著者
小林 文夫
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.11, pp.701-705, 2001-11-15
被引用文献数
1 6

関東山地南部の三宝山帯を構成する, ジュラ紀新世後葉〜白亜紀古世前葉の付加体(御前山層)の石灰岩ブロックから18属23種の有孔虫化石群集が見出された.Codonofusiella kueichowensis Sheng, Nanlingella cf. meridionaris Rui and Sheng, Nanlingella ? simplex(Sheng and Chang), Rubuloides gibbus Reichelなどの指標種が識別されることから, この群衆はペルム紀新世前葉(Wuchiapingian)と考えられる.フズリナ類はCodonofusiellaとNanlingellaだけであり, Reichelina, Staffella, Nankinellaなどは含まれていない.フズリナ類以外の有孔虫では, Robuloidesを除くと, Colaniella, Paraglobivalvulina, Dagmaritaのようなテーチス海域の上部ペルム系に特徴的で広域的に分布する諸属を欠いている.それゆえ, この有孔虫化石群集は石灰岩の堆積年代の決定に有効であるだけではなく, ペルム紀新世の有孔虫古生物地理など関連する諸課題を検討する際の基礎資料として重要である.
著者
三位 秀夫
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.67, no.790, 1961-07-25
著者
山本 啓司 渡邊 和哉
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.XIII-XIV, 1996-04-15
被引用文献数
1

九州西部の西彼杵半局, 野母半島および天草下島には低温高圧型の変成作用を受けた結晶片岩類が分布し, それらは「長崎変成岩類」と総称されている (例えば, 唐木田ほか, 1969;服部, 1992など). 著者らは熊本県天草下島の西部において長崎変成岩類の変形構造の調査を進めているが, 最近, シース褶曲 (sheath fold, 鞘状褶曲) の3次元形態を観察できる露頭を発見した, シース褶曲の形成過程については, 変形岩の野外および顕微鏡下での観察やモデル実験などによって解析されている (例えば, Minnigh, 1979; Cobbold and Quinquis, 1980; Skiernaa, 1989など). それらの結果から, シース褶曲の鞘状部の先端の向きは, 褶曲形成時の勢断方向と一致していることが知られている, シース褶曲の形態を記載することは岩石の変形史を知る上で重要である. しかし, 野外では一つの断面しか観察できないことが多いので, 褶曲軸などを正確に測定することは一般には困難である. ここで紹介する露頭では, シース褶曲が発達した岩石のさまざまな方向の断面を観察することができる.
著者
山本 荘毅
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, 1983-12-15
著者
望月 勝海
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.37, no.444, 1930-09-20
著者
野沢 保
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, 1985-11-15
著者
鈴木 桂子
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.484-495, 2010 (Released:2010-12-22)
参考文献数
49
被引用文献数
1

大規模火砕流は様々な岩相の火砕流堆積物を形成し,ラグブレッチャーはバイエス型より漏斗型に多い.クレーターレイクカルデラでは,ラグブレッチャーのコンポーネント分析により大規模火砕流がリング割れ目系に沿った複数火口から噴出したと解釈される.ワイングラス溶結凝灰岩中に認められる絞り出しとウーズはカルデラ壁形成時に生じた構造であり,冷却速度計算によりカルデラ崩壊がワイングラス火砕流堆積から9日~11ヵ月以内に発生したと推定される.漏斗型カルデラでは,降下火砕物噴火で始まり,小規模火砕流または火砕サージの発生の後に大規模火砕流噴火に至るが,カルデラ陥没のタイミングで火砕流が噴出しているので,それぞれの体積の大小はカルデラ形成には関係ない.大規模火砕流の場合,フローユニットの数が少ないほど,噴出率が大きくなり,噴出率が大きいほど,マグマ溜まりの減圧速度が大きくなるので,カルデラ陥没が進行し易い.
著者
青木 一勝 飯塚 毅 平田 岳史 丸山 茂徳 寺林 優
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.5, pp.171-183, 2007-05-15
被引用文献数
10 63

