著者
藤堂 健世 安田 翔也 山村 雅幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin469, 2020 (Released:2020-06-19)

機械学習における敵対的攻撃が注目を集めている。ブラックボックスなニューラルネットに対する普遍的かつ標的型の敵対的攻撃は困難と言われており、これを利用したニューラルネットの構造解析の知見は未だ十分とは言えない。本稿では,ブラックボックス・普遍的・標的型攻撃のための画像ノイズを遺伝的アルゴリズムによって作成し、これを適用した他クラスサンプルの圧縮空間上での遷移挙動から,ニューラルネットワークの特徴量構造の特性を調査した.その結果、あるクラスに対する標的型ノイズが、他クラスのサンプルに特徴的な遷移を誘導する「巻き込み」現象が観察された。巻き込みの発生度合いはクラスごとに異なったため、クラスごとに敵対的攻撃に対する耐性が異なることが示唆された。これらはクラスの距離に対応する何らかの指標と解釈することができ,ひいては特徴量空間の解析の糸口になると考えられる.
著者
佐藤 遼次 佐藤 一郎 金子 雅彦 水野 貴之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2E6GS504, 2020 (Released:2020-06-19)

企業が事故や災害で被災し操業が中断した際に,その経済的ショックがサプライチェーンを介して取引先に波及するかどうかを明らかにするために,本研究では,サプライヤーの売上情報とその顧客企業の売上情報との関係を表現する回帰モデルを構築した.具体的には,主に上場企業に関する財務情報を収録したデータベースから,事故や災害による被災の有無に関わらず,2012年から2016年までの製造企業の売上情報(約7,500件)を整理した.これを企業の取引関係を収録したデータベースと突合することで,各決算年度におけるサプライヤーおよび顧客企業の売上成長率を紐づけたデータセットを作成した.これに,各企業の国籍や業種等の情報を加え,機械学習(LightGBM)を用いることで,サプライヤーの売上前年比を含む情報から,その顧客企業の売上前年比を回帰するモデルを構築した.そのモデルにおける特徴量の重要度を評価することで,企業の売上成長が,サプライチェーンを介した取引先のパフォーマンスによる影響を受けていることを明らかにした.
著者
斯波 廣大 Chih-Chieh CHEN 曽我部 完 坂本 克好 山口 浩一 曽我部 東馬
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4B3GS102, 2020 (Released:2020-06-19)

ゲート方式の量子コンピュータを用いた最適化問題の解法は、VQEアルゴリズムを用いたものやQAOAアルゴリズムを用いたものが存在し、実社会の最適化問題に対する解法の1つとして、現在注目を集めている。ゲート方式の量子コンピュータを用いた最適化問題の計算手法は、量子アニーリングによる計算手法よりも拡張性が高く、様々な種類の最適化問題に対応できる可能性がある。しかしながら、複数の制約条件を考慮した複雑な最適化問題において、正しい最適解を計算する手法は未だ確立されていない。そこで今回は、制約条件を考慮した、より実問題に近い最適化問題に対する計算手法の1つであるハミルトニアン混合型手法を応用するとともにその有効性を検証する。
著者
設樂 一碩 田中 宏季 足立 浩祥 金山 大祐 阪上 由香子 工藤 喬 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4F3OS25b05, 2020 (Released:2020-06-19)

認知行動療法(CBT)は,非適応的な思考や行動を修正し,抱えている問題の解決に取り組むトレーニングである.我々は音声対話エージェント(ECA)との音声対話による低コストかつ高い効力を有したCBTの自動化を目指しており,これにはセッションごとの詳細な影響分析が重要であると考える.本研究では初期段階として,CBTの技法の一つである認知再構成法に基づく7つの質問による基本対話システムを作成した.テキスト対話で提示した場合と,ECAを用いて提示した場合の2種類の対話形式を用意し,初期の抑うつ尺度,セッション前後の否定的感情の変化(トレーニングの効果),CBTの達成度,ラポール尺度を28名の大学生と大学院生から測定した.結果として,研究協力者の否定的感情において,事前事後での有意な変化を確認した(25名で改善).また,対話中の表情の特徴量抽出も行った.分析の結果,否定的感情の強度,抑うつ尺度の評点に対し,特定の表情の特徴との有意な相関関係が見られた.
著者
深田 博幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4B2GS101, 2020 (Released:2020-06-19)

