Tibetan Plateau, several models are constructed assuming the crust as Newtonian fluid and the upper mantle lithosphere as rigid body. Calculations are performed for the period of 0.1 Ma after the collision because of the limitation of boundary conditions and the assumption of rigid lithosphere. Remarkable results are (1) emergence of Tibetan Plateau with 4000 m in height and (2) occurrence of great foredeep at the collided zone. With regard to the Himalayan nappe, the calculations which are continued during 1 Ma after the final stage of the collision obtain the following results : (1) viscous overturn movement around foredeep is probable to create the Himalayan nappe, (2) viscous flattening of the crust overcomes the upward movement of diapir.チベット高原の形成をユーラシアプレートおよびインドプレートの衝突によって説明するために,地殻をNewton流体と,またリソスフェアを剛体と見なして数値シミュレーションを行った.境界条件の制約から衝突後の0.1Ma(10万年)間を計算した.主な結果として(1)4000mに達するチベット高原の出現(2)衝突部の大規模な前縁凹地,を得た.ヒマラヤ・ナップの原因について,上記の衝突後のモデルを初期境界条件として1Ma(100万年)間にわたる数値シミュレーションを行った.結果として(1)前縁凹地周辺の粘性逆転運動がヒマラヤ・ナップを形成した,(2)地殻の粘性流動による平坦化がダイアピル上昇を凌駕する,を得た.
著者
江原 真悟
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.69, no.819, pp.553-555, 1963-12-25
著者
鶴美 志津夫
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.41, no.489, pp.323-324, 1934-09-06
著者
田崎 耕市 猪俣 道也 田崎 和江
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.86, no.6, pp.413-416, 1980
被引用文献数
3 9

金沢大学大学院自然科学研究科
著者
林 信太郎 伊藤 英之 千葉 達朗
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.103, no.9, pp.XXVII-XXVIII, 1997 (Released:2010-12-14)
参考文献数
1
被引用文献数
1 2

1997年8月16日午前11時頃, 秋田焼山(標高1366m)山頂の北東500mの空沼(からぬま)付近で水蒸気爆発が発生し, 同時に継続時間約1時間の火山性微動が観測された. 噴火の起こった地点は1949年の火口群の位置にほぼ相当する(第1図; 津屋, 1954). ここでは, 噴火の二日後の18日に撮影した写真を中心に水蒸気爆発噴出物およびその火口について紹介する. 現時点で見つかった地質学的証拠から8月16日の噴火の過程を再現すると次のようになる: 1) 新火口b1あるいはb2から泥が吹き出し, 空沼火口に「泥流」となって流れ込み, 2) 次に新火口aから火山灰, 噴石が噴出, 3) 最後に新火口b2から少量の泥が噴出し. それ以前の堆積物を同心円状におおった. なお, 今回の噴火の総噴出量は1万m3以下と推定される.
著者
大木 公彦
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, pp.xxix-xxx, 1993-12-15
被引用文献数
1
著者
富田 裕子 黒川 勝己
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.1, pp.63-71, 1999-01-15
参考文献数
38
被引用文献数
11 9

大阪層群最下部に挟在する鮮新世後期(約2.7 Ma)の土生滝I火山灰層および東海層群の南谷1火山灰層と, 日本海側の氷見層群のMT2火山灰層, 新潟地域の西山層中のArg-2火山灰層との対比を検討した.これらはいずれも黄白色ないし白色細粒のガラス質火山灰層で, 水底に堆積した降下火山灰層と考えられる.全層厚は13-150 cmであるが, 1-3ユニットから構成される.これらの火山灰層はその層準や年代, 高温型石英を含み, 斜方輝石, ホルンブレンドを主とする重鉱物組成などの記載岩石学的特徴, およびbubble wall型を主とする火山ガラスの形状, ガラスの屈折率, 化学組成の検討から同一の火山灰層と認定できる.南谷1火山灰層はすでに掛川層群の有ヶ谷I火山灰層にも対比されていることから, これらの火山灰層(土生滝1-MT2火山灰層と総称する)は中央日本における太平洋側から日本海側にわたる広域火山灰層として有効に活用しうると考えられる.
著者
佐藤 時幸 千代延 俊 ファリーダ メウティア
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.2, pp.87-96, 2012
被引用文献数
1 6

