著者
醍醐 元正 中島 信之 般若 裕子
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.380-389, 1995-04-15
被引用文献数
3

本論文では, 顧客の購買行動について分析し, それを支援する商品購入支援システムの構築について論じる。これは前論文で提案した商品検索システムを発展させて, 顧客の選択に便利な様に, 希望条件を自動的に変更して再検索を行い, 提示物件数を適正な数に調節する機能を持つ様にしたシステムである。また, 応用例「中古車購入支援システム」の試作を行ったので, その紹介も併せて行う。
著者
寺野 寿郎 増井 重弘 寺田 達矢 渡辺 博明
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.375-385, 1993-04-15
被引用文献数
5

画像処理の研究は非常に多いが, その大部分はパターン認識, 輪郭線検出, ノイズ除去, 二次元画像の三次元化など記号的な処理にとどまっており, 画像の持つ情報内容に立ち入った研究は少ない.マルチメディアの問題など考えると, 今後は画像情報の意味論的な処理が重要になると思われる.人間と画像のコミュニケーションのうち, 画像から人間へのインパクトは心理学などで多少研究されているが, 人間が心中に抱くイメージを画像に伝えて表現する研究はほとんど行われていない.本論文はその第一歩として無着色の風景画に人間の季節イメージに合った着色を施すことを試みた.イメージは抽象的なものなのでそのままではコマンドにならない.また, 色というものは物理量であるとともに心理的な量でもあるので数式的扱いは困難である.そこで, まず, 四季の色彩イメージを言語で表現することを試み, つぎにそれをRGBに変換するルールを作ってCRT上で実現させた.これらのルールに現れる変数はいずれも感覚的・定性的なものなので、ファジィ集合で表すことによって微妙な着色が可能になった.さらに, 基本着色ルールに加えて, 季節や時刻が標準状態から外れた場合の調整ルールを作成し, ファジィ推論によって季節の中間や夕暮れ時のイメージを実現させた.これらルールによって数種類の風景画を着色してみたが, いずれの場合もほぼイメージに合った彩色をさせることができた.
著者
岩本 直子 領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.279-286, 1997
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

東京都の環境に関係する物理的・客観的データから住民による環境の主観的評価を予測するモデルを構築する。モデルは2つの階層からなり, 第1層は, 物理的・客観的データから住民の環境に対する衛生, 快適などの個別主観評価値を予測する線形回帰モデルである。第2層は, 予測した個別評価値を統合するショケ積分モデルである。ただし, 線形回帰モデルでは個別評価値のモードを予測する。また, 主観評価データの地域性を考慮して, 数本のショケ積分モデルを構築し, それらをif-then型ファジィモデルとして統合する。各ショケ積分モデルを構築するための部分データセットは, 物理的・客観的データに基づく地域のクラスタリングにより決定する。ファジィ測度の同定は凸2次計画法による。また, ファジィモデルの前件部を多次元メンバシップ関数を用いて表現し, メンバシップ関数のチューニングにより予測モデルの精度を高める。一方, 得られたファジィ測度により地域の個性を分析し, 同定されたファジィ測度の妥当性を検討する。すなわち, 本研究のねらいは, 総合評価の予測精度を高めるとともに, 納得できるモデル構造・ファジィ測度を得ることである。
著者
王 喜宏 松本 忠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.917-932, 1997
参考文献数
19
被引用文献数
1

本論文ではファジィ制御に用いられる種々の推論法によるファジィ制御器の非線形特性の考察から、拡張Haddad法である非線形制御系の時間領域安定解析法が任意の推論法による制御器を持つファジィ制御系の安定解析に適用できることを次の代表的な推論法をもつファジィ制御系の安定解析を具体的に行うことによって検証している。即ち、直接法である(1)min-max-重心法、(2)product-sum-重心法、(3)関数型推論法に対しては、2入力1出力ファジィ制御器を、間接法(塚本の方法)に対しては、3入力1出力ファジィ制御器を用いている。ここでの安定条件は、任意の推論法による制御器を持つファジィ制御系の有界入力有界出力安定性と大域漸近安定性の十分条件が制御器の入出力空間の象限分割による象限特徴量、制御対象のインパルス応答の正、負面積、及び入力信号の終端上、下界などの特徴量に関する非線形連立代数不等式より定まる集合の有界性と収束性で与えることが示されている。同時に、本論文では、最も基本的な2入力1出力ファジィ制御器を持つファジィ制御系のための安定定理とその証明が詳しく与えられている。本論文で提案された安定解析法は制御器の非線形特性に特別な形を要求していないため、使われる推論法によらずに普遍的に適用でき、特に、関連型推論法を用いるファジィ制御系の場合では、制御規則の後件部関数が非線形の場合でも適用可能であることを特徴としている。
著者
北野 宣裕 亀井 且有 井上 和夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.129-138, 1993
被引用文献数
1 3