要約:汎用人工知能における自己意識と自我の提案を応用し、善悪、倫理観についての考察、実現方式を提案する。ネゲントロピー、数学的特異点、および概念オブジェの3つの基本概念と、その応用から構成され、逐次に事象の価値を評価し、多様な情報、物理的、非物理的な事象を統合して扱うことができるものを基に応用して、善悪の評価について考察した。また倫理観とは、テリトリーにおける善悪の評価基軸の集合体であると定義し、善悪の評価に対する基本的な処理の概要を示し、人工知能における倫理観の評価、作成に関するインプリメントをする考え方を提示した。
著者
楊 潔 菊池 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin418, 2020 (Released:2020-06-19)

言語的協同は対話参加者が繰り返し発話などを通じて相手に似せた方法で対話に参与する行為である。本研究では人間同士の自由対話における繰り返し型の言語的協同の特徴量を分析した上で、ユーザの属性を考慮にいれて対話ロボットによる言語的協同がユーザに与える効果を検証する。大学(院)生38人を対象としてWOZ法による対話実験を行なった。実験の条件は一対話中の協同発話の頻度によって低頻度・中頻度・高頻度に分け、頻度条件ごとに実験群(協同発話)と対照群(相槌)を設けた。被験者は対話ごとに共感と対話継続欲求に関わる三つの項目に対する5段階評価を行なった。その結果から、高頻度の言語的協同は共感促進と対話継続欲求2の向上に効果があると考えられた。また、本実験の範囲で、言語的協同の頻度が高いほど共感の効果が顕著であることが考えられた。最後に、ロボットへの否定的態度が強いユーザ・ロボットへの不安感が強いユーザほど言語的協同の効果が高まることが示唆された。
著者
長谷川 拓 西田 京介 加来 宗一郎 富田 準二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin145, 2020 (Released:2020-06-19)

近年 BERT をはじめとする transformer 型の事前学習モデルの出現により,様々な自然言語処理タスクにおいて目覚ましい研究成果があげられている.情報検索の分野においても,事前学習モデルを利用した検索技術により従来技術を大きく上回る精度で検索が可能となってきた.また,大量の文書から関連文書を高速高精度に検索することを目的として,ニューラルネットワークでスパースな潜在表現を獲得しこれを潜在単語とみなすことにより,転置インデックスを利用した高速検索を実現する試みもなされてきた.しかし,従来手法では学習時にスパース性を明示的に評価していなかったため,出力が限られた部分空間に偏ってしまい,転置インデックスをうまく活用できず高速に検索ができない可能性があるという問題があった.本研究では,事前学習モデルを利用したニューラルネットワークを用いて文脈を考慮可能にするとともに,このモデルで得られる潜在表現が部分空間に偏りにくい学習方法を提案する.数値実験により提案手法で得られる潜在表現から作成された転置インデックスを用いて,高速な検索が可能であること示す.
著者
小関 健太郎 森田 武史 山口 高平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4H3GS402, 2020 (Released:2020-06-19)

Linked Dataや知識グラフの観点から,知識の共有や意味内容に基づく処理の実現を目的としてさまざまな規模や領域のオントロジーが構築されている.これに伴って異なるオントロジーの統合とその利用が研究されているが,特にドメイン知識と一般知識の連携を目的として,教科オントロジーや法律オントロジーのようなドメインオントロジーと,日本語WikipediaオントロジーやYAGO等の大規模汎用オントロジーとの統合が注目されている.そこで本研究では,両者の統合における課題を考察し,信頼性や対象範囲のギャップに関する課題に対して,これらの課題を考慮したクラス階層の自動マージ手法を提案する.提案手法では,一方のオントロジーの知識を他方の知識に優先させる非対称な統合によって知識の訂正を行うことに加えて,普遍的・一般的な概念を体系化したオントロジーである上位オントロジーを導入することで,対象範囲によらず共通する上位階層での整合性の改善を図る.この際上位オントロジーの統一が必要となるが,上位階層を変更した大規模汎用オントロジーを新たに事前構築し評価を行った.
著者
阿部 真也 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2H4GS1303, 2020 (Released:2020-06-19)

