著者
後藤 英昭 原田 寛之 漆谷 重雄
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.197-204, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
12

教育・研究機関向けの無線LANローミング基盤であるeduroamは,多くの機関で,ID・パスワードを使う形で運用されている.利用者がID・パスワードを記録しておく必要性があり,手作業での設定の負担が大きかった.一方,市民一般向けのローミング基盤であるOpenRoamingの開発と並行して,OSベンダ各社は近年,Wi-Fiプロファイルを用いたウェブベースの設定投入の仕組みを提供するようになった.これにより,WPA2 Enterpriseの無線LANでも,複雑な手順を踏まずに設定できるようになった.本研究では,主要なOSの対応状況を調査した.また,機関の情報システムに組み込んでWi-Fiプロファイルを発行できるようにするためのツールキットを開発した.このツールキットを用いると,組織のアカウントなどを用いてログイン済みのウェブサイトから,プロファイルを電子的手段で端末に流し込み,ID・パスワードレスなeduroam/OpenRoaming設定を実現できる.誤入力・設定ミスの可能性を極力排除することで,サービスの利便性と安定性の向上が期待される.
著者
米谷 雄介 後藤田 中 小野 滋己 青木 有香 宮﨑 凌大 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.54-63, 2018-09-19 (Released:2018-09-10)
参考文献数
20

日本年金機構に対する標的型攻撃(2015年6月)では多数の個人情報が流出し,香川大学(以下:本学)の医学部附属病院でも,同様の攻撃によって端末1台がウイルスに感染するインシデントが発生した.本学では,こうした事例に基づき,2016年度に,情報セキュリティ対策の強化の一環として,構成員(特に教職員)による標的型攻撃メール対応訓練を導入した.これに続き,香川大学情報セキュリティインシデント対策チーム“KADAI CSIRT”(以下:本CSIRT)を発足させ,訓練・教育・注意喚起・報告受付の各業務を組織化し,攻撃に対する本学の潜在的課題やCSIRT活動の課題を探るべく調査を実施してきた.本論文では,標的型攻撃メール訓練に対する構成員から得られた主観的評価等のデータに基づきCSIRT構築過程を詳述する.
著者
門田 陽介 森野 勝太郎 本山 一隆 重歳 憲治 福江 慧 石井 真理子 芦原 貴司 KADOTA Yosuke MORINO Katsutaro MOTOYAMA Kazutaka SHIGETOSHI Kenji FUKUE Kei ISHII Mariko ASHIHARA Takashi
出版者
大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.79--86, 2022-12-28

文部科学省が推進するGIGAスクール構想の中で教育現場における「講義のオンライン化」は重要な目標課題の一つであったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに全国の教育機関における講義のオンライン化が急速に進んだ.オンライン化が感染対策として有効である事は疑問の余地はないと思われるが,オンライン配信による遠隔講義が,対面講義と同等の学習効果を生み出しているかどうかについては,これまで十分な客観的検証がされているとはいえない.我々は,無線LAN接続による位置情報とZoom®ログを用いて学生が遠隔講義と対面講義のいずれに出席していたかを推定し,講義形式が学業成績GPAに与える影響を検討した.粗解析では対面講義参加割合が正に学業成績GPAと相関していた.学業成績には前年度の学業成績と入試成績が関与している事が分かったため,これらの因子を調整したところ,低学年では対面講義を志向する群が遠隔講義を志向する群に比して学業成績が良かったが,高学年では両群に統計学的な差は無かった.本分析は,ポストコロナ期の高等教育機関における教育の在り方について議論する貴重な材料になり得ると考えられる.
著者
野口 岳 ウン クアンイー 上田 尚之 乗添 凌太郎 島田 敬士
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.22-28, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
6