四国中央部大歩危地域に分布する三波川結晶片岩類は,原岩層序に基づき構造的上位から下位に向かい三縄層,小歩危層,川口層に分類されてきた.今回,それぞれの層から火成ジルコンを分離し,LA-ICP-MSを用いてU-Pb年代測定を行った結果,三縄層中のジルコンの多くが1900-1800Maの火成年代を示した.一方,小歩危層・川口層中のジルコンから得られた火成年代は三縄層よりも若く,その中で最も若い年代は,それぞれ92±4Ma,82±11Maであった.両層の堆積年代は更に若く,その年代は,四万十帯北帯の付加年代と一致する.このことから,従来,三波川帯と見なされてきた小歩危層,川口層は,四万十帯北帯であることが明らかになった.したがって,三縄層と小歩危層の層境界は,三波川帯/四万十帯境界にあたる.また,大歩危地域における構造的累重関係は,三波川変成帯が四万十帯の構造的上位に位置することを示している.
著者
飯島 東 岩生 周一
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.591-604, 1970-12-25
被引用文献数
2 4
著者
竹内 誠 河合 政岐 野田 篤 杉本 憲彦 横田 秀晴 小嶋 智 大野 研也 丹羽 正和 大場 穂高
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.715-730, 2004 (Released:2005-02-18)
参考文献数
44
被引用文献数
3 3

飛騨外縁帯北東部の白馬岳地域にはペルム系白馬岳層が分布する. 白馬岳層は従来から言われていたようなメランジュやオリストストロームからなる付加体ではなく, 火山弧周辺の浅海で堆積した珪長質火砕岩類を主とする整然層である. 白馬岳層下部層形成時では珪長質火砕岩の堆積を主とするが, 下部層の上部形成時には玄武岩の水中噴火が生じ, バイモーダルな火山活動がみられる. 中部層形成時では, 火山活動が沈静化し頁岩や砂岩が堆積した. 上部層形成時では再びバイモーダルな火山活動が始まり, かつスランピング又は斜面崩壊によって石灰岩角礫や岩塊が珪長質凝灰角礫岩とともに堆積した.白馬岳層は角閃岩岩塊を含む蛇紋岩に衝上断層で覆われ, 蛇紋岩の構造的下位に位置する. その後NW-SE方向とNE-SW方向の高角度断層の形成に伴って, 古生界岩塊を含む蛇紋岩メランジュが形成された.
著者
柵山 雅則
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.265-274, 1980
被引用文献数
2 4
著者
束田 和弘 竹内 誠 小嶋 智
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.640-658, 2004-10-15
被引用文献数
7 23

従来,飛騨外縁帯の分布・区分などには多くの混乱と問題があったため,その発達史を議論する上で大きな障害となっていた,従来飛騨外縁帯として扱われてきた地層・岩体は,岩相とその占める空間的位置により,(1)中〜上部古生界浅海成層を主体とする地層群(宇奈月帯構成岩類を含む),(2)300Ma以前の変成岩を含み,苦鉄質〜超苦鉄質岩を主体とするもの,(3)後期古生代の石灰岩・チャート・砕屑岩主体層,(4)苦鉄質岩とペルム系砕屑岩,の4つに大別される.後三者は,それぞれ三郡-蓮華帯,秋吉帯および舞鶴帯に帰属を求めることができ,本論では(1)の分布域を飛騨外縁帯として再定義することを提案し,その模式地は福地・本郷・古川地域とする.本論の飛騨外縁帯構成岩類は,宇奈月,白馬岳,福地・本郷・古川,楢谷,石徹白,朝日,伊勢・大野の各地域に分布し,それらは各地域内で断層もしくは剪断帯で寸断されてブロック化している.
著者
吉川 敏之
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 = THE JOURNAL OF THE GEOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.12, pp.760-769, 2006-12-15
参考文献数
27

栃木県北部のうち,日光市今市(旧今市市)周辺地域には珪長質火山岩類が広く分布する.このうち,飯山層および大滝凝灰角礫岩の火砕岩のフィッション・トラック(FT)年代を測定した.飯山層の火砕流堆積物中に含まれるジルコンのFT年代は14.8±0.7 Maで,ほぼ火砕流の噴出年代を表していると判断できる.大滝凝灰角礫岩の岩屑なだれ堆積物の基質部分に含まれるジルコンのFT年代は13.4±0.6 Maであるが,χ<sup>2</sup>検定に失格し,ポアソン変動以外の年代値を乱す要因を受けている可能性があり,大滝凝灰角礫岩の年代は依然として明確でない.飯山層の年代は栃木県内の海成中新世火山岩類では最も古く,放射年代に基づくと,各地域の珪長質火山岩は時間間隙を伴いながら場所を変えて噴出したものと見なせる.ただし,宇都宮地域の年代に関しては,年代値と層序の矛盾,年代決定手法間の不一致があり,この問題が解決されないと火山岩類の対比も確立できない.<br>

1 0 0 0 OA 櫻井欽一会員

著者
加藤 昭
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.99, no.12, 1993-12-15