時系列予測の観点から株価を予測するために深層学習を用いる研究が多数行われてきた。 一方で、クロスセクション予測(マルチファクターモデル)の観点から、深層学習を用いて株価を予測する研究は少なく、特に地域別およびグローバル株式市場における有効性を実証する研究は少ない。 そこで本稿では、地域別およびグローバル株式市場においてクロスセクション予測の観点から深層学習を用いたマルチファクターモデルに基づく相対的な魅力度の有効性を検証する。分析の結果、深層学習による株価予測モデルは、地域別およびグローバル株式市場両方で、勾配ブースティング、ランダムフォレストやリッジ回帰に比べリスク調整後リターンおよびリスク抑制の面で優れていることが明らかになった。合わせて、モデルを解釈するため地域別およびグローバル株式市場の深層学習を用いた株価リターン予測の要因分解をLRPを用いて行うことで、どのファクターが寄与しているを示した。
著者
平澤 直之 小林 洵也 清水 大地
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3D5OS22b03, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では,近年広く普及しつつあるダンスジャンルの 1 つであるブレイクダンスを対象に,自然な環境下での情動状態を自動的に判別・可視化するシステムの開発を行った.その際,ダンサーの身体に慣性センサーを取り付けることでポジティブ・ネガティブという各情動状態(感情価)における加速度データを測定した.そして,その加速度データに対してCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いた深層学習を行い,情動状態の識別を行うモデルを構築してシステムに組み込んだ.本研究では,当該システムの概要に関して紹介するとともに,上記のシステムを応用し,ダンスバトルにおける複数名のダンサーの情動状態が互いに影響し合う様子をリアルタイムに可視化するアプリケーションの開発も行なっている.また,ブレイクダンスをはじめとするヒップホップカルチャーにおいては創作物のオリジナリティーが非常に重要性を有している.創造性と情動との関係性は先行研究でも議論がなされており,ダンサーの独創的で新しい動作の創作過程と,情動状態との結びつき・関係性といった文化を支援する観点からも本研究にて考察を行う予定である.
著者
丸山 正人 竹川 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin150, 2020 (Released:2020-06-19)

個人の考える小説の類似度は多様であり,著者を基準として類似していると考える人や,テーマを基準として類似していると考える人などが存在する.また,小説を探す際にはタイトルやあらすじ等の情報をもとに読むかどうかの意思決定を行うが,それらの情報からその小説に期待する体験を得られるかの推測が難しいため,推薦システムによる補助が重要となる.そこで本研究では,個人が好んだ小説の本文を学習することによって,個人毎に異なる小説の類似度の推定を目指す.Word2vecで学習された単語のベクトルが1つの小説に登場する単語同士で纏まって分布することを用い,小説毎に登場する単語のベクトルの群間分散を用いて小説の類似度を求める.また,異なる基準で集められた小説を学習したWord2vecモデルがそれぞれ異なった類似度を持っているか調査した.結果,学習に用いられた小説の基準に該当するような小説とそこから外れるような小説の類似度が小さくなることを確認した.
著者
田中 裕隆 新納 浩幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin455, 2020 (Released:2020-06-19)

