著者
佐藤 祐介 新宮 清志 杉浦 巌
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.696-701, 2000-10-15 (Released:2018-01-08)
参考文献数
10
被引用文献数
1

茶室は、その空間内部のあらゆる場に於いて、秩序と無秩序の混在が織りなす複雑な構成となっている。茶室の美は、その複雑さに起因しているのではないだろうか。本論文では、茶室空間に施されたデザインに内在する複雑さを定量的に示す方法として、フラクタル幾何学におけるフラクタル次元の利用を提案している。その際、まず始めにサンプルとして取り挙げたそれぞれの茶室空間に施されたデザインから、実際にフラクタル次元を測定する方法を示す。さらに、算出されたフラクタル次元による比較・考察を行い、茶室空間における美的考察の新しい観点として"リズム"の分析について言及すると共に、デザインを数学的に解析する際の道具としてのフラクタル次元の有効性を示す。本論におけるフラクタル次元の算出方法は、以下に示す手順を踏む。(1)対象となる形態のディテールをグリッド化する(2)グリッドを空間的変動曲線として表す(3)作成した空間的変動曲線から、スケール変換解析よりH指数を測定する(4)測定されたH指数から、フラクタル次元を求める
著者
市橋 秀友 渡辺 俊彦
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.429-437, 1990-08-15
被引用文献数
91

学習型のファジィ制御の一つとして簡略推論を用いた, 最急降下法と逐次学習に基づく制御方式について述べる.これは非線形な逆ダイナミックスモデル(逆系)をファジィモデルとして逐次的に同定することによって出力(制御入力)を理想出力に近づけようとするものである.簡略化によってファジィ推論の数式モデルが多重線形関数で表されることから排他的論理和などのパリティビットの学習や2次, 3次の高次関数の逐次学習にも有効であることを示す.また学習アルゴリズムの収束性を示すとともにファジィパーティションの段階的な細分化を用いた学習則を提案する.これは区分的な多重線形関数で非線形関数を近似する学習方法であり, 区分的な2次, 3次の高次関数で近似することもできる.学習型のファジィ制御の一例としてロボットマニピュレータの制御を取り上げ, ニューラルネットワークモデルを用いる場合とのシミュレーションによる比較結果を報告する.
著者
井上 博行 亀井 且有 井上 和夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.122-133, 1996-12-15
被引用文献数
9

ファジィ推論は, 人間の知識を表現できるものとして, ファジィ制御をはじめ様々な分野に応用されてきた.このファジィ推論は, エキスパートの知識をファジィif-thenルールで記述する.しかし, メンバーシップ関数や推論ルールのチューニング問題が存在する.また, 入出力数が多い複雑なシステムになると, その知識を獲得するのも困難になる.そこで, ファジィルールの自動チューニング, 自動生成を行う研究が盛んに行われてきた.本論文では, 遺伝的アルゴリズム(GA)による機械学習の枠組みよりファジィif-thenルールを自動生成する手法を提案する.そこで, 人間の感覚に近いルールを獲得するため, ファジィルールの形状と位置にある程度の柔軟性を持たせる.すなわち, 提案法では各ルールの前件部と後件部を, それぞれ超円錐形メンバーシップ関数で表す.そして, 前件部と後件部のメンバーシップ関数の配置とその半径をGAで決定する.また, それぞれのルール発火の許否を決定する情報を遺伝情報として埋め込み, 忘却的考え方を用いて不必要なルールの削除を行う.本手法の応用例として, 自動車の追従運転とトレーラ・トラックの後退運転のファジィ制御に適用する.
著者
北島 宗雄
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.446-460, 2002-10-15
参考文献数
36
被引用文献数
10

本稿では、ウェブサイトユーザビリティ評価法のひとつであるウェブ認知ウォークスルー(CWW;Cognitive Walkthrough for the Web)についてその原理と実施方法について説明する。CWWは、Walk-Up-And-Useデバイスを対象としたユーザビリティインスペクション法として開発された認知ウォークスルーをウェブサイトのユーザビリティ評価に適合するように改良したものである。CWWではユーザがウェブサイトをナビゲートする過程をシミュレートしながらユーザビリティの問題を発見する。ここで、ユーザは、ウェブページのなかから注目すべき部分領域を選択し、そこから情報探索ゴールに意味的にもっとも近いリンクを選択するものとしてモデル化される。ユーザビリティの問題の発見は、部分領域の選択、およびリンクの選択が問題なく行えるかどうかの評価を、潜在意味解析(LSA;Latent Semantic Analysis)を利用してゴールとの意味的類似度を求めることにより客観的に行われる。ゴールの記述には、探索すべき情報ばかりでなく、動機や背景知識も含まれる。また、意味的類似度は、ユーザの知識をもっともよく表現する意味空間を選択して行われる。したがって、CWWでは、多様なゴール、ユーザに対応したユーザビリティ評価が可能となっている。さらに、本稿では、現実のウェブサイトをとりあげて、CWWの実施方法を具体的に説明する。
著者
前田 博 石飛 康浩
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.108-119, 1991-02-15
被引用文献数
6

