著者
小松原 明哲
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.352-358, 1999-12-15 (Released:2017-03-31)
被引用文献数
1

ベテラン作業者は,ベテランであるがゆえの認知行動特質がある.したがって,ベテラン作業者にあっても,その認知行動特質をふまえたシステム設計を行うことが,認知エラーを防止する上で有益であると考えられる.本稿では,ベテランの起こす典型的なヒューマンエラーを整理した.つぎに,行動形成要因について,フラストレーション解消行動がベテランに特有の要因であることを指摘した.これらをふまえ,認知エラーを防止するためのシステム設計の方策にっいて検討した.
著者
佐田 守弘
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.161-167, 2010-06-15 (Released:2016-09-30)
参考文献数
3
著者
古川 浩 高橋 一雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.66-74, 1981-04-15 (Released:2018-02-28)

昭和53年2月28日に地下鉄東西線の上り電車が荒川・中川橋梁上で転倒した原因は,橋梁の下をくぐり抜けている防潮堤に事故当時西南方より吹きつけていた強風がつき当たって水平から9.17°上向きに風向きを変えて橋梁に達し,更に現場では橋梁の中間中桁に遮られて強い“吹き上げ”現象を起こした.そのため,車両の側壁に及ぼす西南風の水平分力と車両底面を突き上げる“吹き上げ”の合力によって事故が発生したことが明らかになった.本論文はこの現象の解明を調査結果を踏まえて理論及び計算によって 示したものである.
著者
清水 裕 中野 冠
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.237-245, 2018-06-15 (Released:2018-06-15)
参考文献数
25

国産のエネルギー資源に乏しい日本は,海外の資源に頼らざるをえない.エネルギー・セキュリティの面で,産油国から原油や天然ガスを輸入する際のシーレーン上のチョークポイントリスクは,欧米各国に比べて大きくて重要であるが,これまで十分な考慮がされていない.本稿では,エネルギー多様性指標を使用した資源集中リスク,およびカントリーリスクに加えて,チョークポイントリスクを加味したリスク指標を提案する.従来,エネルギーセキュリティを国別に比較をする際には,それぞれ異なった単位の指標を統合化する必要があるが,この提案する指標は,各国が抱える上記の3 つのリスクを,直接的に比較することができる.また応用例として,資源輸入相手国をリスクの少ない国にシフトした場合のエネルギーセキュリティ度の変化を,簡便に定量評価することが可能である.

2 0 0 0 OA 硝安の爆発性

著者
福山 郁生
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.253-266, 1971-10-15 (Released:2018-10-11)
著者
長谷川 和俊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.274-279, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
19

福島第一原子力発電所の事故は東日本大震災を契機に大災害に発展した.この事故が拡大した要因に関して安全文化の基本および本質安全技術に鑑みて検証した.その結果,安全優先,耐震補強,電源系の異種冗長化,非対称故障モードの活用と簡素化,原子炉施設の簡素化および影響の局限化,縮減化およびノックオン効果の回避,炉心損傷および水素ガス発生への包容性,ガス爆発への局限化,緊急対策の簡素化,異種冗長化された監視系に関して,不作為あるいは見過ごしがあった.従って,福島第一原子力発電所の大災害は安全設計の基本概念を欠いた人災であったと結論した.
著者
大谷英雄・堀口貞茲・浦野洋吉・徳橋和明・岩阪雅二・近藤重雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.96-98, 1988-04-15 (Released:2017-10-31)

内径100mm,高さ100mmの円筒型容器を用いてホスフィンの爆発限界を測定した.点火にはニクロ ム線に直流電流を流して溶断する方法を使用した. 酸素濃度を約21.5vol%に固定してホスフィン濃度を大きくすると,1.61vo1%から圧力が発生するようになった.約1.71vol%までは発生圧力は徐々に上昇し,その後急激に上昇,約1.9vol%を超えると再び濃度による圧力の変化は少なくなった。発生圧力の小さいところでは容器内の混合気の一部しか反応していない、ただし,1.61vo1%以下でもニクロム線近傍では反応が起こったものと考えられるが,圧力上昇は観察されなかったことから,1.61vol%以上ではある程度火炎が伝播し・たものと考えられる。窒素濃度を変化させた実験などから,空気中の爆発下限界は1.6vol%である.
著者
岩田 拡也・加藤 晋
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.237-243, 2016-08-15 (Released:2016-08-15)
参考文献数
8

