- 著者
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鈴木 憲太郎
園部 宝積
- 出版者
- JAPAN WOOD PRESERVING ASSOCIATION
- 雑誌
- 木材保存 (ISSN:02879255)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.4, pp.154-160, 1993
- 被引用文献数
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CCA廃材の埋設処分の可能性を調べるため,用途廃止はされたが腐朽の認められないCCA処理電柱廃材を土中に埋設し,近傍の土壌中のCCA構成成分である,クロム,ヒ素,銅の含有量を埋設後それぞれ6ケ月,6年経過後に測定した。埋設前のCCA処理丸太廃材の流脱性については,砒素の流脱量は4本のうち2本の丸太で他より高い値を示していた。しかし,これらの値は総理府令で定める溶出量の埋立基準の1.5mg/lよりも低い値であった。6価クロムについては丸太間の差は認められず,全て総理府令で定める溶出量の埋立基準の1.5mg/lより低い値でまた,埋設後においても,6ケ月経過,6年経過のいずれも,CCA処理丸太及びチップ周辺の土壌中の6価クロム量は,検出限界である0.05mg/lを下回った。丸太と接触させた土壌試料の場合,クロム含有量については,木口横の分析値は丸太下5-10cmの値よりもやや高い値を示したが,対照土壌の値を大きく上回らなかった。砒素含有量については,木口横の分析値は,特にNn.2とNo.4の丸太で,丸太下5-10cmの値よりも2,3倍高い値を示したが,丸太下5-10cmの値は対照土壌試料の値と同等と見なせた。銅含有量については,木口横の分析値は丸太下5-10cmの値よりもやや高い値を示したが,対照土壌試料の値を大きく上回ることはなかった。6年間の野外土壌接触試験結果では,丸太及びチップ直下の土壌中の銅,クロム,砒素の含有量は,対照土壌と考えられる同じエリア内にある非接触土壌の分析値を越える値にはないことが認められた。以上から,少なくも今回の試験規模である,CCA処理廃材を1m2の土壌にCCA処理丸太を0.15m3,同チップを0.085m3程度埋設した場合を大幅に越えない範囲でCCA廃材を土壌中に埋設した場合,土壌埋設を長期間続けたとしても,CCA廃材に起因する環境中の金属量の増加は無視し得る程度と考えられ,構成金属の流脱による土壌汚染のおそれは少ないと考えられた。