著者
小林 秀幸 酒見 泰寛 柴田 利明
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.385-388, 1996-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

物理学の様々な分野で応用されているイオントラップの原理を理解するために,円筒形の電極と矩形パルスの電圧を用いて簡易なPaulトラップを製作した。高電圧に帯電させた食塩水の液滴を空気中で捕獲し照明することによって微粒子の振舞を肉眼とビデオカメラで観察した。このイオントラップを用いた実験は,3年生の学生実験の課題となっている。
著者
小栗 美香 伊藤 克美 五十嵐 尤二 小林 一夫 絹川 亨 園田 英徳
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.2-9, 2019-03-08 (Released:2019-05-08)
参考文献数
12

ボルタは,麦わら検電器(今日の箔検電器)を発案し,麦わらの開く角度に対応する物理量として,電位の概念を提唱した.本論文ではこうした箔検電器の動作原理を明らかにするために,導体系の理論に基づき,箔検電器に対する「遮蔽コンデンサーモデル」を提案する.また,等角写像を用いて箔検電器内部の電場分布を考察し,箔の開く角度と電位の関係を解析的に求め,ボルタの推論が成り立つことを定性的に示す.箔が開く要因について広く用いられている記述が十分なものではないことを我々の考察は示唆している.
著者
迫田 昭一郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.304-307, 1989-11-30 (Released:2017-02-10)

標題の物理学実験に等角写像による理論計算の結果を組み込む目的で理論計算のソフトを作成した。その内容,特に楕円積分を含む数値計算のプログラムの要点を述べる。そして実験の基本的な場合と,銅板枠を用いて境界条件を変えた場合について理論計算の結果を示し,おのおのの実験と比較する。
著者
佐藤 文隆
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.275-278, 2018-12-06 (Released:2019-01-08)

筆者は「元気な物理学」の時代(概略1955-65年)を経験したが,そこには計算機革命を主導するなど,「開かれた学問」のマインドに満ちていた。電子は素粒子であると同時にコンピュートする存在でもある。自然は人間の概念世界のなかに描かれるものである。力学の物理教育では実在とツールの関係の考察が必要であり,量子力学の解釈問題はこの点に関わっている。ツールは他の学問に波及する威力を持つ。
著者
斎藤 吉彦
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.209-212, 2012-09-03 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5

本誌の企画「変位電流とは何か」で,3編の論文が「変位電流は磁場を創らない」の議論を与えている。これらは,時間変化をする球対称電場の存在の正否が要となっている。本稿は,この電場がマクスウェル方程式と矛盾することを根拠に,設定されたモデルを否定する。さらに,モデルが仮定する荷電粒子の運動が非物理的であることを具体的に示す。本編の議論は電磁場の相対論的理解が背景にあり,教育者にとって電磁気学の相対論的理解の必要性を主張する。
著者
龍渓 信行
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.217, 1994-06-05 (Released:2021-08-18)
参考文献数
4
著者
霜田 光一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.319-322, 2005-12-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

これまでの電磁気学では,クローンの法則,アンペールの法則など数々の実験法則を基にしてマクスウェルの式を導いている。ここでは,光速の原理と電荷保存則を仮定し,これを公理として真空中の電磁場についてマクスウェルの式を導く。ローレンス条件も変位電流も初めの2つの仮定から自然に導かれる。そしてマクスウェルの式を求めた後で,クローンの法則,アンペールの法則,ビオ・サバールの法則などを求める。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.415-418, 1994-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5

アーク放電型無線電話の実験を簡単な方法で演示したところ,当教育センターの教員研修では強い興味と関心がよせられたので,本電話の歴史的意義と教育的意義を考察して,高校物理での教材化を試みた。本装置は素朴で原理的であるが,そのなかには物理教育上の重要事項が多数含まれている。音質は良好で,音量も十分であるので演示効果は大きい。本実験は,高校物理IIの電磁気分野のまとめや発展学習,課題研究の教材として利用できる。

1 0 0 0 OA 空気砲の物理

著者
石原 諭 佐藤 光 三宅 明 松川 敦子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.188-192, 2008-09-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

密閉したダンボール箱の一つの面に穴をあけ,箱の側面をたたくと,空気のかたまりが打ち出される。箱の中に煙を入れてたたくと,空気のかたまりは渦輪であることがわかる。本研究では穴の形を変えたときの渦輪の運動を観察し,渦輪の変形の周期と並進速度との間に一定の規則性のあることを見出した。科学のイベントなどでよく取り上げられるこの興味深い現象は,物理の探究活動や課題研究のテーマとしての教材化が可能である。
著者
寺嶋 容明 平井 宏樹
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.225-230, 2021-12-09 (Released:2021-12-30)
参考文献数
7