物体検出は、教師あり学習によって解決できる画像認識のタスクの一つである。物体検出の教師データにはBounding Boxとクラスラベルがある。これらの教師データの作成は一般的に人手で行われるためコストが高い。本研究は、教師データに用いる正確なBounding Boxの作成を目的とする。人手による正確なBounding Boxの作成は高コストであるが、正確性を要求しないBounding Boxであれば、人手であっても比較的低コストに作成できる。そこで、物体に対して余裕のある低コストなBounding Boxから、正確なBounding Boxを作成する手法を提案する。提案手法では、人手で作成したBounding Boxを用いて、その内側の領域に対するセマンティックセグメンテーションによって得られた推定領域全体を、正確なBounding Boxとした。この手法によって、物体に対して余裕のあるBounding Boxから、より正確なBounding Boxを作成することができた。
著者
Shota SUZUKI Takayuki ITO Ahmed MOUSTAFA Rafik HADFI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2G5ES302, 2020 (Released:2020-06-19)

Online discussion platforms require extracting the discussion structure in order to support understanding the flow of these discussions. Towards this end, this paper proposes an approach that performs node classification which is the first step towards extracting the structure of online discussions. In this regard, the proposed approach employs a graph attention network (GAT) in order to directly learn the discussion structure. In specific, the GAT, which is a type of graph neural networks (GNNs), encodes the graph structures directly. In addition, the GAT, which is based on attention architecture, is able to deal with different graph structures. In order to evaluate the proposed approach, we have conducted a set of experiments on the persuasive essays dataset that is styled using the issue-based information system (IBIS). The experimental results show that the proposed approach is able to classify the nodes in online discussion structures accurately.
著者
大屋 雄裕
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3N1OS11a01, 2020 (Released:2020-06-19)

人工知能を含め、システムが利用者から信用され利活用される条件を分析するとともに、その一要素としての説明可能性についてその内容を明確にすることを目的とする。 そのため、状況と帰結の関係として因果連関(原因と結果)と意味連関(理由と説明)があり、責任実践において注目されアカウンタビリティ(説明責任・答責性)の基礎となるものは後者であることを明らかにする。また、法制史・比較法的知見をもとに、使用者と被用者の知識・能力水準の格差という観点からシステムの信用性を維持する手法を分類し、今後の制度化に向けた示唆を提示する。
著者
野中 朋美 新村 猛 藤井 信忠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1F3OS2a04, 2020 (Released:2020-06-19)

本稿では,レストランサービスにおける配膳ロボット導入による従業員満足と生産計画に関する基礎的分析を行う.和食レストランに導入された配膳ロボットを事例として,配膳スタッフ,調理場スタッフ,接客スタッフのオペレーションおよび個々の従業員が暗黙的に頭の中で計画,更新する生産計画に着目する.この配膳ロボットは,調理場で出来上がった料理を接客フロアに運ぶものであり,作業者が行き先を指定し,店舗内を巡回しながら料理を運搬する.また,下げ膳の食器類を洗い場まで運ぶ役割も担う.ロボット導入前後における生産性と従業員満足を,配膳,調理場,接客の職種別に分析することにより,人と機械の仕事の切り分けや協調,工程設計の変化に対して,従業員がどのように適応しているのか,また,ロボット導入に伴い自身の仕事やオペレーション改善をどのように捉え対応しているのかを考察する.2019年12月から2020年1月にかけて,ある導入店舗を対象に実施した従業員アンケートおよびインタビューの結果をもとに分析を行う.
著者
片寄 諒亮 吉岡 真治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin412, 2020 (Released:2020-06-19)

近年、時系列データや金融指標を用いたテクニカル分析やファンダメンタル分析、さらにニュース情報を用いたテキスト分析など様々な形で株価の予測が行われている。我々は、テクニカル分析などを用いたアルゴリズム取引が増えていることを考慮し、複数のテクニカル指標を用いた機械学習による株価予測の手法を提案する。この際に、企業の決算発表やニュースリリースなどテクニカル分析以外の要因の影響を考慮し、テクニカル分析による当てはまりが良い銘柄、悪い銘柄などを分類した上で作成した学習・評価データを作成して評価を行うと共に、複数のテクニカル指標の組み合わせ方法について検討を行う。
著者
奥田 慎平 保坂 道雄 笹原 和俊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2E4OS1a05, 2020 (Released:2020-06-19)

