著者
五百旗頭 正 坂和 正敏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.862-868, 1993-08-15
被引用文献数
1

一般的なデマンド監視制御装置は、使用電力の傾きからデマンド時限での使用電力量を推定し、これが契約電力量を越えるときに警報出力と負荷遮断を行っている。この様な方法では、電気溶解炉のように負荷変動の激しい設備が系統に接続されている場合には、警報と負荷遮断が断続的に起こり、本来のデマンド監視制御を行う事が不可能である。 本論文では、この問題を解決するためにファジィ理論を用いて、電気溶解炉のような負荷変動が激しく操業パターンがほぼ決まっている負荷がある工場でのデマンド監視制御に有効な方法を提案すると共に、実システムに適用した結果を示す。
著者
森本 正昭 和多田 淳三 秋元 武
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.800-808, 1993-08-15
被引用文献数
2

経済変動のような社会現象には数多くのあいまい性が含まれている。そのため、計量的予測にはファジィ集合論に基づいたファジィ関数を用いることが有効と考えられる。この論文では可能性回帰分析を日本の広告費の予測に応用した事例について述べている。広告費の定義は時代とともに徐々に変化している。もとより広告の概念があいまいだからであり、コミュニケーションの手段やあり方が技術的にも社会的にも変化しているからである。このような状況から発生するデータを分析するには、統計的分布に従う分析法よりも可能性測度に基づく分析法の方が有効ではないかと考える。データが発生する環境条件が一様でないとか、データそのものがあいまいだからである。実際の分析方法としては、日本の広告費や四媒体広告費の時系列データを用いて、回帰係数がファジィである場合、データがファジィである場合、実験計画法を取り入れた手法について分析を行った。

1 0 0 0 OA MDL原理

著者
山西 健司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.43-50, 1998-02-15 (Released:2017-09-22)
参考文献数
15
著者
五味 隆志
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.909-930, 1995-10-15 (Released:2017-09-24)
参考文献数
55
被引用文献数
1 4
著者
岡本 真彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.2-10, 2001
参考文献数
37
被引用文献数
4 1
著者
柴田 愛子 坂井 優
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.96-104, 2002-02-15

分析の目的: 中央政府から地方政府への移転支出の配分構造を公正と効率及び政治的影響の視点から分析する。中央政府から地方政府への移転支出は、地方交付税交付金、地方譲与税、国庫支出金からなり、地方交付税交付金は多額で国家予算の2割を超える。その財源は、国税3税(所得税、法人税および酒税)の32%に平成元年より消費税の24%、たばこ税の25%が追加された。移転支出はナショナルミニマムの達成を目指すとされる。つまり公平性の観点からの所得再分配である。しかし、ナショナルミニマムの達成を超えた移転が行われている可能性も示唆される。つまり、移転支出は人口、面積等の客観的指標の他に、政治的要因も影響を与えているといわれる。また、長年そうした移転支出が行われていれば、公共投資の生産性の面で非効率な公共投資も行われるであろう。そこで、公平と効率の面、および、政治的影響の視点から移転支出を分析しようとする。分析手法:モデルを構築し、自己組織化マップ(SOM)と統計的手法を併用する。(SOMについてはAppendixを参照)次のようなモデルを導入する。Y=a+bx+e Yは移転支出で、Xは以下に示す変数であり、eは誤差項である。Xには人口と面積という客観的指標に、県民実質所得と政治的要因を加えた。そして、生産力の指標と地方債現在高の要因も付加した。A.まず、1991年の都道府県別クロスセクションデータを用いて分析する。1991年の単年度データを分析した理由は、自民党単独政権最後の第39回衆議院選挙(1990年)の結果を政治的要因の指標とした為である。いわゆる「55年体制」が終わり連立政権が成立したのは1993年の第40回衆議院選挙である。単年度分析では、回帰分析した後、自己組織化により作られたクラスタ内のノードを利用して、都道府県のクラスタ分析をした。B.さらに、この分析結果を踏まえ、1977年から1995年の時系列データの統計分析とクラスタ分析について検討する。分析結果:A.1991年の単年度分析の結果は、いくつかの政治的要因変数は有意ではないが、しかし、ほとんどの変数は5%水準で有意である。また調整済みの決定係数は0.975と非常に高く、モデルの当てはまりはよい。上記結果は都道府県を総括した結果である。しかし、地方により経済、社会、文化の事情は異なる。そこで、データを細分化して類似した都道府県をクラスタにまとめ、そのクラスタごとの分析を試みた。都道府県のデータ(上記説明の10要素)を入力データとし、自己組織化マップ(SOM)を使い図を描き、ノード数の大きなクラスタを第1、第2クラスタとして選択した。そして、移転支出の公平性と効率性についてみれば、全国データとクラスタデータでは、違いが見られた。また、政治的要因については、全国データの分析をよりわかりやすく理解できる結果を得た。B.この分析結果を踏まえ、1977年から1995年の都道府県パネルデータの統計分析とクラスタ分析について検討する。統計分析(固定効果モデル)は所得以外の仮説を支持した。さらにSOMによるクラスタ分析は公平性の仮説、つまり、所得が減れば、移転支出が増加するを支持した。分析の独創性:1991年の都道府県のクロスセクション分析において、SOMのクラスタ手法が利用され、結論が導かれた。幾つかのクラスラリングの手法はある。しかし、問題は都道府県別の限られたデータをさらにクラスタに分けるとデータ数が減ってしまう。そして、クラスタごとの統計分析をするのに問題が生じる。そこで、SOMという新しい手法によるクラスタリングを試みた。SOMでは、入力データに類似したデータを自己組織化で作るという特徴がある。SOMでクラスタリングマップを作った場合は、データ数が不足するという問題をある程度解決できる。さらに、パネルデータをクラスタに分け自己組織化マップで分析し、統計手法を併用することで、仮説を新たな角度から検討することができる。結論:SOMは特にクラスタリングに優れ、可視的な手法が、評価される。例えば、パネルデータの都道府県の自己組織化マップ上の動きは、今後の研究方向を示唆する。そして、自己組織化マップは、これからの研究開発が期待される手法である。
著者
金 鍾律 玄 光男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.43-54, 2000-02-15

