著者
有山 裕美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.533-538, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

ICT技術の発達に伴い,教育現場にもかなりのスピードでICTを活用した教育が進行している中で,「情報リテラシー」は,ともすればコンピュータやインターネット活用に重点を置かれがちである。しかし当然のことながら,我々が受け取る「情報」は,インターネットからの情報だけではない。この予測不可能な高度情報化社会において学校図書館が担うべき使命は,紙の情報も含めたあらゆる情報に適切にアクセスし,それらの中身を自ら取捨選択し,活用することができる「情報リテラシー」を身につけた人材の育成である。本稿では,中学および高等学校における情報リテラシー教育の実践の一例を,思考のプロセスに重点を置きながら紹介する。
著者
塩谷 京子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.527-532, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

小学校現場において情報リテラシーとほぼ同様の概念で使われている用語に,情報活用能力,情報活用スキルがある。これらを習得・活用する場は,主に情報教育,図書館教育であるが,これらは,各教科等の学習における問題解決学習や探究的な学習の中に組み込まれていることが多い。そこで,本稿では,実践事例を紹介しながら,情報リテラシー教育を推進するための視点を整理した。その結果,情報リテラシー教育が行われるためには教科や学年を超えた教員間の連携が必要であり,このような連携が生まれると,教科横断的な視点である授業デザインや探究の過程が教員間の話題になることがわかった。
著者
古橋 英枝
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.513-513, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

今月号の特集タイトルは「情報リテラシー教育のいま」です。日本国内における情報活用能力の教育の必要性に関する議論は,1985年6月の臨時教育審議会第一次答申に始まった,と言われています。1998年から1999年にかけて中学校の技術家庭科において「情報とコンピュータ」が必修になり,高等学校に教科「情報」が新設されました。情報教育における「情報活用能力」は「情報リテラシー」と同義として扱われるようになり,小・中・高等学校図書館(以下,学校図書館)では「調べ学習」や「探究的学習」において一定の役割を果たしてきました。また,大学図書館においても1996年に学術審議会が「大学図書館における電子図書館的機能の充実・強化について(建議)」を公表し,この中で情報リテラシー教育への支援と教育体制の整備が挙げられています。本特集では,学校図書館における情報リテラシー教育と,大学図書館で実施されている情報リテラシー教育について制度と実際の取り組みについて概観し,相互の連携における課題を明らかにするとともに,初等・中等・高等教育機関全体での情報リテラシー教育のデザインの可能性について論じることを目的としています。総論では,鶴見大学の河西由美子氏に米国における情報リテラシー概念の発展から日本の情報教育との関連,学校教育及び学校図書館における課題を中心に論じていただきました。関西大学の黒上晴夫氏には,学校教育における思考スキルの育成に一定の役割を果たしているシンキングツールについて,具体的な思考の過程を解説いただきながら,詳細にご紹介いただきました。この思考スキル・情報リテラシーを,実際の教育現場においてどのように育んでいるのか,初等教育(小学校)については学校図書館の司書教諭のご経験もある,関西大学の塩谷京子氏に,中等教育(中・高)については工学院大学附属中学・高等学校の司書教諭である有山裕美子氏に,高等教育(大学)については大学における情報リテラシー授業の授業設計のご経験のある日本大学の小野永貴氏に,それぞれ実践例を交えつつ,課題や展望について論じていただきました。本特集が,各教育課程の現場に関わるみなさまにとって,また,学校図書館・大学図書館のみならず,生涯学習を支える地域の公共図書館で勤務されるみなさまにとっても,日々受け取る多くの情報をいかに判断し,正しく活用し,他者とのコミュニケーションにつなげ,新たな視点を得ることで成長していくのか,という人類の基本的な行動について,改めて考える機会になれば幸いです。(会誌編集担当委員:古橋英枝(主査),小山信弥,中村美里,久松薫子)

1 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.512-512, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

1 0 0 0 OA 協会だより

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.508-511, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

1 0 0 0 OA 行事予定表

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.507-507, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
著者
山川 隆司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.480-484, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

ISIの創始者であり,情報産業界の巨人であるDr. Garfieldが2017年2月26日,91歳で亡くなった。同業界におけるDr. Garfieldの功績は枚挙にいとまがない。私は,公私ともに約半世紀に亘り彼と親交を深めてきた。今回は,友人としての観点から巷間には知られていないDr. Garfieldのあるがままの人物像,また,数々ある業績・商品群を生み出した背景を,彼のエピソードを通じて綴ってみた。
著者
岡 紀子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.465-471, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

データベースの検索の主人公である情報専門家について,書誌情報データベースの時代を振りかえりながら,基本となる職務を情報検索のプロセスに沿って総括した。現在の情報専門家としての役割は,企業の要となる立ち位置であることを理解し,発揮すべき資質として3C能力について述べ,情報専門家が関係する部署には,エンドユーザ,データベース製作者,自社組織があるが,それぞれに対して果たすべき役割について説明した。最後に情報専門家の将来像について,一つは企業活動の牽引者たる生き方を,他方は企業から飛び出し独立した情報専門家としての生き方を提言した。その場合着目すべき対象は,企業内情報であると考えている。
著者
那須 昭宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.454-458, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

