著者
大和田 茂
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.4_47-4_50, 2006 (Released:2007-06-11)

我々は,形状をゼリーの内部にプリントするゼリープリンターを提案する.このプリンターでは,出力形状が柔らかいゼリーであるために,加工が非常に容易であることが大きな利点としてあげられる.これにより,コンピュータの内部の情報を実世界に取り出し,変形したり加工したり食用にすることが可能となる.さらに,三次元の標高データを出力することもできるので,自由に切ってその断面をみることも可能である.
著者
横尾 真 岩崎 敦 櫻井 祐子 岡本 吉央
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_15-4_31, 2012-10-25 (Released:2012-12-25)

本稿では,メカニズムデザイン(基礎編)として,メカニズムデザイン理論について概説する.メカニズムデザイン理論は不完備情報ゲームの枠組みを用いて,自身の利得の最大化を目指して行動するプレイヤの集団が,あるルール(メカニズム)の元でどのように振る舞うかを分析すると共に,どのようにメカニズムを設計すれば社会的に望ましい結果,もしくは設計者の目的を満たす結果を達成できるかを扱う理論である.本稿では,まずメカニズムデザインの基礎となる不完備情報ゲームを説明する.そして,メカニズムデザインの代表的な適用例であるオークションに即して,メカニズムデザインの考え方,およびただ1つの商品を販売するオークションにおけるメカニズムデザイン理論の主要結果を概説する.
著者
横尾 真 岩崎 敦 櫻井 祐子 岡本 吉央
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.2_69-2_84, 2012-04-25 (Released:2012-06-25)

本稿では,ゲーム理論の基礎となる標準形の非協力ゲームについて概説する.標準形の非協力ゲームでは,複数のプレイヤが,自身の利得の最大化を目指して,独立かつ同時に行動を選択する.各プレイヤの利得は,自身の行動と他のプレイヤの行動の組合せにより決定される.非協力ゲームの帰結を予測するために,様々な均衡概念が提案されている.本稿では,標準形の非協力ゲームの基礎となる用語と均衡概念について概説する.また,単純に標準形の非協力ゲームを記述した場合,その記述量はプレイヤの数に対して指数的に増加する.本編では,ゲームの簡潔な記述方法であるグラフィカルゲームと混雑ゲーム,およびこれらのゲームにおいて均衡を計算するためのアルゴリズム/計算量について概説する.
著者
石尾 隆
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_47-1_60, 2012-01-26 (Released:2012-03-26)

動的解析とは,プログラムの実行時情報を収集し,その実際の振舞いや性能を解析するための技術である.本稿では,ソースコードに対する解析と比べた場合の動的解析の特徴を述べ,コードカバレッジの計算や統計的デバッギングなどの動的解析手法を解説する.また,読者が解析手法を試すことができるように,Javaプログラムの解析に役立つツールについても紹介する.
著者
肥後 芳樹 吉田 則裕
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.4_43-4_56, 2011-10-25 (Released:2011-12-25)

コードクローンとは,ソースコード中に存在する互いに一致,もしくは類似したコード片を指す.コードクローンの存在は,ソフトウェアの開発および保守に悪影響を与える恐れがあるといわれている.本稿では,コードクローンを取り除くためのリファクタリング方法と近年の研究成果について紹介する.

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著者
佐々 政孝
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.3_560-3_562, 1985-07-15 (Released:2018-11-05)
著者
辻田 眸 塚田 浩二 椎尾 一郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1_25-1_37, 2009-01-27 (Released:2009-03-27)
被引用文献数
2

携帯電話やメールなどさまざまな通信手段が普及したにもかかわらず,いまなお遠距離恋愛で悩んでいる人たちは多い.遠距離恋愛中のカップルは,個人差はあるにせよ,相手とつながり感を保ちたいという強いモチベーションをお互いに持っていると考えられる.こうした状況では,従来のアウェアネス共有システムのように弱いつながり感を共有するだけでなく,両者の生活空間での行為自体が相互に影響を与えあうような,比較的強いつながり感を提供する,いわば仮想的に同居しているような感覚を与えるシステムが有効になるのではないかと考えた.そこで,本研究では,プライバシーが守られる形で,遠隔地に設置されたランプ/ゴミ箱などの日用品の状態を相互に同期させることで,こうした仮想的な同居感覚を提供するシステム“SyncDecor”を提案,試作する.そして遠距離恋愛カップル間での遠隔実験の結果を示し,今後の展望を述べる.
著者
三好 健文
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_76-1_84, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

FPGAの大規模化に伴い,より複雑な処理がFPGAに実装できるようになり,プログラムの実行プラットフォームとしてもFPGAは注目されている.しかしながら,広く普及しているRTL言語で複雑なアルゴリズムが必要なアプリケーションを設計するのは困難である.そのため,高い抽象度でハードウェアモジュールを設計可能にする高位合成言語とその処理系の研究がすすめられている.高位合成言語には,ハードウェア開発のコストを削減すること,動作検証にかかるコストを削減すること,および,FPGAを活用して,FPGAならではの性能を引き出すことが求められる.本論文では,これまでに提案されてきた高位合成言語と処理系を整理する.
著者
福地 健太郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_55-2_62, 2011-04-26 (Released:2011-06-26)