九州大学では学生たちが中心となりボトムアップ型で学生支援・教育支援を行う体制としてquickQが組織されている.quickQでは,コロナ禍の様々な課題に対してチャットボットの開発・運用を通じて解決に貢献してきた.2021年までに3つのチャットボットを開発・運用してきたが,3つを別々のアカウントで運用を続けることに様々なデメリットが存在することがわかった.2022年4月に各チャットボットを「ワンストップ」という考え方に基づいて統合した.結果,2022年3月から2023年6月末時点で33614回の問い合わせをチャットボットによる自動応答を用いて解決した.ワンストップをベースとしたチャットボットの開発・運用について,設計と開発環境の紹介をしたうえで2023年7月までのデータを元にした運用状況を報告し,直近の持続的な取り組みを紹介する.
著者
山本一幸 大瀧保広 野口宏 羽渕裕真 外岡秀行
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.85-93, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
9

近年サイバー攻撃が大学に対しても大規模に行われている.情報セキュリティインシデントへの対応に時間を要すると被害拡大を招き,大学の評価等にも影響を与え得るため,その対応には即応性が求められる.茨城大学は茨城県内の3市町(日立,水戸,阿見)にキャンパスが分散しており,情報環境の整備運用を統括するIT基盤センターの事務室も各キャンパスに設置されている.日立・水戸キャンパスには専任教員,兼任教員,技術職員,事務職員がそれぞれ配置されているが,阿見キャンパスには兼任教員のみ配置されている.本学では,情報セキュリティインシデントが発生すると,IT基盤センター教職員がCSIRT要員として対応している.しかし,即時対応の面において,キャンパスが分散されていることや人員の配置などの問題から情報共有の方法に課題があった.こうした背景の下,情報セキュリティインシデント発生時の迅速な対応には,発生時の技術的な対応力,報告体制の明瞭化とCSIRT要員の情報共有が重要であると考え,本研究では情報セキュリティインシデント対応に特化した茨大型情報共有システムの構築を行った.そして,同システムの導入における対応時間への影響を,過去に本学で発生・対応した事案を用いて解析し,検証した.
著者
小川康一 吉浦紀晃
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.33-42, 2014-09-25 (Released:2018-12-09)
参考文献数
18

埼玉大学では,一般入学試験(個別学力検査等)の合格発表を大学ホームページで公開している.しかし,合格発表時に大学ホームページに閲覧者が殺到し,高負荷のためにWebサーバが機能不全に陥るといった現象が発生し,大学ホームページでの合格発表を閲覧できない状況となっていた.特に平成26年度前期日程の合格発表では影響が顕著であった.後期日程の合格発表では,複数のWebサーバを組み合わせる形で大学ホームページを構築しWebサーバプログラムに対してチューニング等の対策を行い,閲覧者にスムーズな閲覧環境を提供した.本論文は,後期日程合格発表時の大学ホームページへのアクセス集中に対する対策の報告である.この対策を実施する際に,平成26年度前期日程の合格発表時においては,Webサーバへのアクセス量などの情報等が重要であったが十分に得ることができなかった.そこで,限られた期間内で可能な限りに負荷に耐えうる大学ホームページのシステムを構築した.
著者
浅木森 浩樹 山田 哲 矢谷 鷹将 末廣 紀史 武田 啓之 國枝 孝之 米谷 雄介 八重樫 理人
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.112-118, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
13

香川大学は,ユーザ主導により業務システムをアジャイル内製開発する取り組みを開始した.香川大学が実施した業務システムのアジャイル内製開発では,ユーザ主導で開発するシステムの要件を抽出するとともに,スクラム開発で業務システムを開発する.本論文では,ユーザ主導による香川大学の業務システムのアジャイル内製開発について述べるとともに,ユーザ主導開発,学内アジャイル内製開発の視点からそれを考察する.
著者
門田 陽介 森野 勝太郎 本山 一隆 重歳 憲治 福江 慧 石井 真理子 芦原 貴司
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.79-86, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
18