熟練者が制御を行う場合, その操作量決定過程は一般に多段であると考えられている.しかしながら, その推論過程は, まず最初に制御対象に関する包括的な知識を用いて大域的な操作量を決定する.この操作量を用いて制御結果を予測し, 制御目的を最大満足するように操作量を直接修正している.このように熟練者の操作量決定過程は大別すると二段階になっており, 二段でほぼ満足のいく制御結果が得られると考えられる.本論文では, 二段階で近似できる熟練者の操作量決定過程の各段で異なった推論を行う二段ファジィ制御法を提案する.本制御法の一段目は従来の状態評価ファジィ制御法に対応し, 二段目は目的評価ファジィ制御法に対応している.また, 二段目は制御結果を最適にするために調整を行う部分であり, チューニング問題である.したがって, 二段ファジィ制御法は, 従来の手法とは異なったチューニング手法の一つであるとも考えられる.この二段ファジィ制御法を模型自動車の縦列駐車制御に応用し, 従来の状態評価ファジィ制御法との比較を行う.
著者
土屋 敏夫 松原 行宏 長町 三生
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.900-907, 1997-12-15 (Released:2017-09-25)
参考文献数
16
被引用文献数
1

対象事例に対して一般化された木構造を生成するために, ファジィ決定木の構造学習に遺伝的アルゴリズムを適用した決定木生成手法(FDTGA)を提案する.FDTGAは, (1)遺伝的アルゴリズムを決定木の構造学習に適用する, (2)決定木の構造を染色体へ間接的にコーディングする(3)学習中に複数の解を獲得可能であるなどの特徴を有している.したがって, 多くの属性で記述されるような複雑なデータに対してもコンパクトで精度の良いファジィ決定木を獲得できると考えられる.本論文では, 提案手法の概要とアルゴリズムの説明の後, 数値シミュレーションを行い, 対象事例に対する決定木の構造とファジィ分類ルールの獲得を試みる.獲得されたルールは他の手法によって得られたルールの結果と比較する.その結果において, 獲得された構造と推論ルールを対象事例との関連から考察し, 提案手法の有効性を示す.
著者
宮本 定明 馬屋原 一孝 向殿 政男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.548-557, 1998-06-05
被引用文献数
26

本論文では, ファジィC-平均法における新しい手法としてエントロピー関数を正則化項としてもつエントロピー正則化法を提案すると同時に, 従来のファジィc-平均法とエントロピー正則化法により生成されるファジィ分類関数を比較する.エントロピーにもとづく方法として, エントロピー最大化法が既に提案されているが, 正則化の概念を導入することによって, エントロピーを用いる方法を, 一般的なファジィc-平均法の交互最適化アルゴリズムの枠において議論できるようになる.このことは, ファジィc-多様体法などのファジィc-平均法の変形をエントロピーを用いて行うことができることを意味している.また, 従来のファジィc-平均法から生成されるファジィプロトタイプ分類関数に対応するプロトタイプ分類関数がエントロピー正則化から得られる.これら2種類の分類関数の理論的性質を調べ, 計算幾何学におけるVoronoi図との関連を明らかにする.数値例によって, これら2つの方法によるクラスタリング結果とファジィ分類関数を比較する.
著者
渡辺 桂吾 原 勝弘
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.647-657, 1995
参考文献数
16
被引用文献数
1

