著者
山腰 貴大 駒水 孝裕 小川 泰弘 外山 勝彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4P3OS805, 2020 (Released:2020-06-19)

法令文書には,「者」「物」「もの」や「規定」「規程」のように互いに類似している法令用語が出現する.このような法令用語は,法制執務(法令の起草・制定・改廃など法令文書の作成・管理に関する業務)の慣習や規則によって使用法とともに定義されている.法令において,これらの法令用語はそれに従い,厳密に書き分ける必要がある.契約書や約款などの広義の法令文書においても,誤解を防ぐために,法令に準じて正しく書き分けることが望ましい.そこで,本研究では,与えられた法令文から法令用語を検出し,誤用と思われるものに対してその修正案を出力することにより,法令文書の作成を支援する手法を提案する.本手法では,このタスクを選択肢付き穴埋め問題とみなし,分類器により解決する.分類器は,一般文によって事前学習したBERTモデルから構築する.このとき,(1)法令文によるドメイン適応,(2)訓練データのアンダーサンプリング,(3)分類器の統一の三つの工夫を施すことにより性能向上を図る.実験の結果,ランダムフォレストやニューラル言語モデルによる分類器よりも本手法の方が高い性能を発揮することを明らかにした.
著者
福田 芳樹 堂坂 浩二 石井 雅樹 伊東 嗣功
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin182, 2020 (Released:2020-06-19)

人間同士の感情コミュニケーションを活性化させることを狙いとして,対話相手の感情を認識するだけでなく,感情判断理由を応答することができる会話ロボットの研究に従事している.そこで,本研究では,文章とその書き手の感情が入力されたとき,感情の生起要因を含む文を抽出するシステムについて報告する.このシステムを開発するため,まず,20万件の事例文から成る感情生起要因データベースを構築した.システムは,入力文と感情生起要因データベース中の文の類似度を文のベクトル表現のコサイン類似度によって計算し,感情生起要因となる入力文を抽出する.従来のbag of wordsによる文ベクトルと,BERTによる文ベクトルを用いた場合を比較し,BERTによる文ベクトルを用いたほうが,感情生起要因の抽出性能が向上することを示した.しかし,エラー分析の結果から,データベースの質と量を改善する必要があることが分かった.
著者
坂野 孝広 鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1O3GS803, 2020 (Released:2020-06-19)

我々は,自然に偏在する音響ノイズを起源とする音声コミュニケーションの進化シナリオを検討するため,物理接触による音の発生を取り入れた3次元仮想生物進化環境を構築している.生物は直方体を接続して構成され,各ブロックは他個体を認識する視覚とブロック同士や地面との接触で発生する音を認識する聴覚をセンサとして持つ.センサ情報はブロック内の神経結合で処理されブロック間の関節へのトルクに反映される.生物は体構造とネットワークを記述する遺伝子を持つ.本稿では,音源と資源から構成される環境構造が仮想生物の進化に与える基本的な影響を明らかにすることを目的とする.具体的には,中心に定常音源とその周囲に複数の資源ブロックが存在するフィールドに仮想生物集団を配置し,一定ステップ後に各資源から配分半径内に入った個体で等分して得られる資源量を適応度とした.資源の共有特性を決める配分半径が異なる条件で実験した結果,半径が中程度の場合に音情報を利用してより均一な資源共有が可能な集団へと漸進的に進化することが判明した.また,集団行動データの次元圧縮による可視化が複雑な集団構造の進化傾向の比較に有用であることが判明した.
著者
北爪 聖也 松本 知己
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin117, 2020 (Released:2020-06-19)