文部科学省が推進するGIGAスクール構想の中で教育現場における「講義のオンライン化」は重要な目標課題の一つであったが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)をきっかけに全国の教育機関における講義のオンライン化が急速に進んだ.オンライン化が感染対策として有効である事は疑問の余地はないと思われるが,オンライン配信による遠隔講義が,対面講義と同等の学習効果を生み出しているかどうかについては,これまで十分な客観的検証がされているとはいえない.我々は,無線LAN接続による位置情報とZoom®ログを用いて学生が遠隔講義と対面講義のいずれに出席していたかを推定し,講義形式が学業成績GPAに与える影響を検討した.粗解析では対面講義参加割合が正に学業成績GPAと相関していた.学業成績には前年度の学業成績と入試成績が関与している事が分かったため,これらの因子を調整したところ,低学年では対面講義を志向する群が遠隔講義を志向する群に比して学業成績が良かったが,高学年では両群に統計学的な差は無かった.本分析は,ポストコロナ期の高等教育機関における教育の在り方について議論する貴重な材料になり得ると考えられる.
著者
中村純哉 小西和孝 土屋雅稔
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.17-28, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
17

豊橋技術科学大学は,キャンパスネットワークの更新を2018年夏に実施した.新キャンパスネットワークTUTNET2018は,有線ネットワーク,無線ネットワーク,全学ファイアウォールおよび管理システムからなり,本学における教育・研究活動の基盤となるシステムである.本論文では,最初に,前キャンパスネットワークTUTNET2010の運用中に判明した問題点について議論する.次に,その問題点を踏まえて設計されたTUTNET2018の設計方針とシステム構成について述べる. TUTNET2018では特に,耐障害性の向上とセキュリティインシデント発生時の利用者端末および通信内容の特定に重点が置かれている.最後に,TUTNET2018の構築からこれまで約1年間の運用状況を報告する.
著者
右田雅裕 杉谷賢一 松葉龍一 中野裕司 喜多敏博 入口紀男 武藏泰雄 辻一隆 島本勝 木田健 宇佐川毅
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.14-22, 2007-09-14 (Released:2019-04-06)
参考文献数
10

熊本大学では,2004年度より2年生の約2/3に相当する約1100名を対象に,情報処理概論をe-Learning形式の科目として開講している.本稿では,同科目の学期末試験としてLMS(Learning Management System)を用いて実施された一斉オンラインテストについて報告する.本試験は,不正行為防止策として試験中のネットワークアクセス及びPC操作を限定した上で実施されたオンラインテストである.
著者
米谷 雄介 後藤田 中 北原 美里 小野 滋己 青木 有香 八重樫 理人 藤本 憲市 林 敏浩 今井 慈郎 最所 圭三 喜田 弘司
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.112-121, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
5

情報セキュリティマネジメントにおいて,組織および組織を取り巻く環境に適合したセキュリティ対策の状況の確認・有効性の確認は必要不可欠である.本学では,予算・運用形態等の制約の中で,導入したセキュリティ製品の組織への妥当性を点検する試みを行っている.近年の標的型攻撃に重点を置き,本学のファイアウォールで監視されるメール,またWebからのダウンロードファイルを対象に,サンドボックスによる検知マルウェアに対するセキュリティ製品の対応状況を確認している.本研究では,パターンファイルが新種・亜種に対応するまでの期間を調査して,全学レベルで導入したアンチウイルスソフトおよび他社製品群を対象に,その妥当性の点検作業を支援するシステムを開発した.
著者
遠山和大 沖野浩二 山下和也 上木佐季子 大橋隼人
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.57-66, 2019-09-17 (Released:2019-09-17)
参考文献数
16

富山大学は五福・杉谷・高岡の3つのキャンパスを持つ.2018年に始まった教養教育改革では,これまでキャンパスごとに行っていた教養教育の授業が,五福キャンパスでの実施に一元化された.初年次に必修である情報処理科目は,教室設備の関係で各キャンパスでの実施だが,6学部を擁する五福キャンパスでは,文系学部・理系学部ごとに学部混成クラスでの授業を行っている.こうした状況を受け,以下の2点に着目して,情報処理科目のカリキュラムおよび教材の再構築を行った.(1)従来は各担当教員が独自に行っていた授業の内容を統一し,どのクラスにおいても同じ内容の授業にする.(2)情報機器やアプリケーションの操作方法を修得するだけでなく,それらを使って行う数値データ整理・文書作成・プレゼンテーションの「アカデミック・スキル」修得を目指す.本稿では,富山大学における情報処理科目再構築の取組について報告し,その実施に伴う問題点・課題について考察を行う.但し,授業目標の達成やその効果については,今後さらに研究すべき課題である.
著者
遠山和大 沖野浩二 上木佐季子 黒田卓
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.71-82, 2018-09-19 (Released:2018-09-10)
参考文献数
7