本研究では,色による虹角の違いを簡単な実験で確かめることを目的に,赤,緑,青の三色のレーザー光線を用いて虹角の測定を行った。水を入れた透明な円筒形の容器を水滴の代わりに用い,レーザー光線を入射したときに出てくる光線の角度を分度器で測定した。さらに,測定の解析の工夫として,最小二乗法を使った解析を行った。
著者
樋之口 仁
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.98-101, 1996-06-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

夜光塗料に含まれる^<147>Pmを線源にして,フェライト磁石を使った簡単なβ線偏向実験を行い,シャープな偏向計数率を得た。そこから得られた曲率半径から,β粒子の速度・エネルギーを求めた。さらに,拡散霧箱でβ線の偏向を受けた飛跡が観察できた。これらの実験は高等学校物理の「ローレンツ力」・「放射線の性質」の単元で演示実験や生徒の探求活動・課題研究に利用できる。
著者
広井 禎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.161-162, 1999-06-25 (Released:2017-02-10)

1999年3月に2003年から高校で実施される学習指導要領が告示された。本稿では,その内容についての検討は一切せずに,そのつくられ方についてだけ検討する。仮に教育課程を建売住宅に例えてみる。従来,建売住宅に住む人・住みたい人の立場から論じられることが多かった。この玄関の位置は良い(悪い)とか,この間取りは住みやすい(住みにくい)とか,ここに戸棚があるのは使いやすい(使いにくい)など。本稿では,この視点を転じて,大工さんの立場から検討してみたいのである。建築資材や,大工さんの数,工事期間などにあたることの検討を試みることにする。
著者
我妻 則義 小野寺 恭一 星 豪 大塚 洋一 小高 信子 堀込 智之 佐藤 昌孝 志摩 茂郎 永井 哲 高橋 明 文屋 優 笹野 義則 奥田 光直 久保 素幸 進藤 典夫 野呂 茂樹 阪路 裕
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.95-100, 1998

大雪の影響が残る大学入試センター試験初日の1月17日,宮城県工業高校を会場に東北支部座談会が行われました。急な呼び掛けにも関わらず,小中高大の関係者者3名,書面提出5名の参加によって,「中間まとめ」に対する活発な意見交換が行われました。午後2時より開始された座談会では3時間に亘り熱心な討議が展開されました。
著者
至田 雅一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.297-300, 1999-10-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

学級崩壊や学校崩壊という言葉がマスコミを騒がしている。これらの状況の根幹には「児童・生徒たちにとってより良い『授業』,『学校』とはどのようなものなのか。」という教育全般に関わる本質的な問題が存在している。本稿では,かつて学校崩壊に陥りそれを克服してきた,ある府立高校の経験から平常時には見えない『授業』成立のための前提について議論し,「児童・生徒を生かす『秩序』」の重要性を示す。
著者
小野 啓一 井上 賢 広井 禎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.343-345, 2000

本年も5月27日(土)に東大駒場で13大学の参加を得て,今春の入試問題の懇談会が行われた。東京でのこの会は1991年に始まり,本年は9回目になる。この会の実務にあたった高校に属する3人で,いくつかのことを報告する。
著者
牧原 義一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.19-22, 2014

磁石や電流のまわりの磁力線を実験的に可視化する方法として,細かい砂鉄や鉄粉を撒く方法,複数の方位磁針を置く方法などが良く用いられている。本稿では,方位磁針の裏側に鉛筆の芯を取りつけた器具を用いて,磁力線を紙上に描画・記録して磁力線の様子を可視化する新たな方法について述べる。また,いくつかの磁力線の描画結果とその特徴を紹介するとともに,本教材を用いた実習に対する受講者の意見・感想についても報告する。
著者
植田 達郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.266-269, 2019-12-10 (Released:2020-03-25)
参考文献数
10

目に見えない物理現象の学習・教授は難しい。そこで2017年以降,新しいICTであるゴーグル式の拡張現実:AR(厳密には複合現実:MR)技術によって,目に見えない物理現象を可視化する教材を開発する研究が始まっている。しかし,教材の実践に関する研究は見当たらない。本研究では,目に見えない物理現象として磁界を取り上げ,マイクロソフトHololensを用いて,これを可視化する体験学習を開発した。これを5カ国,10の学校と6の機会で実施し,実施可能であることを明らかにした。