単品定期通信販売のECサイトのデータを使い、顧客が定期通販を継続するかを予測する次回購買予測モデルを作成した。 どのような特徴量が単品定期通信販売のECにおいて、顧客の定期購入の継続に影響を与えているのかを解釈する。 ロジスティック回帰を使用して特徴量の解析を行った。また、LightGBMを使用して、予測モデルを構築し、精度を評価した。 定期購入の継続に影響を与えていたのは、購入月や支払い方法やターゲット別に作成したランディングページであることが判明した。
著者
木下 涼 植野 真臣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin482, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,人工知能分野において学習者の知識状態を動的に推定するKnowledge Tracingが注目を集めている.特に項目反応理論(IRT)と深層学習を組み合わせたDeep-IRTが提案され,高精度に学習者の反応予測が可能であることが報告されている.さらにDeep-IRTはIRTと同様に解釈可能な能力パラメータと困難度パラメータを持つ.しかし,Deep-IRTは得られる能力パラメータが解答する項目に依存しており,IRTと比較して解釈性に劣るため,適応型テストなど教育分野への応用は限られている.この問題を解決するため,本研究では測定モデルとKnowledge Tracing Modelを両立するItem Deep Response Model(IDRM)を提案する.IDRMでは,独立した学習者ネットワークと項目ネットワークから能力パラメータと困難度パラメータを推定するため,Deep-IRTよりも解釈性の高いパラメータが得られ,学習者の能力測定モデルとみなせる.さらに,実データ実験によりIDRMは既存モデルよりも高度に学習者の反応予測が可能であることが示された.
著者
嘉藤 佑亮 中村 友昭 長井 隆行 山野辺 夏樹 永田 和之 小澤 順
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1Q4GS1101, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では人が行う巧みな動作をロボットに学習させ,小売店舗における商品整列動作を行う.人は初期環境が異なれば同じタスクであっても異なる戦略を使うことでより最適な動作を行うことができる.そこで我々はロボットが初期状態に応じた戦略を自律的に選択できるシステムを提案し,シミュレーション上の強化学習によって獲得した複数の整列動作モデルとそれらを使い分けるための判別器を作成した.このシステムを使用して整列タスクを実施した結果,1つの動作モデルのみを使用した場合よりも精度の高い整列を実現した.また,シミュレーション上で学習した動作モデルを使用し,実環境においても整列動作が可能であることを確認した.
著者
笹嶋 宗彦 加藤 直樹 丸橋 弘明 羽室 行信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4K3GS304, 2020 (Released:2020-06-19)

データサイエンス教育においては,プログラミング技術や統計学知識などのデータ分析力だけでなく,社会の現場から問題を見つけ出す課題発見力や,分析の結果を現場に浸透させて改善する社会実装力の重要性を学ばせることが必要である.兵庫県立大学社会情報科学部では,これらデータサイエンティストが備えるべきスキルを実践的に学ばせるために,企業と連携して,実際のデータを用いた課題解決型演習を,学部1年生から必修科目として取り入れている.2019年度入学の一期生101名を対象としてPBL演習を実施し,事後アンケートを取ることで,学生からの主観評価を得た.その結果,自分自身がデータサイエンティストとして社会活動していく上での課題や,本人の持つスキルのバランスなど,様々な気づきを学生に与えることができた.他方,PBL演習の運営については,初めての試みでもあり,様々な知見が得られた.
著者
江原 遥
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2D1GS902, 2020 (Released:2020-06-19)

外国語学習において、語彙学習は時間的コストが高いうえ、読解力をはじめとする全般的な語学力と相関が高い。語彙学習の支援においては、学習者が適切な語の使い方を学べるよう、ある語が母語話者の作文や発話を集めたコーパス中でどのような使われ方をしているか、語の用例(コーパス中の出現)を提示したいニーズがある。この時、単にコーパス中の当該単語の出現箇所を羅列するのではなく、多義語については語義を考慮し、類似した語義はまとめ、さらに、覚えるべき主要な出現と例外的な出現を分けて提示してくれると、より語彙学習に有用であると思われる。しかし、このように、語の出現ごとに語義を付与したり、覚えるべきかどうかを判定する作業を、人手で行うことは、アノテーションコストが高すぎて非現実的である。そこで、本研究では、文脈化単語埋め込み(BERT)と教師なし深層異常検知に基づき、人手のアノテーション情報なしで、こうした語彙学習に有用な用例情報を提示する手法を提案する。
著者
脇本 宏平 川本 峻頌 張 培楠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin170, 2020 (Released:2020-06-19)