本論文は, ファジィ表現を許容した自然言語によるデータベースのファジィ検索について述べたものである.これを実現するためには, 3種類のあいまいさに対処しなければならない.第1は, 「給料の良い会社」といった検索条件のあいまいさ, 第2,第3は, 自然言語処理に関するあいまいさであり, 前者は問い合わせ文の解釈に関するあいまいさ, 後者は, 例えば, 給料, 賃金, 給与, といった同一検索項目に対する表現の多様性に依存するあいまいさである.第1については, ファジィ集合理論を適用する.第2については, 問い合わせ文中の平仮名のみを検索する平仮名検索辞書と, 0-1計画法という最適モデルを組み合わせた自然言語問い合わせ文解析手法を提案する.これは, 平仮名検索のみから問い合わせ文の意味解釈を幾通りか推定し, 最適モデルによって一つを確定するという方式である.第3については, すでに提案したシソーラス, 語の部分マッチング, ファジィ推論を総合した未登録語の推定手法を適用する.
著者
五百旗頭 正 菅家 正康 藤本 泰成 鈴木 新悟
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.186-194, 1995-02-15
参考文献数
10
被引用文献数
30

カオス的振る舞いをする時系列データの短期予測は、従来ノイズ、あるいは規則性の無いものと考えられていた事象に、何らかの決定論的規則性を見いだし、その近未来の状態を予測しようとするものである。これは、観測された時系列データをタケンスの埋め込み定理により多次元状態空間に再構成し、最新に観測されたデータを含むデータベクトルの近傍ベクトルを用いて局所再構成を行う事により短期予測を行うものである。この方法としてグラムシュミットの直交系法やテセレーション法などの提案があるが、前者は近傍ベクトルの選択の仕方によっては、予測不可能になる事があり、また後者は再構成状態空間の次元が高くなるに従って、計算時間が急激に増大するといった問題がある。本論文ではこれらの問題を解決するために、局所ファジィ再構成(Local Fuzzy Reconstruction)法を提案する。そして、この方法の有効生を確認するために、代表的なカオス的振る舞いをするロジスティックマップおよびローレンツアトラクタの短期予測に適用しその結果について考察する。
著者
李 銀珍 玄 光男
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.888-898, 1998
参考文献数
17
被引用文献数
3

<p>本論文では, 輸送問題の新たな進化算法として, スパニングツリーのコーディングをベースにした新しい遺伝的アルゴリズムを提案する.輸送問題を解く進化算法として, 従来マトリックス表現がそのまま1つの染色体(いわゆる, 解)として使われてきたが, 大規模な問題に対しては, その解表現によるコーディングでは大量なメモリが必要とされ, またそれによる計算時間も大幅に必要であった.ネットワーク問題の1つの基本モデルである輸送問題は、その解構造において、スパニングツリーの特殊な構造性をもつ.ツリーコーディングに必要とするメモリと計算時間は, マトリックス表現より, 特に大きな問題に対しては, 少なくて済む.このような問題の特殊な構造性に基づいて、遺伝的操作としては交叉と突然変異を新たに設計し, これらの遺伝的操作による新しい染色体は常に輸送問題の1つの実行可能解を保ように保証している.また, 選択操作では, (μ+λ)選択とルーレット選択による混合選択法を活用している.提案するスパニングツリーベースの遺伝的アルゴリズムの有効性を確認するために, まず単一目的のみ考慮した場合の輸送問題を解くことによって新しいコーディング法と従来のマトリックス法との比較を行う.さらに, 2目的輸送問題を解くための提案手法を示し, その有効性を示す.</p>
著者
小林 一郎 岩爪 道昭 杉本 徹 岩下 志乃 小澤 順 菅野 道夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.59-70, 2002-10-15

本稿では、ヒトの言葉による知的な作業をコンピュータ上に実現する枠組みである「日常言語コンピューティング」の中心的な要素技術となる「言語プロトコル」と呼ばれるコンピュータの通信プロトコルを自然言語に替えた新しい通信プロトコルとそれを利用した新しい通信方法を提案する.提案する手法の枠組みにおいて,コミュニケーション対象を選ばない柔軟な通信が実現可能になるこを示す.また,言語プロトコル通信のシミュレーション例を示し,提案する手法の有効性を示す.
著者
韓 生廉 関口 隆 高橋 宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.1142-1154, 1247-1248, 1993-10-15
被引用文献数
6