第四紀の始まりの改定に関する諸問題を石灰質ナンノ化石層序の観点から総括した.微化石による地質年代決定精度の向上は,温暖化/寒冷化の問題を汎世界的な詳細な対比に基づいて議論することを可能にしたばかりでなく,寒冷化と第四紀の始まりに関する問題を極めて具体的に明らかにすることを可能にした.結果として,汎世界的な寒冷化は,その直前の温暖期に引き続く事件であり,いずれもパナマ地峡の成立による海洋システムの変化が"Climate Crash"を引き起こし,石灰質ナンノプランクトンや浮遊性有孔虫の地理分布の完成と現在の海洋システム,すなわち"Quaternary style Climate"が成立したことを示している.その観点からすると,第四紀の始まりを, Climate Crashに最も近いジェラシアン階基底で第四紀の始まりを定義することは,極めて妥当であると言える.
著者
永淵 正叙
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.21, no.255, pp.533-539, 1914-12-20
著者
石川 正弘 大槻 憲四郎
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.96, no.9, pp.719-730, 1990-09-15
被引用文献数
2 7
著者
青木 直昭 馬場 勝良
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.65-73, 1972-02-15
被引用文献数
6 1
著者
高橋 啓一 野苅家 宏
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.455-459_1, 1980-07-15
被引用文献数
2
著者
山田 国見 安江 健一 岩野 英樹 山田 隆二 梅田 浩司 小村 健太朗
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.437-448, 2012-07-15 (Released:2012-12-04)
参考文献数
46
被引用文献数
4 4

垂直変位を伴うA級の左横ずれ活断層である阿寺断層の周辺から採取された地表・ボーリングコア試料に対してフィッション・トラック法による解析を行い,垂直変位量と活動開始時期を推定した.その結果,熱年代学に基づく約70 Ma以降の阿寺断層の垂直変位量は約1 kmであり,断層を挟んだ基盤岩や地形の高度差に基づいて推定された阿寺断層の垂直変位量と変わらないこと,また現在の破砕帯内で現在の断層に沿って20 Ma頃ないしそれ以降でおそらく第四紀以前に広い範囲で加熱があったことが明らかになった.前者は阿寺断層の約70 Ma以降の総垂直変位量が現在の活動様式による垂直変位量で説明できることを意味し,現在の変位様式の活動が第四紀初頭以降に開始したという従来の見解と整合的である.後者はこの時期には既に破砕帯が存在し,おそらく断層運動が始まっていたことを示す.したがって阿寺断層の現在の活動は,かつて存在した古阿寺断層の再活動に当たると考えられる.
著者
武藤 潤 大園 真子
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.323-333, 2012-05-15 (Released:2012-10-05)
参考文献数
67
被引用文献数
2 6

東北地方太平洋沖地震後の余効変動の定量的解析にとって重要な東北日本弧の東西レオロジー強度断面を,地球物理学的観測および近年の実験岩石力学結果を用いて作成した.得られた強度プロファイルは,地震前に得られていた奥羽脊梁山脈への測地学的歪み集中や地震の深さ変化を説明する.さらにプレート境界型地震から推定される応力変化量を仮定することで,東北日本弧の粘性構造を求めた.地球物理学的観測から推定されている部分溶融帯や断層深部延長など低強度帯の存在は,内陸地震後の余効変動から推定された東北日本弧の粘性率を説明する.異なる余効変動機構の分離とそれぞれの定量的解析には,東北日本弧粘性構造の著しい不均質性を考慮する必要がある.
著者
吉川 周作
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.131-140, 1978-03-15
被引用文献数
1 2