インターネット広告領域では、広告制作物の大量生産の需要が高まっている。広告画像と広告文から構成されるバナー広告において、広告文はユーザーの興味を引き、商品の情報を伝え、商品のランディングページ(以下LP)へと誘導する重要な役割を担っている。現在、クリエイターは、LPの情報を元に広告文を制作しているが、これを大量に行うことは非常にコストが高い。そこで我々は、広告文生成の自動化を試みる。生成される広告文には、LPに記載されている商品に関する説明を反映させる必要がある。しかし、LPに記載されている説明文は、質、量共にばらつきが大きく、そのまま学習に用いるのは困難である。そこで本研究では、商品に関連する複数の重要な単語(キーワード)に基づき広告文を生成する手法を提案する。実際に配信された広告データを用いた実験を行い、適切な広告文が生成できることを確認した。
著者
窪田 悠貴 田中 文英
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin166, 2020 (Released:2020-06-19)

本研究では、人が痛みを説明する方法として物体の変形に着目した。この研究の目的は痛みを他者へ伝えることを補助し、他者が痛みを理解しやすくすることである。本論文では、現在使用されている痛みの評価方法と物体の変形と情報伝達に着目した先行研究の調査を行った。また装置開発において、初めに予備実験を行い痛みの性質と物体の変形の性質の対応づけを行った。実験から得られた結果より開発するデバイスの設計指針を立て、変形による痛み表現装置の開発を行った。
著者
川野 陽慈 宇都宮 悠輝 高屋 英知 山野辺 一記 栗原 聡
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3D5OS22b04, 2020 (Released:2020-06-19)

近年ゲーム業界は拡大しており,必要とされるシナリオの数も増加している.そのためにシナリオ自動生成が求められている.シナリオの自動生成手法には完成稿を直接作成する方法もある.しかし,本研究ではより自由度が高くシナリオの崩壊が起きづらい方法として,シナリオの大筋の流れを記載したプロットを物語の共通構造で生成する手法を提案する.シナリオの自動生成には素材となるシナリオのプロットデータが必要となるが,人手で大量のデータを用意するのは難しい.そのため,現存するシナリオからプロット作成のためのデータを抽出し素材として用いることが必要となる.そこでシナリオ自動生成のため映画脚本に着目した.映画脚本をシナリオ自動生成の素材とするためにはストーリー展開を構造化したプロットが必要となる.それを映画脚本から抽出するためにストーリー展開の変化する点で映画脚本を分割することを試みた.映画の登場人物に着目することで,ストーリー展開の変化を捉えられることが示唆された.また,シナリオの素材を元にしたプロット生成において,作品性の調整を自由に行えるシステムを作成し有効性の検討を行った.
著者
五藤 強志 平川 翼 山下 隆義 藤吉 弘亘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2J6GS205, 2020 (Released:2020-06-19)

複数のエージェントが存在する場合,自己利益だけを考えてエージェント同士が衝突したり,他エージェントに影響を与えるようなケースが発生する.このようなデッドロックが起きるような環境では,複数エージェントを同時に学習するマルチエージェント強化学習により,他エージェントを考慮しながら行動を行う必要がある. 本研究では,マルチエージェント強化学習に深層学習を導入する際に,単一ネットワークをエージェントごとの複数のブランチに分けて同時学習を行う手法を提案する.これにより,エージェント同士のインタラクションを考慮しつつ,学習を行うことが可能となる. 評価実験では,自動運転環境においてデッドロックが発生するような環境を想定し,各エージェントを個別に学習する従来手法と提案手法を比較する.また,提案手法によってエージェントがどのような行動を獲得したかを可視化し,インタラクションの効果を示す.
著者
鈴木 莉子 小西 幹人 池田 順哉 林 大地 深井 颯 菅原 優 町井 湧介 山浦 佑介
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Q5GS901, 2020 (Released:2020-06-19)