人間の操作特性と主観評価の関係などような, あいまいな量を含む説明変数と目的変数の関係記述としてファジィ理論を用いた表現方法が有効である.本論文では, ファジィ関係式およびその拡張として, ファジィ関係不等式, 区間値ファジィ関係式の3つの関係に着目し, ファジィ関係行列と目的変数行列が与えられたとき, 説明変数行列を求めるファジィ関係逆問題において, 解の存在する条件を上記3つの関係式について, それぞれ検討した.著者らが提案している記号行列の概念を導入することによって, ファジィ関係式, ファジィ関係式のすべての行列において, その要素が区間値で表されている場合においても, 解の存在性を容易に判別できた.本論文にて提案した判別法のアルゴリズムが極めて簡単であるので, 今後のファジィ関係逆問題の解の存在性の検討に有効な判別方法を与えることができた.
著者
増井 重弘 寺野 寿郎 関口 俊宏
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.1000-1011, 1994-10-15
被引用文献数
22

情報メディアとしての画像処理の研究としては、これまでのようにコンピュータ上の処理による2次元画像の輪郭や形状をはっきりさせる画像の認識のみでなく、画像の持つ情報内容に立ち入った研究を行う必要がある。人間は、対象物である画像を目でとらえ、持ち合わせている経験や知識を柔軟に用いて、認識や判断を瞬時に行い、意味内容をも理解する。この人間の視覚情報の処理過程は非常に複雑で簡単には理解できない。ましてコンピュータ上で画像の意味を理解させ、人間に伝えることは大変困難なことである。本論文はその第一歩として、風景画の構成要素を認識し、この認識結果をふまえた言語表現を行うことで、画像理解と定義づけ実験を試みた。そして、この風景画による画像から人間への情報伝達について人間が持つ認識と言語表現に近い方法による画像理解について提案する。風景画の構成要素は同一要素であっても不定形であるので数式的な扱いは困難である。そこで、構成要素をファジィ理論を用いたフレーム形式の内部知識を用いて入力画像とのファジィマッチングにより認識を行った。また、風景画の言語表現をするにあたって、人間の情報認識形態をアイカメラによる注視実験により調べるとともに、人間による画像の言語表現に基づいてどのような表現が適格であるかを調べた。その結果、画像の言語表現には構成要素の位置、大きさ、形の情報とシーンの全体表現が必要であることが解った。自然言語表現も定性的表現となるのでファジィ論理を用いて言語表現方式を構築した。この言語表現による風景画の再現実験の結果は、ほぼ原画に近い状態で再現された。
著者
山下 利之 高橋 雅博 酒井 秀昭 武田 利浩 市村 匠
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.105-112, 2000-04-15
被引用文献数
8

高度情報化社会の発展に伴い, コンピュータとのコミュニケーションにより, 長時間の仕事, 作業を進める機会がますます増えつつある.人間同士のコミュニケーションの場合, 自然言語によるverbal情報に, 表情や身振りによるnonverbal情報が加わり, 円滑なコミュニケーションが行われている.そこで, 人間とコンピュータとの円滑なコミュニケーションを促進するインタフェースとして, 本研究では顔に注目した.そして, 特定の状況において生じる感情を表している表情をファジィ推論によって選択するモデルを提唱した.眉と目の傾きに関する3条件と口の形の3条件の組合せによる9種類の顔を用いてファジィ推論モデルを構成した.本モデルを, コンピュータ画面上に入力された文章に表されている感情を表情で表現するシステムへ応用することを試みた.システムに関する質問紙調査の結果, ヒューマンインタフェースとしての顔表示の有効性が示された.
著者
赤穂 昭太郎
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.594-602, 2000-10-15
参考文献数
31
被引用文献数
5
著者
許 志雄 新井 隆之 山口 亨
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.150-156, 1998-02-15 (Released:2017-09-22)
参考文献数
4

For people who are speech impaired and use Japanese sign language, it is helpful to develop an interactive Japanese sign language interface. Yamaguchi and Yoshihara etc. have proposed and realized a method for it. It uses only spatial motion features of different sign languages and doesn't think about the shape of hands. However, both spatial motion and shape of hands are important in sign language recognition. In this paper, we propose a method which employs skills of image processing to process and analyse simple shape of hands, and combine it with the method mentioned above. In our system, we also use Fuzzy Associative Memory Organizing Unit System(FAMOUS), which has property of robustness, to perform associative inference. Our system is person independent with high recognition rate.