従来のファジィ制御器のほとんどのものは, 入力データ関数型推論や簡略化推論を利用しており, それらのファジィ推論の後件部任意パラメータ等を何らかの方法で合理的に設計する有効な手段は知られていない.従って, それらをファジィ・ニューラルネットワークとして実現しても必ずしも計算時間の短縮や学習パラメータ数の低減化に関しては効果的ではない.本論文では, 前件部メンバシップ関数としてガウシアン型を利用する場合, その平均値を後件部の関数構成に利用する平均値関数型推論に基づくファジィ・ガウシアン・ニューラルネットワークを提案する.この方法によると, 平均値以外の後件部任意パラメータの初期値を予め制御ルールに依存しないVSS制御の安定な切り換え面(または線)のパラメータとして設計することが可能となる.従って, 後件部任意パラメータが制御ルールに依存する入力データ関数型推論や簡略化推論法に基づくファジィ・ニューラルネットワーク制御器に比べて, 後件部の学習パラメータ数を大幅に低減化させることが可能となり, 学習制御器としての計算時間の短縮が可能となることを示す.本手法の有効性は2輪独立駆動型移動ロボット車の軌道追従制御のシミュレーションにて示す.
著者
渡辺 桂吾 原 勝弘
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.647-657, 1995-06-15 (Released:2017-09-24)
参考文献数
16

従来のファジィ制御器のほとんどのものは, 入力データ関数型推論や簡略化推論を利用しており, それらのファジィ推論の後件部任意パラメータ等を何らかの方法で合理的に設計する有効な手段は知られていない.従って, それらをファジィ・ニューラルネットワークとして実現しても必ずしも計算時間の短縮や学習パラメータ数の低減化に関しては効果的ではない.本論文では, 前件部メンバシップ関数としてガウシアン型を利用する場合, その平均値を後件部の関数構成に利用する平均値関数型推論に基づくファジィ・ガウシアン・ニューラルネットワークを提案する.この方法によると, 平均値以外の後件部任意パラメータの初期値を予め制御ルールに依存しないVSS制御の安定な切り換え面(または線)のパラメータとして設計することが可能となる.従って, 後件部任意パラメータが制御ルールに依存する入力データ関数型推論や簡略化推論法に基づくファジィ・ニューラルネットワーク制御器に比べて, 後件部の学習パラメータ数を大幅に低減化させることが可能となり, 学習制御器としての計算時間の短縮が可能となることを示す.本手法の有効性は2輪独立駆動型移動ロボット車の軌道追従制御のシミュレーションにて示す.
著者
杉山 孝男 椎塚 久雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.772-782, 1993-08-15 (Released:2017-09-24)
被引用文献数
2 6

本論文は, ファジィ積分を階層的に用いて意思決定に関する新しい視点について述べている.本論文で提案する階層化ファジィ積分 (HFI : Hierarchical Fuzzy Integral) は, 評価基準となる項目の重要度をファジィ測度で与え, 各評価項目における評価対象の評価値をファジィ積分することにより, 評価値を統合し総合評価値を求める方法である.これは, 従来の階層化意思決定法(AHP)を特別な場合として含む, より柔軟性を伴った一般的な評価法であることが示される.
著者
北垣 郁雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.100-104, 1990-02-15 (Released:2017-09-19)
被引用文献数
1

あらまし コンピュータが"笑う"には、"笑い"の誘発の仕方を定式化する必要がある。ここでは、客体の通俗性と劣弱性をはじめ、おかしみにかかわる数個の要因に限定し、これらから、"おかしみの大きさ"を規範的に求める方法をファジィ論的に提案している。また通俗性と劣弱性についての若干の考察を行う。
著者
星野 孝総 亀井 且有
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.626-632, 2001-12-15 (Released:2018-01-07)
参考文献数
27
被引用文献数
1

熟練者の技術を習得する手法として, 機械学習が研究されている.熟練者による教師データがない場合, 機械学習で用いられるエージェントは試行錯誤によって学習を進めなければならない.試行錯誤によって学習する手法として, 教師なし学習の一種である強化学習がある.しかし, 強化学習では, 状態と行動を対としたif-thenルールを用いているため, 状態と行動の組み合わが膨大になり, 大きな問題環境では学習が進まない.これらの問題に対し, ファジィ環境評価ルールにより遷移先状態の報酬見積値を計算し, 学習を進める新しい強化学習を提案する.本手法は, ファジィ環境評価, 環境シミュレータ, MinMax探索アルゴリズムから構成されており, 環境シミュレータを用いて行動集合を生成, MinMax探索アルゴリズムで行動を決定する.さらに, 提案手法をチェスに適応し, GNUチェスとの対戦をさせながら, 学習を行なった.その結果GNUチェスを上回る成績を上げることができ, 本提案手法の有効性を示すことができた.