ドキュメントに含まれる画像はテキストの内容理解を助ける役割を持つが、画像とテキストの間に整合性が無い場合は、読み手の理解を妨げる恐れがある。ドキュメント作成時の人的ミスやデータの改ざん等により、画像に対してテキストの意味が部分的に変わってしまう場合は、作成者が矛盾点に気付きにくいため、意図せずドキュメントの品質を落としてしまう可能性もある。本研究では、マルチモーダル深層学習を用いて、画像とテキストの整合性判定を行い、画像の物体領域とテキストの単語の関連性を学習するCross Attentionにより、画像とテキストの矛盾点を可視化するモデルを構築する。画像とキャプションが対になったデータセットを元に、キャプションの意味を部分的に変更したデータセットを作成し、提案モデルの有効性を検証すると共に、Cross Attentionにより可視化される画像とテキストの対応関係について考察する。
著者
難波 英嗣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Q3GS902, 2020 (Released:2020-06-19)

特許庁は、市場創出に関する技術分野、国の制作として推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、特許出願技術調査を実施している。現在までに250テーマ以上の技術テーマについて、報告書および報告書作成に使われた論文と特許のリストが公開されている。しかし、この報告書は、一定期間は最新の技術動向を含んだ内容であっても、時間経過と共にその内容が次第に古くなっていくという問題がある。そこで、我々は、特許出願技術調査方向書の自動更新に関する研究に取り組んでいる。その第一歩として、本稿では、報告書作成に使われた特許リストの自動更新手法を提案する。実験の結果、提案手法の有効性が確認された。
著者
坪田 匡史 宮村 祐一 神津 友武
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Q3GS903, 2020 (Released:2020-06-19)

特許情報は企業の事業戦略の策定や提携先の模索等に有用であり、膨大な特許情報に基づいて技術動向把握を行なううえで、特許技術の俯瞰マップは不可欠なツールである。俯瞰マップ上では、各発明がベクトルとして、発明間の類似度がベクトル間の距離として、それぞれ表現される。従来、発明のベクトル表現化には、単語の出現頻度をベースとするTF-IDF法が広く用いられてきた。しかし、TF-IDF法は、単語間類似度を考慮することが難しく、比較的少数(1000件程度)の特許文献からなる分析対象母集団について、特許請求項を用いてマップ上でクラスタが形成されにくいという課題があった。 本研究では、特許請求項に基づく新規の類似発明判別タスクによってLSTMモデルを訓練し、訓練済みモデルから得られる発明のベクトル表現を俯瞰マップ作成に用いる。請求項中の単語は、類義語等の情報を考慮するため、明細書データなどから獲得した単語分散表現に変換したうえでモデルへのインプットとする。本稿では、上記手法により、1000件未満の比較的少数の特許文献からなる母集団について作成した俯瞰マップにおいても、技術クラスタが明確となることを確認する。
著者
服部 正嗣 澤田 宏 殿岡 貴子 坂田 岳史 藤田 早苗 小林 哲生 亀井 剛次 納谷 太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3M1GS1203, 2020 (Released:2020-06-19)

児童や生徒は、期末テストや模試等で問題を解くことによってその時点での学習状況を把握している。これに加えて共通の問題を解いた集団のテスト結果を適切に分析できれば、テスト後の学習に有用な情報を得ることができると考えられる。本研究では、集団のテスト結果を対象にVariational Autoencoderを適用し、児童生徒の各問題への回答傾向および同様の解かれ方をしている問題の集合について分析する。具体的には、生徒一人ひとりが各問題に正答したか誤答したかを入力とし、同じ出力を得られるようAutoencoderを学習する。学習の際に、従来の損失関数に加えて入力がすべて0、1(誤答、正答)であるならば潜在変数もすべて0,1となるような制約など、潜在変数が正答率と相関するような複数の制約を加えた。このことによって得られたVariational Autoencoderの潜在変数を用いると児童生徒や問題についての解釈を加えることが可能であり、問題の集合や解くために同様の能力を要求されると考えられる問題の集合や各児童生徒が前述の問題の集合のいずれが得意でいずれが不得意かについての知見が得られた。
著者
木下 拓也 梶原 薪 中山 功一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4D3GS1202, 2020 (Released:2020-06-19)

