著者
駒見 直俊 田隈 広紀
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2020 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.292-309, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
15

近年、社員が良好にはたらく上で重要となる「社内コミュニケーション」の改善に向けた独自の取り組みを行う企業が増え、企業に入る学生側にもコミュニケーション能力を求める企業が増えてきた。これは業務効率が低下した、プロジェクトが円滑に進まないといったことが生じた際に、社員同士のコミュニケーション不足が例として良く挙がるためである。そしてコミュニケーション不足の原因の一つとして、対面で話す機会が少なくなったことが大きな割合を占めていた。本研究では対面でのコミュニケーション能力の向上に繋げる手段としてTRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)に着目し、その具体的な手段と効果について貯砂研究を行った。
著者
広岡 勲 下村 道夫
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2019 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.406-425, 2019 (Released:2019-10-03)
参考文献数
45

大相撲は約350年前、江戸時代から端を発した文化であり、運営を行う日本相撲協会は内閣府から公益財団法人として認可され、現在に至っている。ところが近年、暴力問題が多発し、リスクマネジメントの重要性が指摘されているため、高度なP2M体制の構築が必要となる。暴力問題の主たる発生要因は外的要因と内的要因に大別される。前者は「稽古」という養成システム面と「相撲部屋」という構造システム面に分類され、現在では環境改善するなど適切な対策が取られている。しかし、ヒトの心理面や倫理面が要因である「行き過ぎた指導」や「異文化の習慣」に対してはまだ効果が十分とは言えないため、後者の内的要因からの対策が求められている。本論文では外的要因に加え、内的要因を踏まえたリスクアセスメントを特徴とする新たなリスクマネジメントを提案、評価する。
著者
増田 和浩 神田 陽治
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2020 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.121-132, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
18

PS3以降本格化した家庭用インターネットゲームは、eスポーツの普及により競技性が高まってきた。日本では従来ゲームセンターでの大会は行われてきた。しかし家庭用ゲーム機がネットワークつながった事により、自己の高度な技を競技として世にアピールする大会が世界的に普及してきた。本稿ではハードウェアのアップグレードの中で、ゲームコミュニティがゲーム産業のエコシステムにおよぼした影響を解明する。プレイヤーやオーディエンスの存在だけでは積極的なコミュニティは成立しない。eスポーツのコミュニティはハードウェアのオンラインマッチングシステムとソフトウェアのプレイレベルによるセグメント分類の中で形成・維持されてきた。
著者
藤平 武文 北澤 正樹 高橋 聡 吉川 厚
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2021 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.82-89, 2021 (Released:2021-10-16)
参考文献数
11

金融機関のトレーディングチームは、様々な経験や知識を持ったトレーダーが構成員となり、それぞれの相場観に従ってトレーディングを行う。チームはリーダーにより束ねられるが、リーダーも自身の相場観を持ち、構成員の判断に介入を行う。トレーディングチームは当初多様性のある集団だが、リーダーの介入により画一的なチームとなることも、多様性を維持したチームとなることもありうると考えられる。本研究では、リーダーの行動がトレーディングチームのパフォーマンスに及ぼす影響を明らかにすることを目的に、リーダーの介入が組織特性に及ぼす影 響について、エージェント・ベース・モデリング(ABM)の手法を念頭に、投資実態をトレーディングチームリーダーに対して行ったインタビューの結果を報告する。
著者
加藤 智之 伊藤 公佑 越島 一郎 梅田 富雄
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2017 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.153-161, 2017 (Released:2017-10-12)
参考文献数
9

製品イノベーションマネジメントの領域では、製品を生み出すプロセスをいかにマネジメントするかという問題を基盤として議論されている。しかしながら、製品ライフサイクルが短縮化され、顧客価値が多様化されている状況下において、製品開発のマネジメントをするだけでは顧客に価値を伝達できないこともある。そこで、製品が提供する価値を顧客が享受できるよう仕向けることが必要となる。本論文では、顧客に価値を享受するよう仕向けることをユーザーイノベーションと定義し、ユーザーイノベーションのために検討しなければならない問題意識とマネジメントするための前提となる考え方について議論する。
著者
小原 重信
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.325-344, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
12

Society5.0を目指す社会プログラムは、その光と影が個人に与えるインパクトに留意が必要である。国民の関心は、多様なプラス成果の「幸福価値」に対する期待である。P2Mプログラムガバナンスは、国民の参加を促進するために、広くステークホルダーを巻き込める社会共感が重要である。「プログラムベース訓練法」は、思考から行動に奨励するために、 メンタル相談型プロセスをデザインした。この手法は多様な個人が潜在能力の意識を高め、障壁を超え主体的な自信を深める狙いがある。小規模実験では時間、コスト、キャリア認識の障壁低減し、P2Mプログラムガバナンスの意義を共有することができた。
著者
高橋 佳典
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2014 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.238-251, 2014-04-19 (Released:2017-06-06)