近年, ネットワークシステム構築の分野は情報技術の進歩により様々な面で大きな変化を遂げてきた.ネットワークシステムは, サービスセンタ, ターミナル(ユーザ), およびそれらを接続するケーブルから成る.最近では, ユーザの情報量の莫大な増加につれ, 光ファイバケーブルでのネットワークシステムの構築が多数行われるようになった.しかし, 光ファイバケーブルは高価であるため, ネットワークトポロジの中でもスパニングツリーによるシステムの構築が望ましい.ここでは, 接続コスト, メッセージ遅延, ネットワーク信頼性を考慮したネットワークトポロジの設計を行う.最近, 遺伝的アルゴリズム(GAs)は, ネットワーク最適化問題, 組合せの最適化, 多目的最適化問題などの様々な問題に適用されその有効性が多く報告されている.また, 実世界の問題を解く最適化技法としての能力について注目を浴びている.本研究では, 光ファイバケーブルを用いた接続コスト及びメッセージ遅延を考慮した広帯域ネットワークトポロジシステムの設計問題を定式化し, 遺伝的アルゴリズムを用いた手法を提案する.また, 染色体表現のために, Prufer数とクラスタストリングも使用する.最後に, 性能評価のため, 提案手法を用いていくつかの数値実験を行う.
著者
松浦 克昌 永森 光晴
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.157-164, 1996-08-15
被引用文献数
2

状態ベクトル分離型カート・ポール系ファジィ制御方式にはハード方式とソフト方式がある。ハード方式はポール系状態ベクトル制御器の働きをポール全位相空間で有効とする方式である。ソフト方式はこの制御器の働きを、ポール姿勢制御効率のよい倒立領域と垂下領域に制限し、2領域外は非制御域としてポールの自然な振る舞いを取り入れる方式である。ハード方式の問題点は制御器がポール全位相空間で頑張るため、無駄なカートの走行を要することである。これに対してソフト方式は無理な状態では制御を止め、ポールの自然な振る舞いを許し、制限域で効率よくポール振り上げ、倒立安定化制御を行うためカートの無駄な走行を生じない。本論文はソフト方式の有効性を数値シミュレーションにより実証し、ソフト方式を用いたカート・ポール系ファジィ制御方式の設計知見を提供する。
著者
古橋 武 中岡 謙 前田 宏 内川 嘉樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.978-987, 1995-10-15
被引用文献数
12

遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm : GA) に基づく機械学習にはミシガンアプローチとピッツアプローチの二つの手法が提案されている.ミシガンアプローチではプロダクションルール一つ一つを個体とみなし, 目的に対する各ルールの貢献度に応じて各個体の信頼度を決定し, GAを適用する.ピッツアプローチはプロダクションルールの集団を一つの個体とし, そのルール群がそれぞれ目的を達成する度合に応じてその個体を評価することで, 信頼度割り当てを不要としている.しかし, ルール個々の評価はなされないので特定のルール改善はなかなか進まない.本論文では, ルール群の局所改善を促進するGAを提案し, 機械学習に適用する.本手法においてはピッツアプローチと同様にルール群を一つの個体とするが, 信頼度割当てを必要とすることなく, 簡単にしかも効率よくルール群およびルール個々の改善を促進する.筆者らは本手法を局所改善型 GA と呼ぶ.本手法をロボットの移動障害物回避問題に適用し, ファジィ制御ルールの発見を行う.
著者
宋 鎮祐 笠原 浩三 金山 紀久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.142-150, 1996-08-15
被引用文献数
3

農業経営計画問題は、農業経営の実態調査→係数整理→計画策定→実践評価という経営管理の全体に関わるものであり、経営改善のための重要な役割を担っている。しかし、今までの科学的、数学的方法においては、意思決定者の主観に係わるあいまいさを取り扱う手段がなかった。したがって、得られた結果が理屈の上では確かに正しいにもかかわらず、実体にそぐわなかったり、実感に合わなかったりということが少なくなかった。本研究では、農業経営者の意思決定のための環境条件には多くのあいまい性が存在すると考え、ファジィ理論におけるあいまいさが農業経営設計のどのよな側面で有効な意味を持ちうるかを畑肉牛複合生産農家を通じて考察する。また、ファジィ理論を適用した一分野であるファジィ可能性計画問題をどのような形式で農業経営計画の手法としてモデル化すべきかを検討する。まず、ファジィ計画問題は、意思決定者の目標や制約に対する希求水準のあいまいさを扱うものと、目的関数や制約条件の係数のあいまいさを扱うものに区分し、実際の畑肉複合経営の策定を試みる。次に、具体的な分析対象として、鳥取県の気高町における畑肉複合経営農家を取り上げ、この分析を通じて、ファジィ理論が農業経営計画の意思決定過程の多くのあいまい性を有効に取り扱うことができることを実証的に検討するものである。
著者
ロー トッド 伊藤 英則 世木 博久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.849-861, 1995-08-15
被引用文献数
4

本論文は、ファジィ推論を用いた濃淡値イメージからのエッジ抽出について述べる。ここではエッジ抽出はイメージフィルター段階、抽出段階およびトレーシング段階の3段階に分ける。イメージフィルターの段階では局所的な画像特徴によってガウス関数の広さと方向を制御する。つぎに、フィルター処理されたイメージから、局所的な画像特徴によって様々なピクセルのファジィメンバーシップ値を評価することにより、エッジ抽出を行なう。最後に、ファジィ推論を行ない、高いファジィメンバーシップ値を持つピクセルをトレースして、エッジを構造的に組立てる。なお、フィルター、抽出およびトレーシングのアルゴリズムを複数のイメージに応用し、既存のエッジ抽出方法との比較についても述べる。
著者
領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.136-146, 1996-02-15
被引用文献数
17

分類と回帰を同時に分析するファジィクラスタリングについて考察する。与えられたデータ集合から高木・菅野のファジィモデルを同定する際, 前件部同定のためのデータのファジィ分割と後件部同定のための回帰分析を調和的に実行する問題である。Hathaway and BezdekのFuzzy c-Regression Modelsは, 与えられたデータ集合に対していくつかの回帰モデルをあてはめ, クラスタリングと回帰係数の同定を同時に行うアプローチである。本稿では, そのアプローチをファジィモデリングに利用するために, 規範の改良と適応型アルゴリズムを提案する。また, 数値実験により提案した手法の有効性を示すとともに, 世界の人口問題に関連するファジィモデルの構築という実際問題へ応用する。