近年,情報セキュリティ・インシデント(以下,インシデント)が学内外において多発している.富山大学では,学生や教職員(以下,構成員)の情報セキュリティに対する知識や意識レベルを向上させ,インシデントを未然に防止したり,軽微な段階での対処が可能となるよう,セキュリティ体制の強化を進めている.その一環として,本学ではe-Learningを用いたセキュリティ教育を全構成員に義務づけている.本稿では,直近の3年間について,本学のセキュリティ教育を受講したユーザのアクセス記録とテスト結果を分析する.更にそれらの動向と,学内におけるインシデントの発生状況とを比較検討し,e-Learningを用いたセキュリティ教育が,本学構成員にどのような効果をもたらしたかを考察する.
著者
岩瀬 雄祐 山口 由紀子 川瀬 友貴 石原 正也 嶋田 創
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.157-166, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
6

名古屋大学では本学構成員およびゲストユーザ向けの全学的な無線LANサービスとして名古屋大学無線ネットワーク(NUWNET)を提供している.無線アクセスポイントの更新・増設によるWi-Fi環境の改善を進めてきたが,「NUWNETが途切れる,遅い」等の問い合わせが多く,ユーザ側からの通信状態を把握するため,Raspberry Piを用いた学内向けWi-Fi環境観測システムを構築した.また,本システムは学内のプライベートネットワーク用として構築したが,学外に設置したWi-Fiセンサと学内のサーバをVPNで接続することで,学外のWi-Fi環境についても観測できることを確認した.本稿では,Raspberry Piを用いた学内向けWi-Fi環境観測システムの構築,観測データの可視化,Wi-Fi環境の調査事例に加えて,AXIES 2022におけるデモ展示と観測について報告する.
著者
中鉢 直宏
出版者
一般社団法人 大学ICT推進協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.29-37, 2023-11-27 (Released:2023-11-27)
参考文献数
16

情報プレースメントテスト(以下:IPT)とは,情報処理学会一般情報教育委員会が実施する,大学初年次の学生を対象に行われるテストである.本研究では,ChatGPTを使用したIPTのための作問支援についてその可能性を検討した.情報分野においてもChatGPTを使用することで,キーワードから設問の作成や既存の設問に対する選択肢の作成が可能であることが分かった.また,作成時に難易度を指定することにより,段階的な出題の傾向が見られた.IPTで使用された既存の設問に対してChatGPTに解かせたところ,高い正答率であった.そして,計算などの問題の間違える傾向について確認することができた.ChatGPTを使った難易度の評価については,大学1年生レベルの平均の難易度と評価され,IPTの作問時に想定した難易度と一致した.しかし,実際の正答率と各設問の難易度の関係は弱い負の相関であった.
著者
沖野 浩二 布村 紀男
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.31-39, 2010-09-10 (Released:2019-02-13)
参考文献数
5

2005年10月に3大学統合(旧富山大学、旧富山医科薬科大学、旧高岡短期大学)により誕生した富山大学(五福キャンパス、杉谷キャンパス、高岡キャンパス)は、2006年2月稼働の情報システム更新に伴い3キャンパス共通の認証基盤の整備を行った。システム導入前に情報センターの簡易業務分析を行い、センター業務の均等化および負荷の低減に必要な要素を洗い出した。この業務分析を通じて大まかな業務負荷を把握することにより、システム運用部分の負荷およびユーザ対応部分の低減を目的としてシステムの導入を行った。本稿では、全学統一認証基盤を整備することにより、どのくらいのシステム運用コストの削減およびユーザビリティの向上につながるかを述べる。
著者
森下 孟 倉澤岩雄 鈴木彦文 永井一弥 東原義訓
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.48-55, 2016-09-27 (Released:2018-08-27)
参考文献数
15

