著者
臼杵 憲祐
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.7, pp.1696-1704, 2013-07-10 (Released:2014-07-10)
参考文献数
10

成人急性リンパ性白血病は年齢,白血球数,核型の予後因子によって層別化して治療する.小児の治療では副腎皮質ホルモン,ビンクリスチン,アスパラギナーゼの投与量が多く,中枢神経白血病の予防治療が強力であるが,この小児用の治療レジメンを用いることによって思春期/若年成人の治療成績は改善した.また,チロシンキナーゼ阻害薬の導入によってフィラデルフィア染色体陽性例の治療成績は著しく改善した.
著者
井上 勉 渡辺 裕輔 野平 由香 新井 鐘大 佐藤 貴彦 菊田 知宏 小林 和裕 池田 直史 鈴木 洋通
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.3049-3051, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

56歳,女性,腹膜透析患者,3年前よりうつ病あり塩酸トラゾドンを使用していた.徐々に増悪した嘔気,嘔吐,水様下痢を主訴に救急外来を受診,血圧202/86mmHg,ミオクローヌスも認めたが原因は不明であった.入院後,経口薬剤を中止してから血圧は次第に下降し,消化器症状も改善した.頭部および胸腹部CT,上部消化管内視鏡で器質的疾患は否定された.これら臨床経過から塩酸トラゾドンによるセロトニン症候群の可能性が示唆された.
著者
桂 重鴻
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.669-706, 1957-10-10 (Released:2011-02-22)
参考文献数
224
被引用文献数
1
著者
冨田 謙吾 穂苅 量太
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1, pp.48-56, 2015-01-10 (Released:2016-01-10)
参考文献数
37

非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)/非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)はメタボリックシンドロームの肝臓での表現形と考えられている.肝臓は腸管由来の門脈血流により真っ先に栄養される臓器であり,NASH/NAFLD病態は腸管由来のPAMPs,腸内細菌代謝物をはじめとする種々の因子の強い影響を受けることが明らかになってきた.そして,その背景にある腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)と病態との相関の詳細が,近年の腸内細菌解析手法の飛躍的な進展により急速に解明されつつある.
著者
柏原 直樹 長洲 一 佐藤 稔
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.7, pp.1473-1480, 2017-07-10 (Released:2018-07-10)
参考文献数
10

慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の病態形成には,防御機構を凌駕する活性酸素種産生,すなわち「酸化ストレス」が深く関与している.また,酸化ストレスの亢進には鏡像的変化として,一酸化窒素の生物学的利用能(bioavailability)低下が付随している.このROS/NOの不均衡は,腎臓病の進展のみならず,心血管病の発症機序にも関与している.一方,虚血と酸化ストレスは共存するのが通例であり,また,病因的にも双方向性の関係を有している.虚血の解除は酸化ストレス軽減をもたらし,病態改善につながる.
著者
里吉 営二郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2325-2328, 2002-08-10
参考文献数
31
被引用文献数
1
著者
重藤 寛史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.1108-1114, 2018-06-10 (Released:2019-06-10)
参考文献数
7

2016年,AMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionic acid)型グルタミン酸受容体拮抗作用をもつペランパネル(perampanel),ナトリウム・チャネルの緩徐な阻害作用をもつラコサミド(lacosamide)が本邦で発売開始となった.それ以前にも,本邦では2006年以降,ガバペンチン(gabapentin),トピラマート(topiramate),ラモトリギン(lamotrigine),レベチラセタム(levetiracetam)の4つの抗てんかん薬が発売となっている.ラモトリギン,レベチラセタムは催奇形性が少なく,ラモトリギンは部分発作,強直間代発作に対して,レベチラセタムは部分発作に対して単剤使用できるため,この2剤は第一選択薬として使用される頻度が高くなっている.ラコサミドはカルバマゼピンと同等の発作抑制作用を持ち,薬疹及び相互作用が少なく,単剤投与可能のため,今後,部分発作の第一選択薬として選択される機会が増えてくると思われる.ガバペンチン,トピラマート,ペランパネルは難治性てんかんの併用薬としての有効性が期待される.
著者
佐藤 賢一 下瀬川 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.7-16, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