佐賀県では,大雨による土砂災害や洪水などの災害が多い.国土交通省国土地理院は,洪水や土砂災害,津波などの災害リスク情報を地図に重ねて表示させた「重ねるハザードマップ」を公開している.「重ねるハザードマップ」は,地図上にどの地域がどれだけ浸水するかを色分けしたものである.しかし,使用者が住んでいる地域が実際にどれだけ浸水するかを体感的に理解するには情報が少ない.そこで本研究では,AR(拡張現実)を用いて,使用者の地域がどれだけ浸水するかを体感的に認識することができるシステムを提案する.また,災害時にAR使用中の画像をサーバーに送信することにより,システム提供側はその画像を防災対策等に使うことができる.
著者
渡邉 信太 小山 賢太郎 青栁 和弘 立川 竜三 小野 由樹子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin106, 2020 (Released:2020-06-19)

現在、JR東日本では自営の発電所から電力を供給し、電車の運転・空調・各種サービス機器・駅ビル等の電力需要を賄っている。各発電所では、電力指令が立案した発電計画を基に発電する。従来、電力需要は電力指令員が過去の実績から類似日を抽出・平均化し、様々な補正計算により予測していた。作業は1時間程度を要し、担当者の経験と勘によるため予測精度にバラつきがあった。本取り組みは、機械学習により電力需要を誰もが同精度で予測できる手法の確立を目的とする。 本取り組みでは、重回帰分析ベースの予測モデルを作成した。予測モデルは、予測対象日から過去2年分の実績を学習し予測する。学習データに異常なデータが含まれると予測精度が低下するため、機械学習による異常検知手法を用いて除外した。時間帯・気温・平日と休日で電力需要の傾向が異なることが判明したため、予測モデルを192種類に分割した。また、曜日や繁忙期か否かといった特性、直近の電力需要実績が予測精度に影響することが判明したため、これらを予測モデルのパラメータとして採用した。本モデルのシステム化により、ベテラン指令員と同等の精度の予測を瞬時に行うことが可能となった。
著者
上島 邦彦 登坂 泰斗 谷口 耕平 早矢仕 晃章 大澤 幸生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1F5OS401, 2020 (Released:2020-06-19)

統計学や大規模データ処理の普及により、多くの企業がデジタルマーケティングの方法を利用しやすくなった。もっとも、それらの方法は、単発のキャンペーンに関する短期的な投資対効果の把握に主眼が置かれがちで、中長期的なプロモーション効果を複合的に理解するのは難しい。 そこで本研究では、偶発的な消費者トレンド及び、企業による複数のキャンペーンがもたらす影響の評価を試みた。複数の商品ブランドを対象に、複数の時系列データを組み合わせたデータセットを作成し、データ観察と時系列解析を行った。 その結果、次の3点が示唆された。まず、偶発的な消費者トレンドの発生過程は共通の枠組みで調査できる。ただし、その持続期間や影響範囲は、その後のコミュニケーションによって異なる。また、単一のキャンペーンが売上に直接の影響を与えない場合もある。複数のメディアを横断した、持続的なコミュニケーションを行うほうがよい。よって、単一のキャンペーンを過度に詳しく分析するのではなく、重要な業務指標を体系的に整理し、その連動関係を評価すべきである。
著者
益井 博史 中林 一貴 谷口 忠大
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.1C4OS6b02, 2020 (Released:2020-06-19)

コミュニケーション場のメカニズムデザインとは,ディスカッション,ディベート,会議,そして相談を行うグループを間接的に制御するために,ルールやインセンティブを含んだ話し合いの制度を設計することである.コミュニケーション場のメカニズムは,実際のコミュニケーションに制約を課すと考えられる.それらの制約は,人工知能に基づく技術の発展に有益であると仮定した.この論文では,自動音声認識システムと発話権取引を例として取り上げて、この概念を評価する.実験により,発話権取引を導入すると、音声認識のパフォーマンスが向上することがわかった.