著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.32-37, 2012-03-08 (Released:2017-02-10)
参考文献数
1
被引用文献数
4

電磁気学のマクスウェル方程式のなかの変位電流について,「変位電流」は存在せず,それは電場の時間的変化を示すだけであり,しかも変位電流が磁場をつくるという旧来の説は誤りであるという新説が,近年唱えられている。その新説の根拠とされる論理と,モデルについて吟味する。相対論的場の量子論による真空の物質性,作用伝達について相対論的遅延効果,および電磁場を媒介とする近接作用の立場を考慮すれば,その新説は疑わしい。「変位電流」は存在し,かつそれは磁場をつくると結論できる。
著者
佐藤 革馬
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.67-70, 2015

平成24年度より,本校の理科では観点別評価の運用を始め,知識教授型授業だけでなく,科学的な思考や表現力を身につけられるような授業研究と改善を行っている。昨年度の本校の物理基礎では,力学分野の計算指導から始めてみたが生徒にとっては大きな困難があったため,今年度はエネルギーの利用から始める授業構成に切り替えたところ,比較的物理基礎の授業に満足する生徒が増えた。本稿では,物理基礎の授業で実践したことを報告する。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.425-432, 1995-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10

16世紀に入ると近代科学の幕が開く。それまで神学研究の一環として行われてきた光の研究は,自然哲学の研究対象へと姿を変えた。17世紀,フックやホイヘンスらによって唱えられた光の波動説とニュートンを嚆矢とする光の粒子説は,以後200年にわたって論争を展開した。18世紀には粒子説,19世紀には波動説が優位に立った。そして20世紀に入ってアインシュタインが両説を折衷的に統一した光量子説を提唱し,論争には終止符がうたれた。その間の道程は決して平坦なものではなく,次々にもたらされる発見や新知見は両者を互いにはげしくゆさぶった。しかし,これらの論争の中から電磁気学や量子論が生まれ,相対論は深化した。「神学と光学」「力学と光学」「熱学と光学」「電磁気学と光学」「相対論と光学」「量子論と光学」等々,物理学の歴史は光の正体解明に費やされたといって過言でない。これらの歴史をたどると,それはそのまま高校物理の授業になる。当時の研究者たちの疑問は,現在の高校生の疑問でもある。「光の論争史」の教材化は物理学の体系的理解に寄与するものと考えられる。
著者
岡田 直之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.85-90, 2009
参考文献数
9

電気パンが焼ける間に流れる電流値は増減を繰り返し,その時間変化のグラフは"二コブ"の形になることを報告する。本報告では,この電流値変化がホットケーキミックスにデンプンが含まれているために生じることを明らかにした。この電流値変化は,デンプンの糊化に伴うパン生地の電気伝導率の変化が原因であると考えられる。
著者
萩原 武士 永田 竣嗣 三宅 宏司 綾井 誠昌
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.56-59, 1982-05-25 (Released:2017-02-10)

指導要領の改訂に伴い高校の生徒達は,小学校理科の「音」で学んだ基礎知識だけで振動・波動現象の理解と定式化に取組まなければならない.このような問題点を軽減する目的で,下端を燐青銅薄板で封じた透明アクリル管にアルミニウム懸濁液を入れ,底部から市販の超音波洗浄器からの振動を伝えることにより定常波の観察が可能であるよう工夫した簡単な実験を行った.定常波の観察から波長を求め,この値と発振器の振動数とをもとにして音速を求めた.本実験により得られた水中での音速は約1448m・sec^<-1>であり,これまで他の方法で求められた値とよく一致することがわかった.さらに音速に影響を与える諸因子についての検討をも行った.本実験は準備が簡単であり,操作・測定も容易であるため,高校物理「振動・波動」に関する演示実験用教具として活用できるものと考えられる.
著者
西尾 信一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.76-79, 1989-06-25 (Released:2017-02-10)

現在,はねかえり係数は,衝突問題を解くのに運動量保存則と並列して使うための数学的手段として,生徒に認識されているきらいがある。そこには,物理的な現象としての衝突のイメージがほとんどない。また,生徒は「力学的エネルギーは弾性衝突のときしか保存されない」ということを暗記するが,一方で「衝突がどのようなものであっても運動量mvは保存されるのに,運動エネルギーmv^2/2は特別なときしか保存されない,というのは合点がゆかない」と言う。これらの問題を改善するため,はねかえり係数を用いないで,弾性衝突と非弾性衝突との違い,衝突時のエネルギー保存の問題などを指導する授業展開を考えてみた。
著者
安藤 潔
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.194-197, 1992-09-05 (Released:2017-02-10)

筆者はアメリカで考案された運動量保存則検証の実験装置を学生実験として導入してきた。この実験装置は日本ではあまり知られておらず,実験実施上の問題点も多い。そこで,実施上の問題点や学生の反応について述べる。
著者
恵下 斂 川北 一彦
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.9-11, 1993-03-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

高校物理あるいは大学の基礎課程の教材として活用することを目的として,気柱を伝わる音速の温度変化を測定するシステムを組み立てた。温度を変えながら,気柱の共鳴を利用して音速を測り,大気中を伝わる音速の理論式と比較した。その結果,温度範囲をあまり広くとらないかぎり,気柱を伝わる音速は理論式と比べてわずかに小さく,温度が高くなるにしたがってその差が大きくなることがわかった。
著者
佐藤 昌也
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.201-204, 2015-09-01 (Released:2017-02-10)

