著者
小野 真介 加藤 喬 古山 純子 田靡 雅基
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.579-586, 2019 (Released:2019-04-26)
被引用文献数
1

水泳中継においてカメラ映像から選手をリアルタイムトラッキング(追跡)し,その位置や速度を計算・表示する“スイマートラッキングシステム”をパナソニックと共同開発,実現した.プールでのトラッキングは,水面や水しぶきとの切り分け,泳ぎ方の違いなどさまざまな課題があったが,本開発ではそれらを解決し安定したデータ検出を実現した.水泳競技は映っている選手が誰かを判別しづらいが,検出された選手位置データを用いて,泳いでいる選手へのマーカ表示であったり,コースごとの選手のスピード表示であったりなど新しい演出の実現に至った.例えば先頭の泳者と二番手の泳者のスピードを比較することで,「ゴールまでには追いつきそうだ」,「全然追いつかない」といった新たな目線で競技を楽しむことができ,次世代の水泳中継を実現した.
著者
小林 潤平 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.J154-J159, 2018 (Released:2018-09-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

飛ばし読みをしない通常読みについて,読み速度と眼球運動の関係を詳細に分析した.大学生200名の通常読みの速度は,約300~1200文字/分の範囲で単峰形に分布しており,平均値は653文字/分であった.このとき,最も速い速度と最も遅い速度の差は3倍以上であった.眼球運動分析より,読み速度の個人差は,停留時間の差ではなく,停留数の差によって生じていることがわかった.また,停留数の差は,主に順行サッカードの平均長の差によって生じていることがわかった.すなわち,通常読みにおいては,読み速度の個人差をもたらす主要因は順行サッカードの平均長であり,読み速度が速いほど順行サッカードが長く,読み速度が遅いほど順行サッカードが短いことがわかった.
著者
深見 哲男 長野 勇 東 亮一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.J73-J75, 2018 (Released:2018-03-25)
参考文献数
5

中波帯電離層反射波は,太陽光によって生成される電離層D層を通過する際の減衰のため,昼間観測されない.2012年5月21日に金冠日食が日本中央部を通過した.D層の変化による日本の中波放送波電界強度の変化を調査したところ,数波の電離層反射波が観測された.
著者
青木 直和 鈴木 正和 小林 裕幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.409-412, 2003-03-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
4 1

好ましい肌色が人の記憶色に基づくとの考え方が一般的に受け入れられている.本研究は肌色の記憶色そのものについて, CRTディスプレイ上に示した無地, 女性, 男性のイラスト画, 写真画像といった画像に各自が肌色として記憶している色を塗ってもらうことによって調べた.その結果, 人が肌の色としてイメージするのは女性の肌の色で, しかも実際の肌の色よりもかなり明るいこと, また, 好ましい肌の色の要因である記憶色とは決まった一つの色ではなく, それぞれの画像ごとにあり, 色の違いに一定の傾向がある.その傾向にも年齢, 性別によって差があることがわかった.
著者
岡野 邦彦
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.203-209, 2003-02-01 (Released:2011-08-17)
参考文献数
10

天体は暗い背景に置かれた自己発光物であることから極端な明暗差があり, 画像表現が難しい.それをうまく表現する方法が銀塩フィルムでは古くから工夫されてきた.冷却CCDカメラによる天体画像を綺麗に仕上げるために, このフィルムで培われてきたのと似た処理をディジタル的に実施する「ディジタル現像」と呼ばれる方法が成功を収めている.
著者
江本 正喜 菅原 正幸 日下部 裕一 大村 耕平
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.1208-1214, 2011-08-01 (Released:2011-11-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

In recent years, television systems with a wide field of view that offer an elevated sense of presence have been proposed. They have higher spatial resolutions than conventional systems. On the other hand, the effects of increasing the temporal resolution or frame rate of television systems have not yet been sufficiently investigated, with the exception of the effects of frame interpolation at the receiver. On the assumption that people will enjoy TV with wide field of view displays at home in the future, we conducted a quantitative analysis of the effects of increased frame rate by a subjective evaluation of moving picture quality. The results indicated that an increase in frame rate from 60 frames per second (fps) to 120 fps improved the evaluated quality by 0.46 rank and an increase from 120 to 240 fps improved quality by 0.23 rank, with statistical significance. The degree of improvement depended on the picture content.