日本におけるPFIは1997年に公共施設の整備に導入されてから数多く実施されてきた。より積極的なPFIの活用を計るために、近年、PFI法の改正が行われ、対象施設の拡大やコンセッション方式の導入、PFI事業にかかる投資マーケットの整備を目的として(株)民間資金等活用事業推進機構の設立が行われた。PFIの制度が整えられつつある日本において、PFIによる利点を十分活用して公共施設の整備をして行くために、PFI事業におけるステークホルダーの関係性等について整理し、そのリスク転移の構造について考察する。そして、PFI事業の状況を見ながらPFIにおける事業実施の流れの特徴を整理することで、PFIの見える化をともなったマネジメントについて考察する。
著者
大貫 裕二
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2013 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.116-125, 2013-04-20 (Released:2017-06-06)

プロジェクトのバリュー・マネジメントに大きな影響を与える為替変動の管理のために、複数の測定基準により複式簿記を記帳する2n式多元簿記を提言する。その実現には交換代数を利用する。その応用例として、一つの通貨がインフレーションの影響を受けず、他方の通貨がインフレーションの影響を受けるケースを使って、外貨換算会計について考察する。利益の発生を期末為替レートで記帳し、取引時点と期末の為替差損を記入する記帳方式によって、本来の利益の発生と、為替レート変動による差損益を分離して表示することが可能であり、多通貨による記帳の整合を図ることが可能であることを示す。
著者
森本 千佳子 松尾谷 徹
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2016 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.172-183, 2016 (Released:2017-07-01)

本論文は、チームの協業状態を把握する方法の試行結果を報告するものである。特に近年ではダイバーシティの進展により様々なバックグラウンドを持つメンバーとの協業が増えている。効果的にチームビルディングを行うことの重要性は実社会では理解されているものの、客観的にチーム状態を把握するのは難しく、実務の場面ではプロセス審査場面や職場観察などで行われるのが一般的である。本研究では、経済学の分野で所得格差の把握に用いられるローレンツ理論のジニ係数をチームの協業状態を把握するチーム貢献係数として応用し、複数のソフトウエア開発チームの協業状態を比較した。その結果、チーム貢献係数によってチーム協業状態の差異が把握できたことを報告する。
著者
葛西 恵里子 久保 裕史
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2022 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.37-51, 2022 (Released:2022-04-18)
参考文献数
11

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の人々から少額ずつ資金を調達することであり、近年急速に市場が成長し、認知されつつあり、将来ものづくりに携わる希望をもつ大学生にとって、インターネットを活用したマーケティング4.0を学ぶための非常に実践的な手段として活用が可能である。クラウドファンディングは成功に至るまで様々な活動が必要なプロジェクトの集合体であり、全体として目標達成に向けた活動を行うプログラムであると位置付けられる。しかし学生とプログラム契約ができない下で、各プロジェクトを確実に実行できるかが不透明というリスクを持ち、運営には困難な側面も多い。本稿では、効率的かつ教育としての実のあるクラウドファンディングを実践するにあたり、P2Mにおける3Sモデルの各段階における統合マネジメントを採用し、必要な各プロジェクトを明らかにするとともに、リスク対策として、評価指標の共有による学生の能力と意欲の見える化を進めることで、意欲の持続化をはかることを提言する。
著者
村井 拓人
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2021 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.250-269, 2021 (Released:2021-10-16)
参考文献数
14

頻発する自然災害や世界的な新型コロナウイルス感染症の流行による先行き不透明な超VUCA【Volatility(変動)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧)】な現代において人材に求められるものは、より一層創造性を発揮させ、自ら行動し、新たな価値創出することができるスキルの向上であると考える。そのような中、P2M体系にアートの概念を取り入れることの必要性が提言され始めた。そこで本研究では、アーティストにデプスインタビュー調査を行い、その結果をテキストマイニングとコーディングによって分析し、アーティストの中に存在する暗黙知を形式化して外部から情報を得られるようにし、P2Mの中核であるプログラムマネジャーの人材開発に応用できないか検討した。
著者
永里 賢治
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 秋季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.185-196, 2018 (Released:2018-10-16)
参考文献数
37