昨年2015 年は,首相官邸屋上の件やイベント会場等での落下など,ドローンに関する主に安全上の話題をよく耳にする年であったが,それを受けて航空法の一部改正が緊急的な措置として行われた.その結果,改正航空法が2015 年12 月10 日から施行され,ドローン等の無人航空機に対する社会が許容するリスクレベルが示された.本稿では,ドローンの安全上の話題を,その歴史や技術から解説し,安全上の懸念だけでなく,ドローン使用のメリットやベネフィットもバランスよく説明し,将来のビジョンや産業発展の方向性を解説する.
著者
野中勲加藤芳久
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.163-168, 1983-06-15 (Released:2018-01-31)

シランの消費量は近年の半導体の進歩と発展に伴い急速に増加しつつある.シランは特異な性質を持ち,その取扱いを一つ誤まると災害につながるおそれがある、本稿ではシランの物性と安全な取扱いについて,初歩的でしかも保安の基本である事柄について概略紹介する.
著者
木下 冨雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.356-363, 2002-12-15 (Released:2017-01-31)
被引用文献数
8

本論文では,まず客観的リスクの定義について複数の立場を紹介したのち,客観的リスクと主観的リスク(リスク認知〉の違いについて言及した.次いでリスク認知を構成する主要な3成分について述べ,さらにリスク認知にかかわる要因として,入びとの性格,感情,価値観,態度,知識水準,職業的立場,デモグラフィック特性などといった個人側にある要因,大規模災害の経験,社会・文化・歴史的特性など環境側にある要因,それに対象の性質や事故特性といったリスク対象側の要因の働きを説明した.またリスクの受容水準が,タテマエ的にはゼロリスクを主張されながら,実際には10-5から10-6 程度であることを明らかにした.最後に,文化的要因の一つとして,リスク認知が国によってどのように異なるかを,国際比較データをもとにして解説した.
著者
稲永 和豊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.197-202, 1966-09-15 (Released:2018-11-30)
著者
西川 光一
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.355-362, 1987-12-15 (Released:2017-10-31)
被引用文献数
1

1986年11月1日深夜,スイス,バーゼル市の近郊のサンド社(S撒doz AG)で発生した倉庫火災は,死傷者はなかったものの,大量の消火水とともに流出した農薬等の化学薬品がライン(R騰ne)川に流入し,深刻な環境汚染をもたらし,流域の3箇国に影響を与え,国際的な問題となった, サンド社では,社会の批判と政府当局の改善勧告に応じ,経営の根幹にもかかわる大規模な安全対策を行い,多額の賠償請求にも対応しようとしている,欧州の化学工業も,環境対策への取組み姿勢の甘さが批判され,多額の公害防止投資を行うなど,深刻な影響を受けている, 事故の原因は,ベルリン・ブルーのシュリンク包装の際の過熱から,内容物のシュガ~バーニング(くすぶり)が起こったものを,規定通りの放置冷却を行わずにただちに倉庫へ搬入したことによる,蓄熱・自然発火であると発表された。過熱の原因は不明であるが,放冷という安全対策が守られなかったことから,管理者か作業者が作業規定をきちんと守っていれば起こり得なかった事故であったといえる.この事故の状況を述べ,教訓として,倉庫の安全対策と火災時の緊急対応等について考察する.
著者
福地 知行
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.26, no.6, pp.403-408, 1987