信州大学教育学部附属学校園の校内ネットワーク環境整備では,①利用対象者別に分けられたネットワークの敷設,②附属学校園間での情報端末の相互利用,③学外の第三者による不正アクセスの防止が技術的な課題となっていた.そこで,①IEEE802.1Qによる論理的な分離,②ホストアドレスの範囲拡張による共有,③認証システムによるアクセス制御を施し,無線LAN環境を構築した.その結果,情報端末による動画の一斉視聴時にデータスループットの低下がみられたため,無線LANアクセスポイントの帯域幅を拡張したが,これ以外の恒常的な利活用のなかで著しいデータスループットの低下や電波干渉などによる無線LAN への接続不良などは発生しておらず,同時かつ安定的にネットワーク運用することを実現している.
著者
森下 孟 茅野 基 鈴木 彦文 永井 一弥 新村 正明 矢部 正之
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.70-81, 2011-09-14 (Released:2019-01-24)
参考文献数
8

本研究では,既設の大学間遠隔講義システム及び遠隔講義収録・配信システムの問題点を解決するため,「遠隔講義接続・切断の自動化」「講義コンテンツ配信の自動化」「カメラの遠隔制御」「コントロールプログラムのiPad対応」の4要件を満たすシステム及び機能を構築・実装し,より効果的・効率的に通常の対面講義でのネットワーク配信を可能にすることを目的とした.本研究の結果,既設システムの問題点をそれぞれ解決・改善することができたが,講義コンテンツの自動配信では「プロキシサーバ環境下で視聴できない」,カメラの遠隔操作では「操作の煩雑さや柱の陰にいる受講生を捉えることができない」といったシステム面・運用面での新たな問題点が明らかになった.
著者
青木 謙二 川畑圭一郎 黒木 亘 園田 誠 廿日出 勇
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.64-70, 2018

<p>近年,多くの機密情報を保有する大学は,標的型サイバー攻撃のターゲットになりやすく,情報が漏洩した際の社会的インパクトも大きい.このような状況の中,標的型攻撃メールなどの個人に対する攻撃から重要な情報を守るためには,構成員一人一人が正しい知識を持ち,正しく対処する必要がある.そこで,標的型攻撃メールがどのようなものかを周知し,攻撃を受けた場合に適切な行動をとれるようになるために,本学の全構成員を対象とした標的型攻撃メール訓練を行った.訓練は,事前に標的型攻撃メールへの注意喚起と対処法を通知し,その数日後,事前通知なしに訓練用の疑似標的型攻撃メールを一斉に送った.メールには,標的型攻撃メールと判断できる疑わしい点をいくつか含ませた.メール内に偽装したリンクを記述し,これをクリックした場合を標的型攻撃メールの被害にあったとみなし,その数を集計した.集計の際には,Sandboxによる試行接続を考慮し,この影響を除外した.その結果,リンクをクリックした者は全体の約14%であった.本論文では,実施方法および集計方法,集計結果について報告する.</p>
著者
升屋正人 久保田真一郎 青木謙二 下園幸一
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.63-74, 2005-09-16 (Released:2019-07-31)
参考文献数
8

条件不利地域における情報通信技術の普及啓発を目的として、小規模離島(孤立小型離島)における同種の事業としては全国で初めてとなる「ブロードバンド体験教室」を平成16年9月に硫黄島(鹿児島県鹿児島郡三島村)の三島小中学校で、平成17年5月に中之島(鹿児島県鹿児島郡十島村)の中之島小中学校でそれぞれ実施した。いずれの体験教室においても、鹿児島県本土と離島の間を1.5Mbpsの専用線で結んだブロードバンド相当回線を用いてテレビ会議を実施したほか、ブロードバンド関連機器のデモンストレーションや展示を行った。これら二件の事例を紹介するとともに、これらの実践における専用線利用形態が条件不利地域におけるブロードバンド整備の新しい方法となることを示す。