本校第4学年の応用物理実験のテーマに「電子の比電荷(e/m)の測定」がある。著者が担当した当初から,得られる電子の比電荷の測定値は,現在知られている真値(e/m≒1.76×10^<11>C・kg^<-1>)から大きくかけ離れており,その原因を明らかにできずにいた。今回,文献1)を参考に測定結果を解析し,誤差の原因について分析した。
著者
片桐 泉
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.334-337, 1999-12-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4

従来から知られている虹ビーズを用いた人工虹では,副虻はできない。しかし,虹ビーズを貼り付ける台紙に反射する板を用いると,二重に虹ができることを,科学クラブの生徒が発見した。そしてさらに,四重の人工虹へと発展した。この新しい虹ができる原理を考察し,実験値と比較したところ,妥当性が確かめられた。また,クラブの生徒たちの発見の喜びを,授業で一般の生徒に体験させる試みを行ったところ,非常に活発な授業となった。
著者
小林 尚輝 内山 秀樹 山本 仁 神尾 誠也 木下 拓史 島野 誠大 武井 大 松山 福太郎 内山 智幸 内田 匡 石代 晃司 渡辺 謙仁
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.79-86, 2020-06-10 (Released:2020-09-05)
参考文献数
15

2013 年の調査では日本の高校生の理科の有用感は米中韓と比較し低いが,一方で天文や宇宙開発への関心は高い。そこで,これらと関連し,理科の有用感も増す可能性のある教材として人工衛星電波受信実験に着目した。 受信実験の中では万有引力による運動やドップラー効果など高校物理で学ぶ多くの内容がわかりやすい形で現れ,物理や数学と科学技術との繋がりを実感できる。我々は科学教室と高校授業で実践を行い,理科の有用感と物理内容の理解の向上に対する効果を検証した。結果,多様な学生を対象とする高校授業の実践において効果が確認できた。
著者
矢野 幸夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.8-11, 2013-03-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4

大気中では重力よって上下方向に気圧の差が生じ,この気圧の差によって上向きの浮力が生じる。同様に,加速中の車内では慣性力によって加速度方向の気圧の差が生じ,この気圧の差によって加速度方向の浮力が新たに生じる。市販の3軸加速度・高度センサを利用すると加速中の車内に生じる気圧の差を測定することができる。これを使用して,重力と同様に慣性力によっても気圧の差が生じることを実験で確認し,加速中の車内のヘリウム風船にはたらく浮力を説明する教材を開発した。
著者
内川 英雄 浜崎 修
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.188-191, 1978-08-20 (Released:2017-02-03)

高等学校で,従来行なわれてきた音の気柱共鳴実験では,音源と気柱とのCoupling(結合)にはふれられなかった.鳴っている音叉に気柱共鳴管を近づけると,音が大きくなるかわりに,音叉の振動が早く減衰することを知る,手軽な実験方法がなかったからである.そこで,音叉に二個の半導体ひずみゲージを取付け,ブリッジ回路による出力電圧を,シンクロスコープまたはデジタルテスターで読み取り,音叉の振幅が1/2になるまでの時間(半減期)を測定した.音叉と気柱の相互作用を強める工夫をすれば,非常に大きな音を生じ,半減期も1/5以下にすることができた.音叉のかわりにスピーカーを使用した場合,共鳴管の有無による音の大小と,スピーカーの消費電力とは必ずしも対応しない.しかし,消費電力からジュール熱を差し引いた値は,音の大小に対応し,定性的にはエネルギー保存則を保証している.以上の二実験を大学の物理演習で実施し,エネルギー保存則の意味を再確認した.
著者
山田 盛夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.28-29, 2002-03-15 (Released:2017-02-10)
参考文献数
2
被引用文献数
3
著者
中村 哲 須藤 彰三
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.268-273, 2012-12-04 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5

変位電流特集(物理教育60巻1号)の3篇の論文(菅野,鈴木,兵頭)には,筆者らの変位電流に関する現状認識と理解の仕方が丁寧に説明されており,とても興味深い。論文間には意見の相違も見て取れる。この相違は,言葉の使い方の違いによるものと考えられる。「磁場を作る」という事を,「因果的に生み出す」という意味の"源(source)"と「適切な状況を設定するとそこに在る」という意味の"作る(presence)"という2つの場合に分けて考えると見通しが良いのではないだろうか?微分方程式として与えられているマクスウェル方程式,積分形式で与えられているクーロンの法則,ビオ・サヴァールの法則そしてジェフィメンコ方程式をもとに考察する。
著者
渡辺 文夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.199-203, 1988-09-10 (Released:2017-02-10)

真空管用Baフラッシュゲッターを化学実験用共通摺合わせフラスコ真空容器壁に蒸着させ,蒸着面を光電陰極に用いる教育実験用Ba真空光電管を開発した.真空排気は,フラスコに入れたモレキュラーシープを液体窒素で冷却する簡易ソープションだけで行う.赤,緑,青の3色のセロハン紙と写真用レフランプの組み合わせただけでBa光電管の光電限界波長(可視光線の緑色)を発見させ,また,プランク定数のおよその値を算出させることができる,実験終了後は,フラスコ内に空気を導入することによって,Ba鏡面消失の劇的酸化現象を観察できる.更に,酸化物を洗い出し,これに硫酸イオンを加えると白色沈殿ができることから,Ba金属を同定することができる.