企業は持続的な発展が求められており、日本のみならず海外においても様々なイノベーションを起こしていく事が重要である。企業の海外進出を考えた場合、中小企業は経営資源、知識、経験が少ない為に、大企業と比較すると不利と考えられる。本研究では中国に進出した日系中小企業がどの様にマネジメントを行ったのかについて、初めて海外進出を行った日系商社の事例を基にP2Mの視点で考察する。
著者
山本 秀男
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.296-306, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
29

本学会で研究されてきたP2M理論は、企業の特命業務を対象に構築され、研究開発や新サービス開発のマネジメントとして有効であることが示されてきた。しかし、ICTの普及等によって新サービスの開発期間が短くなったため、従来のPDCAを回すマネジメントでは対応できなくなっている。また、地域創成やSociety5.0のように社会システムの構築プログラムに対しては、研究対象を見直しモデルの構築に立ち戻って研究する必要があると思われる。本稿では、Christensen&Carlile(2009)の定性的データから理論を構築する研究手法にしたがってP2Mの理論記述を省察し、開発期間が短いプログラムや、価値の評価が多元的になる社会システム構築のプログラムをマネジメントする場合の課題を考察する。
著者
宮崎 愛弓 田隈 広紀 長尾 徹 田中 みなみ 淺野 友希 小田 裕和
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2018 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.17-36, 2018 (Released:2018-04-16)
参考文献数
10

イノベーション事業を牽引するメンバーには、その適用対象のありのままの姿から問題を発見・定義する洞察力が不可欠である。一方で、大学をはじめとする工学教育における課題研究やPBLでは問題解決力の養成が主眼に置かれ、その前段となる発見・定義力については学生個々の経験や問題意識に依存している。本研究ではP2Mのプロファイリングマネジメントとの関係性を意識しつつ、問題を発見するフィールド調査方法において、フィールドのありのままの姿から問題を発見する為に「一次情報と解釈を分けることを意識した上で一次情報を収集する」方法を提案し、試行実験にてその有効性を示したものである。
著者
濱田 佑希 越島 一郎 渡辺 研司
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2015 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.347-356, 2015 (Released:2017-07-01)

プログラムミッションは組織の事業戦略を分割して設定される。プログラムでは複数のプロジェ クトを同時並行で進めるため、各プロジェクトにおける価値創出活動の結果を伝播する構造を持 つ。価値創出活動の計画は不確定な要因が多い状況で作成されることもあり、進行に伴って状況 変化が引き起こる。既報では、状況マネジメントするために想定と異なる要因を特定し、戦略を 柔軟に変更する方策としてSWOT構造とIDEF0を利用した動的対応シナリオ生成手法を報告 した。本論では、価値創出活動を実施する組織とインタフェースを持つ組織との関係性を分析す ることで、影響を受ける要因と範囲の特定を行うことで状況マネジメントを行う方法を議論する。
著者
菊池 隆 鴨志田 晃
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2008 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.176-190, 2008-04-26 (Released:2017-06-06)

日本企業がサービス化する経済に対応していくためには、日本のインスティテューション(≒社会経済文化システム・体質)に対する洞察が必要だ。オランダの社会学者であるホフステードは、日本文化は、相対的に不確実性回避傾向が強く、また権力格差が大きいとしている。こういった体質と、例えば日本が得意としている(ように見える)ゲームソフト、「おもてなし」が売りの老舗旅館、あるいはコンビニに関わるロジスティクス、日本に生じ易いとされる顧客の過剰期待と企業の過剰サービス、そして日本の生産性が低いと言われるサービス分野、との相互関係を、有用なサービス分類に基づいて洞察することが不可欠である。
著者
太田 結隆 加藤 勇夫 加藤 瑠人 越島 一郎 橋本 芳宏
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際P2M学会研究発表大会予稿集 2019 春季 (ISSN:24320382)
巻号頁・発行日
pp.458-475, 2019 (Released:2019-05-13)
参考文献数
5

日本社会が抱えている問題の一つに重要インフラを支える制御システムを対象にしたサイバー攻撃のリスクがある。もしこのリスクが発生してしまうと、プラントの安全を確保するためには、OT側が実施すべき安全対応とIT側が実施すべきセキュリティ対応が連携して事態にあたる必要がある。インシデントレスポンスをP2Mの構図で考えると、OT側はSafeプロジェクトを実施主体であり、IT側はSecプロジェクトの実施主体と捉えることができる。この二つのプロジェクトを統括するにはプログラムマネジメントが不可欠である。このため、本稿ではP2Mフレームワークを援用して重要インフラにおけるサイバーインシデントマネジメントを議論する。