刑事局(検察庁),矯正局及び保護局では,刑事情報に関するデータベースを各々作成している。再犯防止に関する施策へ対応するため,法務省ではこれらのデータベースで管理されているデータのうち必要なデータを連携させ,有効活用することを検討している。本記事では,このようなデータ連携を行う「刑事情報連携データベース」の構築について報告する。特に,重要と思われる名寄せについて詳述する。
著者
谷口 祥一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.442-447, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

データベースおよびメタデータの設計プロセスを概観し,その中で特に概念モデル構築(概念設計)の重要性を論じる。簡略な事例を取り上げ,1)実体関連モデルを用いた概念モデル構築の概要を示し,2)その後の論理設計・物理設計に該当する2a)リレーショナルモデルによるデータベーススキーマ設計,および2b)レコードとそのデータ項目からなるメタデータのスキーマ設計について,概念モデルからの変換を含めて解説した。特に,対象とする世界や事象を構成する要素とその関連を明らかにし,それらに対する必要な働きかけとそれによって実現する要求などの検討と定義を含む概念モデル構築の重要性を強調した。
著者
南山 泰之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.441-441, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)

2017年9月の特集は「データベースの設計,構築,活用」です。「データベース」の定義は,著作権法第二条の十の三によれば「論文,数値,図形その他の情報の集合物であつて,それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」とあります。また,データベースは一定の要件のもと,著作物として保護されることが定められており(同法第十二条の二),データが体系的に集まることで新たな価値を生むことは法的にも自明となっています。では,望ましい「体系化」とはどのようなものでしょうか。データは検索するためだけではなく,そのデータを利活用する,あるいは長期保存するために整理されますが,その構造は一様ではありません。データのサイズやフォーマット,あるいは社会的な配慮を要するデータの存在など,データベースの構造は形式面,内容面の違いに大きく依存します。そして,近年におけるデータベースに関わる理論面の進展やその実践によって,データベースに求められる機能や得られる価値も変わり始めています。「望ましい」体系化は,今どう移り変わっているのでしょうか。本特集では,上記のようなデータベースの変容を多角的に見つめ,その潜在的な価値を再考するという特集趣旨のもと,7人の方々から異なる視点の論考をいただきました。データベースを「設計」する,という視点において,慶應大学文学部の谷口祥一氏からは,データベースを設計するための概念モデル構築について論考をいただきました。また,株式会社教育測定研究所の西原史暁氏からは,利活用を前提としたデータ形式の設計に役立つ「整然データ」の概念につき,詳細な解説をいただきました。データベースを「構築」する,という視点において,北海少年院庶務課の那須昭宏氏からは,刑事情報連携データベースの構築事例についてご寄稿いただきました。また,国立国会図書館電子情報部の木目沢司氏,情報通信研究機構の村山泰啓氏からは,データの長期保存の事例としての国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)の利用や,電子情報の長期保存の規格であるOAIS参照モデルに関する考察をいただきました。最後に,データベースを「利用」する,という視点において,OKA情報技術コンサルテーションの岡紀子氏からは,「データベースの検索」を根底においた検索の歴史,技術やノウハウの紹介をいただきました。また,東邦大学習志野メディアセンターの眞喜志まり氏からは,医学・薬学系分野の出版特性を反映したデータベースの検索手法につき,詳細な解説をいただきました。いずれも,様々なデータを背景に構築されたデータベースのあり方が現された論考であり,「ある単一の検索システムをデータベースと呼ぶ」伝統的な理解を超える幅広さが示されています。本特集が,広くデータの取り扱いに関心のある全ての方々にとって,「データベース」をより深く理解し,今後のあり方を考える一助となることを期待します。(会誌編集担当委員:南山泰之(主査),増田智子,長屋俊,水野翔彦)

1 0 0 0 OA ごあいさつ

著者
山﨑 久道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.k-1-k-1, 2017-09-01 (Released:2017-09-01)
著者
本田 瑞穂 清水 剛 清水 理恵子 永山 敦 屋ヶ田 和彦 山田 裕明 山田 宏文 山根 深一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.117-122, 2015-03-01 (Released:2017-04-13)

新規事業の立ち上げのアプローチとして,自社の技術を組み合わせようとすることはよくあるが,実際にやろうとすると,自社に多様な技術があるにもかかわらず,その全容はつかみきれていないことが多い。本報告では,シーズからのアプローチの試みとして,自社の技術の棚卸しを行うことにより,自社技術の強み・弱みを分析し,新たな事業の提案を行うための手法を,事例を用いて検討した。(1)自社技術のコア技術の抽出の手法,(2)コア技術と他の技術の組み合わせの手法,を中心に報告する。
著者
高山 正也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 = The journal of Information Science and Technology Association (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.507-511, 2007-11-01

国立国会図書館の今後の改革についての指針を外部識者の見地からまとめた。現状における国立国会図書館の問題点は,国内外におけるそのプレゼンスの低さに集約できる。その理由の最大のものは,国立国会図書館員の内向き志向にある。そこで,当面,国立国会図書館が国立図書館として果たすべき機能と日本の国立国会図書館を取り巻く解決すべき主要な問題点を指摘し,その解決策の一端を,この問題が2006年春,国立国会図書館の独立法人化問題として生じた時に検討した図書館関係NPO法人での検討結果を紹介することで,示している。そこで示された解決策の提言とは次の4項目である。(1)国立国会図書館の経営刷新と強化のための外部者の活用,(2)館の職員人事の弾力化,(3)業務執行体制への民間活力の利用,(4)関係法令の見直し