近年、言語も生物と同様に文化進化することが知られており、その研究をする際に進化生物学のアプローチが有効となっている。本研究では、英語の完了形構文の進化に焦点を当て、haveとbeの助動詞選択で働いている進化駆動力を検出するために、3つの大規模な英語コーパスを用いて19個の対象動詞におけるbe/have+PP用法を分析した。時系列とともに2つの相対頻度を分析することからhave+PPの補助選択が動詞の性質と文法的な使用法に依存していることが確認できた。また、集団遺伝学で用いられている手法を進化言語学に応用したFrequency Increment testを適用することにより、多くのbe+PPからhave+PPへの変化は、方向的な選択の力が働いている可能性があることを明らかにした。
著者
小野 哲雄
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3J1OS9a01, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では,行動経済学で提唱されている“ナッジ”を「心のナビゲーション」として捉え,その認知的なメカニズムの解明・モデル化を行うとともに,我々がこれまで研究を行ってきたエージェント基盤技術を用いて“ナッジ”エージェントとして実装することにより,人間とAIシステムを融和させ,人々をウェルビーイング(人間的に豊かな生活)へと導く意思決定を促す環境知能システムの実現を目指す. 本研究で提案する“ナッジ”エージェントの新規性・独自性は、(a) 行動経済学の「理論」とAIシステムの「学習」により少ないデータから人間の意思決定を予測可能,(b) エージェントが環境にあるIoTデバイスへ「移動」(agent migration)することにより文脈に適した意思決定の支援が可能,(c) ナッジを構成するプロセスを可視化することにより人間の意思決定力を「育てる」ことが可能なことである.本研究ではさらに,実験室実験により本システムの機能の有効性を検証した後,フィールド実験を行い社会実装へとつなげていく予定である.
著者
小椋 忠志 MAGASSOUBA Aly 杉浦 孔明 平川 翼 山下 隆義 藤吉 弘亘 河井 恒
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1Q3GS1105, 2020 (Released:2020-06-19)

生活支援ロボットは,在宅介護労働者の不足に対する有望な解決策である. 一方で,生活支援ロボットの主な制限の1つに,言語を介して自然に相互作用できない点がある. 近年の研究では,data-drivenのアプローチがあいまいな指示の処理に有効であることが示されているものの,大規模なデータセットを必要とすることが多く,その構築は時間と費用を要する. したがって,生活支援ロボットにおける命令文の自動生成手法は,このコストを大幅に削減し,アノテーション作業の負担を軽減することが期待できる. そこで本稿では,入力画像から把持命令文を生成する手法を提案する. 提案手法は,subword-levelの注意機構を持ち,subword embeddingに基づいて文を生成するMultimodal Attention Branchを有する. 実験では,画像キャプショニングに適した4つの標準的な尺度を使用して提案手法とベースライン手法との比較を行った. 実験結果では,提案手法がこれらの尺度においてベースライン手法を上回ることを示した.
著者
内山 和也 中野 有紀子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3M5GS1203, 2020 (Released:2020-06-19)

e-learningによる学習では,教師が対面する学習とは異なり,学習者の状態が把握しにくいという問題がある.これを解決するために,学習者の態度を推定する技術の研究が進んでいる.本研究では,とくに学習者の積極性(engagement)に焦点を当て,脳波や表情など複数のモダリティ情報に基づき,engagementの程度を推定するモデルを提案する.まず,データセットを作成するために,e-learningの環境を模した実験を行い,ビデオ教材視聴時,演習課題解答時,解説の視聴時という3つの異なる学習フェーズにおける学習者の表情,視線,筆記,そして,脳波を計測した.学習者のengagementの評価として,本人による申告と第三者によるビデオ観察に基づく評価を行った.サポートベクター回帰により,表情と脳波のデータからengagementの程度を推定するモデルを作成した.今後は,視線や筆記データも入力に加え,より高性能なマルチモーダル推定モデルを作成する予定である.