タッチパネル式操作インタフェースの新しい潮流として,マルチタッチ技術が注目を浴びている.画面上の一点を指し示すのみの従来のタッチパネルに比べてマルチタッチ入力では多彩な入力が可能になるため,特にデバイスとしての制約の厳しい携帯型端末においては導入が急速に進んでいる.本稿ではこれまでのマルチタッチ技術について概観した後,タッチ位置以上の情報の入力を可能とする手指入力の研究動向を紹介する.
著者
丹野 治門 倉林 利行 張 暁晶 伊山 宗吉 安達 悠 岩田 真治 切貫 弘之
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.3_121-3_147, 2017-07-25 (Released:2017-08-09)

テスト設計を効率よく行うために必要となるテスト入力値生成技術に関する調査を行った.ソフトウェア工学分野とソフトウェアテスト分野における5つの主要会議 (ICSE,FSE,ASE,ISSTA,ICST)の過去約10年分の研究論文を調査対象とした.本論文では,これらの手法を目的別に整理したうえで,それぞれの手法の概要を紹介する.
著者
MORISAKI Shuji NISHIGUCHI Masato YONEMITSU Tetsuya MOTOYAMA Atsushi
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.2_120-2_126, 2020-04-23 (Released:2020-05-20)

This paper proposes a method to remove extraneous words in defect logs collected in software reviews to support for creating effective review checklists and scenarios used in future reviews. Extraneous words are commonly used and not specific words to capture defects to be detected in future reviews. The proposed method removes extraneous words in defect logs by excluding words in common vocabulary among defect logs collected in different types of software development projects because extraneous words are included in defect logs of any types of software development projects. This paper empirically evaluates the effectiveness of the proposed method with defect logs collected in industry. In the evaluation, words in common vocabulary among defect logs collected in reviews of a transportation system and a development support tool are excluded from those of public institutions. The results show that words contributing to creating checklists and scenarios, including “medical examination,” “fiscal year,” and “dependent in tax law,” are not excluded while extraneous words, which general stop word removal methods cannot exclude, such as “update,” “result,” and “process” are excluded.
著者
大神 勝也 中才 恵太朗 畑 秀明 松本 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.2_93-2_105, 2019-04-26 (Released:2019-05-24)

アプリケーションのパフォーマンス改善において,実行時間を解析するプロファイラは有用と思われる.しかし,既存のプロファイラは特定の実行シナリオのもとプロファイリング時間を事前に設定する必要があり,実行シナリオなしでシステムのボトルネックを見つけることは難しい.また,各メソッドごとの実行時間を表示するインタフェースはソフトウェアの階層構造上における実行モジュールの位置などを把握することが難しい.これらの課題に対処するため,リアルタイムでパフォーマンス分析可能なソフトウェア都市可視化ツールHeijoを提案する.提案するプロファイラでは,アプリケーションの実行は3次元のソフトウェア都市として可視化され,アプリケーションのソフトウェア構造と実行のパフォーマンスが表現される.提案するプロファイラを使用して実際のJavaアプリケーションおよびAndroidアプリケーションのプロファイリングを行い,提案するプロファイラの有用性と実用性を確認した.
著者
対馬 かなえ 浅井 健一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_180-1_186, 2013-01-25 (Released:2013-03-05)

本稿ではコンパイラに備わっている型推論器をそのまま使い,型デバッガを作成する手法について述べる.これまでの型デバッガでは型推論器を独自に再実装して型を求めていたが,それらの手法と比較して我々の手法には3つの利点がある.1つ目は型推論結果に不一致が起きないことが保証されることである.従来の型デバッガでは,型デバッガの型推論器とコンパイラの型推論器の間で齟齬が起きる可能性があった.2つ目はそもそも型推論器を再実装する必要がないことである.それによりこれまでに行われていない,構文等が多い言語の型デバッガを容易に作成することが出来る.3つ目はコンパイラの型推論器の更新に依存しないことである.これらの利点を活かし,我々は実際にOCamlを対象とした型デバッガを実装した.本稿では単純型付きラムダ計算とlet多相を対象として提案手法を説明し,実装について述べる.
著者
横尾 真 岩崎 敦 櫻井 祐子 岡本 吉央
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_34-1_52, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

本稿では,メカニズムデザイン(応用編)として,前回の基礎編に対して,現実からの要請にもとづく社会的に望ましい結果,もしくは設計者の目的を満たす結果,をもたらすための市場や制度をメカニズムとしてどう考えるかに焦点をあてる.まず,メカニズムデザイン理論における代表的な応用である,異なる種類の商品を同時に販売するためのオークション,いわゆる組合せオークションを,もっともよく知られているVickrey-Clarke-Grovesメカニズムを通して説明する.次に,従来は考えられていなかった課題を解決するためのメカニズムをどのように設計するかを解説するために,架空名義入札を取り上げる.加えて,メカニズムデザイン理論のよく知られた実践例である,検索連動型広告オークションとマッチングメカニズムの主要な結果に関して述べる.
著者
新屋 良磨
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1_119-1_124, 2017-01-25 (Released:2017-02-16)

与えられた言語が非正規であることの証明技法として,ポンピング補題や右同値類の有限性 (Myhill-Nerodeの定理) などの手法が有用であることが広く知られている.本論文ではこれらの手法とは全く異なる新しい非正規性の証明技法を提案する.いくつかの例題を通じて提案手法の新規性・有用性を議論し,さらに提案手法の課題についても具体的に述べる.提案技法は言語の測度に基づくものであり,「与えられた言語Lがほとんど空(測度が0)である」という直観的な性質を非正規性の証明に用いる.