<p><tt><b>現代のエネルギー源としては,すでに欠くべからざるものとして,LPガスは都市ガスとともに不動の地位を築いたといってもよい. しかし,その両者ともに現在のその地位を確保するに至った経過において,必ずしも平坦なものばかりではなかった。数々の事故を引き起こし,尊い人命を奪い,さらに高価な物的代償を払わされ,それゆえにこそ,安全に使用できるための種々の方法,システム等が開発されて,今日に至ったのである。 過去に起こった事故は数々あるが,ここで述べる「つま恋」事故以前は,昭和37年9月13日に山中湖畔の山荘で起こったガス風呂の燃料としてのLPガスの不完全燃焼に起因する一酸化炭素の発生によ って1!人の生命を奪った事件が思い出される・ LPガスは安全でかつ安価であるといわれて多量に使われようとした矢先の話であり,その後LPガス使用の家庭に起こった数多くの爆発事故は,使い方によっては都市ガスと同じように安全と危険とが背中合せであるという教訓を残している. このようななかで「つま恋」の事故が起こったのである.もういまでは思い出のなかの事故のようになって終わったが,LPガスの事故としては最大の犠牲者を生じた事故となった.すなわち,静岡県掛川市満水2000番地のヤマハレクリェーション施設「っま恋」において,昭和58年11月22日午後0時48 分,爆発事故が発生し,人的には死者14名,負傷者27名,物的な被害としては鉄骨平屋建(993.7m<sup>2</sup>)が全焼,スポーツマンズクラブ室内プールガラス窓全損等となった、 この満水亭の概要について述べ,つぎに事故について日時を追って,その経過の詳細をたどってみる </b></tt><tt><b>こととする. </b></tt></p>
著者
斎藤 直
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.452-459, 1996-12-15 (Released:2017-05-31)

フロンは成層圏オゾン層を破壊するため,生産と消費が国際的に規制された.フロンの仲間で,よりオゾン層破壊効果の大きい高性能消火剤のハロン消火剤の全廃について解説した.ハロン消火剤の消火機構,生産・消費の全廃とわが国の対応,代替の新消火剤の開発・利用の現状,新消火剤の消火性能と毒性について説明し,当面,ハロンのリサイクルと新消火剤を適材適所に用いて対応すべきであるとした.そのためには,新消火剤に関する消火性能,毒性などの情報が,利用者に正しく提供される必要がある.
著者
三島 敦夫
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.18-32, 1991-02-15 (Released:2017-09-30)

石炭灰は日本国内で年間約540万t発生しており,そのうち約400万tが石炭火力発電所からの発生である.今後のエネルギー需要からその発生量は増大が見込まれている.現在その過半数は埋め立て処分されており,有効利用率は50%弱である.有効利用のおもなものはセメントの原料,混和材である,今後の石炭灰の発生量の増大に対して有効利用の拡大を図る必要がある、電力会社も自らゲイ酸カリ肥料,人工軽量骨材,乾式脱硫材などの開発を行い事業化している,またセメント分野での用途拡大にも努めている.最近の地球環境の問題からも,廃棄物の削減,資源化が不可欠の課題となっており,利用技術開発のほかに利用上のソフトの整備などの各方面の協力が必要である.
著者
小畑 一義
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.139, 2006-06-15 (Released:2016-11-30)
著者
琴寄 崇
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-18, 1986-02-15 (Released:2017-11-30)

15種の木粉類につき,初めに常圧空気中におけるTG-DTAを測定し,材種による違いがどの程度現れるかをみた後,断熱型の昇温過程記録装置を用いて常圧乾燥空気中かつ断熱条件下における,樹木中の各部位の発火性の差異や木粉に色々な爽雑物が混入した場合の発火性の変化について数種の実験的知見を収集した.次いで,堆積物の熱発火限界温度を求めるために従来筆者等が提案してきた手法を,これらの木粉類に適用したところ,実測値にほぼ一致する値が得られた。本手法を用いると,従来の諸法によるよりもはるかに簡単に堆積物の熱発火限界温度を求めることができる.
著者
西 晴樹・山田 實
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.51-55, 2005-02-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
9

平成14 年11 月,神奈川県横浜市において屋外タンク貯蔵所の受入れ作業時に,当該タンクの爆発火災事故が発生した.所轄の消防局では,この火災に対して,精力的に火災原因調査を行い,火災の想定シナリオを早期に策定した.消防研究所においては,所轄の消防局の依頼を受けて,本件の屋外タンク貯蔵所の爆発火災事故について調査検討を行った. 調査検討の結果,当該爆発火災事故については,シール材の劣化や受入れ時の気泡の流入など種々の条件が重なり発生したものと推定される.
著者
中央労働災害防止協会調査研究部
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.155-158, 2003-06-15 (Released:2017-01-31)

企業の経営環境の激変により,経営のスリム化が指向されており,より効果の高い対策を重点的に実施していこうとする傾向が顕著となりつつある。そのため安全対策費についても,その投入効果を把握するための評価の方法について関心が持たれている.そこで,事業場に対してアンケート調査を行い,その結果をもとに,事業場レベルの安全に係る費用対効果にっいて,推計を試みることとした.