膵癌はK-ras遺伝子の変異にp16やp53などの癌抑制遺伝子の欠失や変異が加わり,前癌病変のPanINを経て多段階的に発生する.膵癌の浸潤・転移機構には癌と間質の相互作用や上皮-間葉形質転換(EMT)といった現象が重要な役割を演じている.また,他の癌で示されているように,膵癌においてもEMTが誘導されている細胞が癌幹細胞の性質を獲得し,悪性形質をさらに増している可能性がある.
著者
間嶋 紗織 太田 崇之 尾本 篤志 福田 亙
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.708-709, 2013 (Released:2014-03-10)
参考文献数
3

ヒトパルボウイルスB19(以下B19)の成人感染例では,皮疹,関節痛,補体低下,自己抗体の出現,蛋白尿,糸球体腎炎など,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下SLE)様症状を呈する場合がある.症例は64歳女性.発熱,皮疹を主訴に来院し,臨床所見はSLE診断基準を満たすも,発症形式などからB19感染を疑い経過をみたところ,安静,食事療法で自然に軽快し,またB19IgM抗体陽性の結果を得たため,B19感染症と診断した.
著者
苅尾 七臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1446-1457, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2
著者
荒田 尚子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.924-931, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
12

Basedow病や慢性甲状腺炎などの甲状腺疾患は妊娠可能年齢の女性に多くみられることから,甲状腺疾患の診療を行う上で妊娠中の管理にも精通しておく必要がある.Basedow病では,チアマゾールの催奇形性とPTUの重篤な副作用リスクの両者を考慮して良好な甲状腺機能のコントロールを目指す必要があり,時に甲状腺専門医,産科医および新生児科(小児科)医との連携が必要となる.慢性甲状腺炎ではレボサイロキシン量の細やかな調節が重要である.
著者
貫井 陽子 高崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2435-2441, 2007-11-10
参考文献数
6

ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない. <br>
著者
平林 久吾 今井 壽正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.720-724, 1996-05-10
参考文献数
5

脳幹脳炎は大きく3種類に分類される.すなわちBickerstaff型脳幹脳炎(parainfectiousbrainstem encephalitisを含む),感染性脳幹脳炎(結核性,単純ヘルペス性,日本脳炎など),原因不明の脳幹脳炎(神経Behcet病,飯塚型脳幹脳炎)である.最近の神経科学の進歩に伴ない, Bickerstaff型脳幹脳炎の病因の一部に抗GQlb抗体の関与が明らかとなってきた.感染性脳炎の原因菌やウイルスの同定にELISA法やPCR法が導入され,早期診断,早期治療に役立っている.脳幹脳炎はいまだに原因不明(Bickerstaff型脳幹脳炎の一部も含む)のものが主体をなしており,さらなる原因の究明が待たれる.
著者
大久保 智恵 藤崎 智明 横田 英介 川崎 啓祐 大城 由美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2598-2600, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Whipple病は放線菌近縁のグラム陽性桿菌Tropheryma whipplei(T. whipplei)感染により多彩な臨床症状を生じる全身感染症である.1907年の1例目の報告以来,世界各地から1,000例程度の報告があるが,中年以降の白人例が多く,本邦からの報告はまれである.当科に原因不明の遷延性下痢・低蛋白血症のため入院し,十二指腸生検の病理所見からWhipple病と診断し,抗菌化学療法で劇的な改善を認めた1例を経験した.Whipple病は抗菌薬がない時代は致死的疾患であったが,現在は抗菌療法で治療可能である.しかし,現在でも診断,治療が遅れると予後不良となるため,本邦においても留意すべきと考え報告する.
著者
小林 正夫 川口 浩史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1639-1644, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

自己免疫性好中球減少症は主として好中球抗原に対する自己抗体が産生され,好中球の破壊亢進による好中球減少症である.好中球抗原はHNA-1,HNA-2など数種類が同定されているが,Fcγ receptor IIIb(FcγRIIIb,CD16b)上に存在するHNA1系に対する抗体が原因となることが多い.成人領域では他の自己免疫性疾患に合併してFcγRIIIbに対する抗体が認められることが多い.抗体の同定はFACSを用いた間接免疫蛍光法での半定量を利用している.